西川和久の不定期コラム

NECの4万円台Androidタブレット「T1175/BAS」をレビュー。11型で2,000×1,200ドット

LAVIE T11シリーズ T1175/BAS

 NECパーソナルコンピュータ(NEC PC)は、Android搭載タブレット「LAVIE T11」シリーズを3月に発売した。11.5型「T1195/BAS」と11型「T1175/BAS」の2モデルあるなか、後者が編集部から送られて来たので試用レポートをお届けしたい。

11型2,000×1,200ドットのAndroidタブレット

 LAVIE T11は、11.5型「T1195/BAS」と11型「T1175/BAS」の2モデルがある。前者は11.5型2,560×1,600ドットのOLED、Snapdragon 730G、メモリ6GB、ストレージ128GB、5万9,800円前後(税別)。対して、今回ご紹介する後者は、11型IPS式2,000×1,200ドット、Snapdragon 662、メモリ4GB、ストレージ128GB、4万2,800円前後(税別)という仕様。

 おもにパネルとSoCとメモリ容量が異なり、今回レビューする「T1175/BAS」は下位モデルに相当する。どちらも縦でも横でもステレオになるクアッドスピーカーを搭載しているのが筆者的にはうれしいポイントだ。

【表】NEC PC「T1175/BAS」の仕様
SoCSnapdragon 662(2GHz/4コア+1.8GHz/4コア)
メモリ4GB
ストレージ128GB
OSAndroid 10
ディスプレイ11型IPS式2,000×1,200ドット
ネットワークWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)、Bluetooth 5.1
インターフェイスUSB Type-C、microSDカードスロット、クアッドスピーカー(Dolby Atmos/シネマティックサラウンド対応)
カメラ前面: 800万画素(顔認証対応)
背面: 1,300万画素
バッテリ容量/駆動時間7,500mAh/最大約13.6時間
その他IP5X/IPX2対応
サイズ/重量258.4×163×7.5mm(幅×奥行き×高さ)/約490g
店頭価格4万2,800円前後(税別)

 SoCはSnapdragon 662。11nmプロセスで2020年1月に発表された比較的新しいものだ。CPUにCortex-A73/2GHz×4、Cortex-A53/1,8GHz×4のオクタコア、GPUとしてAdreno 610を内包している。メモリは4GB、ストレージは128GB。OSはAndroid 10を搭載する。

 ディスプレイは11型IPS式2,000×1,200ドット。アスペクト比は16:9.6と16:10に少し足らない(上位モデルは11.5型で16:10)。外部出力には未対応だ。

 ネットワーク機能は、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.1。インターフェイスはUSB Type-C、microSDカードスロット、クアッドスピーカー。サウンドは、Dolby Atmosやシネマティックサラウンドに対応している。カメラは前面800万画素、背面1,300万画素。前面カメラは顔認証対応。

 7,500mAhのバッテリを内蔵し、駆動時間は最大約13.6時間。IP5X/IPX2対応(なぜか上位モデルは非対応)でサイズ258.4×163×7.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約490g。店頭価格は4万2,800円前後(税別)。

 なおオプションで、充電式デジタルペン(4,096段階筆圧検知対応)や、130度まで傾けられるファブリック素材スタンドカバー、タッチパッドつきキーボードなども用意されている。

パネル中央上に前面カメラ。フチは狭目
背面は上側がホワイト、下側がシルバー。右上に背面カメラ
左側面に電源ボタンとスピーカー用のスリット2箇所。上側面に音量±ボタンとmicroSDカードスロット
右側面にType-Cとスピーカー用のスリット2箇所。下側面にDock用のコネクタ(内部に磁石あり)
microSDカードスロットはイジェクトピンが必要なタイプ
付属品はType-A/Type-Cケーブル、ACアダプタ
重量は実測で490g
2018年版iPad Pro 11(下)との比較。同じ11型でもパネルの縦横比の違いから幅は長く高さは低い

 筐体はおもな部分がシルバー、上部にアクセントとしてホワイトが使われており、ちょっとおしゃれな感じだ。パネルの縦横比が16:9.6とフルHDに近い感じで、同じ11型のiPad Pro 11と比較して少し長細いのがわかる。

 重量は実測で490g。このクラスとしては標準的だろうか。なお、起動時の表示が横レイアウト、Webカメラが横位置中央上ということで、写真はすべて横にしている。

 フロントはパネル中央上に前面カメラ。フチは狭めだ。左側面に電源ボタンとスピーカー用のスリット2箇所。上側面に音量±ボタンとmicroSDカードスロット。右側面にType-Cとスピーカー用のスリット2箇所。下側面にDock用のコネクタ(内部に磁石あり)。リアは右上に背面カメラ。上側がホワイト、下側がシルバーとなっている。

 付属のACアダプタは、サイズが約47×40×23mm(同)、重量51g、出力5V/3A、12V/1.67A、15V/2A、10V/2A、20V/1.67A。

 11型のパネルは先に書いたとおり縦横比が少し横長。縦位置でのWeb表示はスマホっぽく、横位置での表示は間延びしてしまい縦方向の情報量が足らないケースもある。IPS式なので視野角は広く、加えて発色、コントラスト、明るさも価格を考慮するとなかなか良い。もちろんタッチの反応も問題なし。

 サウンドはクワッドスピーカー。筆者がタブレットにおいて結構重要視している縦位置でも横位置でもステレオとなり非常に良い。十分パワーがあり、音質もこの価格帯のタブレットとしてはかなり良好だろう。

 カメラは、前面800万画素(顔認証対応)/背面1,300万画素。モードは、ビデオ、写真、ポートレートの3種類。ポートレートモードは顔認識し、肌のスムージングと背景ぼかしにも対応する。

 カメラの設定は以下の写真のようにさまざま用意されている。ズームはx1アイコンのタップでx2との切り替えができるが、ピンチイン/アウトでほかの倍率にもなる。

写真モード
ポートレートモード
設定
サンプル(出力画素数3,120×4,160ピクセル)

 前面カメラは筆者の顔で試したが、肌のスムージング/背景ぼかしとも効き過ぎ。+1あたりでちょうどいい。背面カメラは色はそれなりだが、細部が解像せず、サンプルだとホコリなのか汚れなのか良くわからない感じになっている。このクラスとしては写りは良いほうだが、それなりのスマホがあれば、そちらで撮ったほうが無難だろう。

 発熱はベンチマークテストなど負荷をかけてもまったく気にならないレベルに収まっていた。全体的にうまくまとまった1台に仕上がっている印象で、実際使用して不満に感じるところはなさそうな感じだ。

Googleキッズスペースを使用したキッズモード搭載

 初期セットアップは、Wi-Fiに接続後、Googleアカウントなどは設定せず、新規として作業した。計8画面と、大手メーカー製としては少なめだ。18歳以上または13歳以上 / 13歳未満の設定があるのが従来と違うところだろうか。認証は、パターン、PIN、パスワード、顔に対応している。なお上位モデルは加えて指紋認証にも対応する。

18歳以上または13歳以上 / 13歳未満
認証はパターン、PIN、パスワード、顔

 ホーム画面は2画面。1画面目は、同社おなじみのinfo.Boardウィジェットが画面中央に陣取る独特なものだ。Androidのバージョンは10。初回起動時128GB中20.59GBが使用中だ(若干の画面キャプチャを含む)。IMEはiWnn IME。

ホーム画面(1/2)
ホーム画面(2/2)
設定 / システム
設定 / ストレージ

 独自機能としては、スマートナビゲーションと、プロダクティビティ(生産性)モードが挙げられる。前者は、画面右側に画面キャプチャボタンなどコントロール系を表示するパネルだ。後者はWindows様なタスクバー式に切り替わり、起動中のアプリがアイコンで並ぶ。さらにウィンドウサイズが変更可能になり、デスクトップ的に使用可能だ(Android標準の画面分割とは別のモード)。キーボードやマウスなどをUSB/Bluetoothで接続すると自動的にこのモードに切り替えることができる。

スマートナビゲーション
設定 / プロダクティビティ(生産性)モード

 Type-CはOTGに対応しているので、Type-CのHubを経由して、キーボード/タッチパッドを接続し試したところ、プロダクティビティ(生産性)モードには切り替わるのだが、どうやってもウィンドサイズを変更できない(アプリの作りによって全画面のみのものもあるので、それを避けても変わらず)。

Type-Cへキーボードなどを接続すると生産性モードへ切り替え
画面分割と生産性モード

 メーカーに問い合わせたところ、アプリのウィンドウ表示は現在上位モデルのT1195/BASだけの対応で、下位モデルの本機については今後のアップデートで対応予定とのことだった。キーボード/タッチパッドありの環境では、魅力的な機能なので早いタイミングでのアップデートを期待したい。

アプリ一覧

 初期セットアップで18歳以上または13歳以上 / 13歳未満の設定があったのは、キッズスペースの関係だ。これまで多くの製品では独自の環境を作っていたが、本機ではGoogleキッズスペースを利用しており、これにより、アプリ制限、アプリやデバイスの使用時間などを設定できる。ただし子供用のGoogleアカウントが別途必要になるのが痛し痒しと言ったところか。

Googleキッズスペースを設定しましょう
お子様には管理対象のGoogleアカウントが必要です
お子様のGoogleアカウントを作成します
Googleアカウントを作成

スコア的にはエントリークラスの性能

 ベンチマークテストは簡易式でGeekBench 5.0とGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。GeekBench 5.0はSingle-core 316、Multi-core 1,418、OpenCL 373。Google Octane 8,993。

 前回レビューしたMediaTek MT8788を搭載するAndroidタブレット「FFF-TAB10H」と比較すると、Single-core、Multi-core、Google Octaneは似ているものの、OpenCLだけ約3分の1のかなり低い結果になっている。

 いずれにしても爆速にはほど遠いものの、Webサイト表示(SNS系のアプリも含む)や動画再生など、一般的な用途では遅くてストレスを感じることはとくになかった。

 バッテリ駆動時間は、明るさ、音量ともに50%。Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ約9時間でバッテリが切れた。仕様上最大13.6時間なので少し短めだ。輝度/音量50%はもう少し下げてもよいので、通常運用ではもう少し持ちそうだ。

GeekBench 5.0(Single-core / Multi-core)
GeekBench 5.0(OpenCL)
Google Octane 2.0
8時間47分経過して残1%

 以上のようにNEC「T1175/BAS」は、Snapdragon 662/4GB/128GB、11型IPS式2,000×1,200ドットのパネルを搭載したAndroid 10タブレットだ。品質の高いパネル、クアッドスピーカー、IP5X/IPX2対応など、価格の割りにツボをしっかり押さえているのはポイントが高い。

 ただし性能は2021年スマホで言えばエントリークラス相当。もう少しパワーがほしいときは上位モデルの「T1195/BAS」を選ぶ手もありだろう。価格差約17,000円だ。

 仕様上とくに気になる部分もなく、国内大手メーカー製で、トータルの完成度が高いAndroidタブレットを探しているユーザーに使ってほしい1台だ。