西川和久の不定期コラム
謎の「Ryzen 7 8745HS」を搭載した7万円台のミニPCをチェックしてみた
2025年9月9日 06:00
CHUWIは、Ryzen 7 8745HSを搭載したミニPC「AuBox 8745HS」を発売中だ。価格は通常7万9,900円だが、現在公式通販で6,000円引きの7万3,900円!編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
謎のRyzen 7 8745HSプロセッサを搭載したミニPC!
CHUWIの製品は過去何度もご紹介しているが、ミニPCだけでなく、ノートPCやタブレットなども販売しているメーカーだ。執筆時にサイトを再確認したところ、ノートPCに関してはN100などローエンドモデルが多く、タブレットは一部Android搭載モデルもある。ミニPCも傾向は同じだ。
今回ご紹介する「AuBox 8745HS」は、Ryzen 7なのでミドルハイ相当という、同社としてはちょっと珍しいパターンだ。詳細は後述するが、調べてみたところ、“Ryzen 8000番台だがNPU/AIはなし”というちょっと変わった仕様だった。プロセッサ内蔵のNPUは実アプリであまり使われておらず、なしでOK的なユーザー向けというところか。主な仕様は以下の通り。
| CHUWI「AuBox 8745HS」の仕様 | |
|---|---|
| プロセッサ | Ryzen 7 8745HS(Zen4、8コア16スレッド、クロック最大 4.9GHz、キャッシュ 16MB、TDP 65W) |
| メモリ | 16GB(DDR5-5600、SO-DIMM/スロット1つ空き) |
| ストレージ | M.2 2280 SSD 1TB(NVMe対応/スロット1つ空き) |
| OS | Windows 11 Pro(24H2) |
| グラフィックス | Radeon 780M/HDMI2.1、DisplayPort、Type-C x2 |
| ネットワーク | 2.5GbE 2基、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3 |
| インターフェイス | USB4、USB 3.2 Gen 2 Type-C(映像出力対応)、USB 3.2 2基、USB 2.0 2基、3.5mmジャック |
| サイズ/重量 | 154×152×45mm、740g |
| 価格 | 7万3,900円(税込) |
プロセッサはRyzen 7 8745HS。実はこのCPU、AMDの英語や日本語サイトにSKUの記載がなく(笑)、謎のプロセッサということでCPU-Zで実際の仕様を確認してみた。Code NameはHawk Point。従ってZen 4でRDNA 3となる。
【9時10分追記】AMDの中国語版サイトに記載がございました。ご教示に感謝するとともに追記させていただきます。
4nmの8コア16スレッド。TDPは最大54W(ここは同社のサイトにある仕様と異なる)、L3キャッシュ16MB。NPUはなく、雰囲気Ryzen 7 8845HSのNPUなし版、的なところか。いずれにしてもRyzen 7なのでミドルハイの位置付けだ。少し紛らわしいが、Ryzen 7 8745H“X”(コードネームはDragon Range)とは異なるので注意したい。
メモリはSO-DIMM/DDR5-5600 16GB 1基。シングルチャンネル作動となる。ストレージはM.2 2280 SSDの1TB。2スロットあり1つ空き。OSはWindows 11 Pro。24H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適用し評価した。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Radeon 780M。外部出力用にHDMI 2.1、DisplayPort、USB Type-C 2基を装備。
ネットワークは2.5GbE x2、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3。そのほかのインターフェイスはUSB4、USB 3.2 Gen 2 Type-C(映像出力対応)、USB 3.2 2基、USB 2.0 2基、3.5mmジャック。
サイズ154×152×45mm、重量740g。価格は7万3,900円。搭載メモリ/ストレージ容量などの違いで別のパッケージはない、16GB/1TBだけの構成だ。
AIタイプではないものの、10万円を大幅に切っており、メモリやストレージの増設もやりやすいため、ちょっと遊んでみるか!?的な用途にはちょうどいいのではないだろうか。
筐体は裏以外、金属製の艶消しシルバーだ。写真からも分かるように一般的なミニPCと比較して薄型だが、その分、フットプリントは広めだ。カバンなどには入れやすいものの、ACアダプタを合わすと1kgを超えるため少し重い。
前面は電源ボタンのみ。背面は電源入力、USB4、3.5mmジャック、DisplayPort、HDMI、USB 2.0 2基、2.5GbE 2基。そしてミニPCとしは珍しく右側面にUSB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 2、ロックポートを配置。薄いので背面に収まり切らなかったのだろう。3.5mmジャックが背面側にあるため少し使いにくいかもしれない。裏は4つのゴム足とVESAマウンタ用のネジ穴。
付属品はACアダプタ(サイズ約150×55×30mm/重量450g/出力19V、6.32A、120W)、VESAマウンタとネジ。
いつものキーボード付きモバイルモニターへの接続は、USB4とUSB 3.2 Gen 2 Type-C(映像出力対応)があるためType-Cケーブル1本で接続可能。BIOSの表示は起動時[DEL]キーとなる。
内部へのアクセスは裏のゴム足部分にネジがあり4本外せば筐体が分離と非常に簡単だ。開けると左側にM.2 2280 2基(1つ装着済み)、右側にSO-DIMM 16GB 1基が見える。
ノイズはあるにはあるものの、筐体に耳を近付ければ……であって一般的な設置であれば気になることもないだろう。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、左側のスリットから生暖かい(熱いまでは行かない)エアーが出る。
Ryzen AI 9 HX 370との比較は劣るものの十分高性能!
初期起動時、特にプリインストールなどのアプリはなく、Windows 11 Pro標準のまま。最近触っているRyzen AI系のプロセッサなどとの比較では若干スペックは劣るものの、通常用途であれば特に問題ないレベルだ。
M.2 1TB SSDは「AirDisk 1TB SSD」。検索してもネット上に仕様はなく、詳細は不明。とは言え、CrystalDiskMarkでシーケンシャルリード3,560.960MB/s、シーケンシャルライト2,607.798 MB/s出ているので遅くはない。C:ドライブのみの1パーテションで約951GBが割り当てられ空き923GB。
2.5GbEはRealtek Gaming 2.5GbE 2基、Wi-FiはRealtek 8852BE Wireless LAN WiFi 6、BluetoothもRealtek製だ。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23。Ryzen AI 9 HX 370を搭載したAiberzy「XG1-370」と比較すると、PCMark 10やCinebench R23は本機が1ランク下。3DMarkに関してはザックリ2分の1~3分の2のパフォーマンスとなる。なお、*印の項目は、本機が優っていた部分となる。
なお上に記した通り、本機は16GBメモリモジュール1枚のシングルチャンネル作動となっている。従ってもう1つ16GBを追加し、32GBとしてデュアルチャンネル作動にすればiGPUも含めパフォーマンスの向上が見込まれる。
この点、8GBが2枚であればデュアルチャンネル作動なのだが、増設する時、2枚のSO-DIMMは捨てることになる。16GBが1枚だと+16GBで32GBとなり無駄がなく、そう考えると良心的なのだが、16GBが1枚のままではベンチマークテスト的には不利になるのはトレードオフだろうか。
いずれにしても、Aiberzy XG1-370との価格差はほぼ倍(あちらは14万5,199円)なので、結構頑張ってる方ではないだろうか!?
| PCMark 10 v2.2.2737 | |
|---|---|
| PCMark 10 Score | 6,734 |
| Essentials | 10,388 |
| App Start-up Score | 14,075 |
| Video Conferencing Score | 8,253 |
| Web Browsing Score | 9,652 |
| Productivity | 9,098 |
| Spreadsheets Score | 11,287 |
| Writing Score | 7,335* |
| Digital Content Creation | 8,771 |
| Photo Editing Score | 13,374 |
| Rendering and Visualization Score | 8,549 |
| Video Editting Score | 5,903 |
| 3DMark v2.32.8426 | |
|---|---|
| Time Spy | 1,963 |
| Fire Strike Ultra | 1,493 |
| Fire Strike Extreme | 2,561 |
| Fire Strike | 4,708 |
| Sky Diver | 17,381 |
| Cloud Gate | 27,292 |
| Ice Storm Extreme | 125,410 |
| Ice Storm | 156,808 |
| Cinebench R23 | ||
|---|---|---|
| CPU | 16,557 | (3位) |
| CPU(Single Core) | 1,721(1位) | |
[Read]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 3560.960 MB/s [ 3396.0 IOPS] < 2351.84 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 2519.187 MB/s [ 2402.5 IOPS] < 415.98 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 585.809 MB/s [ 143019.8 IOPS] < 216.59 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 64.392 MB/s [ 15720.7 IOPS] < 63.52 us>
[Write]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 2607.798 MB/s [ 2487.0 IOPS] < 3209.17 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 2434.863 MB/s [ 2322.1 IOPS] < 430.22 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 446.330 MB/s [ 108967.3 IOPS] < 292.86 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 169.426 MB/s [ 41363.8 IOPS] < 24.07 us>
以上のようにCHUWI「AuBox 8745HS」は、Ryzen 7 8745HS/16GB/1TBを搭載したミニPCだ。Ryzen AI 9 HX 370搭載機と比較して遅いが、最大の魅力は7万円台で購入可能なこと。加えて、メモリやストレージの増設が容易なのもよい。
最新鋭とは言わないものの、一般的な用途で安価なミニPCを探しているユーザーに使って欲しい1台だ。そしてできれば16GBモジュールを1枚足した32GB構成とし、デュアルチャンネル作動で使ってほしい。




























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