西川和久の不定期コラム
Core i7とGTX 1660 Ti搭載のゲーミングノート、「Predator Helios 300」
2019年9月13日 11:00
少し前に、6コアCore i7とGeForceRTX 2070 Max-Q搭載を搭載した、日本エイサーの15.6型ゲーミングノート「Predator Triton 500」をご紹介した。今回は、同カテゴリの別モデル、「Predator Helios 300」が編集部から送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
6コアCore i7とGeForce GTX 1660 Tiを搭載
今回ご紹介する「Predator Helios 300」は、名前からもわかるように「Predator Triton 500」の同一カテゴリでモデル違いとなる。144HzのフルHDパネルやプロセッサなど主要部分は同じ(メモリやストレージは構成による)だが、リアルタイムレイトレーシング機能などがないミドルレンジ向けのGeForce GTX 1660 Tiを搭載している。
そのほかの目立った違いは、筐体のデザイン、キーボードRGBバックライトが4セクション(Predator Triton 500は3セクション)、バッテリ容量(本機の方が少ない)……と、なるだろうか。おもな仕様は以下のとおり。
日本エイサー「Predator Helios 300(PH315-52-A78U6T)」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i7-9750H(6コア12スレッド/2.6GHz~4.5GHz/キャッシュ 12MB/TDP 45W) |
メモリ | 8GB(4GB×2)/DDR4-2666MHz SDRAM/スロット数:2(空き:0) |
ストレージ | NVMe SSD 256GB |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
ディスプレイ | 15.6型IPS式1,920×1,080ドット(144Hz)、非光沢、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 630/GeForce GTX 1660 Ti(6GB/GDDR6)、HDMI/Mini DisplayPort |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0 |
インターフェイス | USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0×3(1つはPowered UBS)、Webカメラ、音声入出力 |
その他 | キーボードRGBバックライト(カスタマイズ可能) |
バッテリ/駆動時間 | 4セルリチウムイオン(58.7Wh/3,815mAh)/約6時間 |
サイズ/重量 | 約361.40×254.15×22.90mm(幅×奥行き×高さ)/約2.29kg |
税別店頭予想価格 | 179,790円 |
プロセッサはCore i7-9750H。Coffee Lake世代のモバイル用で、6コア12スレッド、クロックは2.6GHzから最大4.5GHz。キャッシュは12MB、TDPは45W。モバイル用としては上位級だ。メモリはDDR4-2666MHz SDRAMの4GB×2で8GB。メモリスロットは2つあるものの空きは0となる。ストレージはNVMe SSD 256GB。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載している。
グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel UHD Graphics 630とGeForce GTX 1660 Ti(6GB/GDDR6)。CUDAコア2,304のGeForce RTX 2070 Max-Qには劣るものの、CUDAコア1,536と、高性能GPUであることに変わりはない。後半のベンチマークテストでも結構なスコアを叩きだす。外部出力用にHDMIとMini DisplayPortを備えている。
ディスプレイは、非光沢15.6型IPS式のフルHD(1,920×1,080ドット)。これだけ高性能マシンだと4Kが欲しいが、その代わりリフレッシュレートを144Hzと高くし、ゲーミングPCに最適化。うまいチューニングだ。
ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet。無線LANがIEEE 802.11ac対応。Bluetooth 5.0も内蔵。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0×3(1つPowered USB)、Webカメラ、音声入出力。加えてカスタマイズ可能なキーボードRGBバックライトを搭載している。Predator Triton 500同様、メディアカードリーダがないのは残念なところか。
サイズ約361.4×254.15×22.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.29kg。4セルリチウムイオン(58.7Wh/3,815mAh)バッテリを搭載し、駆動時間は約6時間。税別店頭予想価格は179,790円。Predator Triton 500の30万円前後よりグッと購入しやすい価格だ。
筐体は少しブルーがかったマットブラック。筐体のデザインこそ違うものの「Predator Triton 500」によく似た雰囲気だ。ロゴなども含めブルーが基調なのはAcer「Predator」シリーズのアクセントカラーなのだろう。
前面はパネル中央上にWebカメラ。左側面にロックポート、電源入力、ステータスLED、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、音声入出力。右側面にHDMI、Mini DisplayPort、USB 3.0(Powered)、Type-Cを配置。パネルの傾きは写真が最大となる。裏は四隅に少し大き目のゴム足と、手前左右のスリットにスピーカー。横から見ると極限とまでは行かないまでもそれなりにスリムなのが分かる。付属のACアダプタはサイズ約142×72×22mm(同)、重量511g、出力19.5V/9.23A。構成が構成なだけあって、出力が結構大きい。
15.6型のディスプレイは非光沢で見やすく、明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。性能も含めて3DMark中は見入ってしまった(笑)。
キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプ。10キー[7]の上に[PredatorSense]キーがある。主要キーのキーピッチは実測で約19mm。[ろ]など一部狭いものもあるが、とくに問題にはならないだろう。打鍵感は重過ぎず、軽過ぎず、浅過ぎず、深過ぎず……なかなか見事な設定だ。もちろんたわみも一切ない。RGBバックライトは「Predator Triton 500」の3セクションとは異なり4セクションのコントロールが可能。
タッチパッドは1枚プレート型で、パームレストも含め十分面積が確保されており扱いやすい。
試用中、後ろ側面のスリットからそれなりの空気が出ていたものの、ノイズや振動はとくに気にならなかった。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、キーボードの上部に熱を持つが下には降りて来ないため問題ない。この辺りは第4世代AeroBlade 3Dファン(メタル製ブレード59枚/薄さ0.1㎜など)の効果だと思われる。
サウンドは裏にスリットがあり、基本、机などに反射した間接音となって耳に届く。15.6型の幅があるためステレオ感は十分。ブート時に効果音があるのだが、それが左右に振れるのがはっきり分かる。あくまでもノートPCとしてだが、メリハリがあり低音もそれなり出てパワーもある。十分ゲームに没頭できそうな雰囲気だ。
「Predator Triton 500」には劣るものの、それでもかなりのハイパフォーマンス!
初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。2つあるAcerグループが、プリインストールとなる。デスクトップはアクセントカラー=ブルー系の壁紙のみの変更とシンプルだ。
ストレージはNVMe SSD 256GBの「KINGSTON RBUSNS8」。C:ドライブのみの1パーティションで約237.35GBが割り当てられ空き204GB。
Gigabit EthernetはKiller E2500、Wi-FiはKiller Wireless-AC 1550i、BluetoothはIntel製だ。NVIDIAコントロールパネルでは、GDDR6 6144MB、CUDA 1536なのがわかる。
おもなプリインストールのソフトウェアは、「Acer Care Center」、「Firefox」、「Killer Control Center」、「ノートンセキュリティウルトラ」、「PhotoDirector for acer」、「PowerDirector for acer」、「PredatorSense」など。
「PredatorSense」は、画面キャプチャからもわかるように、キーボードバックライト、ファン、オーバークロックなどをコントロールできる本機固有のものだ。[PredatorSense]キーからダイレクトに起動もできる。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下のとおり。なお、PredatorSenseにはオーバークロックの機能があるため、参考までにTime Spyのみ通常/高速/最大の3つを、合わせてPredator Triton 500のスコアも掲載する。
Predator Helios 300 | Predator Triton 500 | |
---|---|---|
PCMark 10 v2.0.2115 | ||
PCMark 10 Score | 4,908 | 5,422 |
Essentials | 8,450 | 8,809 |
App Start-up Score | 11,944 | 12,024 |
Video Conferencing Score | 6,575 | 7,043 |
Web Browsing Score | 7,685 | 8,073 |
Productivity | 6,262 | 7,420 |
Spreadsheets Score | 9,000 | 8,932 |
Writing Score | 4,358 | 6,164 |
Digital Content Creation | 6,066 | 6,619 |
Photo Editing Score | 8,123 | 10,272 |
Rendering and Visualization Score | 7,661 | 7,705 |
Video Editting Score | 3,587 | 3,664 |
PCMark 8 v2.8.704 | ||
Home Accelarated 3.0 | 3,904 | 4,055 |
Creative Accelarated 3.0 | 3,756 | 3,836 |
Work Accelarated 2.0 | 5,356 | 5,348 |
Storage | 5,034 | 5,038 |
3DMark v2.9.6631 | ||
Time Spy | 5,584(オーバークロック:通常) | 6,618(オーバークロック:通常) |
Time Spy | 5,695(オーバークロック:高速) | 6,682(オーバークロック:高速) |
Time Spy | 5,838(オーバークロック:最大) | 6,738(オーバークロック:最大) |
Fire Strike Ultra | 3,122 | 4,203 |
Fire Strike Extreme | 6,524 | 8,043 |
Fire Strike | 12,850 | 15,600 |
Sky Diver | 31,726 | 35,817 |
Cloud Gate | 31,653 | 32,136 |
Ice Storm Extreme | 109,065 | 119,669 |
Ice Storm | 103,460 | 113,350 |
CINEBENCH R15 | ||
OpenGL | 111.92 fps | 121.49 fps |
CPU | 1,232 cb | 1,136 cb |
CPU(Single Core) | 194 cb | 191 cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | ||
Q32T1 シーケンシャルリード | 1599.297 MB/s | 3338.592 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 899.224 MB/s | 2556.363 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 633.793 MB/s | 1291.179 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 670.049 MB/s | 1105.568 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 418.825 MB/s | 430.890 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 286.197 MB/s | 314.518 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 31.816 MB/s | 38.120 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 58.486 MB/s | 100.807 MB/s |
BBench(キーボードバックライト/ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能) | ||
バッテリ残量5%まで | 7時間22分33秒 | 9時間28分46秒 |
全般的にかなりの高スコアだ。CINEBENCHのCPUはマルチでXeon X5650に次ぐ2位、シングルでは1位。GPUはRTX 2070に次ぐ2位。この結果がすべてを物語っており、一般的なノートPCでは群を抜いて爆速。ただし、上位のRTX 2070を搭載したPredator Triton 500は除く……となる。
SSDはNVMeタイプであるが、シーケンシャルリード/ライトともにPredator Triton 500と比較して半分ほどの性能だ。
オーバークロックは通常、高速、最大で順にスコアは上がっているものの、それほど大きな差ではなかった。
バッテリ駆動時間はキーボードバックライト/ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能で5%まで7時間22分33秒。仕様では約6時間とあり、約1.5時間ほど長く作動した。ただし輝度0%は暗いため、最終的には仕様近辺となるだろうか。またこれはiGPU時の結果であり、dGPU時はグッと短くなる。
最後に余談であるが、比較的短い期間中に「Predator Triton 500」と「Predator Helios 300」、2つのゲーミングノートPCを試用した。どちらも超ハイパフォーマンスはもちろんだが、驚くべきはその割に(構成を考えると)発熱が少ないこと。
昨今のノートPCは、無理して薄型にし過ぎた結果、パームレストまで熱が降りてくるものもあり、これは嫌かも……と思うのが結構あった。ファンノイズや厚みのトレードオフなのだろうが、本機のように“美”ではなく、“機能美”を追求して欲しいところだ。
以上のようにAcer「Predator Helios 300(PH315-52-A78U6T)」は、6コアのCore i7-9750H、メモリ8GB、ストレージNVMe SSD 256GB、そしてGeForce GTX 1660 Tiを搭載したゲーミングノートPCだ。高性能に加え、144Hzのパネル、比較的音の良いサウンドやRGBバックライトなど、ゲームを盛り上げ快適にプレイできる機能も備えている。
性能的に30万円前後の「Predator Triton 500」には劣るものの、それに迫る性能をある程度の予算で実現したいユーザーにお勧めできる1台と言えよう。