笠原一輝のユビキタス情報局

性能2倍は本当だった!ニューSurface Laptop Studioは伊達じゃない!「Surface Laptop Studio 2」レビュー

Surface Laptop Studio 2。CPU/GPUが強化されて、NPUも新たに搭載されるなど内部が大きく強化

 Microsoftは9月21日(米国時間)に、Surface Laptop Studioシリーズの最新製品となる「Surface Laptop Studio 2」を発表し、10月3日より販売開始する計画だと明らかにした。それを受けて本日より、各種ECサイト、Microsoftの直販サイト「Microsoft Store」などで実際に販売が開始されている。

 今回筆者は日本マイクロソフトより、Microsoft Surface Laptop Studio 2の一般消費者向け最上位モデル「Z2D-00018」(Core i7/64GBメモリ/1TB SSD/GeForce RTX 4060 Laptop/プラチナ)のサンプル貸し出しを受けたので、それを利用してMicrosoft Surface Laptop Studio 2をレビューしていきたい。

 MicrosoftはMicrosoft Surface Laptop Studio 2発表時の謳い文句として「これまでの2倍のコンピューティングパワーを発揮する、Surface史上最もパワフルなデバイス」という表現を使っていたが、実際に実機を触ってみると、その謳い文句が単なる「謳い文句」ではなく、本当に2倍の性能を実現していることが見えてきた。

中身以外は従来のコンセプトを継承したSurface Laptop Studio 2

フリップヒンジ(Dynamic Wovenヒンジ)によりさまざまな変形が可能なSurface Laptop Studio 2。オプションのSurface Slim Pen 2を利用可能

 前世代機にあたるSurface Laptop Studioは、2021年の9月に発表されたクラムシェル型の2in1で、Surfaceシリーズの中では最もハイエンドの製品となる。従来、そのポジションにはSurface Bookシリーズの13.5型と15型が位置していたのだが、両製品の中間に位置する14.4型ディスプレイを採用し、両者を統合するかたちでSurface Laptop Studioが誕生したことになる。

フリップヒンジ(Dynamic Wovenヒンジ)
ビューモードやタブレットモードなどに素早く変形が可能

 Surface Laptop Studioの特徴に関しては上記のレビュー記事を読んでいただくのが最も手っ取り早いのだが、念のため説明すると、ゲーミングノートPCに採用されるようなハイエンドのCPUのCore Hシリーズを採用し、同時に一部モデルを除きNVIDIAのdGPUを搭載しており、持ち運びが(ギリギリ)可能なノートPCとしてはかなり高い性能を実現している。

 また、ディスプレイの中央部分を起点に回転するフリップヒンジ(Dynamic Wovenヒンジ)を備えており、クラムシェル型としてだけでなく、タブレット型、ビュー型などさまざまな形状に変形させて利用可能な2in1型デバイスであることももう1つの特徴だ。それにより、コンテンツクリエイターやハイエンドのビジネスパーソンなど、何かを作り出すユーザーに最適なデバイスとなっていた。

【表1】Surface Laptop StudioとSurface Laptop Studio 2のスペック比較
(赤は強化、青は変更のあった部分)
製品名Surface Laptop StudioSurface Laptop Studio 2
CPU第11世代Core H35(Core i5-11300H/Core i7-11370H) 第13世代Core(Core i7-13700H)
GPUIris Xe(11300Hモデル)
GeForce RTX 3050 Ti(4GB GDDR6、11370Hモデル)
RTX A2000(4GB GDDR6、11370H法人モデル)
Iris Xe
GeForce RTX 4050 Ti(6GB GDDR6)
GeForce RTX 4050 Ti(8GB GDDR6)
RTX A2000 Ada(8GB GDDR6)
NPU- Intel Movidius 3700VC
メモリ16GB/32GB(LPDDR4x-4266) 16GB/32GB/64GB(LPDDR5x-5200)
ストレージ256GB/512GB/1TB/2TB 256GB/512GB/1TB
ディスプレイ14.4型PixelSense Flow
(120Hz、2,400×1,600ドット、201ppi、1500:1)
14.4型PixelSense Flow
(120Hz、2,400×1,600ドット、200ppi、1500:1)
タッチ/ペン10点マルチタッチ/Surface Slim Pen 210点マルチタッチ/Surface Slim Pen 2
カメラ1080p前面カメラ(Windows Hello対応) 1080p前面カメラ(Windows Hello、Windows Studio Effect対応)
USB Type-A- 1
USB Type-C--
Thunderbolt 422
HDMI--
カードスロット- microSDカード
Ethernet--
オーディオ端子3.5mmヘッドフォン3.5mmヘッドフォン
マイクデュアルマイク(遠方界対応)デュアルマイク(遠方界対応)
その他ポートSurface ConnectSurface Connect
Wi-FiWi-Fi 6 Wi-Fi 6E
BluetoothBluetooth 5.1 Bluetooth 5.3
WAN--
対応LTEバンド--
指紋認証--
センサー加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、環境光センサー加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、環境光センサー
TPMfTPMfTPM
キーボードメカニカルキー(バックライト搭載)メカニカルキー(バックライト搭載)
ポインティングデバイス高精細ハプティックタッチパッド高精細ハプティックタッチパッド
ACアダプタ65W(5W USB Type-A、Core i5モデル)
102W(7W USB Type-A、Core i7 dGPUモデル)
102W(7W USB Type-A、iGPUモデル)
127W(7.5W USB Type-A、dGPUモデル)
バッテリ容量58Wh58Wh
カラープラチナプラチナ
サイズ322.58×228.6×17.78mm323×230×22mm
重量1.7429kg(i5)/1.8202kg(i7) 1.89kg(iGPU)/1.98kg(dGPU)
OSWindows 11 HomeWindows 11 Home

 今回発売されたSurface Laptop Studio 2は、その初代Surface Laptop Studioの後継となる製品だ。そのため、製品の大枠は基本的に初代とほぼ同じだ。

 MicrosoftがPixelSense Flowと呼ぶ2,400×1,600ドットで120Hz表示のディスプレイ、前述のフリップ機構による変形できる2in1デバイスであること、ハイエンドのCPUやdGPUを搭載していること、さらにはSurface Slim Pen 2が利用可能で、本体に吸着して充電可能なこと、2つのThunderbolt 4やSurface Connectといったポート類など、製品としてのアウトラインはキープコンセプトだ。一方、左側に1つのUSB Type-A端子、右側にmicroSDカードスロットが追加されているのが大きな違いとなる。本体の外形もほぼ同じ(つまりは誤差の範囲)で、両者を並べてもポート周り以外の外形からでは区別がつかないだろう。

本体の左側面にはThunderbolt 4端子が2つと、初代にはなかったUSB Type-A端子が1つ追加されている
本体の右側面には、microSDカードスロット、ヘッドフォン端子、Surface Connect端子(ドック、専用ACアダプタ用)。初代にはなかったmicroSDカードスロットが追加されている
キーボードも従来製品と同じ
タッチパッドも12×8cmと同じサイズ

CPUは第13世代Core Hに強化。ハイブリッドアーキテクチャで性能が大きく向上

CPUはCore i7-13700H(CPU-Zの表示)

 このように、製品としてのコンセプトや外形には関してはほぼ差がないと言って良い。では何が新しい製品なのかと言えば、中身だ。具体的にはCPUとGPUがガラッと変わっている。

 CPUは初代に搭載されていた第11世代Coreから最新の第13世代Coreへと強化され、CPUの性能が大きく向上している。また、Surface Laptop Studioを特徴付けているdGPUも強化。従来のGeForce RTX 30 Laptopシリーズ(Ampere世代)からGeForce RTX 40 Laptopシリーズ(Ada Lovelace世代)に変更され、性能が大きく向上している。

 CPUは1月にIntelから発表されたノートPC向けの第13世代Coreを採用している。ノートPC向け第13世代Coreには、HX(TDP 55W)、H(TDP 45W)、P(TDP 28W)、U(TDP 15W)の4つのシリーズが用意されているが、今回のSurface Laptop Studio 2に採用されているのは、HシリーズのCore i7-13700Hになる。

 Hシリーズはもともと薄型のゲーミングノートPCなどを意識して設計されたCPUで、Surface Laptop Studio 2のようなクリエイター向けPCでも多く採用されている製品となる。

【表2】Core i7-11370HとCore i7-13700Hの比較
Core i7-13700HCore i7-11370H
世代第13世代第11世代
開発コードネームRaptor LakeーHTiger Lake-H35
CPUコア・アーキテクチャ名Raptor Cove(Pコア)
Gracemont(Eコア)
Willow Cove
CPUコア数/スレッド6コア(Pコア)+8コア(Eコア)/20スレッド4コア/8スレッド
L3キャッシュ24MB12MB
Turbo時最大周波数5GHz3.3GHz
GPUIris XeIris Xe
GPUアーキテクチャXe-LPXe-LP
EU9696
GPU最大周波数1.5GHz1.35GHz
TDP45W35W

 従来のSurface Laptop Studioには、第11世代CoreのCore i7-11370HないしはCore i5-11300Hが採用されていた。このCore i7-11370H /Core i5-11300Hは、H35というシリーズ名で呼ばれるHシリーズだが、こちらはTDPが35Wに設定されていたCPUになる。それに対して第13世代CoreのHシリーズはTDPが10W高い45Wに設定されている。TDPを高く設定すれば、それだけ多くの電力を供給できるので、その分だけでも性能向上を期待できる。

 しかも、第13世代Coreは、第12世代で導入された「パフォーマンス・ハイブリッド・アーキテクチャ」と呼ばれるアーキテクチャを採用している。Pコア(高性能コア)とEコア(高効率コア)という2種類のCPUコアが用意されており、それをうまく活用することで性能を引き上げている。たとえば、OSやアプリの起動のようなレイテンシが重視されるような処理はPコアで、エンコードのように並列実行性が重視される処理はEコアでと、それぞれに得意な処理を割り当てて動作させることが可能だ。

 今回のCore i7-13700Hでは、Pコアが6コア、Eコアが8コアになっており、Core i7-11370H(Pコア相当が4コア)と比較してPコアが2コア増え、Eコアが8コア増えていることになる。また、Turbo Boost時の最大クロックがPコアは5GHz、Eコアは3.7GHzとなっているほか、L3キャッシュは24MBで第11世代に比べると実に2倍に増えている。

Wi-Fi 6Eに対応している

 なお、最新CPUになったこともあり、Wi-Fiモジュールも最新の「Intel AX210」に進化しており、新しくWi-Fi 6Eに対応している(従来モデルはWi-Fi 6まで)。それにより、6GHzのアクセスポイントに接続できるようになっている。実際に、6GHzのアクセスポイントに接続してみたが、2.4Gbpsで接続していることが確認できた。

GeForce RTX 40シリーズないしはRTX 2000 Adaから選択できるdGPU

GPUはGeForce RTX 4060 Laptop GPU(GDDR6 8GB)

 dGPUに関しては、モデルによって異なっている。dGPU非搭載、GeForce RTX 4050 Laptop GPU(GDDR6 6GB)、GeForce RTX 4060 Laptop GPU(GDDR6 8GB)、RTX 2000 Ada Laptop(GDDR6 8GB)という4つの選択肢がある。なお、SurfaceシリーズはCTOモデルがないので、購入するモデルで搭載されるdGPUは変わってくる。

 いずれもNVIDIAのAda Lovalaceアーキテクチャに基づいているGPUで、ダイそのものはAD107と呼ばれるものを採用している。

【表3】Surface Laptop Studio 2に搭載されているGPU
モデルZRF-00018YZY-00018/Z1I-00018Z2D-00018Z1S-00018
iGPUIntel Iris XeIntel Iris XeIntel Iris XeIntel Iris Xe
dGPU-GeForce RTX 4050 LaptopGeForce RTX 4060 LaptopRTX 2000 Ada Laptop
dGPUダイコードネーム-AD107AD107AD107
SM数-202424
CUDAコア数-2,5603,0723,072
ブーストクロック(NVIDIA公表))-1,605~2,370MHz1,470~2,370MHz-
GPUサブシステム電力(NVIDIA公表))-35~115W35~115W35~140W
サブシステム電力設定(Microsoft公表)-80W80W非公表
dGPUメモリ-GDDR6 6GB、128bit幅GDDR6 8GB、128bit幅GDDR6 8GB、128bit幅

 同じAD107のダイに基づくGeForce RTX 4060 LaptopとGeForce RTX 4050 Laptopだが、内部エンジンになるSMやCUDAコアの数が異なる。RTX 4060は24SM/3,072CUDAコアだが、RTX 4050は20SM/2,560CUDAコアという構成になっている。これは半導体メーカーがよく使う手法で、内部エンジンのいくつかを無効にすることで歩留まり(良品率)を上げている。そのため、RTX 4060はAD107のフルスペックだが、RTX 4050は4つのSM(1つのSMあたり128CUDAコアを内蔵)を無効にすることで、廉価版としているのだ。

 なお、ノートPC向けのGPUは、PCを設計するメーカーが、TDP(NVIDIAが言うところのサブシステム電力)の枠を決定するのが一般的だ。たとえば、GeForce RTX 4060 Laptopでは35~115Wの間でTDPを可変できるような仕様になっており、PCメーカーが採用するシャシーが許容できる排熱性能に応じてTDPを設定する。Microsoftはそのスペック表の中で、GeForce RTX 4060 Laptopも、GeForce RTX 4050 Laptopも80Wと公表しており、これはノートPCのdGPUのTDP設定としては高めだ。

 既に述べた通り、CPUだけでもTDPが10W分上がっており、dGPUでも80Wという設定で高めの設定になっていることから、おそらくシステム内部での消費電力は増え、かつ排熱できる熱設計の性能も向上していると考えられる。その証拠に、添付されているACアダプタの供給電力は、従来の105Wから増えて127Wになっている。これはシステムがピーク時に消費する電力が増えているからだろう。

 また、Surface Laptop Studio 2は同じdGPUありモデル同士で従来と比較すると、約160g重量が増えている。その要因は増えた熱量を放熱するための放熱機構にあると考えられ、それを見ても今回のSurface Laptop Studio 2がとにかく性能重視の設計であることが見てとれる。

付属のACアダプタは127Wとやや供給できる電力が増えている
ACアダプタの重量は448gとやや重め、電力量を考えれば致し方がない
本体の重要は1.97kgと決して軽量ではない

 なお、Z1S-00018というモデルでは、GeForce RTX 4060 Laptopと全く同じチップで、ほぼ同じスペックのRTX 2000 Ada Laptopを採用している。内部エンジン数などもほぼ同じで、サブシステム電力設定は発表されていないが、同じシャシーである以上こちらも80Wである可能性が高く、おそらく性能はさほど変わらないだろう。

 GeForce系との大きな違いはいわゆるISV(独立系ソフトウェアベンダ)認証と呼ばれるCADやCAM、シミュレーションソフトウェアなどの認証がとられていることだ。そうしたプロ向けのソフトウェアを提供するISVは、ISV認証があるGPUでだけ動作を保証している場合があり、そうしたソフトウェアを使うためにSurface Laptop Studio 2を購入するのであれば、RTX 2000 Ada Laptop搭載モデル一択ということになるだろう。

Intel製NPUで「Windows Studio Effect」によるカメラ効果も使えるように

タスクマネージャーからNPUとして認識されていることが分かる

 ここまでCPUとdGPUの強化について触れてきたが、Surface Laptop Studio 2ではもう1つの新しいプロセッサが搭載されている。それがNPU(Neural Processing Unit)だ。

 Surface Laptop Studio 2に搭載されているNPUは、Intelの開発コードネーム「Keem Bay」で知られる「Movidius 3700VC VPU」になる。Movidius 3700VC VPUは複数あるKeem Bayベースの製品の中で最上位の製品で、CPUやGPUなどに比べれば圧倒的に低い数Wの消費電力で、AI推論処理が可能になる。

 このMovidius 3700VC VPUは、Intelが次世代のクライアントPC向けSoCとして12月14日に発表する予定のインテルCore Ultraプロセッサー(以下Core Ultra、開発コードネームMeteor Lake)に内蔵されるNPUの、1つの前の世代のアーキテクチャとなっている。つまり、Movidius 3700VC VPUを発展させて、NPUとして利用可能にしたものが、Core UltraのNPUなのだ。

 Movidius 3700VC VPUの存在はWindowsのタスクマネージャーに「NPU 0」として表示されている。この振る舞いはCore UltraのNPUと同じだ。大きな違いは、Core UltraのNPUはDirectX経由でGPUやNPUを利用する仕組みである「DirectML」に対応する計画であるのに対して、Movidius 3700VC VPUは今の所は「Windows Studio Effect」と呼ばれる前面カメラのエフェクトを実現する機能のみで利用可能な点にある。

 つまり、近い将来にCore UltraのNPUでStable Diffusionで画像生成などが可能になるのに対して、Movidius 3700VC VPUではそうした使い方が現時点で想定されていないことになる(もちろん将来ドライバのアップデートなどで対応される可能性はないとは言えないが……)。

Windows Studio Effectを何もかけていない状態
自動フレーミング機能をオンにした状態
背景ぼかしのうち標準ぼかし(ぼかしを強くした状態)を有効にした状態、こうした機能をCPUに負荷をかけずにできるのがWindows Studio Effectのメリット
背景ぼかしのうち自分背景用ぼかし(やや弱めのぼかし)を有効にした状態

 なお、Surfaceシリーズにおいて「Windows Studio Effect」が利用できるようになったのは、Arm版のCPUを搭載した「Surface Pro 9 with 5G」だけで、QualcommのSnapdragonのNPUを利用してこれが実現可能になっていた。その意味では、x86プロセッサの環境でもWindows Studio Effectが利用できるようになったこと、それがMovidius 3700VC VPUの意味と言えるだろう。

 なお、Surface Laptop Studio 2の「Windows Studio Effect」はカメラ画像に対する効果のみで、音声には対応していないところがSurface Pro 9 with 5Gとの違いになる。

ベンチマークテストではMicrosoftの謳い文句通り、CPUもGPUも2倍の性能を発揮する

 このように、Surface Laptop Studio 2ではCPU、GPU、そしてWindows Studio Effectに用途は限定されているもののNPUも追加され、性能が大きく向上したことが最大の特徴になる。実際、MicrosoftはSurface Laptop Studio 2の売り文句として「第13世代Coreと最新のNVIDIA Laptop GPU により、パワーが2倍以上増加し、グラフィックス・パフォーマンスが最大2倍向上する」と説明しており、CPUもGPUも2倍の性能になっていると強調している。それが本当にそうなのかをベンチマークプログラムで確認していきたい。

 なお比較対象としては、初代のSurface Laptop Studioのレビューで紹介したスコアを用意した。OSのバージョンやドライバのバージョンなどに違いがあるため、厳密な比較ではないが、大まかな傾向は変わらないと考えられる。ただし、細かな差異などは当然あると考えられるので、そのことはお断りしておく。

Cinebench R23

 CPUの生の性能をシンプルに確認できる「Cinebench R23」の結果を見ると、Microsoftが言っているCPUもGPUも2倍という謳い文句のうち、CPUが2倍というのはその通りだということが分かる。シングルスレッドの性能も20%向上しているが、圧倒的なのはマルチスレッドの結果で、2.17倍になっている。Pコアが4から6になって2つ、Eコアは0から8になって8つ増えていることになり、その効果が発揮されているということができるだろう。

GFXBench R5

 同じくGPUのベンチマークとしてシンプルなテストになるGFXBench R5のスコアも同様だ。1440p Aztec Ruins(High Teir)Offscreen(DirectX 11)で約2倍、1080p Aztec Ruins(Normal Teir)Offscreen(DirectX 11)で約1.93倍、1080p Manhattan Offscreen(DirectX 11)で約1.94倍という結果になっており、1.9~2倍の性能を実現していることが分かる。

3DMark

 同じくGPUのベンチマークとなる3DMarkでもDirectX 12のテストになるTimeSpyは約1.86倍、DirectX 11のテストになるFireStrikeでは約2.12倍となっており、GPUの性能が倍になっているというのは誇張表現ではないことが分かる。

 このように、CPUもGPUも性能が2倍になっているというMicrosoftの説明は、きちんと数字に裏付けされた表現だということがこうしたベンチマーク結果から分かるだろう。性能2倍の謳い文句は本当だったのだ。

外見は変わらないが中身は完全に別物。タイムイズマネーのクリエイターやビジネスパーソンにお勧め

Surface Laptop Studio 2

 以上のように、Surface Laptop Studio 2は、基本的にはキープコンセプトの製品で、その使い勝手はNPUを搭載したことでWindows Studio Effectの機能が使えるようになったことを除けば、基本的には変わらないものになっている。しかし、PCにとって最も大事なことである「パフォーマンス」は、CPUもGPUも強化し、Microsoftの謳い文句通り2倍の性能を実現しているのはベンチマーク結果からも分かる通りだ。

 性能が向上すると何がいいのかと言えば、それはシンプルに生産性向上だ。たとえば、動画を編集するクリエイターにとって、当たり前だがその売り上げの源泉は動画を作成することだ。同じ1日作業するとして、性能が2倍になるということは、同じ作業をPCにさせたら2倍高速に処理できるということで、動画のエンコードをさせることが多い動画クリエイターなら、より高品質な動画を半分の時間で作成する事ができるという計算になる。もちろん実際にはそういう単純な計算にはならないが、だが生産性が向上するというのはそういうことだ。

 また、ビジネスパーソンであれば、同じPowerPointの資料を作るにしても、画像や動画の処理の時間が短くなることを意味する。その短くなった時間で、別のPowerPointの資料を作ったり、Web会議に参加したりすればより多くの成果を得られる。

 そうした「タイムイズマネー」の世界で競争しているクリエイターやビジネスパーソンにとって、CPUやGPUの性能が2倍になったSurface Laptop Studio 2を選択する意味はまさに「生産性の向上」にあると思う。その結果売上が増えたり、競合との競争に勝ったりすれば、その投資はすぐにとり返すことが可能になるのは筆者が強調するまでもないだろう。

【票4】Surface Laptop Studio 2の価格(一般消費者向けモデル)
ZRF-00018YZY-00018Z1I-00018Z2D-00018Z1S-00018
CPUCore i7-13700HCore i7-13700HCore i7-13700HCore i7-13700HCore i7-13700H
dGPU-GeForce RTX 4050 Laptop GPU(GDDR6 6GB)GeForce RTX 4050 Laptop GPU(GDDR6 6GB)GeForce RTX 4060 Laptop GPU(GDDR6 8GB)RTX 2000 Ada Laptop(GDDR6 8GB)
メモリ16GB16GB32GB64GB32GB
ストレージ512GB512GB1TB1TB1TB
価格33万6,380円39万7,980円45万9,580円53万6,580円58万2,780円

 価格は表4の通りで決して安いとは言えないことは事実だが、そのようにPCを生産性向上に使っているユーザーや、とにかく高性能でかつスタイリッシュなノートPCを探しているユーザーにとって、Surface Laptop Studio 2は十分検討してみる価値がある製品だと言えると思う。

ブラッシュアップされたSurface Laptop Go 3と性能2倍のSurface Laptop Studio 2を最速で動画レビュー!