西川和久の不定期コラム
レノボ「IdeaPad U310 Touch」
~10点タッチ対応13.3型のUltrabook
(2013/5/9 00:00)
レノボ・ジャパン株式会社は4月23日、2012年6月に発売された「IdeaPad U310」のタッチ対応モデル「IdeaPad U310 Touch」を発表した。ちょうど前モデルもレビューしているので、その違いが気になるところ。編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けする。
IdeaPad U310にタッチ対応+α
2012年6月に、「IdeaPad U310 Touch」の前モデルに相当する「IdeaPad U310」のレビュー記事を掲載した。ルックスも含めかなりの部分が共通で、タッチ対応以外で一番の違いは、プロセッサがCore i5-3317U(2コア/4スレッド、1.7GHz/Turbo Boost時2.6GHz、キャッシュ3MB、TDP 17W)から、Core i5-3337U(2コア/4スレッド、1.8GHz/Turbo Boost時2.7GHz、キャッシュ3MB、TDP 17W)へ強化されたこと。
逆に少しマイナスポイントとなるのは、重量が約1.68kgから約1.75kgへと70gアップし、バッテリ駆動時間(3セル)が最大約6.2時間から最大約5.3時間へ短くなったことだ。タッチパネルを搭載しているため仕方はないとはいえ、もう少し抑えて欲しかった。
価格はオープンプライスで、実売価格は約10万円前後だ。従来のIdeaPad U310と比較してスペックが若干上がるため、価格アップは致し方ないだろう。主な仕様は以下の通り。
レノボ「IdeaPad U310 Touch」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i5-3337U(2コア/4スレッド、1.8GHz/ Turbo Boost:2.7GHz、キャッシュ3MB、TDP 17W) |
メモリ | 4GB |
チップセット | Intel HM77 Express |
ストレージ | HDD 500GB(5,400rpm)+SSD 32GB(Rapid Drive) |
OS | Windows 8(64bit) |
ディスプレイ | 13.3型液晶ディスプレイ(光沢)、 1,366×768ドット、 10点タッチ対応、HDMI出力 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵HD Graphics 4000 |
ネットワーク | Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×2、USB 2.0×1、720p Webカメラ、SDカードスロット、音声入出力 |
サイズ/重量 | 333×225×18mm(幅×奥行き×高さ)/約1.75kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約5.3時間(3セル) |
店頭予想価格 | 10万円前後 |
チップセットはIntel HM77 Express。メモリは4GBで増設はできない。OSは64bit版Windows 8。ストレージは5,400rpmの500GB HDDに加え、同社独自のSSDを使ったキャッシュシステム=Rapid Drive用に32GBを搭載している。
グラフィックスはプロセッサ内蔵HD Graphics 4000。外部出力用として、HDMI出力を装備する。
液晶ディスプレイは、光沢式の10点タッチ対応、13.3型液晶パネルを搭載し、解像度は1,366×768ドット。Windows 8のスナップインも利用できる。
ネットワークは、有線LANがEthernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0にも対応している。その他のインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×1、720p Webカメラ、SDカードスロット、音声入出力。
冒頭に挙げたスペックとプリインストールしているOS以外は、全てIdeaPad U310と同じだ。当時はIvy Bridgeの出始めで目新しかったものの、今となっては枯れたシステムであり、安定した運用が期待できる。ただ、有線LANも相変わらずGigabit非対応なのは筆者としては残念なところか。
またIdeaPad U310は、カラーバリエーションとして、「グラファイトグレー」、「チェリーブロッサムピンク」、「アクアブルー」の3種類用意していたが、IdeaPad U310 Touchは、「グラファイトグレー」のみとなる。同社に限らず、カラーバリエーションがないのは、最近の傾向のようだ。
トップカバーはマット仕上げのツヤ無しブラウンにロゴのみとシンプル。ほかの部分は、渋い真鍮色と言った感じで、クールに仕上がっている。
正面側面に左側にSDカードスロット、中央に電源とバッテリステータスLED。液晶パネルのフチ上中央にWebカメラがある。左側面は、OneKeyRecoveryボタン、Ethernet、HDMI出力、USB 3.0×2。右側面は、電源入力、USB 2.0、音声入出力。裏は1枚パネルで覆われ、メモリやストレージにアクセスできる小さいパネルは無い。バッテリは内蔵しており交換はできない。
ACアダプタのコネクタはミッキータイプ。サイズ88×35×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量178gと小型のものが使われている。
液晶パネルは若干派手さに欠ける気もするが、自然な発色で、明るさコントラスト共に十分。ただIPSパネルでは無いためその分視野角は狭く、少し角度が付くと発色が変化する。10点タッチはかなりスムーズで、指に吸い付くように反応する。
パームレストやタッチパッドは13.3型と筐体に余裕がある分、十分に広い。タッチパッドは物理的なボタンがなく、1枚のパネルで構成され、手前が左右に傾くタイプだ。
キーボードはアイソレーションタイプで、主要なキーのピッチは約19mm。一部ピッチが狭くなっているものの、入力に支障をきたすほどでもない。若干たわむが許容範囲だ。ただファンクションキーは、明るさや音量調整など、機能キーがダイレクトに割当てられ、本来のファンクションキーは[Fn]キーとのコンビネーションとなる。
熱や振動、ノイズに関しては試用した範囲では、左側面のスリットから若干暖かい風が出る程度で、問題ないレベルに抑えられている。
サウンドは、Dolby Home Theater V4を搭載しているので、自分の好みにカスタマイズすることが可能だ。最大出力も十分あり、音楽も動画も楽しめる。オフにすると痩せたサウンドになるため、常時オンをお勧めしたい。
まずまずバランスの取れた作動と6時間超えのバッテリ駆動時間
OSは64bit版Windows 8。メモリが4GBなので、気分的にはもう少し欲しいものの、使った範囲ではメモリ不足によってパフォーマンスが低下することはなかった。
初期起動時のスタート画面は1画面+α。Lenovoアプリ以降がプリインストールのアプリとなる。Windowsストアアプリが12本、デスクトップアプリが3本追加されている。デスクトップは、ごみ箱のみと非常にシンプル。画面キャプチャからも分かるように、結構な数のソフトウェアが常駐している。
HDDは500GB/5,400rpm/キャッシュ8MBの「HGST HTS545050」、SSDは「SAMSUNG MZMPC032」が使われている。SSDは、コンピュータの管理/ディスクの管理からは見えるものの、Rapid Drive用のため、ユーザーからはアクセスできず、実質HDDのC:ドライブのみの1パーティションで418GBが割当てられ、空き392GBとなる。
Wi-FiとBluetoothモジュールはQualcomm Atheros製、EthernetはRealtek製が使われていた。
プリインストールされているソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「AccuWeather for Windows 8」、「Evernote」、「Kindle」、「Lenovo Companion」、「McAfee Security Advisor」、「Skype」、「Support」、「SUUMO」、「Yahoo!オークション」、「Zinio Reader」、「楽天gateway」など。同社オリジナルは「Lenovo Companion」、「Support」となる。
デスクトップアプリは、「Microsoft Office Home and Business 2013」、「Lenovo Cloud Storage by SugarSync」、「Absolute Data Protect」、「Baidu IME」、「Dolby Home Theater V4」、「Kingsoft Office」、「Lenovo MediaShow 6」、「Lenovo Smart Update」、「Motion Control、YouCam」、「マカフィー インターネットセキュリティ」など。なぜかOffice系のアプリケーションが2種類入っている。
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題はない)。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.4。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.4、ゲーム用グラフィックス 6.1、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 7は2759 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 38069、FPU 36242、MEM 24877、HDD 10659、GDI 12890、D2D 1781、OGL 5423。
Core i5-3337U搭載PCとしては標準的なところ。メモリが遅いのはシングルチャンネル動作だからと思われる。またHDDのスコアがあまり伸びていないものの、SDDキャッシュが有効なシーンでは体感速度が向上する。
BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で22,151秒/6.2時間。仕様上の5.3時間を1時間近く超えた。6時間動けばそれなりに屋外でも使用可能だ。
以上のようにレノボ「IdeaPad U310 Touch」は、Core i5を搭載、10点タッチ対応13.3型液晶パネルを採用したUltrabookだ。SSDがキャッシュになっているため、有効なシーンでは、ベンチマークテストの結果以上に体感速度は速く快適に操作できる。
有線LANがGigabit非対応なのは残念だが、他の部分で特に弱点もなく、オールマイティで使いやすいUltrabookに仕上がっている。低価格でタッチ対応のWindows 8搭載Ultrabookを探しているユーザーの候補になりえる1台と言えよう。