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Macの「ショートカット」が大進化!バッテリ残量や各種変更をトリガーに自動処理可能に

 Macで作業を効率的に行なうには、さまざまな処理を自動化できる「ショートカット」アプリの活用が欠かせません。macOS Tahoeでは「ショートカット」アプリが大幅に進化し、時間や行動などの条件をトリガーとしてワークフローを自動実行できる「オートメーション」機能が搭載されました。また、Apple Intelligenceのアクションにも対応し、文章の要約や画像生成、ChatGPTの活用なども可能になりました。本記事では、新しい「ショートカット」アプリの機能の解説に加え、実際に役立つワークフローの作成例も紹介します。

「ショートカット」アプリは[アプリケーション]フォルダに格納されています。Dockの「アプリ」やSpotlightから検索して起動することも可能です

新機能の「オートメーション」でワークフローを自動化

 「ショートカット」は、Mac上のさまざまな作業を自動化できるアプリです。
 たとえば、「選択したファイルをZIP形式で圧縮し、メッセージに添付して送信」といった複数の操作(アクション)を組み合わせたワークフロー(Appleは「ショートカット」と呼びますが、本稿では「ワークフロー」と呼びます)を作り、1クリックやSiriへの指示で簡単に実行できます。

 macOS Tahoe(以下、Tahoe)ではこの「ショートカット」アプリが進化し、時間や行動などの条件をトリガーとしてワークフローを自動実行できる「オートメーション」機能が新たに搭載されました。

 これにより、従来は手動で行なっていたワークフローの実行を自動化でき、利便性が大きく向上します。

 たとえば、毎日決まった時間に「ミュージック」アプリでお気に入りのプレイリストを再生したい場合は、新規オートメーションを作成し、[時間]トリガーで特定の時刻や曜日を指定。その後、プレイリストを再生するワークフローを選択すれば、指定した日時に自動で実行されます。

 トリガーには、時刻やアラームのほか、特定のメールやメッセージの受信、アプリの起動・終了、Wi-FiやBluetooth、外部ディスプレイや充電器の接続など、実に20種類以上が用意されています。

 特に、ファイルやフォルダの追加・削除・変更をトリガーとするオートメーションは、Macで日々行なう定型的な業務の自動化に大きな効果を発揮します。

 さらにMacBookシリーズに限っては、バッテリ残量や「おやすみモード」のオン/オフといったシステム状態もトリガーにできるため、アイデア次第で幅広い作業を効率化できるでしょう。

 なお、オートメーションの実行スタイルは、確認なしに即時実行される[すぐに実行]と、実行前に確認画面が表示される[確認後に実行]から選択可能です。目的や状況に応じて使い分けるとよいでしょう。

ここでは指定した時刻に「ミュージック」アプリのプレイリストを自動で再生するオートメーションの作り方を紹介します。「ショートカット」アプリを起動してサイドバーの[ギャラリー]を選択。検索窓に「プレイリスト」などと入力して「プレイリストを再生」を見つけ、[+]をクリックします
再生するプレイリストを選択して[ショートカットを追加]を選ぶと、「ショートカット」アプリのライブラリに追加されます
サイドバーに新設された[オートメーション]をクリックします。新規オートメーションを作成するには、ツールバー右上の[+]ボタンをクリックします
トリガー一覧が表示されます。ここでは例として[時刻]を選択し、[次へ]をクリックします
[時刻]や[日の出][Sunset](日の入り)、[繰り返し]を設定します。また、オートメーション実行時に確認ダイアログを表示するかを選択して[次へ]をクリックします
指定した時刻に実行するワークフローを一覧から選択します。画面下の[新規ショートカット]をクリックして、新たなワークフローを作成することもできます
ワークフローの候補が見つからない場合は、右上の検索欄にキーワードを入力して選択できます。ここでは[プレイリストを再生]のワークフローを選択して[完了]をクリックします
オートメーションが追加され、指定した時刻になるとプレイリストが再生されます。オートメーションを副ボタンクリックすればトリガーの条件の変更や、オートメーションの無効化・削除も可能です
トリガーには、フォルダやファイルの変更やWi-Fiやディスプレイの接続、バッテリ残量などMacのステータスも設定できます
[フォルダ]を選べば、特定のフォルダに項目が追加、変更、削除されたときに任意のワークフローを実行できます。フォルダに追加したときに特定の相手にメッセージを送信したり、ブログ投稿用に画像のサイズを変更したりするなど、いろいろな用途に活用できます
[ディスプレイ]を選べば、Macを外部ディスプレイに接続したときに特定のアプリを起動したり、接続解除したときにSplitView表示するアプリを選択したりすることができます

Apple Intelligenceのアクションを実行できる

 Tahoeの「ショートカット」アプリではもう1つの重要なアップデートとして、Apple Intelligenceのアクションが追加されました。

 Apple Intelligence対応のMacであれば、Apple Intelligenceによる文章作成や画像生成に加え、ChatGPTの機能をワークフローに組み込めます。

 Apple Intelligence関連の一部のワークフローはあらかじめ「ギャラリー」に複数登録されているので、まずはダウンロードして動作を試し、利用目的に合わせてカスタマイズするとよいでしょう。

 カスタマイズは、ワークフローをダブルクリックして開く編集ウインドウから行なえます。

 たとえば[午前の要約]というワークフローを開くと、「現在地の天気を取得」や「カレンダーを検索して未完了のリマインダーを抽出」、Apple Intelligenceのアクションが組み合わさって出来上がっていることが分かります。

 ただし、Apple Intelligenceに関するアクションは英語で出力される設定になっているため、プロンプトに「Output in Japanese(日本語で出力)」といった指示を加えることで日本語での出力を得られます。

 さらに修正したワークフローを前述のオートメーションに組み込めば、指定した時間になるとその日のまとめをデスクトップに自動表示させることも可能です。

 また、作成したワークフローやオートメーションは、自分のApple Accountに登録しているiPhoneやiPadの「ショートカット」アプリとも同期できます。

 どのデバイスでも同じ自動処理を実行できる、新しい「ショートカット」アプリの機能をぜひ試してみてください。

サイドバーの[ギャラリー]を選ぶと、[Apple Intelligence]を利用するワークフローが複数登録されています。ここでは毎日指定した時刻に午前の要約をしてもらうため、[午前の要約]の[+]をクリックしてライブラリに追加します
追加したワークフローをダブルクリックすると、内容を編集できます。Apple Intelligenceに関するアクションは英語で入力されていることが多いため、必要に応じて日本語で出力するようにプロンプトを追加します
サイドバーから[オートメーション]を選び、新規オートメーションを作成します。そしてトリガーとして[時刻]を選択し、ワークフローとして「午前の要約」を選びます
指定した時刻になると「午前の要約」のワークフローが実行され、今日の天気やリマインダーなどがデスクトップに表示されます
Apple Intelligenceのアクションを編集する際には、モデルとして[プライベートクラウドコンピューティング]、[オンデバイス]、ChatGPTによる[拡張]を選択できます
多数用意されている[Apple Intelligence]のアクションを利用して、新規ショートカットをいちから作成することも可能です。たとえば[モデルを使用]というアクションを追加して[ChatGPTを使用する]に設定。その後、[テキストを校正]のアクションをワークフローの先頭に追加し、[ChatGPTを使用]の[リクエスト]をクリックして変数を[テキスト]にしてカスタムのプロンプトを追加するといった使い方が考えられます