西川和久の不定期コラム
日本HP「HP ENVY 15-j000 TouchSmart Notebook PC」
~HaswellとGeForce GT 740Mを搭載した15.6型タッチ対応ノートPC
(2013/7/8 00:00)
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は6月4日、夏モデルのノートPC、「HP ENVY 17/15」、「HP Pavilion 15」、「HP ENVY x2」、「HP Pavilion dm1」を一斉に発表した。IntelのCoreプロセッサ搭載機に関しては全てHaswellだ。今回は編集部からHP ENVY 15が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
HaswellとGeForce GT 740Mを搭載した15.6型ノートPC
今回、日本HPからはさまざまなノートPCが発表された。HP ENVY 17/15に関しては、一見、同ブランドの液晶パネルサイズ違いと思われがちだが、実は一点大きな違いがある。ENVY 17については、1,600×900ドットと1,920×1,080ドットの解像度が違う2タイプが用意され、ENVY 15に関しては1,920×1,080ドットのみ。ここまではある意味想定内だが、ENVY 17はタッチ非対応、ENVY 15はタッチ対応となる。
従って正式名称も異なり「HP ENVY 17-j000 Notebook PC」と、「HP ENVY 15-j000 TouchSmart Notebook PC」。つまり、“TouchSmart”の文字がタッチ対応を示している。主な仕様は以下の通り。
日本HP「HP ENVY 15-j000 TouchSmart Notebook PC」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i7-4700MQ(4コア/8スレッド、2.4GHz/Turbo Boost:3.4GHz、キャッシュ6MB、TDP 47W) |
メモリ | 4GB(最大8GB) |
チップセット | Intel HM87 Express |
HDD | 750GB |
OS | Windows 8(64bit) |
ディスプレイ | 15.6型液晶ディスプレイ(光沢)、フルHD/1,920×1,080ドット、10点タッチ対応、HDMI出力 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600+NVIDIA GeForce GT 740M/2GB(NVIDIA Optimus テクノロジー対応) |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×4(内1つは電源オフ充電対応)、92万画素Webカメラ、SDカードスロット、指紋認証、音声入出力、クアッドスピーカー+サブウーファー/Beats Audio |
サイズ/重量 | 380×250×19~34.4mm(幅×奥行き×高さ)/約2.56kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約8時間 |
HP Directplus価格 | 99,960円から |
プロセッサはCore i7-4700MQ。4コア8スレッドでクロックは2.4GHz。Turbo Boost時に3.4GHzまで上昇する。4型番からも分かるようにHaswellだ。キャッシュは6MB、TDPは47Wとなる。チップセットはHaswellに対応した8系のIntel HM87 Express。メモリは標準で4GB搭載し、最大8GB。OSは64bit版のWindows 8を採用している。ストレージは750GBのHDD。なお、17型のENVY 17はDVDスーパーマルチドライブを搭載しているものの、このENVY 15については非搭載だ。
ディスプレイは、15.6型で光沢のあるフルHD/1,920×1,080ドットでタッチ対応。グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 4600に加え、NVIDIA GeForce GT 740M/2GBも搭載している。NVIDIA Optimus テクノロジー対応し、それぞれのGPUを必要に応じてシームレスに切り替えることが可能だ。バッテリ駆動時には省エネの内蔵グラフィックス、電源接続時はパワフルな外部GPUと、状況に応じて使い分けができる。外部出力用としてHDMIを装備する。
ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0にも対応する。その他のインターフェイスは、USB 3.0×4、92万画素Webカメラ、SDカードスロット、指紋認証、音声入出力。4ポートあるUSB 3.0の内1つは電源オフ充電対応だ。加えてBeats Audioのクアッドスピーカー+サブウーファーを搭載し、迫力のあるサウンドが楽しめる。
サイズは380×250×19~34.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.56kg。バッテリ駆動時間は最大8時間。このクラスで8時間と言うのはやはりHaswellの性能が現れている証拠だろう。後半で検証してみたい。
HP Directplus価格で99,960円。メモリを8GBに増設するなど一部カスタマイズも可能になっている。
筐体は高級感のあるアルミが使われ、加えてトップカバーには手触りが良い「シルキー・ラバーコーティング」が施されている。また写真からは分かりにくいが、キーボードの周囲(本体と段差のある部分の側面)は、Beats Audioを意識して赤が使われている。ENVYブランドに相応しいデザインと質感だ。ただ裏に関しては一般的なノートPCで使われている素材で、そのギャップが美しくない。もうひと工夫欲しいところだ。
液晶パネル中央上にはマイクL、Webカメラ、マイクR。左側には、ロックポート、HDMI出力、USB 3.0×2、SDカードスロット、ステータスLED。奥側のUSBポートは電源オフ充電対応となる。右側は電源コネクタ、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、ヘッドフォン出力/マイク入力コンボポート。左右にUSB 3.0が2ポートずつあるので使い易そうだ。付属のACアダプタは、サイズ約145×70×25mm(同)、重量458gと少し大きく重い。
15.6型の液晶パネルは、最大輝度にすると明る過ぎるほど。IPS式ではないが、視野角は若干広めか。10点タッチもスムーズに操作できる。ただ光沢式なので仕方ないものの、映り込みがかなりある。少し気になったのは、液晶パネルの角度をあまり付けられないこと。設置場所によっては後一歩後ろまで倒れて欲しい場合もあるだろう。
パームレストやタッチパッドは15.6型なので広いスペースがある。タッチバッドは物理的なボタンが無く、1枚プレートタイプだ。以前同社の多くのノートPCで見られたタッチパッドをオフにする左上のエリアは無くなっている。
キーボードはアイソレーションタイプでテンキー付き。中央を強く押すと全体がたわむものの、通常は気になることはないレベルだ。ストロークはこのタイプとしては少し深めか。キーピッチは主要キーは19mmだが、Windowsキーなど手前のキー、カーソルキー、BSキーなどは狭くなっている。
ファンクションキーはそのまま押すと機能キー、従来のファンクションキーは[Fn]キーとのコンビネーションとなる。バックライトはオンとオフの2段階。暗い場所でもキー入力は容易だ。またテンキーの手前に指紋認証を配置している。
熱やノイズに関しては筐体が大きい分、十分に処理されているものの、パームレストに手を乗せると振動が気になる。
サウンドはクアッドスピーカー+サブウーファーにBeats Audioと、このクラスとしてはゴージャスだ。出力も十分あり、音の抜けや広がりも良く、低音も響く。サブウーファーはうまく機能し、低音が左右どちらかに偏ることも無い。ただしBeats AudioをOFFにすると痩せた音になるので、スピーカーで聞く場合は常時オンをお勧めしたい。
パワフルな上に7時間近いバッテリ駆動
OSは64bit版のWindows 8。搭載しているメモリが4GBなので、できれば最大の8GBにしたいところ。スタート画面は解像度がフルHDと言うこともあり1画面に収まっている。HPアプリ以降がプリインストール済みのアプリとなる。
デスクトップは、Norton Internet Securityのショートカットが左側にあるのみ。同社に限らず、Windows 8搭載機は、工場出荷時のデスクトップがシンプルになる傾向にあるようだ。
HDDは、750GB/5,400rpm/キャッシュ8MBの東芝「MQ01ABD075」。プロセッサなどがパワフルなだけに、7,200rpmタイプやSSDが欲しい。C:ドライブとD:ドライブの2パーティションになっているが、D:ドライブはリカバリ用なので、実質ユーザー領域としてはC:ドライブだけとなる。約680GBが割り当てられ、空きは648GB。
グラフィックスはNVIDIA Optimus テクノロジー対応。従ってIntel HD Graphics 4600とGeForce GT 740Mの両方がデバイスマネージャで見えている。Wi-FiとBluetoothモジュールはIntel製、GbEはReaktek製が使われている。
プリインストール済みのアプリケーションは、Windowsストアアプリは、「Fresh Paint」、「HP Connected Photo」、「HPに登録」、「HP+」、「Norton Studio」、「Skype」、「Windows 8入門」。主に同社のサポートツール系と一般的なアプリケーションだ。少し前にレポートした「HP Pavilion TouchSmart Sleekbook」とほぼ同じ内容となる。
デスクトップアプリケーションは、「HP SimplePass」、「HP AC Power Control」、「HP Documentation」、「HP Support Assistant」、「HP Utility Center」、「Norton Internet Security」、「CyberLink Media Suite」、Intel系のツール……など。
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。CrystalMarkの結果も掲載した(4コア8スレッドで条件的に問題があるので参考まで)。なお全てのベンチマークテストはNVIDIA Optimus テクノロジーを自動のまま測定している。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.9。プロセッサ 7.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.9、ゲーム用グラフィックス 6.6、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 7は3280 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 77441、FPU 69740、MEM 47293、HDD 10723、GDI 18674、D2D 10332、OGL 38565。
プロセッサとグラフィックスに関してはさすがと言ったところ。反面、メモリが速くないのは、シングルチャンネル作動だからだろう。この点においても出来れば4GB×2の最大8GBとしたいところ。またHDDも5,400rpmのなので物足りない。せっかく高速なプロセッサを搭載しているだけに惜しい部分だ。
BBenchは省電力モード、バックライト最小、キーボードバックライトオフ、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で24,555秒/6.8時間。最大8時間には届かなかったが、7時間近くと、4コア8スレッドのCore i7、フルHD15.6型でHDD搭載機としては長時間駆動が可能となっている。
以上のように「HP ENVY 15-j000 TouchSmart Notebook PC」は、Core i7-4700MQ/HaswellとNVIDIA GeForce GT 740Mを搭載したタッチ対応フルHD15.6型ノートPCだ。GbE、USB 3.0×4などインターフェイスも全部入り。ENVYブランドだけあって質感も良い。加えてBeats Audioクアッドスピーカー+サブウーファーで大迫力のサウンドを楽しめる。
内容のわりに価格も10万円を切っており、15.6型のWindows 8搭載ノートPCを探しているユーザーにお勧めできる逸品と言えよう。