西川和久の不定期コラム

VRAM 16GBで省スペース、「ZOTAC MAGNUS ONE EU27507TC」はAIとゲームを両立できるか

 この連載ではミニPCをかなりの割合で扱っているが、今回は珍しくそれよりちょっと大きめのPC。加えて、それなりのGPU(GeForce RTX 5070 Ti)を搭載……という面白そうな製品「ZOTAC MAGNUS ONE EU27507TC」が編集部から送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

8.48Lの小型な筐体にGeForce RTX 5070 Ti(16GB)を搭載!

 同社のEシリーズは容積2.65LでGeForce RTX 5060 Ti(16GB)搭載モデルと、容積8.48LでGeForce RTX 5070 Ti(16GB)搭載モデルと2種類ある。前者は前者で面白そうなのだが、今回手元に届いたのは後者の「MAGNUS ONE EU27507TC」だ。

 8.48Lと小型な筐体に、デスクトップ向けのCore Ultra 7 265とGeForce RTX 5070 Ti(16GB)を内蔵。ゲーミングはもちろん、AIにも使える強力な1台だ。主な仕様は以下の通り。

ZOTAC「MAGNUS ONE EU27507TC」の仕様
プロセッサCore Ultra 7 265(Pコア 8基, Eコア12基, LPEコアなし/20コア20スレッド、クロック最大 5.3GHz、キャッシュ 30MB、NPU 最大13TOPS)
メモリ16GB(SO-DIMM DDR5)/2スロット(16GB x1搭載済み1つ空き/最大96GB)
ストレージ1TB(M.2 2280/2スロット/内1つNVMe PCIe 5.0×4対応/1つ空き)、2.5型 SATAベイ
OSWindows 11 Home(25H2)
グラフィックスIntel Graphics、GeForce RTX 5070 Ti 16GB/HDMI 2.0、HDMI 2.1b、DisplayPort 2.1b 3基
ネットワークGigabit Ethernet、5Gigabit Ethernet、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4
インターフェイス前面: USB 3.2 Gen 1、USB 3.2 Gen 2 Type-C、3-in-1カードリーダ (UHS-II SD/SDHC/SDXC)、3.5mmジャック
背面: USB 3.2 Gen 2 4基、USB 3.2 Gen 1 2基、Thunderbolt 4
電源650W
サイズ/重量126mm×270.5mm×249mm、5.14kg
価格45万1,000円

 プロセッサはArrow LakeのCore Ultra 7 265。Pコア8基, Eコア12基, LPEコアなしで20コア/20スレッド、クロックは最大5.3GHz、キャッシュ30MB。最大13TOPSのNPUを内包する。

 メモリはSO-DIMM DDR5で16GB 1枚。2スロットで空き1。最大96GB搭載可能だ。手元に届いたのはシングルチャネルなのでベンチマークテスト上は少し不利になる。

 ストレージは1TB M.2 NVMe PCIe 4.0 x4 SSD。2スロットあり空き1。うち1つはNVMe PCIe 5.0 x4対応だ。加えて2.5インチのSATAベイが1つ(空き)あるので、あまり速度を気にせず大容量のデータはこちらに置いた方が効率がいいだろう。

 OSはWindows 11 Home。25H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適用して評価した。ただし初期インストール時にUpdateが始まり、Desktop画面が見えるまで結構時間がかかる(+その後もWindows Updateが必要)。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Graphicsと、GeForce RTX 5070 Ti 16GB。後者はLaptop GPUではなくデスクトップ用。本機最大のウリの部分だ。外部出力用にHDMI 2.0(Intel Graphics)、HDMI 2.1b、DisplayPort 2.1b 3基を装備。最大6画面出力に対応する。

 ネットワークはGigabit Ethernet、5Gigabit Ethernet、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4。5GbE対応が珍しいところか。そのほかのインターフェイスは、前面にUSB 3.2 Gen 1、USB 3.2 Gen 2 Type-C、3-in-1カードリーダ(UHS-II SD/SDHC/SDXC)、3.5mmジャック。背面にUSB 3.2 Gen 2 4基、USB 3.2 Gen 1 2基、Thunderbolt 4、Gigabit Ethernet、5Gigabit Ethernet。Thunderbolt 4があるので、eGPUボックスを付けて、もう1基GPUを接続可能だ。

 サイズは8.48Lの筐体で126mm×270.5mm×249mm。重量5.14kg。650W電源を搭載している。

 価格は手元に届いた16GB/1TBで45万1,000円。また、OSはWindows 11または非搭載、メモリは非搭載/16/32/64/96GB、SSD は非搭載/1TBなどの組み合わせがあり、ベアボーンだと34万6,500円から。価格.comを眺めるとGeForce RTX 5070 Ti 16GB単体で18万円前後。とすると本体だけで約16万円ちょっとだろうか。これが高いか安いかは考え方にもよるかもしれない。

前面。電源ボタン、USB 3.2 Gen 1、USB 3.2 Gen 1 Type-C、3-in-1カードリーダ(下にステータスLED)、3.5mmジャック
背面。USB 3.2 Gen 2 4基、USB 3.2 Gen 1 2基、Gigabit Ethernet、5Gigabit Ethernet、HDMI、Thunderbolt 4。GPU側にDisplayPort 3基とHDMI。上にアンテナ用のコネクタ。上部下側にあるネジ2つ外すとトップ/左右パネルが外れる仕掛け
BIOS / Main。起動時[DEL]キーで表示
BIOS / OC
付属品。電源ケーブル、マニュアル、Wi-Fi用アンテナ
いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続。後ろ側にThunderbolt 4があり、Type-Cケーブル1本で接続可能

 筐体はiPhone 16 Proとの比較からも分かるように、いつものミニPCと比較すれば大きいが、デスクトップPCと考えるとかなり小型だ。ここにGeForce RTX 5070 Tiが入っているというのだから、ちょっと驚きのサイズだ。

 前面は、電源ボタン、USB 3.2 Gen 1、USB 3.2 Gen 1 Type-C、3-in-1カードリーダ(下にステータスLED)、3.5mmジャック。背面にUSB 3.2 Gen 2 4基、USB 3.2 Gen 1 2基、Gigabit Ethernet、5Gigabit Ethernet、HDMI、Thunderbolt 4。GPU側にDisplayPort 3基とHDMI。上にアンテナ用のコネクタを配置。

 Thunderbolt 4があるので、いつものキーボード付きモバイルモニターへはUSB Type-Cケーブル1本で接続できる。付属品は、電源ケーブル、マニュアル、Wi-Fi用アンテナ。BIOSの表示は起動時に[DEL]キー。

 内部へのアクセスは割と簡単で、上部にあるネジ2本を外し、上パネルを後へスライドすれば上パネルが外れる。その後、左右のパネルは凹凸で固定されているだけなので必要に応じて外せば良い。右側にメモリとSSD、左側にGeForce RTX 5070 Tiが入っている。

背面の上部にあるネジ2本を外し、上部パネルを後ろへ押すと外れる。その後、左右のパネルをスライドして(必要に応じて)外す
右側がメモリスロット2基とM.2スロット2基
左側はGeForce RTX 5070 Tiのカードがそのまま入っている。iPhone 16 Proとの比較からも分かるように、構成の割にはかなりコンパクト

 発熱やノイズはさすがにGeForce RTX 5070 Tiがあるため、ミニPCなどとは比較にならないほど発生する。特にGPUが動き出すと強烈にファンの音。とはいえ、これを使う人とは織り込み済みだろうから、そういった意味では問題にならないだろう。

 全体的にとにかくこれだけコンパクトな筐体へ、よくいろいろ詰め込んだな!的な小型PCだ。

性能さすがGeForce RTX 5070 Tiだが、メインメモリ16GBでは不足のシーンも

 初期起動時、インストールされたアプリなどは特になく、Windows 11 Home 25H2の標準状態。主な仕様部分と比較してメモリが16GBとアンバランスだが、もちろんキビキビ動作する。

 1TBのSSDは「AirDisk 1TB」。ここに製品一覧があるのだがシーケンシャルリード/ライトともにCrystalDiskMarkの結果と比較して遅いので、多分別のSKUだと思われる。実測は順に4,956.823MB/s, 4,285.820MB/s出ており結構速い。C:ドライブのみの1パーティションで約952GB割り当てられ空き903GB。

 有線LANはどちらもRealtek製、Wi-FiはIntel Wi-Fi 7 BE200、BluetoothもIntel製だ。タスクマネージャーのGPUにGeForce RTX 5070 Ti(16GB)が見える。

初期起動時のデスクトップ。Windows 11 Home 25H2標準
デバイスマネージャー/主要なデバイス。1TBのSSDは「AirDisk 1TB」。5GbE/GbEはどちらもRealtek製、Wi-FiはIntel Wi-Fi 7 BE200、BluetoothもIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約952GB割り当てられている
タスクマネージャーのGPUにGeForce RTX 5070 Ti(16GB)が見える

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。

 また3DMarkに関しては、GeForce RTX 5070 Tiということもあり、いつもはテストしないSpeed Way、Steel Nomad、Port Royal、Solar Bay、Wild Lifeのスコアも記載した。なお、今回はマザーボード側Thunderbolt 4からモニター出力している関係で、GeForce RTX 5070 Tiから直接出力した時と比べると性能が落ちる(Intel Graphicsにフレームバッファを転送する関係で)。しかし以前のテスト結果と比較しても遜色ないスコアを示しているのも事実だ。

 PCMark 10、3DMarkともにかなりのスコアで、特に3DMarkは普段扱っているミニPCの桁違い的なスコアを叩き出している。GeForce RTX 5070 Ti単体でミニPCを余裕で購入できる価格なので当たり前といえば当たり前の結果となった。

PCMark 10 v2.3.2912
PCMark 10 Score10,693
Essentials11,642
App Start-up Score12,651
Video Conferencing Score8,457
Web Browsing Score14,749
Productivity16,829
Spreadsheets Score24,636
Writing Score11,496
Digital Content Creation16,933
Photo Editing Score24,170
Rendering and Visualization Score24,866
Video Editting Score8,079
3DMark v2.32.8853
Time Spy23,416
Fire Strike Ultra18,019
Fire Strike Extreme32,936
Fire Strike45,388
Sky Diver101,589
Cloud Gate70,362
Ice Storm Extreme266,423
Ice Storm271,196
Speed Way7,416
Steel Nomad6,577
Port Royal18,422
Solar Bay120,907
Wild Life20,053
Cinebench R23
CPU21,160
CPU(Single Core)2,220
CrystalDiskMark 8.0.5
[Read]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  4956.823 MB/s [   4727.2 IOPS] <  1690.59 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  4289.050 MB/s [   4090.4 IOPS] <   244.31 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):  1105.837 MB/s [ 269979.7 IOPS] <   117.35 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):    69.109 MB/s [  16872.3 IOPS] <    59.17 us>

[Write]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  4285.820 MB/s [   4087.3 IOPS] <  1952.99 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  4186.498 MB/s [   3992.6 IOPS] <   250.17 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   899.737 MB/s [ 219662.4 IOPS] <   145.53 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):   239.064 MB/s [  58365.2 IOPS] <    17.03 us>

 せっかくGeForce RTX 5070 Ti搭載なので、ローカルでAIを動作させられるアプリ「LM Studio」を使ってgpt-oss-20bを動かしたところ、95.76tok/s、1st token 0.5sとなかなか高速に動作した。ただし、コンテキスト長最大だとVRAM不足になるため、100,000に設定してテストしている。

LM Studioを使ってgpt-oss-20b。95.76tok/s、1st token 0.5sと高速動作

 続いてComfyUIでZ-Image-Turboの生成速度を測ろうとしたのだが、メインメモリが16GBでは、いくらVRAM 16GBでもまったく足らずスワップが発生し、分単位でも生成できず(Windows自体が固まり出したので途中で止めた)。さすがに生成AIで使うならメインメモリは最低32GBは欲しいところ。


 以上のようにZOTAC MAGNUS ONE EU27507TCは、8.48Lと小さな筐体へCore Ultra 7 265とGeForce RTX 5070 Tiを詰め込んだ強力な小型PCだ。メモリ2枚、M.2 2280 2枚、2.5型SATAベイ、Thunderbolt 4……と、拡張性も結構高く、650W電源も内蔵。ただし、メモリ16GBだとバランスが悪いため、カスタマイズで32GB以上にしたいところか。

 構成を考えると価格は少し高めだが、自作でこのサイズに仕上げるのはなかなか難しく、強力なCPU/GPU、そして小型筐体を求めているユーザーにおすすめしたい1台だ。