西川和久の不定期コラム

クリエイティブメディア「Sound BlasterAxx/SBX 20」
~Bluetooth搭載、スピーカー/マイク一体型USBオーディオ



 スピーカーとマイクが一体化した、クリエイティブメディア製USBオーディオ「Sound BlasterAxx/SBX 20」が編集部から送られて来た。SBX 8/SBX 10/SBX 20と3タイプある中のフラッグシップモデルだ。早速試用レポートをお届けする。

●独自のSB-Axx1プロセッサ搭載

 この「Sound BlasterAxx」シリーズには3タイプあり、サイズや機能が異なる。写真からも分かるように特徴的な六角柱の形状をしており、内部にスピーカーが縦にスタックする構造で埋め込まれている(L用R用が縦に積まれ、それぞれ左右へ角度が付いている)。

 一般的なUSBスピーカーと大きく違う点は、独自の「SB-Axx1」プロセッサを搭載し、ダイナミックレンジを拡張する「SBX Crystalizer」、バーチャルサラウンド「SBX Surround」、急激な音量の変化を抑える「SBX Smart Volume」、映画などの音声をクリアにする「SBX Dialog Plus」、低音を強調する「SBX Bass」などのサウンドコントロールが可能なことだ。

 SBX 10とSBX 20に関しては、Bluetoothを搭載し、A2DP(Wireless Stereo Bluetooth)/HFP(ハンズフリープロトコル)/AVRCP(AVリモートコントロールプロトコル)に対応。別売りのUSB ACアダプタを使用することにより単独作動にも対応する。

 SBX 8、SBX 10、SBX 20の主な違いは、内蔵マイクとアンプのスペック(加えてサイズと価格)で、順に高品質マイク/クラスDアンプ(64.4×57×166.1mm(幅×奥行き×高さ)/9,800円前後)、ハイクオリティデュアルマイクアレイ/クラスDアンプ(90.6×80.3×295.7mm(同)/14,800円前後)、ハイクオリティデュアルマイクアレイ/プレミアムHiWaveアンプ(+スピーカーの大型化)(109.8×97×400.2mm(同)/19,800円前後)となる。今回届いたフラッグシップモデルのSBX 20の主な仕様は以下の通りだ。

【Sound BlasterAxx/SBX 20の仕様】
外形寸法約109.8×97×400.2mm(幅×奥行き×高さ/ベーススタンド含まず)
重量約1.9kg
インターフェイスUSB 2.0、Bluetoothワイヤレス
BluetoothバージョンBluetooth 2.1+EDR
BluetoothプロファイルA2DP(Wireless Stereo Bluetooth)、AVRCP(Bluetooth Remove Control)、HFP(Hands-free Profile)
オーディオコーデックAAC、SBC
通信距離約10m(見通し距離)
内蔵マイク無指向性アレイマイク
端子AUX入力/マイク入力端子(3.5mmミニステレオ)、ヘッドフォン出力端子(3.5mmミニステレオ)、Micro USB端子※マイク入力はエレクトレットコンデンサーマイクのみ利用可能、またPCやMac非接続時にはAUXのみ利用可能
対応OSWindows 7/Windows Vista、Mac OS X 10.5以上、iOS 5以上、Android 2.2以上

 本体はiPhone 4と比較していた公式写真からイメージしていたサイズより大きい。リアパネルに入力系は、AUX入力/外部マイク入力端子(3.5mmミニステレオ)。出力系は、ヘッドフォン出力端子(3.5mmミニステレオ)。そしてMicro USB端子がある。

 上部にはタッチ式の各種ボタン、そして中央にはボリュームコントロールが配置されている。実際使った感じは、反応も良く、分かりやすいが、輝度はあまり明るくない。

 対応OSは、USBオーディオとして使用する時は、Windows 7/Windows Vista、Mac OS X 10.5以上。USB ACアダプタ利用時はBluetooth接続で、iOS 5以上、Android 2.2以上の端末でも利用できる。

 多機能だが、入力ソースに関してはUSB/AUXかBluetoothと限られているので、特に難しい部分は無い。

前面。右にあるのはiPhone 4。六角柱で結構大きい背面。下側に各種コネクタがまとまっている背面コネクタ周辺。Bluetoothのペアリングボタン、AUX/MIC IN、ヘッドフォン出力、Micro USB。上にバスレフポートがある
上部。[Voice Focus]、[ノイズリダクション]、[SBX]、[スピーカーミュート]、[マイクミュート]、[Call/Answer]。中央のバーはボリュームコントロール付属品とオプションの電源。台座とUSBケーブル。手前のUSB ACアダプタはオプションドライバCDなどはパッケージに含まれず、同社のサイトからダウンロードする

 パッケージにはドライバCDなど、コントロールソフトウェアは含まれず、同社のサイトからダウンロードする。今回はMac OS X版を使用した。

 コントロールパネルは、大きく別けて、スピーカー、マイク、ミキサー、高度な設定と4タイプに別れている。

 スピーカーの設定はジャンルで、ミュージック/ムービー/ゲーム、そして各ジャンルでプリセットが4つと、かなり内容が細かい。変化する項目はSurround、Crystalizer、Bass(クロスオーバー周波数)、Smart Volume、Dialog Plus、そしてイコライザー。これらの各パラメータがプリセットの内容に応じて変化する。個人的には[ミュージック/ウォームサウンド]が好みだった。

 パラメータが固定のプリセットだけでなく、[SBX PRO STUDIO]と[イコライザー]で、好みの設定にすることも可能だ。

 マイク設定も、音声通話/Voice Focus/音声認識/Voice FXと4つのプリセットがあり、変化する項目は、FX(ボイスチェンジ)、Smart Volume(音量をノーマライズ)、Noise Reduction(バックグラウンドノイズの低減)、Acoustic Echo Cancellation(エコー低減)、Focus(集音のフォーカス範囲設定)の5つだ。

 ミキサーは、再生系では、スピーカー、マイク/AUX/内蔵マイクアレイのレベルとON/OFF。録音系では、内蔵マイクアレイ/AUX/マイク/再生リダイレクトのレベルとON/OFFが調整できる。

 高度な機能は、USB電力を最適化してスピーカー性能を向上、Bluetoothの自動接続の項目が用意されており、チェックボックスでのON/OFFとなる。

スピーカー設定/ミュージック/SBXデフォルトスピーカー設定/ムービー/ダイナミック ブーストスピーカー設定/ゲーム/シネマティック アクション
スピーカー設定/SBX PRO STUDIOスピーカー設定/スピーカー/ヘッドフォンスピーカー設定/イコライザー
マイク設定/音声通話ミキサー高度な設定

 筐体上部にあるタッチパネルは、[Voice Focus]、[ノイズリダクション]、[SBX]、[スピーカーミュート]、[マイクミュート]、[Call/Answer]の6つのボタンに加え、そして中央のバーはボリュームコントロールとして機能し、非常に分かりやすく、そしてタッチセンサーの感度も良く、快適に操作可能だ。

 サウンドは高域から低域までバランスが良く、最大出力は十分な音量だ。ただし、音質自体は価格相応といった印象を受ける。また、RとLのスピーカーが縦にスタックする構造なので、どうしてもステレオ感は乏しくなる。

 なお、このSBX 20に搭載しているアンプは、他の2機種(クラスDアンプ)とは違い、「プレミアムHiWaveアンプ」を搭載している。同社のサイトには「インテリジェントで効率的な電源供給設計を搭載、パワフルかつエコグリーンで進化したハイクオリティな出力を行なうことができます」と書かれているが、クラスDアンプと回路的にどう違うのかは不明だ。

●USB ACアダプタとの組合せでBluetoothサウンドへ

 さてここまでは、PCもしくはMacとUSBケーブルで接続、バスパワーで駆動するUSBオーディオシステムの話だったが、以降は、USB ACアダプタを使用し、このSBX 20をBluetoothサウンドシステムとして使用する話となる。

 先に書いた通り、SBX 10とSBX 20はBluetoothユニットを内蔵しており、外部から電源供給することにより、単独でも作動可能。この製品のもう1つの使い方だ。

 なお、このUSB ACアダプタの出力は5V/1A。メーカーが保証するわけではないが、基本的に一般的USB電源を使用可能と思われ、筆者がiPhoneとiPadのUSB ACアダプタを使ってみたところ、特に問題無く作動した。

 Bluetoothバージョンは、Bluetooth 2.1+EDR。Bluetoothプロファイルは、A2DP、AVRCP、HFPに対応。従ってBluetoothスピーカーだけでなく、ヘッドセット、そしてコントローラとしても機能する。

 操作に必要な専用アプリの「Creative Central」は、iOS 5以上(iPad/iPhoneユニバーサル)、Android 2.2以上の対応。どちらも無料でダウンロードできる。

Creative Central/Home画面Creative Central/出力先の設定Creative Central/スピーカー設定
Creative Central/マイク設定Creative Central/アラームCreative Central/リソース

 搭載機能は、音量調整、再生/ポーズ、前/次、シャッフル、リピート、マイクON/OFF、Call/Answer、Voice Focus、ノイズリダクションON/OFF、SBX ON/OFF、SBX スピーカー設定/マイク設定、アラーム、リソースなどで、ミックス以外はほぼすべてPC版と同様のコントロールが可能となっている。

 実際使ってみて面白かったのは、iPhoneの楽曲をSBX 20で再生しながら、Creative Centralを使ってサウンドコントロール可能なことだ。独自のSBXに対応しているので、再生している曲のイメージに合わせてプリセットを変更することができる。Bluetoothサウンドシステムとしては十分な性能と言えるだろう。


 以上のようにSound BlasterAxx/SBX 20は、独特な形状がおもしろく、SB-Axx1プロセッサによるさまざまなサウンドコントロール、USB ACアダプタでの単独作動によるBluetoothサウンドにもなるなど、特徴の多いサウンドデバイス。用途や好みで使い分けることが可能だ。

 RとLのスピーカーが縦にスタックする構造で埋め込まれている関係上、ステレオ感は一般のスピーカーと比較して劣るものの、その分設置が一カ所にまとまりスッキリ。リビングなどに置いて、手軽なBGMなどの再生には丁度良いとも言えるだろう。