西川和久の不定期コラム

Core i7/GeForce搭載のASUS製15.6型4Kノート「X570UD」

X570UD

15.6型4K液晶に強力なCPU/GPUを搭載

 ASUSは3月20日、15.6型で4K対応、GeForce GTX 1050搭載のノートPC「X570UD」を発表し、23日より販売を開始した。

 現在、同社のWebサイトを見ると、ZenBook、ZenBook Pro、ZenBook 3、ASUSノートPC、ゲーミング、Chromebook、VivoBook、FX / ZX、X、E、N……などと、多数のノートPCのシリーズを用意している。

 今回のX570UDは「ASUSノートPC」に属しており、第8世代Core i7、GeForce GTX 1050、15.6型4K液晶、メモリ16GB、ストレージSSD+HDDと、一般用途でのノートPCとしては、かなりハイスペックな構成のマシンだ。

 おもな仕様は以下のとおり。

【表1】ASUS「X570UD」の仕様
プロセッサCore i7-8550U(4コア8スレッド/1.8~4GHz/キャッシュ8MB/TDP 15W)
メモリ16GB/DDR4-2400
ストレージ256GB SSD+1TB HDD
OSWindows 10 Home
ディスプレイ15.6型3,840×2,160ドット(4K)、光沢なし、タッチ非対応
グラフィックスIntel UHD Graphics 620+GeForce GTX 1050(4GB)
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1
インターフェイスUSB 3.0×2(1基はType-C)、USB 2.0×2、30万画素カメラ、microSDカードスロット、HDMI出力、音声入出力
バッテリ/駆動時間3セルリチウムイオン(48Wh)/約4.1時間
サイズ/重量374.6×256×21.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.9kg
税別価格169,800円

 プロセッサは、Kaby Lake R世代のCore i7-8550U。4コア8スレッドでクロックは1.8GHzから最大4GHz。キャッシュは8MBでTDPは15W。現在、最上位にi7-8650Uがあるものの、モバイル用としては強力なSKUだ。メモリはDDR4-2400で16GB。ストレージは256GB SSD+1TB HDD。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載する。

 ディスプレイは非光沢の15.6型4K(3,840×2,160ドット)。タッチには非対応だ。資料によると、NTSC 72%、sRGB 100%の広色域、視野角178度。解像度に加え、色域も広い。グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel UHD Graphics 620と、PascalアーキテクチャのGeForce GTX 1050(4GB)を搭載。状況に応じてGPUがシームレスに切り替わるOptimus対応だ。外部出力はHDMIを1ポート装備。

 ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11ac対応。Bluetooth 4.1内蔵。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0 Type-C、USB 3.0、USB 2.0×2、30万画素カメラ、microSDカードスロット、音声入出力。

 サイズは374.6×256×21.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.9kg。これだけの内容に関わらず、21.9mmの薄さに加え、ギリギリ2kgを切っている。3セルリチウムイオン(48Wh)を内蔵し、駆動時間は約4.1時間。税別価格は169,800円。これだけのパーツ構成なら納得の価格だろう。

パネル中央上に30万画素カメラ。正面側面にはなにもない
ヘアライン仕上げは横と斜めから。中央にロゴ。アクセントカラーのエメラルドグリーンは、このロゴとパネル周囲に入っている
ロックポート、USB 2.0×2、音声入出力。パネルはこの角度が最大
電源入力、Gigabit Ethernet、USB 3.0、HDMI、Type-C、microSDカードスロット
底面は4つのゴム足、前左右のスリットにスピーカー
キーボードはテンキー付き。タッチパッドは1枚プレート型
キーピッチは実測で約19mm。テンキー部分のキーピッチが狭い
キーボードバックライトは、オフ+3段階の明るさに対応
ACアダプタのサイズは約155×75×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量453g、出力19V/6.32A
本体重量は実測で1,928g

 筐体はオールブラック。ロゴやパネル周囲などはアクセントカラーとして、エメラルドグリーンが用いられている。天板は横方向、左右斜め方向とヘアライン仕上げになっており独特の雰囲気だ。ただ全体的に金属素材ではないため、アルミ削り出しなどと比べると高級感は今一歩。

 ロゴは一見、LEDかなにかで光りそうだがそのような仕掛けはない。特筆すべきは、ディスクリートGPU搭載で21.9mmの薄さ。加えてギリギリ2kgを切っているので、持ち運びも不可能ではない。

 前面はパネル中央上に30万画素カメラ。左側面にロックポート、USB 2.0×2、音声入出力。右側面に電源入力、Gigabit Ethernet、USB 3.0、HDMI、USB 3.0 Type-C、microSDカードスロットを配置。裏は4つのゴム足と前左右のスリットにスピーカー。バッテリは内蔵式で着脱できない。

 付属のACアダプタは、約155×75×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量453g、出力19V/6.32A。出力が高いだけにサイズも大きく重い。

 15.6型4Kパネルは、明るさ、コントラスト、視野角、発色、すべて良好。久々に高品質のパネルを見た感じだ。加えて非光沢なので視認性が高い。文字なども画素密度が高いため非常に綺麗。これを見てしまうと15.6型でフルHDが荒く見えてしまう。

 同社のWebサイトには「この映像の美しさに、力強さに。一瞬で引き込まれる。」と書かれているが、まさにそんな感じだ。

 キーボードはテンキー付きで、3段階のキーボードバックライトに対応している。主要キーのキーピッチは約19mm。テンキーは全体的にキーピッチがせまくなっているものの、ほかに気になる部分はない。キーストロークは1.4mmを確保しており、打鍵感も良好で一般的なアイソレーションタイプとは一味違う快適さだ。タッチパッドは1枚プレート型。パームレストも含め十分面積が確保されている。

 振動やファンによるノイズは、ベンチマーク中も含めほとんど感じなかった。また発熱も「ASUS IceCoolテクノロジー」によって人肌程度に制御しているため、まったく気にならないレベルだ。あえて言えば、負荷をかけるとキーボード上にあるスリット部分が若干熱を持つ程度だろうか。

 サウンドは、ASUSのオーディオ専門部隊である「Golden Ear」チームが開発に携わった「ASUS Sonic Master テクノロジー」を採用。また「ASUS AudioWizard」を使い、好みの音色に調整できる。確かにこのクラスとしてはバランスも良く、奥行きも感じる。ただし、パワーはさらにほしいところ。ノートPCとしては悪くないほうだ。

ゲーミングノートPC並みの高性能

 OSは64bit版Windows 10 Home。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。「ASUS 1」と「ASUS 2」のグループがプリインストールされているアプリ群だ。デスクトップは壁紙の変更のみ、左側もごみ箱しかなくシンプル。

 ストレージはC:ドライブが256GB SSDの「SanDisk SD9SN8W256G」、D:ドライブが1TB/5400rpm/128MB HDDの「Seagate ST1000LM35」。それぞれ約237GBと約931GBが割り当てられ、C:ドライブの空きは202GB。D:ドライブはなにもデータがない空の状態だった。

 GeForce GTX 1050はGDDR5でメモリ容量は4,096MB搭載、CUDAコアは640基。そのほか、Gigabit Ethernet、Wi-Fi、BluetoothはすべてRealtek製だ。

スタート画面(タブレットモード)。「ASUS 1」と「ASUS 2」のグループがプリインストールのアプリ群
デスクトップは壁紙の変更されている
デバイスマネージャー/主要なデバイス。ストレージはC:ドライブが256GB SSDの「SanDisk SD9SN8W256G」、D:ドライブが1TB/5400rpm/128MB HDDの「Seagate ST1000LM35」。Gigabit Ethernet、Wi-Fi、BluetoothはすべてRealtek製
ストレージのパーティション。C:ドライブ(SSD)約237GB。D:ドライブ(HDD)約931GBが割り当てられている
NVIDIAコントロールパネル。CUDAコア640基、メモリ4,096MB/GDDR5

 プリインストールされているソフトウェアは、ASUSフォルダに「ASUS Hello」、「ASUS Install」、「ASUS Live Update」、「Splendid Utility」、「WinFlash」。「ASUS Battery Health Charging」、「ASUS GIFIBOX」、「ASUS Product Registration」、「My ASUS Service Center」。

 「Dolby Access」、「AudioWizard」、「i-フィルタ6.0」、「McAfee Security」、「McAfee WebAdvisor」、「McAfee リブセーフ」、「PhotoDirector8 for ASUS」、「PowerDirector14 for ASUS」、「WPS Presentation/Spredsheets/Writer」など。

 同社おなじみのツール系に加え、セキュリティ系、写真/動画編集系、Office系と、ひととおり入っている。

 ASUS Battery Health Chargingは、用途に応じてバッテリの劣化を軽減できるユーティリティだ。フルキャパシティモード、バランスモード、マックスライフモードと3モードあり、順に100%充電可能、80%の充電レベルを維持、60%の充電レベルを維持の切替ができる。

 加えて、「ASUS Fast Chargeテクノロジー」と呼ばれる、49分で0%から60%充電できる急速充電にも対応している。

Splendid Utility
ASUS Battery Health Charging
ASUS Live Update
AudioWizard/Advanced

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBenchを使用した。結果は以下のとおり。

【表2】ASUS「X570UD」のベンチマーク結果
PCMark 10 v1.0.1457
PCMark 10 Score3,977
Essentials7,183
App Start-up Score9,220
Video Conferencing Score5,949
Web Browsing Score6,758
Productivity5,717
Spreadsheets Score7,143
Writing Score4,576
Digital Content Creation4,157
Photo Editing Score3,916
Rendering and Visualization Score4,436
Video Editting Score4,137
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,425
Creative Accelarated 3.04,791
Work Accelarated 2.04,043
Storage4,842
3DMark v2.4.4264
Time Spy1,800
Fire Strike Ultra1,126
Fire Strike Extreme2,632
Fire Strike5,353
Sky Diver14,573
Cloud Gate13,760
Ice Storm Extreme36,117
Ice Storm23,857
CINEBENCH R15
OpenGL99.84 fps
CPU709 cb
CPU(Single Core)174 cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード558.652 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト519.812 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード396.354 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト303.891 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード197.571 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト184.535 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード26.581 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト55.127 MB/s
BBench(キーボードバックライト/ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリ節約機能)
バッテリ残量5%まで6時間11分04秒(仕様では約4.1時間)

 結果はご覧のとおりで、プロセッサやSSDによる高速性はもちろん、グラフィックスもゲーミングノートPC並だ。

 本機の特性上、ディスクリートGPUを使いたい層向けなのでACアダプタ駆動がおもだと思うが、バッテリ駆動時間はCPU内蔵GPU駆動だと仕様より2時間伸び、約6時間。輝度最小でもそれなりに明るく暗い室内であれば十分実用的だ。


 以上のとおり、ASUSのX570UDは15.6型4K液晶を備え、通常用途を想定したPCとしてはかなりハイスペックな製品だ。性能面、画質面、キーボードやサウンドなども申し分ない。筐体の質感は今一歩な点は惜しいものの、仕様的に気になる部分もなく、4Kで持ち歩き可能、ディスクリートGPU搭載のハイパワーノートPCを探しているユーザーにおすすめしたい1台と言えよう。