西川和久の不定期コラム
日本エイサー「Aspire P3」
~バッテリ駆動6時間、11.6型のキーボード着脱式Ultrabook
(2013/7/11 00:00)
日本エイサーは6月18日、「Aspire R7」、「Aspire P3」、「Iconia W3」、「Iconia A1-810」と、3つのWindows 8搭載機と、1つのAndroid搭載機を発表した。全てタッチ対応で各種さまざまな特徴を持っている。今回はその中からAspire P3が編集部から送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
タブレットにもUltrabookにもなるコンバーチブル
同社の製品情報を見ると、製品構成として、Ultra-thin/ノートブック/タブレット/ネットブックと4カテゴリに別れている。以前ご紹介した「ICONIA W700D」は、オプションでBluetoothキーボードカバーに対応しているところまで同じなのだが、これはタブレット扱い。11.6型液晶やルックスはほぼ同じで、Core i5/メモリ4GB/SSD 128GB/フルHD液晶の構成となる。
対して「Aspire P3」は、Ultra-thin扱いだ。同じカテゴリの製品として「Aspire S7」、「Aspire S5」、「Aspire S3」、「Aspire V5」、「Aspire M」が並んでいる。これらはどれも薄型ノートPC。「Aspire P3」に関しては、基本的にはBluetoothキーボードカバーが付属するタブレットなのだが、合体した状態でUltrabookの条件を満たしているので、こちらのカテゴリになったのだろう。主な仕様は以下の通り。
日本エイサー「Aspire P3」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i3-3229Y(2コア/4スレッド、1.4GHz、キャッシュ3MB、TDP 13W) |
メモリ | 2GB(最大/スロット無し) |
チップセット | Intel HM77 Express |
SSD | 128GB |
OS | Windows 8(64bit) |
ディスプレイ | IPS式11.6型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット、10点タッチ対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000、Micro HDMI出力 |
ネットワーク | IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0+HS |
その他 | USB 3.0×1、マイクロフォン、音声入出力、フロントHD/リア500万画素カメラ、カバー/スタンド一体型のBluetoothキーボード付属 |
センサー | 照度センサー、ジャイロスコープ、加速度センサー、電子コンパス |
サイズ/重量 | 295×191×9.15~11.9mm(幅×奥行き×高さ)/約790g(本体のみ) |
バッテリ駆動時間 | 最大6時間(4セル/5,280mAh) |
店頭予想価格 | 85,000円前後 |
プロセッサはCore i3-3229Y。2コア4スレッドでクロック1.4GHz。キャッシュ3MB、TDP 13Wの省エネタイプだ。この時期の製品としてHaswellでないのは残念なところ。チップセットはIntel HM77 Expressが使われている。メモリは2GB固定だ。ストレージは128GBのSSDを搭載。メモリが2GBなので、OSは32bit版でもよさそうだが、64bit版のWindows 8となっている。
液晶パネルは、10点タッチ対応IPS式の11.6型で解像度は1,366×768ドット。外部出力用としてMicro HDMIを装備する。グラフィックは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000。
ネットワークは、有線LANは無く、無線LANのみでIEEE 802.11a/b/g/n。Bluetooth 4.0+HSにも対応している。その他のインターフェイスは、USB 3.0×1、マイクロフォン、音声入出力、フロントHD/リア500万画素カメラ。センサーは照度センサー、ジャイロスコープ、加速度センサー、電子コンパスを搭載している。
サイズは本体のみで295×191×9.15~11.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量790g。4セル/5,280mAhのバッテリを内蔵し、最大6時間駆動可能だ。店頭予想価格は85,000円前後。
筐体はアルミ素材が使われ全体的な質感は良い。前面中央上にHDカメラ、下にWindowsボタン。背面に500万画素カメラ。左側面にMicro HDMI、USB 3.0、電源入力。右側面に音声入出力、電源ボタン、音量±ボタン。下側面にステレオスピーカーを配置している。ACアダプタのサイズは約90×60×20mm(同)、重量209g。「ICONIA W700D」にあった上部側面の回転ロックスイッチはなくなっている。
IPS式11.6型の液晶パネルは写真からも分かるように、発色も良く、視野角が広い。最大輝度は十分明るく、また最小輝度でも操作可能なレベルだ。10点対応のタッチもスムーズに反応する。
前面HD/背面500万画素カメラは、少し試したところ、画質は写真用ではなく、あくまでも動画用と考えた方が良さそうだ。
試用した範囲で振動やノイズ、発熱に関しては全く気にならなかった。サウンドは抜けが良く、最大出力時、少し歪むもののかなり大きい音量となる。加えてDolby Home Theater v4を搭載するので、好みのトーンにコントロール可能だ。音楽や動画を十分楽しめる。
冒頭に書いたように、以前ご紹介した「ICONIA W700D」はタブレット扱いだが、「Aspire P3」はBluetoothキーボードカバーが付属するため、タブレットではなく、Ultra-thinシリーズの1モデルとして扱われている。ただ付属しているBluetoothキーボードカバーはほぼ同じ。ポインティングデバイスに相当するものは無い。
大きく異なるのは、ケースの質感で、今回はソフトケースではなく、アルミ素材を使用したハードケースを採用。これによりずいぶん見た目が良くなった。キーボード部は、写真を見る限り同じものが使われていると思われる。キーピッチは主要キー間で約19mm。重量は合わせて1,347g。11.6型のノートPCと考えると平均的だろう。
構造上、液晶パネルの角度は、写真の位置で固定となり変更できない。また元々スピーカーが下側面に付いているが、この角度によって、若干下に隙間ができ、キーボード部に音が反射して、前に出てくるようになっている。
バランスが取れたコンバーチブル
OSは64bit版のWindows 8。メモリが2GBなので大掛かりなアプリは厳しそうだが、軽めの用途であれば、Atom(Clover Tail)搭載機よりは、パワーがある分、快適に操作可能だ。
初期起動時のスタート画面は、2画面+3アプリ。Acerアプリ以降がプリインストール済みのアプリとなる。デスクトップは壁紙だけがカスタマイズされた状態だ。またタッチ操作を考慮してか、項目のサイズが100%/小ではなく、125%/中に設定されている。
SSDは、東芝「THNSNH128GMCT」を搭載。C:ドライブのみの1パーティションで、約118GB割当てられ、空きは97.2GB。Wi-FiはQualcomm製だ。
プリインストール済みのWindowsストアアプリは、「Acer Crystal Eye」、「Acer Explorer」、「Cut The Rope」、「Evernote」、「Fresh Paint」、「Hulu」、「Music Maker Jam」、「newsXpresso」、「Shark Dash」、「Skitch」、「Skype」、「Social Jogger」、「TuneIn Radio」。「ICONIA W700D」とほとんど同じで、Windowsストアアプリのメジャーどころを多く搭載している。
デスクトップアプリは、「Acer Instant Update ユーティリティ」、「Acer Power Management」、「AcerCloud」、「Docs」、「clear.fi Media」、「clear.fi Photo」、「Live Update」、「Dolby」、「Nero BackItUp」、「マカフィー インターネットセキュリティスィート」、「Norton Online Backup」など。
Acer Power Managementは、一般的なパワーマネジメント機能ではなく、バッテリ残量に影響するアプリやUSBデバイスをオン/オフする仕掛けだ。また、clear.fi Mediaは前もそうだったが、nasneにはアクセスできるものの、普通のMP4も含め再生できなかった。
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題は無い)。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.6。プロセッサ 5.5、メモリ 5.5、グラフィックス 4.6、ゲーム用グラフィックス 6.1、プライマリハードディスク 8.1。PCMark 7は3329 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 22275、FPU 20761、MEM 21387、HDD 42080、GDI 7897、D2D 1064、OGL 3088。全体的にバランスが良く、ストレージが高速なので、実際操作すると快適だ。また電源オン/オフも含め、復帰/スタンバイが速い。
BBenchは、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残2%で23,648秒/6.6時間。仕様上の6時間を越えた。通常の5%でも6.3時間だ。スリープからの復帰も速いので、うまく使えば丸1日は無理にしても、実作業時間はカバーできるかも知れない。
以上のようにAcer「Aspire P3」は、IPS式11.6型のタッチ対応液晶パネルを搭載した、タブレットにもUltrabookにもなるコンバーチブルなPCだ。バッテリ駆動で6時間動き、Bluetoothキーボードカバーも含め全体的にうまくまとめられている。
メモリ2GBと言うのは惜しいところだが、Atom(Clover Tail)を搭載したタブレットではパワー的に不安があるユーザーにお勧めしたい1台だ。