西川和久の不定期コラム
防滴キーボードやエコモードを備えた15.6型ノート「NEC VersaPro VX-5」
2019年9月10日 11:00
NECは7月18日、ビジネス/教育向けPCのVersaPro/Mateのラインナップ強化を発表し、7月23日より順次新モデルの販売を開始した。今回はそのなかから15.6型スタンダートノートPC「VersaPro VX-5」が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。
スタンダードな15.6型ノート
今回ご紹介するVersaPro VX-5は、15.6型で光学ドライブを搭載するスタンダードノートPCだ。見た目や仕様もハデさはなく、業務用という位置づけとなる。とはいえ、V字傾斜や防滴構造のキーボード、ECOボタン、ゼロワットACアダプタ機能など、業務用途で活躍しそうな特徴を備えている。
プロセッサはCore i7からCeleronまでより大きく分けて5モデルあり、今回レビューするのはCore i5-8365U搭載機となる。メモリ8GB、SSD 256GB、フルHD液晶ディスプレイなどで構成。おもな仕様は以下のとおり。
【表1】NEC「VersaPro VX-5」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i5-8365U(4コア/8スレッド、1.6~4.1GHz、キャッシュ 6MB、TDP 15W) |
メモリ | DDR4-2400 8GB SO-DIMM |
ストレージ | SSD 256GB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 10 Pro |
ディスプレイ | 15.6型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)、非光沢、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0 |
インターフェイス | USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0×4(内1つは常時給電)、HDMI、ミニD-Sub15ピン、Webカメラ(IR対応)、SDカードスロット、指紋センサー、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 約8.4~10.2時間(着脱式) |
サイズ/重量 | 約376×254×24.9mm(幅×奥行き×高さ)/約2.2kg |
税別価格 | 281,500円(「VersaPro タイプVX VKM16/X-5」からDVDスーパーマルチドライブ、SSD 256GB、メモリ8GB、フルHD+IR付きを選択) |
プロセッサは第8世代のCore i5-8365U。4コア8スレッドでクロックは1.6GHzから最大4.1GHz。キャッシュは6MB、TDPは15W。メモリはDDR4-2400 8GB。SO-DIMMスロットは2つあり空きが1つ(PCMark 10 System Informationで確認)。シングルチャネルなのでメモリアクセスが遅くなる。なおカスタマイズでは同じ8GBでも8GB×1と4GB×2が選べ、どちらも価格は同じで+3.5万円。昨今の相場を考えるとさすがに高いと言わざる得ない。
ストレージはSSD 256GB。光学ドライブとしてDVDスーパーマルチドライブも内蔵する。OSは64bit版Windows 10 Pro搭載。なおOSに関して教育用は64bit版Windows 10 Home、特定用途向けにWindows 10 IoT Enterprise 2019 LTSCも用意されている。
グラフィックス機能はプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 620。外部出力用としてミニD-sub15ピンとHDMIを装備している。ディスプレイは、非光沢で15.6型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには非対応だ。なお、カスタマイズでHD(1,366×768ドット)かフルHD、そしてWebカメラやIR対応の有無が選択できる。
ネットワーク機能は、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11ac対応。Bluetooth 5.0も内蔵。そのほかのインターフェイスは、USB 3.1 Type-C、USB 3.0×4(内1つは常時給電)、Webカメラ(IR対応)、SDカードスロット、指紋センサー、音声入出力。
サイズ約376×254×24.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.2kg。取り外し可能なバッテリを搭載し、駆動時間は約8.4~10.2時間。価格はカスタマイズで同じ構成として(DVDスーパーマルチドライブ、SSD 256GB、メモリ8GB、フルHD+IR付きを選択)281,500円だった。
なお、同じプロセッサを選択した場合、最小構成(DVD-ROM、HDD 500GB、メモリ4GB、HD+Webカメラなし)で税別価格213,000円となる。参考までにCore i7-8665Uだと258,000円から、Core i5-8265Uだと209,000円から、Core i3-8145Uだと201,500円から、Celeron 4205Uだと170,500円からだ。
筐体はマットブラックで指紋跡などが目立たないようになっている。ただチープとまでは言わないまでも20万円オーバーの機種としては地味で質素過ぎる感じがする。15.6型光学ドライブ内蔵なので重量2kgオーバーは平均的だろうか。
前面のフチは一般的で狭額縁ではない。写真のように180度傾けることができる。パネル中央上にWeb+IRカメラ。左側面に電源入力、Ethernet、ミニD-sub15ピン、HDMI、Type-C、USB 3.0×2(右側が常時給電)、SDカードスロット、音声入出力。右側面にロックポート、USB 3.0、DVDスーパーマルチドライブ。加えて後ろ側面にUSB 3.0を配置している。裏は手前左右のスリットにスピーカー。バッテリは着脱可能だ。
付属ACアダプタのサイズは約92×38×27mm(同)、重量178g、出力20V/2.25A。筐体のわりには小型だ。バッテリは40Wh。
15.6型のディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角ともに良好。非光沢なので長時間運用しても目が疲れにくい。業務用としては十分の品質だと思われる。
キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプ。仕様上はキーピッチ19mm、キーストローク2.4mmと、このタイプとしてはストロークが深めだ。打鍵感は少し緩めだろうか。V字式の傾斜に関しては正直なところ別製品との大きな差は感じなかった。防滴構造は完全に水をシャットアウトするのではなく、排水用の水抜き穴から水滴を排出し、シャットダウンするまでの時間稼ぎをするものとなる。
タッチパッドは物理的なボタンのない1枚プレート型。15.6型とフットプリントが広く、パームレストも含め十分面積が確保されており操作しやすい。またキーボードにパッドオン/オフがあり、未使用時は誤動作を防ぐことができる。
振動やノイズは試用した範囲では十分許容範囲内に収まっている。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると左上が若干熱くなるものの、熱が下まで降りて来ないためまったく問題ない。スピーカーは手前の傾斜部分に埋め込まれているため、直接音半分、間接音半分といったところだろうか。基本ノートPC固有のシャリシャリ音でパワーがあと一歩ほしいところ。ビジネス用としては及第点と言った感じか。
メモリがシングルなのでi5-8365U搭載機としては気持ち遅めか
初回起動時、スタート画面(タブレットモード)は1画面。NECグループがプリインストールされている部分となる。デスクトップはWindows 10標準そのままとシンプルだ。i5/8GB/SSDなので、ストレスもなく操作できる。
ストレージはSSD 256GBの「SanDisk SD9TB8W256G」。Cドライブのみの1パーティションで約237GBが割り当てられ空き196GB。DVDスーパーマルチドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GUE1N」。Gigabit Ethernet、Wi-Fi、BluetoothはIntel製だ。
おもなプリインストールアプリは、「CyberLink Power2Go 8」、「PC設定ツール」、「ウイルスバスタークラウド」、「型番・製造番号表示ユーティリティ」など。「PC設定ツール」は、画面キャプチャからもわかるように、電源系の設定ツールとなっている。キーボード右上にあるECOボタンの機能もここで設定できる。
なお、指紋センサーやIRカメラを使ったWindows Helloに加え、同社製の「NeoFace Monitor」というのがあり、離席を感知し自動でディスプレイの消灯やスリープモードへ移行する機能も持つ顔認証ソフトウェアが用意されているが、本機には実装されていなかったので試せていない。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下のとおり。
【表2】ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v2.0.2115 | |
PCMark 10 Score | 3,758 |
Essentials | 7,900 |
App Start-up Score | 11,043 |
Video Conferencing Score | 6,427 |
Web Browsing Score | 6,947 |
Productivity | 6,239 |
Spreadsheets Score | 7,294 |
Writing Score | 5,337 |
Digital Content Creation | 2,924 |
Photo Editing Score | 3,820 |
Rendering and Visualization Score | 1,800 |
Video Editting Score | 3,636 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 3,265 |
Creative Accelarated 3.0 | 3,492 |
Work Accelarated 2.0 | 4,795 |
Storage | 4,908 |
3DMark v2.9.6631 | |
Time Spy | 401 |
Fire Strike Ultra | 253 |
Fire Strike Extreme | 445 |
Fire Strike | 988 |
Sky Diver | 4,126 |
Cloud Gate | 7,498 |
Ice Storm Extreme | 38,588 |
Ice Storm | 54,957 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 39.93 fps |
CPU | 548 cb |
CPU(Single Core) | 169 cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 540.612 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 506.236 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 372.730 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 318.132 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 307.652 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 299.613 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 36.298 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 85.598 MB/s |
BBench(ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能) | |
バッテリ残量5%まで | 14時間41分39秒 |
ちょうど少し前にご紹介したDell「Latitude 7400 2-in-1」も同じプロセッサだったので、メモリがシングルかデュアルかでどの程度の違いが出るか見比べたものの、ほぼすべてのスコアが気持ち低くなっていたが、思っていたほどの差はないようだ。ストレージに関してはNVMeタイプではないので、SSDとしては一般的なスコアになっている。
バッテリ駆動時間は、ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能で、残5%まで14時間41分39秒。輝度0%では暗いため、少し明るくしたとしても、BBenchでこれだけ持てばECOモードやピークシフトと併用すれば、少なくとも1日の仕事時間中はバッテリのみで運用できそうだ。
以上のようにNEC「VersaPro VX-5」は、15.6型で光学ドライブを搭載するスタンダードノートPCだ。予算や用途に応じて柔軟にプロセッサや構成などを変更できるのは良いところだろう。V字傾斜や防滴構造のキーボード、ECOボタン、ゼロワットACアダプタ機能なども特徴的だが、価格は少し高めである。業務用途向きで国内メーカーのサポートもつき、安心して使えるという意味では選択肢の1つになるはずだ。