西川和久の不定期コラム
Core i7/GeForce搭載のASUS製15.6型4Kノート「X570UD」
2018年3月28日 11:00
15.6型4K液晶に強力なCPU/GPUを搭載
ASUSは3月20日、15.6型で4K対応、GeForce GTX 1050搭載のノートPC「X570UD」を発表し、23日より販売を開始した。
現在、同社のWebサイトを見ると、ZenBook、ZenBook Pro、ZenBook 3、ASUSノートPC、ゲーミング、Chromebook、VivoBook、FX / ZX、X、E、N……などと、多数のノートPCのシリーズを用意している。
今回のX570UDは「ASUSノートPC」に属しており、第8世代Core i7、GeForce GTX 1050、15.6型4K液晶、メモリ16GB、ストレージSSD+HDDと、一般用途でのノートPCとしては、かなりハイスペックな構成のマシンだ。
おもな仕様は以下のとおり。
【表1】ASUS「X570UD」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-8550U(4コア8スレッド/1.8~4GHz/キャッシュ8MB/TDP 15W) |
メモリ | 16GB/DDR4-2400 |
ストレージ | 256GB SSD+1TB HDD |
OS | Windows 10 Home |
ディスプレイ | 15.6型3,840×2,160ドット(4K)、光沢なし、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620+GeForce GTX 1050(4GB) |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1 |
インターフェイス | USB 3.0×2(1基はType-C)、USB 2.0×2、30万画素カメラ、microSDカードスロット、HDMI出力、音声入出力 |
バッテリ/駆動時間 | 3セルリチウムイオン(48Wh)/約4.1時間 |
サイズ/重量 | 374.6×256×21.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.9kg |
税別価格 | 169,800円 |
プロセッサは、Kaby Lake R世代のCore i7-8550U。4コア8スレッドでクロックは1.8GHzから最大4GHz。キャッシュは8MBでTDPは15W。現在、最上位にi7-8650Uがあるものの、モバイル用としては強力なSKUだ。メモリはDDR4-2400で16GB。ストレージは256GB SSD+1TB HDD。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載する。
ディスプレイは非光沢の15.6型4K(3,840×2,160ドット)。タッチには非対応だ。資料によると、NTSC 72%、sRGB 100%の広色域、視野角178度。解像度に加え、色域も広い。グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel UHD Graphics 620と、PascalアーキテクチャのGeForce GTX 1050(4GB)を搭載。状況に応じてGPUがシームレスに切り替わるOptimus対応だ。外部出力はHDMIを1ポート装備。
ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11ac対応。Bluetooth 4.1内蔵。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0 Type-C、USB 3.0、USB 2.0×2、30万画素カメラ、microSDカードスロット、音声入出力。
サイズは374.6×256×21.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.9kg。これだけの内容に関わらず、21.9mmの薄さに加え、ギリギリ2kgを切っている。3セルリチウムイオン(48Wh)を内蔵し、駆動時間は約4.1時間。税別価格は169,800円。これだけのパーツ構成なら納得の価格だろう。
筐体はオールブラック。ロゴやパネル周囲などはアクセントカラーとして、エメラルドグリーンが用いられている。天板は横方向、左右斜め方向とヘアライン仕上げになっており独特の雰囲気だ。ただ全体的に金属素材ではないため、アルミ削り出しなどと比べると高級感は今一歩。
ロゴは一見、LEDかなにかで光りそうだがそのような仕掛けはない。特筆すべきは、ディスクリートGPU搭載で21.9mmの薄さ。加えてギリギリ2kgを切っているので、持ち運びも不可能ではない。
前面はパネル中央上に30万画素カメラ。左側面にロックポート、USB 2.0×2、音声入出力。右側面に電源入力、Gigabit Ethernet、USB 3.0、HDMI、USB 3.0 Type-C、microSDカードスロットを配置。裏は4つのゴム足と前左右のスリットにスピーカー。バッテリは内蔵式で着脱できない。
付属のACアダプタは、約155×75×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量453g、出力19V/6.32A。出力が高いだけにサイズも大きく重い。
15.6型4Kパネルは、明るさ、コントラスト、視野角、発色、すべて良好。久々に高品質のパネルを見た感じだ。加えて非光沢なので視認性が高い。文字なども画素密度が高いため非常に綺麗。これを見てしまうと15.6型でフルHDが荒く見えてしまう。
同社のWebサイトには「この映像の美しさに、力強さに。一瞬で引き込まれる。」と書かれているが、まさにそんな感じだ。
キーボードはテンキー付きで、3段階のキーボードバックライトに対応している。主要キーのキーピッチは約19mm。テンキーは全体的にキーピッチがせまくなっているものの、ほかに気になる部分はない。キーストロークは1.4mmを確保しており、打鍵感も良好で一般的なアイソレーションタイプとは一味違う快適さだ。タッチパッドは1枚プレート型。パームレストも含め十分面積が確保されている。
振動やファンによるノイズは、ベンチマーク中も含めほとんど感じなかった。また発熱も「ASUS IceCoolテクノロジー」によって人肌程度に制御しているため、まったく気にならないレベルだ。あえて言えば、負荷をかけるとキーボード上にあるスリット部分が若干熱を持つ程度だろうか。
サウンドは、ASUSのオーディオ専門部隊である「Golden Ear」チームが開発に携わった「ASUS Sonic Master テクノロジー」を採用。また「ASUS AudioWizard」を使い、好みの音色に調整できる。確かにこのクラスとしてはバランスも良く、奥行きも感じる。ただし、パワーはさらにほしいところ。ノートPCとしては悪くないほうだ。
ゲーミングノートPC並みの高性能
OSは64bit版Windows 10 Home。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。「ASUS 1」と「ASUS 2」のグループがプリインストールされているアプリ群だ。デスクトップは壁紙の変更のみ、左側もごみ箱しかなくシンプル。
ストレージはC:ドライブが256GB SSDの「SanDisk SD9SN8W256G」、D:ドライブが1TB/5400rpm/128MB HDDの「Seagate ST1000LM35」。それぞれ約237GBと約931GBが割り当てられ、C:ドライブの空きは202GB。D:ドライブはなにもデータがない空の状態だった。
GeForce GTX 1050はGDDR5でメモリ容量は4,096MB搭載、CUDAコアは640基。そのほか、Gigabit Ethernet、Wi-Fi、BluetoothはすべてRealtek製だ。
プリインストールされているソフトウェアは、ASUSフォルダに「ASUS Hello」、「ASUS Install」、「ASUS Live Update」、「Splendid Utility」、「WinFlash」。「ASUS Battery Health Charging」、「ASUS GIFIBOX」、「ASUS Product Registration」、「My ASUS Service Center」。
「Dolby Access」、「AudioWizard」、「i-フィルタ6.0」、「McAfee Security」、「McAfee WebAdvisor」、「McAfee リブセーフ」、「PhotoDirector8 for ASUS」、「PowerDirector14 for ASUS」、「WPS Presentation/Spredsheets/Writer」など。
同社おなじみのツール系に加え、セキュリティ系、写真/動画編集系、Office系と、ひととおり入っている。
ASUS Battery Health Chargingは、用途に応じてバッテリの劣化を軽減できるユーティリティだ。フルキャパシティモード、バランスモード、マックスライフモードと3モードあり、順に100%充電可能、80%の充電レベルを維持、60%の充電レベルを維持の切替ができる。
加えて、「ASUS Fast Chargeテクノロジー」と呼ばれる、49分で0%から60%充電できる急速充電にも対応している。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBenchを使用した。結果は以下のとおり。
【表2】ASUS「X570UD」のベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v1.0.1457 | |
PCMark 10 Score | 3,977 |
Essentials | 7,183 |
App Start-up Score | 9,220 |
Video Conferencing Score | 5,949 |
Web Browsing Score | 6,758 |
Productivity | 5,717 |
Spreadsheets Score | 7,143 |
Writing Score | 4,576 |
Digital Content Creation | 4,157 |
Photo Editing Score | 3,916 |
Rendering and Visualization Score | 4,436 |
Video Editting Score | 4,137 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 3,425 |
Creative Accelarated 3.0 | 4,791 |
Work Accelarated 2.0 | 4,043 |
Storage | 4,842 |
3DMark v2.4.4264 | |
Time Spy | 1,800 |
Fire Strike Ultra | 1,126 |
Fire Strike Extreme | 2,632 |
Fire Strike | 5,353 |
Sky Diver | 14,573 |
Cloud Gate | 13,760 |
Ice Storm Extreme | 36,117 |
Ice Storm | 23,857 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 99.84 fps |
CPU | 709 cb |
CPU(Single Core) | 174 cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 558.652 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 519.812 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 396.354 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 303.891 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 197.571 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 184.535 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 26.581 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 55.127 MB/s |
BBench(キーボードバックライト/ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリ節約機能) | |
バッテリ残量5%まで | 6時間11分04秒(仕様では約4.1時間) |
結果はご覧のとおりで、プロセッサやSSDによる高速性はもちろん、グラフィックスもゲーミングノートPC並だ。
本機の特性上、ディスクリートGPUを使いたい層向けなのでACアダプタ駆動がおもだと思うが、バッテリ駆動時間はCPU内蔵GPU駆動だと仕様より2時間伸び、約6時間。輝度最小でもそれなりに明るく暗い室内であれば十分実用的だ。
以上のとおり、ASUSのX570UDは15.6型4K液晶を備え、通常用途を想定したPCとしてはかなりハイスペックな製品だ。性能面、画質面、キーボードやサウンドなども申し分ない。筐体の質感は今一歩な点は惜しいものの、仕様的に気になる部分もなく、4Kで持ち歩き可能、ディスクリートGPU搭載のハイパワーノートPCを探しているユーザーにおすすめしたい1台と言えよう。