西川和久の不定期コラム

Gemini Lake搭載の14型ノート、マウス「m-Book E410/E410SN-S1」

 株式会社マウスコンピューターは5月24日、Gemini Lake CeleronにM.2 SSD+2.5インチストレージを搭載可能な14型ノートPCを発表した。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

Gemini Lake CeleronながらM.2 SSD搭載可能で足回りを強化

 発表された「m-Book E シリーズ」は、プロセッサやパネルなど主要部分は同じで、メモリとストレージ違いで数モデル用意されている。

 一番安価なモデルは4GB/SSD 64GB/42,800円(税別)の「m-Book E410BN」、最上位モデルは8GB/M.2 256GB/HDD 1TB/64,800円(税別)の「m-Book E410XN-M2SH2」。この間に3モデルあり、計5モデルとなっている。

 今回手元に届いたのは4GB/SSD 120GBの「m-Book E410/E410SN-S1」。つい先日、本連載に掲載した同社の11.6型ノートPC「m-Book C100BN」は、Gemini LakeのCeleron N4100だがHDDモデルだったので「SSDで試したかった!」と書いたばかりだが、本機はパネルや内部構成が若干異なるものの、同じGemini Lake Celeron N4100でSSD搭載機となる。

 そういった意味からは、Celeron N4100でSSDだとどうなるかを確認できる絶好の機会となった。おもな仕様は以下の通り。

【表】マウス「m-Book E410/E410SN-S1」の仕様
プロセッサCeleron N4100(4コア4スレッド/1.1GHz~2.4GHz/キャッシュ4MB/TDP 6W)
メモリ4GB/PC4-19200 DDR4 SODIMM、スロット2(空き1)/最大8GB(8GB×1 or 4GB×2)
ストレージSSD 120GB
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ14型HD(1,366×768ドット)、光沢なし、タッチ非対応
グラフィックスIntel UHD Graphics 600、ミニD-sub15ピン、HDMI
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5
インターフェイスUSB 3.0×1、USB 3.0 Type-C×1、USB 2.0×1、
100万画素カメラ、マルチカードリーダ、
音声入出力、ステレオ スピーカー/デュアルアレイマイク
バッテリ駆動時間約6.8時間
サイズ/重量340×243.5×32.1mm(幅×奥行き×高さ)/約1.7kg
価格47,800円(税別)

 プロセッサはGemini LakeのCeleron N4100。4コア4スレッドでクロックは1.1GHzから最大2.4GHz。キャッシュは4MBでTDPは6W。メモリはPC4-19200 DDR4 SODIMMの4GBが1枚。最大8GBだが、スロット自体は2本あり、4GB×2の計8GBか、8GB×1の計8GBが可能だ。前者であればデュアルチャネルでより高速作動が期待できる。

 ストレージは本モデルはSATA接続のSSD 120GB。ただし、内部にはM.2スロットがあり、M.2 SSD+2.5インチHDDの構成が可能になっている。システム的にはメモリとストレージが「m-Book C100BN」との違いとなる。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載する。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 600。外部出力用にミニD-sub15ピンとHDMIを備えている。アナログ接続時最大1,920×1,200ドット、デジタル接続時最大3,840×2,160ドットまで対応。ディスプレイは非光沢14型HD(1,366×768ドット)。タッチには非対応となる。14型の場合、HDがいいかフルHDがいいかは微妙な部分であるが、今回はコスト的にHDとなっていると思われる。

 ネットワークは、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5の全部入り。その他のインターフェイスは、USB 3.0×1、USB 3.0 Type-C×1、USB 2.0×1、100万画素カメラ、マルチカードリーダ、音声入出力、ステレオスピーカー/デュアルアレイマイク。Type-Cも含め一式入っているのはポイントが高い。

 サイズは340×243.5×32.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.7kg。バッテリ駆動時間は約6.8時間。価格は今回の構成で47,800円(税別)となる。内容を考えるとリーズナブルな価格設定だ。

 メモリとストレージのカスタマイズは、一番安価な「m-Book E410BN」は対応しておらず、それ以降のモデルはメモリを8GBへ、ストレージをM.2 SSD 128~1TB、HDD 500~2TBへ変更可能になっている。

前面。パネル中央上に100万画素カメラ。正面側面は鋭角。左側に各ステータスLEDを配置
斜め後ろから。天板はロゴのみ。バッテリは着脱式
左側面はロックポート、HDMI、USB 3.0、USB 3.0 Type-C、音声入出力
右側面はGigabit Ethernet、ミニD-sub15ピン、マルチカードリーダ、USB 2.0
底面。手前左右にスピーカー用のスリット。メモリやストレージにアクセスできる小パネルはない
キーボードはアイソレーションタイプでテンキーなしの87キー日本語キーボード。タッチパッドのボタンは2ボタン式
キーピッチは実測で約19mm(仕様上は約18.75mm)
付属のACアダプタなど。サイズ約87×35×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量153g。出力19V/2.1A。バッテリの重量は211g
重量(本体)は実測で1,612g
横から。パネルの下側が足替わりになり少しキーボードを傾けている

 筐体は濃いめのシルバーとブラックでプラスティック製だ。さすがにこの価格帯だと高級感がないのは仕方ないところか。重量は実測で約1.6kg。仕様上の1.7kgより若干軽い。14型の筐体なので、それなりに大きく、見た目とのバランスも取れているため、持ち上げてズッシリ重いと言う感じもない。

 前面は、パネル中央上に100万画素カメラ。正面側面は鋭角だが左側に各ステータスLED。左側面は、ロックポート、HDMI、USB 3.0、USB 3.0 Type-C、音声入出力。右側面にEthernet、ミニD-sub15ピン、マルチカードリーダ、USB 2.0を配置。裏は、手前にスピーカー用のスリットが左右にある。

 付属のACアダプタはサイズ87×35×25mm、重量153g。出力19V/2.1A。バッテリは着脱式で重量は211g。14型なので持ち運び可能。バッテリ駆動時間に不安があれば、もう1本カバンへ入れれば何とかなる。

 14型のディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角、すべてクラス相当だが、実用レベルとしては問題ない範囲だ。輝度最小でも暗い室内であれば操作できる明るさとなる。加えて非光沢なので映り込みも少なく目に優しい。またパネルの下側が、ある角度以降は足替わりになり、後ろが少し高くなる。このサイズになるとキーボードは傾いている方が入力しやすい。

 キーボードは、アイソレーションタイプでテンキーなしの87キー日本語キーボードだ。仕様上はピッチ約18.75mm、ストローク約1.8mm。クリック感があり、割としっかり打てる。右側の「」/「[」/「]」キーなどはピッチが倍ほどあるが、目くじら立てるほどでもないだろう。タッチパッドのボタンは2ボタン式。14型なのでパームレストも含め、それなりにフットプリントがあり、必要十分な面積が確保されている。

 振動やノイズは、試用した範囲ではとくに気にならなかった。発熱は、ベンチマークテストなど負荷をかけると、キーボード左側と、右キーボード手前が若干暖かくなる(左側の方が温度的に高い)。サウンドは、パワーもなく、シャリシャリ音だ。画像や音楽を楽しむ時には別途スピーカーを用意した方がよい。

SSD搭載で快適な作動

 OSは64bit版のWindows 10 Home。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。ユーザーサポートにあるPDFのマニュアル2点が追加されている。デスクトップは壁紙のみの変更とシンプルだ。

 Gemini Lake CeleronとSSDのコンビネーションだが、やはり体感速度は大幅に変わり、ストレスなく操作できる。とくに初期起動直後は、大量のストアアプリのアップデートとWindows Updateがあるのだが、明らかにHDDモデルよりも早く終わる。もちろん、ブートやアプリの起動も速い。テキストレベルの作業が中心であれば十分に使える環境と言えよう。

 ストレージはSATA接続120GB SSDの「KINGSTON RBU-SC152DS37120GH」。C:ドライブのみの1パーティションで約110GBが割り当てられ空き94.8GB。Wi-FiとBluetoohはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製だ。

スタート画面(タブレットモード)。1画面。ユーザーサポートにあるPDFのマニュアル2点が追加されている
起動時のデスクトップ。壁紙の変更のみとシンプル
ストレージはSATA接続120GB SSDの「KINGSTON RBU-SC152DS37120GH」。Wi-FiとBluetoohはIntel製、Gigabit EthernetはRealTek製
C:ドライブのみの1パーティションで約110GBが割り当てられている

 プリインストールのソフトウェアは、マカフィー リブセーフ(60日体験版)と、同社お馴染みPDFの「Windows 10ユーザーガイド」と「ハードウェアマニュアル」2点。そのほかはデバイス系のツールと、ほぼ素のWindows状態となっている。

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下の通り。

PCMark 10 v1.0.1457
PCMark 10 Score1,740
Essentials4,817
App Start-up Score5,224
Video Conferencing Score4,624
Web Browsing Score4,628
Productivity2,759
Spreadsheets Score3,192
Writing Score2,385
Digital Content Creation1,077
Photo Editing Score1,080
Rendering and Visualization Score774
Video Editting Score1,498
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.02,019
Creative Accelarated 3.01,714
Work Accelarated 2.03,234
Storage4,859
3DMark v2.4.4264
Time Spyn/a
Fire Strike Ultran/a
Fire Strike Extremen/a
Fire Strike367
Sky Diver1,324
Cloud Gate3,037
Ice Storm Extreme20,270
Ice Storm36,167
CINEBENCH R15
OpenGL19.38 fps
CPU238 cb
CPU(Single Core)72 cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード560.739 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト478.634 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード321.830 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト335.566 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード124.278 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト82.253 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード24.981 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト55.540 MB/s
BBench(ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能)
バッテリ残量6%まで7時間59分04秒(仕様では約6.8時間)

 プロセッサがプロセッサなのでスコアはそれなり。冒頭で書いた気になるSSDとHDDとの差であるが、「m-Book C100BN」と比較した場合、PCMark 10 Score 1,740 vs 1,554。Home Accelarated 3.0 2,019 vs 1,964。CINEBENCH R15に関しては当たり前だが(ほぼ)同じスコアだった。

 ここだけ見るとあまり差がないものの、App Start-up Score 5,224 vs 2,544、Storage 4,859 vs 2,114と、ストレージに関わる部分は大差が付いている。また今回メモリが4GB×1だったので、4GB×2にするとデュアルチャネルになり、GPUも含め更に差が出る可能性もある。こうなると、デュアルチャネルでストレージがM.2 SSDだとどうなるか、試してみたい気分になる(笑)。

 いずれにしてもサイズより、Gemini Lake Celeron N4100で出来るだけハイパフォーマンスを目指すなら「m-Book E シリーズ」となるだろうか。

 バッテリ駆動時間は、仕様上の約6.8時間を少し上回り約8時間。輝度を50%以上にすると、少し落ち込みほぼ同じになりそうだ。

 以上のようにマウス「m-Book E410/E410SN-S1」は、14型の筐体にGemini LakeのCeleron N4100、4GB、SSD 120GBを搭載したノートPCだ。プロセッサがCeleronとは言え、ストレージがSSDなので快適に操作できる。さらに予算に応じて8GBやM.2 SSDとHDDのデュアルストレージも選択可能。利用範囲に幅ができる。

 仕様上とくに気になる部分もなく、安価でGemini LakeのCeleronを快適に使えるノートPCを探しているユーザーにお勧めできる逸品だ。