西川和久の不定期コラム
3万円台のハイコスパを実現した有機EL&おサイフケータイ対応スマホ「OPPO Reno A」
2019年11月11日 11:00
オッポジャパンが「OPPO Reno A」は、有機ELディスプレイ、おサイフケータイなどに対応しつつ、税別35,800円という驚くべきコストパフォーマンスを実現したSIMロックフリーのAndroidスマートフォンだ。同機はMVNO各社や家電量販店、ECサイトなどで販売されており、今回は楽天版を使っての試用レポートをお届けしたい。
有機EL、おサイフケータイ、デュアルレンズ、6GB/64GB、IP67と盛りだくさんで税別35,800円
ここ1、2年のハイエンドスマートフォンの動向は、有機ELディスプレイ、画面占有率90%以上、ノッチはできるだけ小さく、デュアルレンズで背景ぼかし/ポートレートモードはもう当たり前。さらに超広角/望遠に対応している。このほか、Androidではメモリは4GB以上になり、AI処理も加わって……といった塩梅になっている。
そんななか登場したのが今回ご紹介するOPPO「Reno A」だ。ハイエンド機ではないものの、上記のキーワード全部入りで税別価格35,800円。発表当初に間違いでは!? と思ったほどのハイコストパフォーマンスを実現した機種となる。
おもな仕様は以下のとおり。
【表】OPPO「Reno A」のスペック | |
---|---|
SoC | Qualcomm Snapdragon 710(8コア、最大2.2GHz、Adreno 616) |
メモリ | 6GB |
ストレージ | 64GB(楽天版は128GB) |
OS | ColorOS 6(Android 9ベース) |
ディスプレイ | 6.4型有機ELフルHD+(2,340×1,080ピクセル)、画面占有率: 91%、Gorilla Glass 5 |
ネットワーク | IEEE 802.11ac無線LAN、Bluetooth 5 |
SIM | Nano SIM×2カードスロット |
対応バンド | GSM : 850/900/1,800/1,900MHz WCDMA : Bands 1/2/4/5/6/8/19 LTE FDD : Bands 1/2/3/4/5/7/8/18/19/26/28 LTE TDD: Bands 38/39/40/41(full-band) |
インターフェイス | USB Type-C、microSDカードスロット(最大256GB/microSDXC/Nano SIMスロット2と排他)、3.5mmイヤフォンジャック、NFC(FeliCa対応) |
センサー | 磁気センサー、光センサー、近接センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー |
位置情報 | GPS、A-GPS、GLONASS、Beidou、Galileo |
カメラ | 前面 : 2,500万画素/F2.0 背面 : 1,600万画素/F1.7+200万画素 |
サイズ/重量 | 75.4×158.4×7.8mm(幅×奥行き×高さ)/約169.5g |
バッテリ | 3,600mAh |
カラーバリエーション | ブラック、ブルー |
その他 | ディスプレイ指紋認証、顔認証、防水・防塵(IP67)、おサイフケータイに対応 |
税別価格 | 35,800円(64GBモデル) |
SoCはQualcomm Snapdragon 710。オクタコアで最大2.2GHz。GPUにAdreno 616を内包している。SKUが8系ではなく、7系なのでミドルレンジクラス用だ。メモリは少し多めの6GB。そしてストレージは64GBとなっている(ただし楽天版にかぎり128GB)。OSはAndroid 9ベースのColorOS 6を搭載。
ディスプレイは、6.4型フルHD+(2,340×1,080ピクセル)でなんと有機EL。画面占有率91%でGorilla Glass 5を採用している。有機ELと言えば、ハイエンド機の代名詞だと思っていただけに、この価格帯に降りてくるとは驚きだ。
Nano SIMスロットが2基あり、1基がmicroSDと排他になる。対応バンドは上の表のとおり。ネットワーク機能はIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5。インターフェイスは、USB Type-C、microSDカードスロット(最大256GB/microSDXC/Nano SIMスロット2と排他)、3.5mmイヤフォンジャック、NFC(FeliCa対応)。そしてもう1つ驚きなのが、FeliCa/おサイフケータイ対応ということ。一部比較的安価なモデルで搭載していたが、本機はさらにその下を行く。
センサーは、磁気センサー、光センサー、近接センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー。位置情報はGPS、A-GPS、GLONASS、Beidou、Galileo対応だ。
カメラは前面が2,500万画素/F2.0、背面が1,600万画素/F1.7+200万画素。背面の200万画素は測距用で自然な背景ぼかしを可能にしている。
本体サイズは75.4×158.4×7.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量約169.5g。3,600mAhのバッテリを内蔵し、カラーバリエーションはブラックとブルーの2色。そしてディスプレイ指紋認証、顔認証、防水・防塵(IP67)にも対応して、税別価格はなんと35,800円(64GB)。これだけのものを搭載して、この価格は驚異だ。
このスペックでハイエンド機と差が出やすい部分は処理速度以外だとカメラだろうか。この点は、後述する作例などを参考にしていただきたい。
手元に届いたのはブラックの筐体。ブルーと違って3Dグラデーションがなくシンプルだ。サイズは6.4型で重量は実測172gとサイズ相応だろう。
ディスプレイ前面は、パネル中央上に水滴型の小さなノッチがあり、指紋認証センサーはディスプレイ内に実装。狭額縁で画面占有率は91%だ。背面は、少しわかりにくいがほぼ中央にFeliCaマーク。
カメラは内側が測距用200万画素。左側面にNano SIMスロットと音量±ボタン。下側面にスピーカー、USB Type-C、3.5mmイヤフォンジャック。右側面に電源ボタンを配置。Nano SIMスロットは奥側がSIMスロット1、手前がSIMスロット2/microSD。IP67対応でパッキンがついているのがわかる。
付属品は、ケース、USBケーブル、イジェクトピン、イヤフォン、ACアダプタ(サイズ約50×40×25mm、重量48g、出力5V/2A)。なお出荷時はパネルに保護シートが貼られている。
有機ELのディスプレイはとにかく明るい。最大輝度はiPhone Xより明るいだろうか。有機EL固有の黒が浮かないのも良い。ただiPhone XやP20 Proと比較すると、若干マゼンタ被りしているようだ。とはいえ10万円台のスマートフォンと比較しての話なので、この価格でこのパネルなら十分だ。
発熱は長時間連続動作やカメラ撮影時もほとんど感じなかった。年間でそれなりの数のスマートフォンをさわっているが、かなり冷却ができている部類に入る。
サウンドはスピーカーの出力がモノラルなのが残念だが、とにかくパワーがあり、低音も筐体ごと響かせバスドラムもドスっと来る。イヤフォン出力は、付属のイヤフォンではなく、ソニーのMDR-EX800STで視聴したが、若干低音に弱さを感じたものの、同様にパワーがある音だ。なお、Bluetoothのコーディックは、開発者オプションで確認したところ、SBC/AAC/aptX(HD)/LDACに対応する。
後述するカメラも含め総合的にこの価格で儲けが出るのかと心配するほどの品質だ。負荷の高いゲームなどをしないかぎり、この1台のスマートフォンでさまざまな用途が事足りてしまうだろう。
オートでそつなくなんでも撮れるAI対応カメラ
カメラは、背面が1,600万画素/F1.7+200万画素、出力画素数4,608×3,456ピクセル、焦点距離4mm(Exifで確認)。200万画素のほうははじめ望遠用かと思ったが、内側を指で塞いでもx2で撮れるため測距用だ。前面のカメラは、2,500万画素/F2.0、出力画素数3,264×2,448ピクセル、焦点距離2mmだ。
カメラアプリの設定には、位置情報、ミラーモードで自撮り写真を保存、アスペクト比(4:3/1:1/全画面表示)、タイマー、画面タッチで写真を撮る、グリッド、AIシーン認識、透かし、ビデオ解像度(4K/1080p/720p)、ビデオコーディング(高効率/最大互換性)などがある。出力画素数を変更する項目はなかった。
AIシーン認識は、オンで「自動で22のシーンを判別し、416のシーンを組み合わせてつねに完璧な1枚に仕上げます」という謳い文句で、実際に撮影中、フード、ブルースカイ、テキストなど……自動的に切り替わった。
モードの種類は、「動画」、「写真」、「ポートレート」。また左側のメニューにそのほかのものとして、「夜」、「パノラマ」、「エキスパート」、「タイムラプス」、「ステッカー」、「Google Lens」がある。加えて背景ぼかしの「A.I.ポートレートモード」、自然な明るさや色彩を再現する「ダズルカラーモード」を搭載。
前面カメラは美肌や小顔などの設定ができる「A.I.ビューティー」に対応する。作例は掲載していないが、筆者の自撮りで試したところ、美肌、ほっそり顔、小顔、顎、デカ目、小鼻、タッチアップ、3D……とおもしろいほど変化する。女性に受けそうな機能だ。
少し気になるのは背面/ポートレートモード時、x2とまでは行かないが若干画角がせまくなること。200万画素側のレンズのカバー範囲がせまいのだろうか。とはいえ、作例にあるように、せまいテーブル対面の被写体を席を離れたり、のけ反ったりせず、座ったまま撮れるので実用性としてはまったく問題ない。
毎回筆者がワイドで背景ぼかしにこだわるのも、こんな写真が簡単に撮れるからだ。ポートレートっぽくなるのでぼかしたいのと、店内だと背景に人が被ったりするのでぼかしたい。と言って望遠では席を離れるなどする必要があり、大げさだし場所によってはできない。誰かと一緒に食事をしたり飲んだりしている位置で、そのまま撮れるのが広角においての背景ぼかしの強みとなる。
作例を34点掲載したので参考にしてほしい。並びは2日に分かれているが撮った順番のまま。ほぼ写真モード/AIシーン認識オンで x1。1部 x2。人物だけポートレートモードを使用している(モデル高島優子)。起動、オートフォーカス(AF)、書き込み/確認表示などすべて良好。ストレスなく撮影でき、また大きな発熱もない。露出補正もほとんど行なわずAEの出た目のままで行けて、オートホワイトバランス(AWB)も問題ない。空抜けやパスタなどはAIシーン認識が動作している。つまりフルオートでこれだけ撮れるというわけだ。
一部P20 Proとも撮り比べしたが、味付け(発色)はかなり差が出るものの、写りという意味では画面で確認するかぎりあまり差がなかった。Instagramなど、ソーシャル系に投稿するなら十分。この価格でこれだけ撮れれば文句なしではないだろうか。
初回セットアップ
初回セットアップは、Wi-Fiのみ、Googleアカウント、各認証などはスキップした。Googleアカウント以外のアカウント入力もない。
指紋認証は前述したとおり画面内で指紋を認識するタイプだが、登録を含め、物理的なセンサーがあるのと変わらない手順で行なえた。認証時も一致すればセンサー相当分がピカッと光るのでわかりやすい。顔認証は眼鏡あり/なしで登録、あり/なしで認証したが、どの組み合わせも問題なかった。
SIMに関しては一般的なデュアルSIMと機能的には同じだが、手元のモデルが楽天版だったので、APNに関しては同社のものしかプリセットされていなかった。新しいAPNで追加登録すれば使えるものの、初心者だとこの点は注意が必要だろう。
iOS的なColorOS
初回起動時Home画面は2画面。Dockに「電話」、「メッセージ」、「Chrome」、「カメラ」を配置。128GB中2.63GB(若干の画面キャプチャが含まれる)が使用済みだ。IMEは「Gboard」と「Simeji for OPPO」がプリインストールされている。
Android 9ベースのColorOS 6は、通知パネルや、タスク切り替え、ナビゲーションキーを非表示にしてiOS(Homeボタン非搭載機)っぽい操作など、iOSに似たUIと操作感になっている。なお、ナビゲーションキーの設定は、設定/便利機能/ナビゲーションキーで変更でき、デフォルトでAndroid標準とは違う並びに変更可能だ。
アプリは、Dockの4つに加え、「時計」、「設定」、「Playストア」、「天気」、「カレンダー」、「Viber」、「写真」、「音楽」、「ファイルマネージャー」、「フォンマネージャー」、「テーマストア」、「動画」、「Music Party」、「ゲームスペース」、「Facebook」、「おサイフケータイ」、「Opera」、「ニュース」。
本機は楽天版ということもありRakutenフォルダが追加されているものの、それを抜きにしても少しアプリは多めだ。「フォンマネージャー」は端末の最適化、「ゲームスペース」は、ここに登録すると性能などゲームに特化した環境となる。実際AnTuTu Benchmarkを登録/実行したところ、あまり差が出なかった。このあたりはアプリに作りによって変わってくるのだと思われる。
Googleフォルダに「Google」、「Gmail」、「マップ」、「YouTube」、「ドライブ」、「Play Music」、「Playムービー&TV」、「Duo」、「フォト」。Rakutenフォルダに「楽天ペイ」、「楽天市場」、「楽天カード」、「楽天銀行」、「トラベル」、「楽天マガジン」、「Rakuten TV」、「Rakuten Music」。ツールフォルダに「連絡先」、「レコーダー」、「コンパス」、「計算機」、「データ移行」、「ワンタップロック画面」、「Keepメモ」。オススメフォルダに「GeneLife 3.0」、「TikTok」、「日経ビジネス」、「NAVITIME」、「Money Forword ME」。
そしてこの価格帯で「おサイフケータイ」に対応しているものポイントが高い。「Google Pay」は初回起動時インストールされていないが、必要に応じてPlayストアからダウンロードすればよい。
ウィジェット/壁紙/効果/設定の変更は壁紙をスワイプインで表示される。ウィジェットは、「時計」×3、「Chromeのブックマーク」、「Chromeで検索」、「スケジュール」、「カレンダー」、「Gmail」、「マイフィード」、「Sound Search」、「Google」、「At a glance」、「メモリスト」、「クイックキー」、「ドライブ」、「Money Forword ME」、「口座」、「NAVITIME」×4、「Viber」、「ご請求金額」、「ご利用可能金額」。
ミドルレンジクラスの性能
ベンチマークテストは簡易式だが、「AnTuTu Benchmark」と「Google Octane 2.0」を使用した。どちらもミドルクラス級のスコア=価格なりだ。爆速ではないものの、普通の用途ならストレスを感じず操作できるレベルにある。多くの5万円未満機種もおおよそ同程度なので、ハイエンド機と同時に使わないかぎり気になることはないだろう。
バッテリのベンチマークテストは、輝度/音量50%、Wi-Fi経由でフルHD動画の全画面連続再生を行なったところ、約12時間で電源が落ちた。輝度/音量50%は十分明るい。
以上のようにOPPO「Reno A」は、Snapdragon 710/6GB/64GB、6.4型有機ELディスプレイ、おサイフケータイ、デュアルレンズ、IP67準拠の防塵性能など、考えられるものはほぼすべて入れて税別35,800円で収めた驚異のSIMロックフリースマートフォンだ。
Snapdragon 7系なので性能はミドルレンジクラスになるものの、通常用途なら十分な速度で動作する。カメラもInstagramやソーシャル系に投稿するレベルであればフルオートで綺麗な写真を撮れる。
スピーカーがモノラル、超広角/望遠カメラがないなど、ないものねだりしなければ、Android機ではコストパフォーマンス的にベストな1台と言えよう。