笠原一輝のユビキタス情報局
性能2倍は本当だった!ニューSurface Laptop Studioは伊達じゃない!「Surface Laptop Studio 2」レビュー
2023年10月3日 22:00
Microsoftは9月21日(米国時間)に、Surface Laptop Studioシリーズの最新製品となる「Surface Laptop Studio 2」を発表し、10月3日より販売開始する計画だと明らかにした。それを受けて本日より、各種ECサイト、Microsoftの直販サイト「Microsoft Store」などで実際に販売が開始されている。
今回筆者は日本マイクロソフトより、Microsoft Surface Laptop Studio 2の一般消費者向け最上位モデル「Z2D-00018」(Core i7/64GBメモリ/1TB SSD/GeForce RTX 4060 Laptop/プラチナ)のサンプル貸し出しを受けたので、それを利用してMicrosoft Surface Laptop Studio 2をレビューしていきたい。
MicrosoftはMicrosoft Surface Laptop Studio 2発表時の謳い文句として「これまでの2倍のコンピューティングパワーを発揮する、Surface史上最もパワフルなデバイス」という表現を使っていたが、実際に実機を触ってみると、その謳い文句が単なる「謳い文句」ではなく、本当に2倍の性能を実現していることが見えてきた。
中身以外は従来のコンセプトを継承したSurface Laptop Studio 2
前世代機にあたるSurface Laptop Studioは、2021年の9月に発表されたクラムシェル型の2in1で、Surfaceシリーズの中では最もハイエンドの製品となる。従来、そのポジションにはSurface Bookシリーズの13.5型と15型が位置していたのだが、両製品の中間に位置する14.4型ディスプレイを採用し、両者を統合するかたちでSurface Laptop Studioが誕生したことになる。
Surface Laptop Studioの特徴に関しては上記のレビュー記事を読んでいただくのが最も手っ取り早いのだが、念のため説明すると、ゲーミングノートPCに採用されるようなハイエンドのCPUのCore Hシリーズを採用し、同時に一部モデルを除きNVIDIAのdGPUを搭載しており、持ち運びが(ギリギリ)可能なノートPCとしてはかなり高い性能を実現している。
また、ディスプレイの中央部分を起点に回転するフリップヒンジ(Dynamic Wovenヒンジ)を備えており、クラムシェル型としてだけでなく、タブレット型、ビュー型などさまざまな形状に変形させて利用可能な2in1型デバイスであることももう1つの特徴だ。それにより、コンテンツクリエイターやハイエンドのビジネスパーソンなど、何かを作り出すユーザーに最適なデバイスとなっていた。
製品名 | Surface Laptop Studio | Surface Laptop Studio 2 |
---|---|---|
CPU | 第11世代Core H35(Core i5-11300H/Core i7-11370H) | 第13世代Core(Core i7-13700H) |
GPU | Iris Xe(11300Hモデル) GeForce RTX 3050 Ti(4GB GDDR6、11370Hモデル) RTX A2000(4GB GDDR6、11370H法人モデル) | Iris Xe GeForce RTX 4050 Ti(6GB GDDR6) GeForce RTX 4050 Ti(8GB GDDR6) RTX A2000 Ada(8GB GDDR6) |
NPU | - | Intel Movidius 3700VC |
メモリ | 16GB/32GB(LPDDR4x-4266) | 16GB/32GB/64GB(LPDDR5x-5200) |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB/2TB | 256GB/512GB/1TB |
ディスプレイ | 14.4型PixelSense Flow (120Hz、2,400×1,600ドット、201ppi、1500:1) | 14.4型PixelSense Flow (120Hz、2,400×1,600ドット、200ppi、1500:1) |
タッチ/ペン | 10点マルチタッチ/Surface Slim Pen 2 | 10点マルチタッチ/Surface Slim Pen 2 |
カメラ | 1080p前面カメラ(Windows Hello対応) | 1080p前面カメラ(Windows Hello、Windows Studio Effect対応) |
USB Type-A | - | 1 |
USB Type-C | - | - |
Thunderbolt 4 | 2 | 2 |
HDMI | - | - |
カードスロット | - | microSDカード |
Ethernet | - | - |
オーディオ端子 | 3.5mmヘッドフォン | 3.5mmヘッドフォン |
マイク | デュアルマイク(遠方界対応) | デュアルマイク(遠方界対応) |
その他ポート | Surface Connect | Surface Connect |
Wi-Fi | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6E |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 | Bluetooth 5.3 |
WAN | - | - |
対応LTEバンド | - | - |
指紋認証 | - | - |
センサー | 加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、環境光センサー | 加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、環境光センサー |
TPM | fTPM | fTPM |
キーボード | メカニカルキー(バックライト搭載) | メカニカルキー(バックライト搭載) |
ポインティングデバイス | 高精細ハプティックタッチパッド | 高精細ハプティックタッチパッド |
ACアダプタ | 65W(5W USB Type-A、Core i5モデル) 102W(7W USB Type-A、Core i7 dGPUモデル) | 102W(7W USB Type-A、iGPUモデル) 127W(7.5W USB Type-A、dGPUモデル) |
バッテリ容量 | 58Wh | 58Wh |
カラー | プラチナ | プラチナ |
サイズ | 322.58×228.6×17.78mm | 323×230×22mm |
重量 | 1.7429kg(i5)/1.8202kg(i7) | 1.89kg(iGPU)/1.98kg(dGPU) |
OS | Windows 11 Home | Windows 11 Home |
今回発売されたSurface Laptop Studio 2は、その初代Surface Laptop Studioの後継となる製品だ。そのため、製品の大枠は基本的に初代とほぼ同じだ。
MicrosoftがPixelSense Flowと呼ぶ2,400×1,600ドットで120Hz表示のディスプレイ、前述のフリップ機構による変形できる2in1デバイスであること、ハイエンドのCPUやdGPUを搭載していること、さらにはSurface Slim Pen 2が利用可能で、本体に吸着して充電可能なこと、2つのThunderbolt 4やSurface Connectといったポート類など、製品としてのアウトラインはキープコンセプトだ。一方、左側に1つのUSB Type-A端子、右側にmicroSDカードスロットが追加されているのが大きな違いとなる。本体の外形もほぼ同じ(つまりは誤差の範囲)で、両者を並べてもポート周り以外の外形からでは区別がつかないだろう。
CPUは第13世代Core Hに強化。ハイブリッドアーキテクチャで性能が大きく向上
このように、製品としてのコンセプトや外形には関してはほぼ差がないと言って良い。では何が新しい製品なのかと言えば、中身だ。具体的にはCPUとGPUがガラッと変わっている。
CPUは初代に搭載されていた第11世代Coreから最新の第13世代Coreへと強化され、CPUの性能が大きく向上している。また、Surface Laptop Studioを特徴付けているdGPUも強化。従来のGeForce RTX 30 Laptopシリーズ(Ampere世代)からGeForce RTX 40 Laptopシリーズ(Ada Lovelace世代)に変更され、性能が大きく向上している。
CPUは1月にIntelから発表されたノートPC向けの第13世代Coreを採用している。ノートPC向け第13世代Coreには、HX(TDP 55W)、H(TDP 45W)、P(TDP 28W)、U(TDP 15W)の4つのシリーズが用意されているが、今回のSurface Laptop Studio 2に採用されているのは、HシリーズのCore i7-13700Hになる。
Hシリーズはもともと薄型のゲーミングノートPCなどを意識して設計されたCPUで、Surface Laptop Studio 2のようなクリエイター向けPCでも多く採用されている製品となる。
Core i7-13700H | Core i7-11370H | |
---|---|---|
世代 | 第13世代 | 第11世代 |
開発コードネーム | Raptor LakeーH | Tiger Lake-H35 |
CPUコア・アーキテクチャ名 | Raptor Cove(Pコア) Gracemont(Eコア) | Willow Cove |
CPUコア数/スレッド | 6コア(Pコア)+8コア(Eコア)/20スレッド | 4コア/8スレッド |
L3キャッシュ | 24MB | 12MB |
Turbo時最大周波数 | 5GHz | 3.3GHz |
GPU | Iris Xe | Iris Xe |
GPUアーキテクチャ | Xe-LP | Xe-LP |
EU | 96 | 96 |
GPU最大周波数 | 1.5GHz | 1.35GHz |
TDP | 45W | 35W |
従来のSurface Laptop Studioには、第11世代CoreのCore i7-11370HないしはCore i5-11300Hが採用されていた。このCore i7-11370H /Core i5-11300Hは、H35というシリーズ名で呼ばれるHシリーズだが、こちらはTDPが35Wに設定されていたCPUになる。それに対して第13世代CoreのHシリーズはTDPが10W高い45Wに設定されている。TDPを高く設定すれば、それだけ多くの電力を供給できるので、その分だけでも性能向上を期待できる。
しかも、第13世代Coreは、第12世代で導入された「パフォーマンス・ハイブリッド・アーキテクチャ」と呼ばれるアーキテクチャを採用している。Pコア(高性能コア)とEコア(高効率コア)という2種類のCPUコアが用意されており、それをうまく活用することで性能を引き上げている。たとえば、OSやアプリの起動のようなレイテンシが重視されるような処理はPコアで、エンコードのように並列実行性が重視される処理はEコアでと、それぞれに得意な処理を割り当てて動作させることが可能だ。
今回のCore i7-13700Hでは、Pコアが6コア、Eコアが8コアになっており、Core i7-11370H(Pコア相当が4コア)と比較してPコアが2コア増え、Eコアが8コア増えていることになる。また、Turbo Boost時の最大クロックがPコアは5GHz、Eコアは3.7GHzとなっているほか、L3キャッシュは24MBで第11世代に比べると実に2倍に増えている。
なお、最新CPUになったこともあり、Wi-Fiモジュールも最新の「Intel AX210」に進化しており、新しくWi-Fi 6Eに対応している(従来モデルはWi-Fi 6まで)。それにより、6GHzのアクセスポイントに接続できるようになっている。実際に、6GHzのアクセスポイントに接続してみたが、2.4Gbpsで接続していることが確認できた。
GeForce RTX 40シリーズないしはRTX 2000 Adaから選択できるdGPU
dGPUに関しては、モデルによって異なっている。dGPU非搭載、GeForce RTX 4050 Laptop GPU(GDDR6 6GB)、GeForce RTX 4060 Laptop GPU(GDDR6 8GB)、RTX 2000 Ada Laptop(GDDR6 8GB)という4つの選択肢がある。なお、SurfaceシリーズはCTOモデルがないので、購入するモデルで搭載されるdGPUは変わってくる。
いずれもNVIDIAのAda Lovalaceアーキテクチャに基づいているGPUで、ダイそのものはAD107と呼ばれるものを採用している。
モデル | ZRF-00018 | YZY-00018/Z1I-00018 | Z2D-00018 | Z1S-00018 |
---|---|---|---|---|
iGPU | Intel Iris Xe | Intel Iris Xe | Intel Iris Xe | Intel Iris Xe |
dGPU | - | GeForce RTX 4050 Laptop | GeForce RTX 4060 Laptop | RTX 2000 Ada Laptop |
dGPUダイコードネーム | - | AD107 | AD107 | AD107 |
SM数 | - | 20 | 24 | 24 |
CUDAコア数 | - | 2,560 | 3,072 | 3,072 |
ブーストクロック(NVIDIA公表)) | - | 1,605~2,370MHz | 1,470~2,370MHz | - |
GPUサブシステム電力(NVIDIA公表)) | - | 35~115W | 35~115W | 35~140W |
サブシステム電力設定(Microsoft公表) | - | 80W | 80W | 非公表 |
dGPUメモリ | - | GDDR6 6GB、128bit幅 | GDDR6 8GB、128bit幅 | GDDR6 8GB、128bit幅 |
同じAD107のダイに基づくGeForce RTX 4060 LaptopとGeForce RTX 4050 Laptopだが、内部エンジンになるSMやCUDAコアの数が異なる。RTX 4060は24SM/3,072CUDAコアだが、RTX 4050は20SM/2,560CUDAコアという構成になっている。これは半導体メーカーがよく使う手法で、内部エンジンのいくつかを無効にすることで歩留まり(良品率)を上げている。そのため、RTX 4060はAD107のフルスペックだが、RTX 4050は4つのSM(1つのSMあたり128CUDAコアを内蔵)を無効にすることで、廉価版としているのだ。
なお、ノートPC向けのGPUは、PCを設計するメーカーが、TDP(NVIDIAが言うところのサブシステム電力)の枠を決定するのが一般的だ。たとえば、GeForce RTX 4060 Laptopでは35~115Wの間でTDPを可変できるような仕様になっており、PCメーカーが採用するシャシーが許容できる排熱性能に応じてTDPを設定する。Microsoftはそのスペック表の中で、GeForce RTX 4060 Laptopも、GeForce RTX 4050 Laptopも80Wと公表しており、これはノートPCのdGPUのTDP設定としては高めだ。
既に述べた通り、CPUだけでもTDPが10W分上がっており、dGPUでも80Wという設定で高めの設定になっていることから、おそらくシステム内部での消費電力は増え、かつ排熱できる熱設計の性能も向上していると考えられる。その証拠に、添付されているACアダプタの供給電力は、従来の105Wから増えて127Wになっている。これはシステムがピーク時に消費する電力が増えているからだろう。
また、Surface Laptop Studio 2は同じdGPUありモデル同士で従来と比較すると、約160g重量が増えている。その要因は増えた熱量を放熱するための放熱機構にあると考えられ、それを見ても今回のSurface Laptop Studio 2がとにかく性能重視の設計であることが見てとれる。
なお、Z1S-00018というモデルでは、GeForce RTX 4060 Laptopと全く同じチップで、ほぼ同じスペックのRTX 2000 Ada Laptopを採用している。内部エンジン数などもほぼ同じで、サブシステム電力設定は発表されていないが、同じシャシーである以上こちらも80Wである可能性が高く、おそらく性能はさほど変わらないだろう。
GeForce系との大きな違いはいわゆるISV(独立系ソフトウェアベンダ)認証と呼ばれるCADやCAM、シミュレーションソフトウェアなどの認証がとられていることだ。そうしたプロ向けのソフトウェアを提供するISVは、ISV認証があるGPUでだけ動作を保証している場合があり、そうしたソフトウェアを使うためにSurface Laptop Studio 2を購入するのであれば、RTX 2000 Ada Laptop搭載モデル一択ということになるだろう。
Intel製NPUで「Windows Studio Effect」によるカメラ効果も使えるように
ここまでCPUとdGPUの強化について触れてきたが、Surface Laptop Studio 2ではもう1つの新しいプロセッサが搭載されている。それがNPU(Neural Processing Unit)だ。
Surface Laptop Studio 2に搭載されているNPUは、Intelの開発コードネーム「Keem Bay」で知られる「Movidius 3700VC VPU」になる。Movidius 3700VC VPUは複数あるKeem Bayベースの製品の中で最上位の製品で、CPUやGPUなどに比べれば圧倒的に低い数Wの消費電力で、AI推論処理が可能になる。
このMovidius 3700VC VPUは、Intelが次世代のクライアントPC向けSoCとして12月14日に発表する予定のインテルCore Ultraプロセッサー(以下Core Ultra、開発コードネームMeteor Lake)に内蔵されるNPUの、1つの前の世代のアーキテクチャとなっている。つまり、Movidius 3700VC VPUを発展させて、NPUとして利用可能にしたものが、Core UltraのNPUなのだ。
Movidius 3700VC VPUの存在はWindowsのタスクマネージャーに「NPU 0」として表示されている。この振る舞いはCore UltraのNPUと同じだ。大きな違いは、Core UltraのNPUはDirectX経由でGPUやNPUを利用する仕組みである「DirectML」に対応する計画であるのに対して、Movidius 3700VC VPUは今の所は「Windows Studio Effect」と呼ばれる前面カメラのエフェクトを実現する機能のみで利用可能な点にある。
つまり、近い将来にCore UltraのNPUでStable Diffusionで画像生成などが可能になるのに対して、Movidius 3700VC VPUではそうした使い方が現時点で想定されていないことになる(もちろん将来ドライバのアップデートなどで対応される可能性はないとは言えないが……)。
なお、Surfaceシリーズにおいて「Windows Studio Effect」が利用できるようになったのは、Arm版のCPUを搭載した「Surface Pro 9 with 5G」だけで、QualcommのSnapdragonのNPUを利用してこれが実現可能になっていた。その意味では、x86プロセッサの環境でもWindows Studio Effectが利用できるようになったこと、それがMovidius 3700VC VPUの意味と言えるだろう。
なお、Surface Laptop Studio 2の「Windows Studio Effect」はカメラ画像に対する効果のみで、音声には対応していないところがSurface Pro 9 with 5Gとの違いになる。
ベンチマークテストではMicrosoftの謳い文句通り、CPUもGPUも2倍の性能を発揮する
このように、Surface Laptop Studio 2ではCPU、GPU、そしてWindows Studio Effectに用途は限定されているもののNPUも追加され、性能が大きく向上したことが最大の特徴になる。実際、MicrosoftはSurface Laptop Studio 2の売り文句として「第13世代Coreと最新のNVIDIA Laptop GPU により、パワーが2倍以上増加し、グラフィックス・パフォーマンスが最大2倍向上する」と説明しており、CPUもGPUも2倍の性能になっていると強調している。それが本当にそうなのかをベンチマークプログラムで確認していきたい。
なお比較対象としては、初代のSurface Laptop Studioのレビューで紹介したスコアを用意した。OSのバージョンやドライバのバージョンなどに違いがあるため、厳密な比較ではないが、大まかな傾向は変わらないと考えられる。ただし、細かな差異などは当然あると考えられるので、そのことはお断りしておく。
CPUの生の性能をシンプルに確認できる「Cinebench R23」の結果を見ると、Microsoftが言っているCPUもGPUも2倍という謳い文句のうち、CPUが2倍というのはその通りだということが分かる。シングルスレッドの性能も20%向上しているが、圧倒的なのはマルチスレッドの結果で、2.17倍になっている。Pコアが4から6になって2つ、Eコアは0から8になって8つ増えていることになり、その効果が発揮されているということができるだろう。
同じくGPUのベンチマークとしてシンプルなテストになるGFXBench R5のスコアも同様だ。1440p Aztec Ruins(High Teir)Offscreen(DirectX 11)で約2倍、1080p Aztec Ruins(Normal Teir)Offscreen(DirectX 11)で約1.93倍、1080p Manhattan Offscreen(DirectX 11)で約1.94倍という結果になっており、1.9~2倍の性能を実現していることが分かる。
同じくGPUのベンチマークとなる3DMarkでもDirectX 12のテストになるTimeSpyは約1.86倍、DirectX 11のテストになるFireStrikeでは約2.12倍となっており、GPUの性能が倍になっているというのは誇張表現ではないことが分かる。
このように、CPUもGPUも性能が2倍になっているというMicrosoftの説明は、きちんと数字に裏付けされた表現だということがこうしたベンチマーク結果から分かるだろう。性能2倍の謳い文句は本当だったのだ。
外見は変わらないが中身は完全に別物。タイムイズマネーのクリエイターやビジネスパーソンにお勧め
以上のように、Surface Laptop Studio 2は、基本的にはキープコンセプトの製品で、その使い勝手はNPUを搭載したことでWindows Studio Effectの機能が使えるようになったことを除けば、基本的には変わらないものになっている。しかし、PCにとって最も大事なことである「パフォーマンス」は、CPUもGPUも強化し、Microsoftの謳い文句通り2倍の性能を実現しているのはベンチマーク結果からも分かる通りだ。
性能が向上すると何がいいのかと言えば、それはシンプルに生産性向上だ。たとえば、動画を編集するクリエイターにとって、当たり前だがその売り上げの源泉は動画を作成することだ。同じ1日作業するとして、性能が2倍になるということは、同じ作業をPCにさせたら2倍高速に処理できるということで、動画のエンコードをさせることが多い動画クリエイターなら、より高品質な動画を半分の時間で作成する事ができるという計算になる。もちろん実際にはそういう単純な計算にはならないが、だが生産性が向上するというのはそういうことだ。
また、ビジネスパーソンであれば、同じPowerPointの資料を作るにしても、画像や動画の処理の時間が短くなることを意味する。その短くなった時間で、別のPowerPointの資料を作ったり、Web会議に参加したりすればより多くの成果を得られる。
そうした「タイムイズマネー」の世界で競争しているクリエイターやビジネスパーソンにとって、CPUやGPUの性能が2倍になったSurface Laptop Studio 2を選択する意味はまさに「生産性の向上」にあると思う。その結果売上が増えたり、競合との競争に勝ったりすれば、その投資はすぐにとり返すことが可能になるのは筆者が強調するまでもないだろう。
ZRF-00018 | YZY-00018 | Z1I-00018 | Z2D-00018 | Z1S-00018 | |
---|---|---|---|---|---|
CPU | Core i7-13700H | Core i7-13700H | Core i7-13700H | Core i7-13700H | Core i7-13700H |
dGPU | - | GeForce RTX 4050 Laptop GPU(GDDR6 6GB) | GeForce RTX 4050 Laptop GPU(GDDR6 6GB) | GeForce RTX 4060 Laptop GPU(GDDR6 8GB) | RTX 2000 Ada Laptop(GDDR6 8GB) |
メモリ | 16GB | 16GB | 32GB | 64GB | 32GB |
ストレージ | 512GB | 512GB | 1TB | 1TB | 1TB |
価格 | 33万6,380円 | 39万7,980円 | 45万9,580円 | 53万6,580円 | 58万2,780円 |
価格は表4の通りで決して安いとは言えないことは事実だが、そのようにPCを生産性向上に使っているユーザーや、とにかく高性能でかつスタイリッシュなノートPCを探しているユーザーにとって、Surface Laptop Studio 2は十分検討してみる価値がある製品だと言えると思う。