西川和久の不定期コラム

2万円台後半でおサイフケータイ対応!6.5型5Gスマホ「Redmi Note 10 JE」

Redmi Note 10 JE

 KDDIは8月2日、Snapdragon 480を搭載した5G対応のエントリー向けモデル「Redmi Note 10 JE」を発表し、auでは8月13日から販売中だ。価格は2万8,765円。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

Snapdragon 480/4GBメモリ/64GBストレージとエントリー向けながらおサイフケータイや防塵防水対応

 今回ご紹介する「Redmi Note 10 JE」は、グローバル向け「Redmi Note 10 5G」の日本専用モデルで、KDDIが企画開発の段階から関わっている。

 一番の違いはSoCがMediaTek Dimensity 700からQualcomm Snapdragon 480に変更されたこと。後半に記載したベンチマークテストのスコア(GeekBench)を見ると若干劣る程度で、恐らく使い比べても体感的には大きく変わらないと思われる。

 メモリ/ストレージは4GB/64GBと同じ(グローバルモデルは6GB/128GBモデルも用意されている)。ディスプレイやカメラは変わらず、ほかはグローバルモデルがDual SIMだったり、バッテリ容量が200mAh多いなど若干の違いがある。

 SoCが気持ち遅い代わりに、国内において重要視されている防塵防水およびFeliCa対応が追加された。スマホとしてこの2つの対応はポイントが高い。主な仕様は以下の通り。

au「Redmi Note 10 JE」の仕様
SoCSnapdragon 480 5G(2GHz×2+1.8GHz×6)、Adreno 619を内包
メモリ4GB
ストレージ64GB
OSMIUI 12.5(Android 11)
ディスプレイ6.5型フルHD+(2,400×1,080ドット)、90Hz(可変リフレッシュレート)
ネットワークWi-Fi 5対応、Bluetooth 5.1、NFC(FeliCa対応)
SIMNano SIMカードスロット(5G対応)
インターフェイスUSB Type-C、microSDカードスロット(最大1TB)、3.5mmジャック、FMラジオ、赤外線ブラスター
センサー指紋認証センサー(電源ボタンを兼ねる)
カメラ前面:約800万画素
背面:約4,800万画素メイン+約200万画素マクロ+約200万画素深度
防塵防水IP68準拠
サイズ/重量76×9~10.3×163mm(幅×厚み×高さ)/約200g
バッテリ4,800mAh(最大18Wの急速充電対応)
同梱品画面保護シート(貼付済/試供品)、ソフトケース(試供品)、SIM取り出し用ピン(試供品)
カラーバリエーションクロームシルバー、グラファイトグレー
価格2万8,765円

 SoCはQualcomm Snapdragon 480 5G。2GHz×2+1.8GHz×6の8コアでGPUとしてAdreno 619を内包している。数年前にSnapdragon 4系と聞くと遅いという印象があったものの、ベンチマークテストの結果、かなり速くなっていることを確認した。普通の用途なら問題ないレベルになっている。

 メモリは4GB、ストレージは64GB、OSはAndroid 11をベースにしたMIUI 12.5を採用。昨今の平均的なスマホを見るとメモリ/ストレージ容量は最小構成となるが、エントリー向けなので仕方ない部分だろう。

 ディスプレイは6.5型フルHD+(2,400×1,080ドット)。90Hz可変リフレッシュレートに対応する。ネットワークはWi-Fi 5、Bluetooth 5.1、NFC(FeliCa対応)、5G対応のNano SIM×1。auからの販売であるが、初めからSIMロックフリーになっている。

 インターフェイスは、USB Type-C、microSDカードスロット(最大1TB)、3.5mmジャック、FMラジオ、赤外線ブラスター。指紋認証センサーは電源ボタンを兼ねる。カメラは前面約800万画素、背面約4,800万画素メイン+約200万画素マクロ+約200万画素深度。3レンズ構成だが、超広角や望遠はない。

 カラーバリエーションはクロームシルバーとグラファイトグレーの2色。防塵防水はIP68準拠で、サイズが76×9~10.3×163mm(幅×厚み×高さ)、重量が約200g。最大18Wの急速充電対応4,800mAhバッテリを内蔵し、価格は2万8,765円。内容を考えると十分納得できるのではないだろうか。なおUQ mobileは9月上旬からの販売予定だ。

画面中央上にパンチホール型の前面カメラ。フチは細くはないが太くもない
写真はクロームシルバー。左上にカメラ群。少し右側にFeliCaマーク
左側面にSIM/microSDカードスロット、下側面にType-Cとスピーカー
右側面に音量±ボタン、指紋センサー兼の電源ボタン。上側面に3.5mmジャック
Nano SIMカードスロットはイジェクトピン式。防塵防水対応でパッキンがあるのが分かる
重量は実測で201g
付属品はソフトケース、イジェクトピン。また画面に保護シートを貼った状態で出荷している
iPhone 12 Pro MaXとの比較。少し幅が狭い程度で同程度のサイズ感だ。重量も200gと重め

 今回手元に届いたのはクロームシルバー。全体的に特にチープな感じはない。筐体は記事冒頭の写真やiPhone 12 Pro Maxとの比較写真からも分かるように大きめだ。重量も実測で201gと200gを超え、持った時に少し重い。

 前面は画面中央上にパンチホール型の前面カメラ。フチは細くはないが太くもない。背面はクロームシルバー。左上にカメラ群で、その少し右側にFeliCaマークがある。

 左側面にSIM/microSDカードスロット、下側面にUSB Type-Cとスピーカー。右側面に音量ボタン、指紋センサー兼電源ボタン。

 上側面に3.5mmジャックを配置。Nano SIM/microSDカードスロットはイジェクトピン式で防塵防水のパッキンが付いている。

 付属品はソフトケース、イジェクトピン。また画面に保護シートを貼った状態で出荷している。ACアダプタやUSBケーブルは付属しないので要注意。

 6.5型のディスプレイはやはりコスト的にしわ寄せが来るのだろうか。昨今のスマホとしては、明るさ、コントラスト、発色などは写真の写りからも分かるように今ひとつパッとしない。とはいえ、数年前のレベルから比較するとよくなっているので、ハイエンドなどと比較しない限り、使い出せば気にならないレベルだ。

 発熱はベンチマークテストやカメラを使っているとそれなりに熱を持つ。ポケットに入れても暖かくなっているのが分かる温度だ。サウンドは下側面(Type-C側)にモノラルスピーカー。ステレオでないのが残念だが鳴りっぷりは意外とよい。ただ3.5mmジャックにソニー製イヤフォンのMDR-EX800STを接続、視聴したところ、パワー不足でかつ音がこもる。音質重視のときはBluetoothのイヤフォンを使った方がいいだろう。

 以上のように少し大きく重く、パネルのクオリティ、3.5mmジャックの音質が個人的には気になった。もちろんコンセプトやコスト的に仕方ない部分もあり、価格を考慮すると上手くまとめたスマホに仕上がっている。

価格帯の割にサクサクとよく写るカメラ

 搭載しているカメラは、前面約800万画素(f/2)、背面約4,800万画素メイン(f/2)+約200万画素マクロ(f/2.4)+約200万画素深度。背面は3レンズだが超広角や望遠はない。出力画素数は前面2,448×3,264ピクセル。背面3,000×4,000ピクセル(マクロは1,200×1,600ピクセル)。f値は撮影した写真のExifから抜粋した。デジタルズームは最大8倍。HDRやAIにも対応している。

上はメイン、真ん中は深度、下はマクロ

 モードは、プロ、ビデオ、写真、ポートレート。もっと見るのメニューに夜景、48M、ショートビデオ、パノラマ、スローモーション、タイムラプス、編集。ポートレート(背景ぼかし)は、通常の写真と画角が変わらないため扱いやすい。

 前面カメラでは、ビデオ、写真、ポートレート。写真では美肌、小顔、大きな目などのビューティーフィルタと通常のフィルタが利用できるが、ポートレートと併用できないのが少し残念。

 設定は、右上のメニューアイコンにあるが、パネル式とメニュー式の2階層になっている。1階層目は、縦横比、タイマー、フレーム、グリッドなど。この中にマクロもある。さらに設定アイコンで、透かし、スマート提案、向きについての通知、画質、音量ボタン機能、フォーカスして撮影、シャッターボタン長押しなどの項目が現れる。ビデオはH.264とH.265、6倍デジタルズームに対応する。

 編集はギャラリーとGoogleフォトが使用できる。前者はポートレート撮影した写真のボケ具合などを後からでも調整可能だ。

カメラ/写真
カメラ/プロ
カメラ/その他
設定(1階層目)
カメラ/フロント
編集はギャラリー(とGoogleフォト)を使う

 以下作例を日中、夜景、人物(前面/背面)と計22枚掲載する。必要に応じて露出補正しているが基本フルオート(AI/ON、HDR/Auto)だ。夜景バイクはポートレート、夜景後半の建物は夜景、自作アンプはマクロ、人物は前面/背面ともにポートレートを使用している。

モデル:茜音愛

 使用感は、起動やAFは十分速く撮影後の確認もサクッと見れる。スナップ的な写真であればストレスは感じないだろう。マクロは被写体に触れるかもと思うほど寄ることができる。

 発色は見栄えのする感じで色乗りもよい。ポートレートは画角変わらず撮れるので、狭いテーブルで対面している人物も後ろに下がらずそのまま背景をぼかすことが可能だ。

 ちょっと気になったのはAE。例えば1枚目、代官山アドレスの写真は順光で各色のバランスもよいため、普通だとAEは適正になるのだが、結構な露出オーバーでマイナス補正した。ほかにも「なぜこのシーンで露出オーバー?」といったケースが少し起きた。

 また肌色が少し黄色い。もしかするとこれがリアルな色かもしれないが、試しで同時に撮ったXperia 1 IIではもっと肌色になっている。

 とはいえ、この価格でこれだけ撮れれば文句なし。3万円を切るスマホのカメラでこのクオリティは驚きに値する。超広角と望遠がないのは、主な被写体や考え方にもよるだろうが、撮影するとき、レンズを何にするか悩む余地もなく、思いっきりのよい写真を撮ることができる。

OSはAndroid 11ベースのMIUI 12.5で少し雰囲気の違うAndroid

 初期設定は、基本全てスキップ、Wi-Fiでのセットアップとなる。計15画面と少し多めだ。素のAndroidと比較するとMIUIの関係かUIデザインが異なるものの、内容は変わらないので特に難しくないだろう。

 指紋認証と顔認証はパターン、PIN、パスワード設定後、利用可能になる。指紋センサーは電源ボタン兼ねており、どれもさほど時間もかからず完了。認証も問題なく行なえた。

MIUI 12.5
SIMカードを挿入してください
画面ロックとセキュリティ/Home
画面ロックとセキュリティ/画面ロック
画面ロックとセキュリティ/指紋認証
画面ロックとセキュリティ/顔認証

 SIMの設定は、手持ちの関係でOCN mobile ONE(4G)を使用した。APNを開くと「このユーザーはアクセスポイント名の設定を使用できません」と出て戸惑ったが、SIMロックを解除したauのスマホでよくある話らしく、「デバイス情報」>「すべての仕様」>「デバイスの状態」>「SIMカードのステータス」でSIMのステータス更新後、再起動し、再びAPNを表示すると今度は一覧が出るので設定すればOKだった。

モバイルネットワーク設定
APN設定画面で「このユーザーはアクセスポイント名の設定を使用できません」との旨が表示された
「デバイス情報」>「すべての仕様」>「デバイスの状態」>「SIMカードのステータス」でSIMのステータス更新
再起動後APN一覧が現れるので選択できる

 OSはAndroid 11ベースのMIUI 12.5。ホーム画面は2画面。ドックに電話、+メッセージ、Google Chrome、Googleフォト、カメラを配置。

 1画面目は設定、アシスタント、Googleフォルダ、Playストア。2画面目は、テーマ、天気、ミュージック、ファイルマネージャー、セキュリティ、クリーナー、Miビデオ、メモ、ギャラリー、メッセージ、ツールフォルダ、auサービスフォルダ、その他のアプリフォルダ、ゲームフォルダが並んでいる。

 ストレージは64GB中20.2GBが使用中(若干の画面キャプチャ含む)。あまり余裕がないため、音楽や動画、写真などはmicroSDカードに逃すことになる。IMEはGboard。ナビゲーションバーの標準はボタン式。上から下へのスワイプで通知画面、壁紙をピンチインで壁紙/ウィジェット/設定など、一般的な操作はほぼ同じだ。

Home(1/2)
Home(2/2)
通知パネル
ホーム画面のレイアウト
アプリ一覧(1/3)
アプリ一覧(2/3)
アプリ一覧(3/3)
デバイス情報

 アプリは少し多めだが、これはMIUI固有のアプリが含まれているためだ。逆にキャリアモデル固有の専用アプリは、取扱説明書(Webサイトへのショートカット)程度とほぼないことが分かる。専用アプリ山盛りの他キャリアも見習ってほしいところ。

 FMラジオは日本の周波数をカバー、赤外線リモコンは試してみたが手元にマッチする家電はなかった。セキュリティはワンタップでシステムの最適化が可能。テーマは雰囲気をかなり変えることができる。

FMラジオは日本の周波数をカバー
赤外線リモコン
セキュリティ
テーマ

普段使いなら問題ない性能に加え、バッテリ駆動20時間!

 ベンチマークテストは簡易式でGeekBench 5.4.1とGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。GeekBench 5.4.1はSingle-coreが519、Multi-coreが1,694、OpenCLが1,055、Google Octaneは17,575となった。

 Snapdragon 480は本連載で初めて扱ったが、エントリークラスとは言え、そこそこの性能が出る。Google Octaneも個人的に最低ラインの合格レベルとしている1万を軽く超えているため、Webサイトなどのレンダリングもストレスも感じない。これでこの価格帯なら十分ありだ。

 バッテリ駆動時間は、明るさ、音量ともに50%。Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ約20時間でバッテリが切れた。4,800mAhと大容量のバッテリと省電力なSoCで12時間どころか20時間も動作した。これまで扱ったSnapdragon 888搭載のハイエンドでは到底無理な駆動時間だ。バッテリ駆動時間重視であれば下手にハイエンドを選ぶより、こちらの方がよい。

GeekBench 5.4.1(Single-core 519、Multi-core 1,694)
GeekBench 5.4.1(OpenCL 1,055)
Google Octane 2.0(17,575)
19時間経過してバッテリ残量は9%

 以上のようにau「Redmi Note 10 JE」は、Snapdragon 480/4GBメモリ/64GBストレージを搭載した6.5型SIMロックフリースマホだ。防塵防水、おサイフケータイ対応の上で価格は3万円切り。カメラの写り、20時間超えのバッテリ駆動など、全体的になかなか魅力的に仕上がっている。

 iPhone 12 Pro Maxとあまり変わらないサイズ感と、重量が200gと重めなのが気になると言えば気になるものの、試用した範囲で特に問題になった部分もなく、安価で全部入りの5Gスマホを探しているユーザーにお勧めしたい。