西川和久の不定期コラム

KOUZIRO「FT103」
~21.5型フルHDの“据置型”Android 4.0タブレット



 株式会社KOUZIROは7月10日、21.5型フルHD解像度のタッチパネルを搭載した、“据置型”のちょっと風変わりなAndroidタブレットを発表。筆者も気になっていた1台だ。実機が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けする。


●フルHDの据置型タブレット

 Androidを搭載したスマートフォンやタブレットはいろいろあるが、今回ご紹介するKOUZIRO「FT103」は、液晶ディスプレイのようなルックスをしている風変わりなAndroid機だ。Androidのバージョンは4.0.4。既に4.1がリリースされているものの、4.0系では最新版となる。

 特徴は冒頭で書いた通りに、ディスプレイは赤外線方式のタッチパネル付の21.5型ワイド光沢液晶。解像度はフルHDの1,920×1,080ドット。手に持って使う一般的なタブレットとは異なり、背面のスタンドで卓上に設置する。従ってバッテリは内蔵せず、ACアダプタで使用する。このため画面回転は非対応で、横表示のみとなる。

 液晶自体の性能は、輝度250cd/平方m、上下の視野角160度、左右の視野角170度、コントラスト比1,000:1、反応速度5ms。またMicro HDMI入力端子もあり、Androidと外部入力を切替えて使用可能だ。出力1W+1Wのステレオスピーカーを内蔵し、HDMI入力から液晶としても利用できる。

 プロセッサはTexas Instrumentsの「OMAP 4428」。2コアでクロック1GHz。メモリは1GB。ストレージは8GB。どちらも増設できないが、ストレージに関しては、microSD/SDHCに対応したカードリーダがあり、それぞれ最大2GB/32GBとなる。

【表】KOUZIRO「FT103」の仕様
CPUTexas Instruments OMAP 4428
(2コア/1GHz)
メモリ1GB
ストレージ8GB
OSAndroid 4.0.4
ディスプレイタッチパネル付21.5型ワイドTFT光沢液晶、
フルHD/1,920×1,080ドット
ネットワークEthernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1+EDR
その他USB 2.0×2(ホスト)、Micro USB、
カードリーダ(microSD/SDHC)、Micro HDMI入力、
ヘッドフォン出力、120万画素Webカメラ、
ステレオスピーカ1W+1W、マイク
電源ACアダプタ(19V/2.1A)
サイズ512.8×353×24.8mm
(幅×高さ×奥行き)
重量約5.0kg
価格34,800円

 ネットワークはAndroid機としては珍しくEthernetにも対応。IEEE 802.11b/g/nとBluetooth 2.1+EDRも内蔵している。

 その他のインターフェイスは、USB 2.0×2(ホスト)、Micro USB、ヘッドフォン出力、120万画素Webカメラ、マイクとなる。ディスプレイ出力は無いものの、ほぼ全部入りの構成だ。

 ホストに対応したUSB 2.0があるので、キーボードやマウス、USBストレージなどを接続できる。特にマウスを接続した時には普通にマウスカーソルが表示され、Windowsマシンのように操作可能だ。この点はポインティングデバイス非対応のiOSとは大きく使用感は異なる。

 サイズは512.8×353×24.8mm(幅×高さ×奥行き)、重量は約5kg。何も知らなければ普通の21.5型液晶ディスプレイに見えるだろう(同社ではSmartDisplayと呼んでいる)。価格は34,800円。10型前後のAndroidタブレットと比較すると(用途も違うだろうが)お買い得だと思われる。

液晶は結構明るく、コントラストも高い。発色も割りと正確だ。上中央にWebカメラ、右下に電源スイッチ、下の左右にスピーカーがある左側面。下にMicro USBとヘッドフォン出力右側面。下にUSB 2.0×2(ホスト)
背面スタンドの裏にパネルがあり、それを外すと各コネクタが現れるパネルを外したところ。一見何も無さそうだが、よく見ると……コネクタ左側。Ethernet、電源入力
コネクタ右側。Micro HDMI入力、カードリーダ(microSD/SDHC)を搭載付属品。ACアダプタのコネクタはミッキータイプ。割と小型だOSD。音量、ブライトネス、コントラスト、SRS ON/OFF、入力切替などが用意されている

 電源をONにした後のOS起動は約35秒かかる。ただしいったん起動すると、電源スイッチはスタンバイ/復帰として機能し、この時LEDはオレンジ/グリーンに点灯する。また長押しするとシャットダウンを選択できる(Micro HDMI入力使用時は、OSDの表示)。このあたりはAndroidらしい使い方である。

 OSDは、音量、ブライトネス、コントラスト、SRS ON/OFF、入力切替に対応。ブライトネスを最大にすると結構明るい。発色もわりと正確だ。視野角もそれなりに広い。写真にしても動画にしても楽しめる。

 サウンドは、残念ながら音量を最大近くにすると音割れが発生する。SRSはONにすると音が広がる感じだ。試用したところ、マスターボリュームに関してはこのOSDにしか無く、音量調整が少し不便だった。できれば側面などに物理的なボリュームなどが欲しいところか。

 これだけのサイズでAndroidを触ったのは初めてだったが、タッチパネルの感度も良く、思っていた以上に快適に操作可能。動画を掲載したので参考にして欲しい。

 先に書いたように、USBマウス/キーボードを接続するとWindowsマシンのように普通に使える。ホイールにも対応しており、Webブラウザの上下スクロールはもちろん、ホーム画面も左右スクロールもホイールだけOK。タッチパネルを多用すると指紋が付くので、筆者としてはこちらで操作したいところ。

 プロセッサがOMAP 4428、そしてゼロスピンドルと言うこともあり、ノイズや振動は皆無。発熱に関しても、若干液晶パネルが熱を持つものの、無視できる範囲。付属のACアダプタの出力が19V/2.1Aからもわかるように、消費電力も少なく省エネマシンだ。

【動画】割とサクサク動く。21.5型フルHDと、ちょっと他のタブレットでは味わえない迫力だ

●Playストアに対応し好みのカスタマイズが可能

 起動直後のホームスクリーンは、1枚目と5枚目は何も無く、2枚目に「無線関連のON/OFFウィジェット」、3枚目に「カメラ」と「Playストア」、4枚目に「ギャラリー」と「設定」……と、Android 4.0デフォルトの設定でかなりシンプル。目的のアプリやウィジェットを全て自分で設定することになる。

 一般的なAndroidタブレットで見かけないアイコンが左下一番右にある「OSD」。これは先に説明したOSD画面の表示ボタンになっている。

 標準搭載のアプリは、「Blogger」、「Chrome」、「Earth」、「Gmail」、「Google+」、「Kingsoft Office」(7日間試用版)、「Latitude」、「Movie Studio」、「orkut」、「Playムービー」、「PostCalibration」、「YouTube」、「カメラ」、「カレンダー」、「カレント」、「ギャラリー」、「システムアップデート」、「ダウンロード」、「トーク」、「ドライブ」、「ニュースと天気」、「ブラウザ」、「マップ」、「メール」、「メッセンジャー」、「ユーザー」、「ローカル」、「音楽」、「音声レコーダー」、「検索」、「時計」、「設定」、「電卓」、「翻訳」。割と素のAndroid 4.0系に近い。

 マーケットに関しては「Playストア」と「Tapnow Market」に対応。好きなだけアプリをダウンロードできる。

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徹“底や“今”が中国系のフォントのままだ8GB中残り5.24GBUSBポートへキーボードとマウス接続

 8GBあるストレージは初期起動時の空きが約5.24GB。アプリだけならまずまずの容量で、データに関してはクラウドやmicroSD/SDHCへ逃がせば、容量不足にはならないだろう。

 フルHDの解像度はメリットとデメリットがあり、メリットとしては、Google Mapなど、もともとデータがスケーリングするものを扱う場合は、その解像度を活用できる。もちろん写真や動画も解像度が伴えば大迫力となる。

 デメリットとしては、Webブラウザなど、画面をフルHDへアップスケーリングするため(通常Webサイトは幅1,024ドット程度のものが多い)、フォントは問題無いものの、画像は多くの場合、拡大表示し荒れてしまう。またこの関係と描画エリアが広いためだろうか、表示速度がモトローラXoom(au版4.0.3)より若干遅い。

 気になったのは、画面キャプチャに掲載したWebブラウザからも分かるように、日本語フォントが用意されていないこと。ぜひ改善して欲しい。

 以上のようにKOUZIRO「FT103」は、据置型のAndroidタブレットだ。USBマウスとキーボードを付けるとほとんどタッチパネルを使用せずに操作でき、PC感覚で扱える。ネットや写真、動画中心の用途なら十分楽しめるだろう。更に21.5型フルHDの液晶パネルでMicro HDMI入力もあるので他の機器を接続可能と2度美味しい。

 Webブラウザで多くの場合、画像が拡大表示され荒れてしまうのは気になるものの、ちょっと変わったAndroid機に興味のある人へお勧めできる。また、民生用だけでなく、産業用途でも使い道がありそうな製品だ。