インプレスeスポーツ部女子レトロゲーム班

刑事 黒田瑞貴、11時間の死闘の末に「道化師殺人事件」を解明!

 こんにちわ黒田瑞貴です! 前回大苦戦を強いられた道化師殺人事件。11時間に及ぶ死闘の末、ようやく決着がついたのでここに筆者の死闘の数々、大どんでん返しの物語について書いていきたいと思います!

 ちなみに前回の記事はこちら。

レトロゲームは、ビジネス向けのPCでもさくさく動くということで、この連載ではマウスコンピューターさんの「mouse B5-i5」を利用していきます。おもな仕様は、Core i5-1035G1、メモリ8GB、SSD 256GB、フルHD液晶を搭載しています。レトロゲームをプレイするさいの参考にしてください

見えない道の存在を知る

 まず初めに知ってほしいのが、このゲームには見えないマップ(道)が存在するということ。これにかなり苦しめられた……。

 最近のゲームではそもそも全体マップがゲーム上にあり、PCなら「Tab」か「M」を押せば、いつでもマップ拡大やマップ詳細を表示できるものが大抵だと思う。筆者ももろにその仕様で育ってきた。そのため見えない道の存在に何時間も気がつけなかった。

 一度見えないマップを発見してからは、すべての道を疑った。見えるものだけがすべてじゃない。もっと大切なものって意外と近くにあるんだよ……。そんなことを教えてくれた気がする(白目)。

 冗談はさておき、この記事を読んでくれてる皆のために、筆者が“見えない道”を記したメモがあるので、ぜひ参考にしてほしい。

筆者手書きのマップ

 お分かり頂けただろうか。そう、筆者、絵が絶望的なのである。自覚はあるので見逃して頂きたい。このマップ、きっとどの攻略サイトにもないだろう……。それくらいわかりやすくしてある。そこを何とか評価してほしい。

 ピンクの道が筆者の言う、“見えない道”である。そして黄色の部分がその先に広がっている家や重要人物である。見えない道の前でコマンド「2」を入力することで進むことができる。これで事件解決まで駆け足で進めることだろう。

改めてゲームの概要

 そして本題のストーリー。これが大どんでん返しで、なかなか癖があって面白かった(ここからネタバレ含みます)。タイトルにもある通り、これは道化師殺人事件。ある日巡業に来ていたサーカス団のピエロが何者かによって殺害された。そこで刑事であるプレイヤーが呼ばれ、ゲームはスタートする。

 おもな登場人物の紹介をしていきたいと思う。

サーカス団団長のデュイ・ゼフール(1人だけ良いホテル住まい)
奇術師のマーカス・ビグリィ(良い人)
猛獣使いのハワード・フィルビー(ちょい嫌な奴)
道化師のマルタン・ルドック(まじで嫌な奴)
ブランコ乗りの兄妹の兄のジョセフ・マッコーラン(行方不明)
妹のメリー・マッコーラン(花瓶割ると怒る)

 そして殺された道化師シャルル・デュボワ。

 容疑者は6人……。ほかにも気になる登場人物は沢山いるが、今回は割愛する。

 まず捜査と言えば、現場検証がセオリー。死体があったシャワー室を確認。しかしなにもないのだ……。血痕もダイイングメッセージも……。実際の事件ではダイイングメッセージはないって、警察24時でやっていたので、きっとその辺も踏まえて忠実に作られているんだな……。さすがだ。

死体発見現場のシャワー室

 次に被害者の部屋に行ってみた。綺麗好きだったのだろう、整理整頓されている。ゴソゴソ物色していくと、枕の下からノートが出てきた。ノートは貸付帳だった。

 被害者シャルル、まさかの高利貸しだったのだ。利息は闇金ウ○ジマクンよりは軽めだが、サーカス団員のほぼ全員にツケがある。借り入れが多い人で日本円で300万円もだ。そりゃみんなから嫌われるよ……。

 そんなことよりこのサーカス団大丈夫なのか? 団長までが結構な金額を借り入れてるって……。

被害者シャルルはサーカス団のメンバーにお金を相当貸していた

 これが理由で被害者シャルルは殺されることになった。誰一人悲しまない。当然だと皆が口をそろえた。この時点でもう全員怪しい。全然容疑者絞れない。

 街に出ると有力な情報を医者のロナルドから聞き出せた。なんと被害者は末期がんだったと言うのだ。余命も半年……。

 それを容疑者1人1人に伝えていく。容疑者たちが驚くなかで、1人だけ証拠を集めていくと証言を覆してきた者がいた。道化師マルタン・ルドックだ。彼は被害者シャルルが末期がんで、もうなにもかも嫌になり自殺しようとしていたのを知っていた、と言う。だから今回の事件は他殺ではなく、自殺なのだと。

 いやそんな大事なこと最初に言え! ここにたどり着くまで9時間かかってんだぞ!

証拠品の血のついた金てこで、家具を動かす

 そんななか、事件はどんどん動いていく。廃墟に入ると、ブランコ乗りの兄ジョセフ・マッコーランが死んでいたのだ。

 え……まさかのここで被害者が増える……。これ以上仕事増やさないでと思ったが、顔には出さずに、手を合わせた。10時間刑事をやってると、そこそこ刑事らしくなってきている。

新たな被害者に手を合わせる筆者

 近くに凶器に使われたと思われる、血のついた金てこが置いてあった。証拠品だ、とりあえず拾う。そしてこれをサーカスのテントに持って帰り、どかせなかった家具を動かすことができた。

 もう一度言おう、証拠品の血のついた金てこで、家具を動かした。この辺で、このゲームの倫理観どうなってる? と他の疑問が湧いてくるが、気にせずに先に進もう。

証拠品の血のついた金てこで、家具を動かした

 街の住人に協力してもらいながら捜査を続けていくうちに、なんと末期がん患者は被害者ではなく、容疑者のマルタンルドックだったことが判明した。先ほど言っていた、被害者ががんで自殺は嘘だったのだ。これを証拠と共に容疑者マルタンル・ドック本人に伝え、本人が自供。物語は終わりを告げる。

衝撃の結末

 エンドロールのスタッフ紹介が流れ始めるのだが、街の医者ロナルド、奇術師のマーカス・ビグリィ、ブランコ乗りのメリー・マッコーランの3人が話している。

 その話の内容が衝撃だった。少し私の考察も含め説明すると、マーカスビグリィの父はこのサーカスの創設者だった。貧しかった仲間を集めて何とか食えるように、みんなで頑張ってきたのだ。サーカスが軌道に乗り始めて間もなく、戦争がはじまった。終戦を迎えサーカスに帰ると、もうそこには誰もいなかった。団員に裏切られ創設者だったはずの自分抜きで、他のサーカス団になっていたのだ。もちろん就職もできず、貧しさと孤独をかかえたままマーカスの父は他界した。今回の事件は、恩を忘れ父の事を蔑ろにしたサーカスへの復讐なのだと。

 この3人が共謀し犯人マルタンルドックに、嘘の診察で末期がんだと告げ、やけくそになった彼に被害者を殺させた。サーカスが滅茶苦茶になれば良かったのだ。

 ざっくりと道化師殺人事件の真のストーリーはこんな感じだった。もっと複雑でこじれているのだが、全部書いていくと文字数ry…。になりかねるので、もっと細かく知りたい人はぜひゲームをプレイしてほしい。

最後のどんでん返し

キレそうになりつつも、レトロゲームの良さを実感

 終わってみるとなんと11時間……。長かった……。

 凶器に使われた血のついた金てこで家具どかすのに、花瓶割ったら怒られて追い出されたり、いろいろな場面で自分の倫理観ぐちゃぐちゃにしてくる感じ……。ストーリーがツッコミどころが多くてシンプルに面白い。

 コマンド入力を今回のゲームで初めて経験したが、

「キ ノボル」というと、「登れないくせに(笑)」。

「ドア コワス」というと「刑事があるまじき行為です!!」

と、このゲームと会話している感覚になる。文がすでにできているものを選ぶ、選択式のギャルゲーとはわけが違う。本当に自分の言葉で会話してる感覚。といってもよく考えればカタカナで、普段使わない言葉使いなのに、不思議である。

 そしてはじめの頃といまではタイピングのスピードが明らかに違う。もともとタイピングはちょっと早めくらいの筆者だが、1.25倍くらいにはなってる。終盤には、システムが追いつかない速度で先行入力ができるようになっていた。偶然の産物である。私のなかでタイピング早くなりたい人にもおススメなゲームになった。

 こんな感じで筆者の初レトロゲームは幕を閉じた。スタートから11時間。「レトロゲームって鬼畜なんでしょ」とイメージだけ先行してたが、ゲーマーにはすごく丁度いい塩梅なのではないだろうか。何度かキレそうにもなったが、長年のゲームで培った精神力で台パンは避けられたので、自分を褒め殺したい。キレそうになるくらい、入り込めるゲームなのだ。ドット絵なのに、全然親切じゃないのに……。だから自分の力で、発想でカバーしていく。これがレトロゲームの良さなのだろう。

 もし飛行機で殺人事件が起こり、「このなかに刑事さんはいらっしゃいますか?」と言われたら、真っ先に「道化師殺人事件をクリアしています」と答えたいと思う。

 ご清覧ありがとうございました!

インプレスeスポーツ部女子レトロゲーム攻略班『道化師殺人事件』第3話