西川和久の不定期コラム
NEC PC「LAVIE Note NEXT(NX850/JA)」
~15.6型の主力2スピンドルスタンダードノートPCを再定義!
2017年10月27日 11:00
NECは10月17日、主力である15.6型の新型ノートPC「LAVIE Note NEXT」を発表し、販売を開始した。
モデル名にNEXTの文字があることからも分かるように、次世代を担うノートPCという位置づけ。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
第8世代Kaby Lake RのCore iを搭載
本機のコンセプトなどは、既報(NEC PC、売れ筋の15.6型ノートをゼロから再定義した「LAVIE Note NEXT」)に詳しく載っているのでそちらを参考にして欲しいが、デザイン、速さ、ユーザー体験を一新したノートPCだ。
デザインは、シンプルかつ、従来機種と比較してフットプリント85%に削減。速さは第8世代プロセッサにPCIe SSDもしくはSSHDを採用。ユーザー体験ではキーボードの見直し……といった、NEXTに相応しい改良が施されている。
「NX850/JA」、「NX750/JA」、「NX550/JA」の3モデルが用意され、パネルやインターフェイス系は共通だが、プロセッサ、メモリ、ストレージの仕様が異なる。今回届いたのは最上位モデルの「NX850/JA」。主な仕様は以下の通りだ。
仕様 | NEC「LAVIE Note NEXT(NX850/JA)」 |
---|---|
プロセッサ | Core i7-8550U(4コア/8スレッド、1.8GHz/4.0GHz、cache 8MB、TDP 15W) |
メモリ | DDR4 SDRAM/SO-DIMM 4GB×2、PC4-19200、デュアルチャネル対応/最大32GB |
ストレージ | SSD 128GB(PCIe)+HDD 1TB(5,400rpm) |
光学ドライブ | BDドライブ |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
ディスプレイ | 15.6型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)、光沢あり、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel HD Graphics 620/HDMI |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1 |
インターフェイス | USB 3.0×2、USB 3.1 Type-C×1、92万画素カメラ、SDカードリーダ、指紋センサー(Windows Hello対応)、音声入出力、内蔵ステレオスピーカ(2W+2W) |
バッテリ駆動時間 | 約7.3時間 |
サイズ(幅×奥行き×高さ)/重量 | 361×243×25mm/約2.3kg |
カラー | グレイスブラックシルバー、グレイスホワイト、グレイスゴールド |
その他 | ブルーLEDマウス(Bluetooth)、Office Home & Business Premium プラス Office 365サービス |
税別店頭予想価格 | 209,800円前後 |
プロセッサは、第8世代Kaby Lake-RのCore i7-8550U。4コア8スレッドで、クロックは1.8GHzから4.0GHz。キャッシュは8MB、TDPは15W。
現在モバイル用第8世代のCore i7としてはCore i7-8650UがSKUとして存在するが、最上位に近いものとなる。
メモリはPC4-19200のSO-DIMM 4GB×2の計8GB。2スロットあり、空きは0。デュアルチャネル対応で最大32GB搭載可能だ。ストレージはPCIe接続の128GB SSDと5,400rpmの1TB HDD。BDドライブも搭載している。OSは64bit版のWindows 10 Home。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 620。外部出力用としてHDMIを装備。ディスプレイは光沢ありの狭額縁、15.6型IPS式でフルHD(1,920x1,080ドット)。この狭額縁によって、従来機種と比較して85%のフットプリントを実現している。タッチには非対応だ。
ネットワークは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1。有線LANはない。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 3.1 Type-C×1、92万画素カメラ、SDカードリーダ、指紋センサー、音声入出力、内蔵ステレオスピーカ(2W+2W)。指紋センサーはWindows Hello対応だ。
個人的にGigabit Ethernetがないのは残念だが、USB 3.0があるので、必要に応じてアダプタを付ければ何とかなるため、目くじら立てるほどでもないだろう。
カラーバリエーションは、グレイスブラックシルバー、グレイスホワイト、グレイスゴールドの3色。
サイズは361×243×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.3kg。バッテリ駆動時間は約7.3時間。
Bluetooth接続のブルーLEDマウスと、Office Home & Business Premium プラス Office 365サービス込みで、税別店頭予想価格は209,800円前後となる。
なお、「NX750/JA」は、この構成からストレージを1TB SSHDに変更したモデルで199,800円前後。「NX550/JA」は、Core i5-8250U/4GB/1TB HDDで179,800円前後だ。
今回手元に届いたのは「グレイスホワイト」で、裏と側面はブラック、ほかはすべてマット調のホワイトで非常に綺麗だ。
汚れは目立つだろうが、これだけ綺麗だと何時も手入れしたくなるだろう。サイズは361×243×25mm(同)なので、15.6型として少し小さめか。ただし、重量は約2.3kgなので、それなりに重い。
前面はパネル中央上にWebカメラ、正面側面右にPower/バッテリLED。左側面は電源入力、HDMI、USB 3.1 Type-C、SDカードリーダ、音声入出力。右側面はBDドライブ、USB 3.0×2、電源ボタンを配置。
電源ボタンはWindows Hello対応の指紋センサーを兼ねており、ワンタッチでログインできる。
裏は小さいパネルがネジ1本で外れ、PCIe SSD、メモリ×2、HDD、バックアップ電池などへ簡単にアクセスでき、メンテナンス性が高い。最近はあまりこのタイプのものを見かけないので、珍しい設計だ。ただしバッテリは内蔵で着脱できない。
付属のACアダプタはサイズは約105×45×30mm(同)、重量233g、出力20V/3.25A。Bluetooth接続のマウスは単3形電池1本で駆動する。
15.6型のディスプレイはIPS式で、視野角は広く、明るさ、コントラスト、発色もかなり良い。またバックライト最小でも(少し暗めの)室内であれば普通に使える明るさだ。
見直しの入ったキーボードは、テンキー付きのアイソレーションタイプ。フットプリントが十分広いので、歪な並びはなく、ソフトタッチでストロークも浅め、そして打鍵音がほとんどしない。加えて耐久性を高めたUVコーティングで、印字が消えにくくなっている。
これはこれで好みの人も多いと思うが、古いThinkPadのキーボードが好き(笑)な筆者には、あまりタイプではないキーボードだった。この辺りは個人差があると思うので、気になる人は量販店などで実機を触って確認して欲しい。
タッチパッドはボタンのない1枚プレート型。滑りも反応も良く、扱いやすい。
ノイズは、サイドスリットに耳を当てるとファンの低い音とエアーが出るものの、許容範囲。振動もとくにない。
発熱も(季節柄もあるだろうが)左(少し上)側が若干暖かくなる程度だ。PCMark 8 バージョン2作動時、プロセッサの温度が40℃から72℃程度と割と低めで、熱処理は十分施されていると思われる。
サウンドは2W+2Wのスピーカーを内蔵、加えてYAMAHA AudioEngineを搭載している。このクラスとしてはなかなかの鳴りっぷりだが、あと一歩パワーが欲しいところだ。
winsat formal総合 8の爆速ノートPC
OSは64bit版のWindows 10 Home。Core i7でメモリ8GB、PCIe SSDということもあり、OSやアプリの起動も速く快適に操作できる。後半のベンチマークテストをご覧いただきたいが、とくにSSDが爆速だ。
初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。NECグループが2つあり、6つと18のアプリが登録されている。
デスクトップは壁紙の変更と左側にショートカットを2つ追加。最近スタート画面にせよ、デスクトップにせよ、どちらかといえばほぼ素のWindowsに近い状態の機種が多いのだが、この辺りが国産っぽいと言えば国産っぽい。
ストレージはPCIe接続の128GB SSD「SAMSUNG MZVLW128」と、1TB/5,400rpm/128MBのHDD「ST1000LM035」。Cドライブは118GB割り当てられ、空き約70.4GB。Dドライブは931GB全て空き。
BDドライブは「HL-DT-ST BD-RE BU50N」。Wi-FiとBluretoothはRealtek製だ。
プリインストールずみのソフトウェアは、「Corel PaintPhop Pro X8 for NEC」、「CyberLink PowerDVD」、「CyberLink MediaShow」、「CyberLink Power2Go 8」、「ebiReader」、「HiGrand Music Player V2」、「Info.Board」、「JSバックアップ」、「LAVIEアシスト」、「LAVIEアップデート」、「LAVIEかんたん設定」、「LAVIEチャンネル」、「My Time Line」、「パーティション設定ツール」、「Restore Database」、「SmartVision/Player」、「インフォボードコネクト」、「ウィルスバスタークラウド」、「おてがるバックアップ」、「オンラインアルバム My History」、「再セットアップメディア作成ツール」、「ネットで年賀状」、「はじめの設定」、「パソコンのいろは」、「バッテリ・リフレッシュ&診断ツール」、「ファイナルパソコンデータ引越し」、「筆ぐるめ24」、「マウス接続設定」、「らくらく無線スタートEX」。
メディア、情報、セキュリティ、バックアップ、設定、年賀状、ツール……など、至れり尽くせり。個人的には、ここまで必要なのかと思うほど盛りだくさんの内容になっている。
ほぼ名前から想像できたり、著名な市販アプリなので説明の必要はないと思うが、一見畑違いに見える「Restore Database」は、「PaintPhop Pro」関連のデータベース復元ツールだった。一方、「HiGrand Music Player V2」はハイレゾ対応のプレイヤーだ。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、CrystalDiskMark。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(4コア8スレッドと条件的に問題があるので参考まで)。
winsat formalの結果は、総合 8。プロセッサ 8.4、メモリ 8.4、グラフィックス 8、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.95。メモリのバンド幅は25,458.27932MB/s。PCMark 8 バージョ2/Home acceleratedは4,007。
CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 3,099/Write 799.7、4K Q32T1 Read 630.1/Write 173.0、Seq Read 1,189/Write 799.4、4K Read 48.09/Write 178.2(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 77,349、FPU 57,632、MEM 63,190、HDD 53,503、GDI 19,584、D2D n/a、OGL 15,990。
ここで注目すべきポイントは、winsat formalの総合が8なこと。一般的に外部GPUなしでプロセッサ内蔵Intel HD Graphics系だと、この部分がネックとなり6前後になるケースがほとんどだが、グラフィックスが8になっている。
加えてCrystalDiskMarkのスコアがかなり高めだ。M.2 NVMeのSSDが効いている。
BBenchは、バッテリー節約機能ON、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で27,440秒/7.6時間。
仕様上、約7.3時間なのでほぼそのとおりとなった。バックライト最小でも十分見える明るさなので、実際の運用も同程度だと思われる。
以上のようにNEC「LAVIE Note NEXT(NX850/JA)」は、第8世代のCore i7プロセッサ、DDR4 8GB、M.2 NVMeのSSD+HDD+BDドライブを搭載した15.6型2スピンドルスタンダートノートPCだ。
ベンチマークテストの結果からも分かるように、爆速なのも嬉しいポイント。加えて狭額縁で従来機種よりフットプリントが85%となり、デザインもシンプル。魅力的なノートPCに仕上がっている。
見直しの入ったキーボードは、個人的な好みで意見が分かれそうだが、仕様上、とくに気になる部分もなく、国産で扱いやすい15.6型を探している人にお勧めしたい逸品と言えよう。