西川和久の不定期コラム

防滴キーボードやエコモードを備えた15.6型ノート「NEC VersaPro VX-5」

VersaPro VX-5

 NECは7月18日、ビジネス/教育向けPCのVersaPro/Mateのラインナップ強化を発表し、7月23日より順次新モデルの販売を開始した。今回はそのなかから15.6型スタンダートノートPC「VersaPro VX-5」が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

スタンダードな15.6型ノート

 今回ご紹介するVersaPro VX-5は、15.6型で光学ドライブを搭載するスタンダードノートPCだ。見た目や仕様もハデさはなく、業務用という位置づけとなる。とはいえ、V字傾斜や防滴構造のキーボード、ECOボタン、ゼロワットACアダプタ機能など、業務用途で活躍しそうな特徴を備えている。

 プロセッサはCore i7からCeleronまでより大きく分けて5モデルあり、今回レビューするのはCore i5-8365U搭載機となる。メモリ8GB、SSD 256GB、フルHD液晶ディスプレイなどで構成。おもな仕様は以下のとおり。

【表1】NEC「VersaPro VX-5」の仕様
プロセッサCore i5-8365U(4コア/8スレッド、1.6~4.1GHz、キャッシュ 6MB、TDP 15W)
メモリDDR4-2400 8GB SO-DIMM
ストレージSSD 256GB
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
OSWindows 10 Pro
ディスプレイ15.6型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)、非光沢、タッチ非対応
グラフィックスIntel UHD Graphics 620
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0
インターフェイスUSB 3.1 Type-C×1、USB 3.0×4(内1つは常時給電)、HDMI、ミニD-Sub15ピン、Webカメラ(IR対応)、SDカードスロット、指紋センサー、音声入出力
バッテリ駆動時間約8.4~10.2時間(着脱式)
サイズ/重量約376×254×24.9mm(幅×奥行き×高さ)/約2.2kg
税別価格281,500円(「VersaPro タイプVX VKM16/X-5」からDVDスーパーマルチドライブ、SSD 256GB、メモリ8GB、フルHD+IR付きを選択)

 プロセッサは第8世代のCore i5-8365U。4コア8スレッドでクロックは1.6GHzから最大4.1GHz。キャッシュは6MB、TDPは15W。メモリはDDR4-2400 8GB。SO-DIMMスロットは2つあり空きが1つ(PCMark 10 System Informationで確認)。シングルチャネルなのでメモリアクセスが遅くなる。なおカスタマイズでは同じ8GBでも8GB×1と4GB×2が選べ、どちらも価格は同じで+3.5万円。昨今の相場を考えるとさすがに高いと言わざる得ない。

 ストレージはSSD 256GB。光学ドライブとしてDVDスーパーマルチドライブも内蔵する。OSは64bit版Windows 10 Pro搭載。なおOSに関して教育用は64bit版Windows 10 Home、特定用途向けにWindows 10 IoT Enterprise 2019 LTSCも用意されている。

 グラフィックス機能はプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 620。外部出力用としてミニD-sub15ピンとHDMIを装備している。ディスプレイは、非光沢で15.6型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには非対応だ。なお、カスタマイズでHD(1,366×768ドット)かフルHD、そしてWebカメラやIR対応の有無が選択できる。

 ネットワーク機能は、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11ac対応。Bluetooth 5.0も内蔵。そのほかのインターフェイスは、USB 3.1 Type-C、USB 3.0×4(内1つは常時給電)、Webカメラ(IR対応)、SDカードスロット、指紋センサー、音声入出力。

 サイズ約376×254×24.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.2kg。取り外し可能なバッテリを搭載し、駆動時間は約8.4~10.2時間。価格はカスタマイズで同じ構成として(DVDスーパーマルチドライブ、SSD 256GB、メモリ8GB、フルHD+IR付きを選択)281,500円だった。

 なお、同じプロセッサを選択した場合、最小構成(DVD-ROM、HDD 500GB、メモリ4GB、HD+Webカメラなし)で税別価格213,000円となる。参考までにCore i7-8665Uだと258,000円から、Core i5-8265Uだと209,000円から、Core i3-8145Uだと201,500円から、Celeron 4205Uだと170,500円からだ。

フチは一般的で狭額縁ではない。パネル中央上にWeb+IRカメラ
マットブラックでロゴのみとシンプル。後ろ側面左端にUSB 3.0
左側面。電源入力、Ethernet、ミニD-sub15ピン、HDMI、Type-C、USB 3.0×2(右側が常時給電)、SDカードスロット、音声入出力
右側面。ロックポート、USB 3.0、DVDスーパーマルチドライブ。パネルは180度傾けることができる
キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプ。タッチパッドは1枚プレート型。電源ボタンと一体化した指紋センサー。左横にECOボタン
キーピッチは実測で約19mm。仕様上のキーストロークは2.4mm
少しわかりにくいが、中央からV字式に気持ち傾いている
底面手前左右のスリットにスピーカー。バッテリは着脱式
クラス相応の厚み
ACアダプタのサイズ約92×38×27mm(幅×奥行き×高さ)、重量178g、出力20V/2.25A。バッテリは40Wh

 筐体はマットブラックで指紋跡などが目立たないようになっている。ただチープとまでは言わないまでも20万円オーバーの機種としては地味で質素過ぎる感じがする。15.6型光学ドライブ内蔵なので重量2kgオーバーは平均的だろうか。

 前面のフチは一般的で狭額縁ではない。写真のように180度傾けることができる。パネル中央上にWeb+IRカメラ。左側面に電源入力、Ethernet、ミニD-sub15ピン、HDMI、Type-C、USB 3.0×2(右側が常時給電)、SDカードスロット、音声入出力。右側面にロックポート、USB 3.0、DVDスーパーマルチドライブ。加えて後ろ側面にUSB 3.0を配置している。裏は手前左右のスリットにスピーカー。バッテリは着脱可能だ。

 付属ACアダプタのサイズは約92×38×27mm(同)、重量178g、出力20V/2.25A。筐体のわりには小型だ。バッテリは40Wh。

 15.6型のディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角ともに良好。非光沢なので長時間運用しても目が疲れにくい。業務用としては十分の品質だと思われる。

 キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプ。仕様上はキーピッチ19mm、キーストローク2.4mmと、このタイプとしてはストロークが深めだ。打鍵感は少し緩めだろうか。V字式の傾斜に関しては正直なところ別製品との大きな差は感じなかった。防滴構造は完全に水をシャットアウトするのではなく、排水用の水抜き穴から水滴を排出し、シャットダウンするまでの時間稼ぎをするものとなる。

 タッチパッドは物理的なボタンのない1枚プレート型。15.6型とフットプリントが広く、パームレストも含め十分面積が確保されており操作しやすい。またキーボードにパッドオン/オフがあり、未使用時は誤動作を防ぐことができる。

 振動やノイズは試用した範囲では十分許容範囲内に収まっている。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると左上が若干熱くなるものの、熱が下まで降りて来ないためまったく問題ない。スピーカーは手前の傾斜部分に埋め込まれているため、直接音半分、間接音半分といったところだろうか。基本ノートPC固有のシャリシャリ音でパワーがあと一歩ほしいところ。ビジネス用としては及第点と言った感じか。

メモリがシングルなのでi5-8365U搭載機としては気持ち遅めか

 初回起動時、スタート画面(タブレットモード)は1画面。NECグループがプリインストールされている部分となる。デスクトップはWindows 10標準そのままとシンプルだ。i5/8GB/SSDなので、ストレスもなく操作できる。

 ストレージはSSD 256GBの「SanDisk SD9TB8W256G」。Cドライブのみの1パーティションで約237GBが割り当てられ空き196GB。DVDスーパーマルチドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GUE1N」。Gigabit Ethernet、Wi-Fi、BluetoothはIntel製だ。

スタート画面(タブレットモード)。NECグループがプリインストール
起動時のデスクトップ。Windows 10標準そのままとシンプル
デバイスマネージャー/主要なデバイス。ストレージはSSD 256GBの「SanDisk SD9TB8W256G」。DVDスーパーマルチドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GUE1N」。Gigabit Ethernet、Wi-Fi、BluetoothはIntel製
Cドライブのみの1パーティションで約237GBが割り当てられている

 おもなプリインストールアプリは、「CyberLink Power2Go 8」、「PC設定ツール」、「ウイルスバスタークラウド」、「型番・製造番号表示ユーティリティ」など。「PC設定ツール」は、画面キャプチャからもわかるように、電源系の設定ツールとなっている。キーボード右上にあるECOボタンの機能もここで設定できる。

 なお、指紋センサーやIRカメラを使ったWindows Helloに加え、同社製の「NeoFace Monitor」というのがあり、離席を感知し自動でディスプレイの消灯やスリープモードへ移行する機能も持つ顔認証ソフトウェアが用意されているが、本機には実装されていなかったので試せていない。

PC設定ツール/ホーム
PC設定ツール/バッテリ
PC設定ツール/ECOモード
PC設定ツール/ピークシフト

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下のとおり。

【表2】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.0.2115
PCMark 10 Score3,758
Essentials7,900
App Start-up Score11,043
Video Conferencing Score6,427
Web Browsing Score6,947
Productivity6,239
Spreadsheets Score7,294
Writing Score5,337
Digital Content Creation2,924
Photo Editing Score3,820
Rendering and Visualization Score1,800
Video Editting Score3,636
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,265
Creative Accelarated 3.03,492
Work Accelarated 2.04,795
Storage4,908
3DMark v2.9.6631
Time Spy401
Fire Strike Ultra253
Fire Strike Extreme445
Fire Strike988
Sky Diver4,126
Cloud Gate7,498
Ice Storm Extreme38,588
Ice Storm54,957
CINEBENCH R15
OpenGL39.93 fps
CPU548 cb
CPU(Single Core)169 cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード540.612 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト506.236 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード372.730 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト318.132 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード307.652 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト299.613 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード36.298 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト85.598 MB/s
BBench(ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能)
バッテリ残量5%まで14時間41分39秒

 ちょうど少し前にご紹介したDell「Latitude 7400 2-in-1」も同じプロセッサだったので、メモリがシングルかデュアルかでどの程度の違いが出るか見比べたものの、ほぼすべてのスコアが気持ち低くなっていたが、思っていたほどの差はないようだ。ストレージに関してはNVMeタイプではないので、SSDとしては一般的なスコアになっている。

 バッテリ駆動時間は、ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能で、残5%まで14時間41分39秒。輝度0%では暗いため、少し明るくしたとしても、BBenchでこれだけ持てばECOモードやピークシフトと併用すれば、少なくとも1日の仕事時間中はバッテリのみで運用できそうだ。


 以上のようにNEC「VersaPro VX-5」は、15.6型で光学ドライブを搭載するスタンダードノートPCだ。予算や用途に応じて柔軟にプロセッサや構成などを変更できるのは良いところだろう。V字傾斜や防滴構造のキーボード、ECOボタン、ゼロワットACアダプタ機能なども特徴的だが、価格は少し高めである。業務用途向きで国内メーカーのサポートもつき、安心して使えるという意味では選択肢の1つになるはずだ。