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Macの「プレビュー」は見るだけじゃない!意外と知らない便利テク

 Macに標準搭載されている「プレビュー」を使って、画像やPDFを閲覧している人は多いでしょう。しかし、プレビューは単なる閲覧用のビューアアプリではなく、画像加工やファイル変換、PDFの編集なども行なえます。また、そのシンプルなインターフェイスとは裏腹に、「えっ、こんなこともできるの?」と驚くようなさまざまな機能を搭載しています。ここでは、そんな多機能な「プレビュー」を便利に使いこなすためのテクニックを紹介していきます。

「プレビュー」で画像やPDFを開くとウィンドウ上部にツールバーが表示され、拡大や縮小、回転、共有、テキストのハイライトなどを利用できます。「プレビュー」をあまり使ったことがない人は、まずはこれらの機能から試してみるとよいでしょう

[@]キーを押して「拡大鏡」で拡大表示する

 プレビューで画像やPDFを閲覧していて、特定の部分を大きく表示して見やすくするにはどうしていますか? 通常は、ツールバー上の虫眼鏡の形をした拡大ボタンをクリックしたり、トラックパッドをピンチアウトしたりして拡大しているでしょう。

 しかし、この方法だと書類全体が拡大されるので、特定の部分を確認するにはそこまで画面をスクロール操作して移動しなければなりません。

 そこでおすすめなのが、書類を選択した状態で[@]キーを押すこと。すると「プレビュー」に搭載された「拡大鏡」機能がオンになり、書類上のポインタを置いた部分だけがピンポイントで拡大され、素早くチェックすることが可能です。

[@]キーを押すと書類上のポインタ部分がルーペに変わり、円形または長方形のルーペ内が拡大表示されます。再度[@]キーまたは[esc]キーを押すと解除されます
[+]キーまたは[-]キーを押したり、トラックパッドをピンチ操作したりすると拡大率や縮小率を変えられます
メニューバーの[ツール]メニューから[拡大鏡を表示]をクリックしてオン/オフを切り替えることもできます

画像内にある文字をテキストデータとして抜き出す

 写真やイラストなどの画像ファイルに表示されている文字は、通常はテキストデータとして抜き出すことができません。しかし、現在のMac(macOS Monterey以降)の「プレビュー」には「テキスト認識表示」機能が組み込まれており、画像内にある文字をテキストとしてコピーしたり使用したりできます。

 操作は非常に簡単で、文字部分をドラッグするだけ。そしてあとは通常のテキストデータのようにコピーして別のアプリにペーストしたり、文字が選択された状態で副ボタンクリック([control]キー+クリックまたは右クリック)して表示されるコンテキストメニューから単語の意味を調べたり、Googleで検索したりできます。

文字部分をドラッグして薄い青色で表示されれば、テキストとして認識されている証拠です。あとは通常のテキスト同様にコピーして別のアプリで利用できます
印字された文字だけでなく、ある程度きれいに書かれていれば手書き文字も認識され、テキストとして抽出できます

写真の明るさやコントラストを調整する

 「プレビュー」では画像の編集も行なえます。たとえば、写真の明るさやコントラスト、色味などを変えたいときに、わざわざ「写真」アプリに取り込んだり、「フォトショップ」で開いたりする必要はありません。

 「プレビュー」で画像編集を行なうには、[ツール]メニューから[カラーを調整]を選びましょう。すると[カラーを調整]パネルが表示され、[自動レベル]をクリックして自動調整したり、[露出][コントラスト][ハイライト][シャドウ][彩度][色温度][色合い][セピア][シャープネス]の各値をスライドを動かして調整できます。

[カラーを調整]パネル上に[露出]や[コントラスト]などの項目が表示され、スライダを動かして画像を調整できます。調整後に元の状態に戻すには[すべてをリセット]をクリックしましょう

画像サイズを調整する

 写真やイラストの画像サイズが大きすぎて、メールに添付したり、ブログやWebサイトにアップできないときも「プレビュー」を使えば簡単にサイズを変更できます。[ツール]メニューから[サイズを調整]を選びましょう。

 すると[画像の大きさ](または[イメージの大きさ])パネルが表示され、画像の縦横比を任意のピクセルサイズに合わせたり、自分で指定した幅や高さ、解像度などに変更することができます。

 また、[画像の大きさ]パネル上には[調整後のサイズ]も表示されるので、いろいろと値を変更しながら自分が望むサイズに素早く調整することが可能です。サイズ調整後に、「まだ大きすぎるからもっと小さくしないと」と何度も作業を行なわなくて済むのです。

[画像の大きさ]パネルで、画像の幅や高さ、解像度の数値を変更します。[調整後のサイズ]を見ればサイズを調整したときの大きさやデータサイズが事前に確認できます
[サイズを合わせる]をクリックするとポップアップメニューが表示され、一般的に使われる各種サイズに変更できます。必要に応じて各値を調整したり、[縦横比の固定]を解除したりしましょう

複数の写真を同時に開いて見る

 プライベートでも仕事でも、写真などの画像を何枚かまとめてチェックしなければならないことがあるでしょう。そんなとき、画像を1枚ずつ開いて確認するのはとても面倒です。

 そこで便利なのが、「プレビュー」に搭載されている「サムネール表示」や「コンタクトシート表示」の機能です。

 「プレビュー」では複数の画像を選択した状態で開くと、自動的に「サムネール表示」されます。複数の画像が1つのウィンドウ内に開き、サイドバーにはそれぞれのサムネール(小さいプレビュー)が表示されるので、クリックして切り替えながら簡単に見比べることができます。

 また、画像の枚数が多いときは[表示]メニューから[コンタクトシート]を選ぶとよいでしょう。すると、1枚のウィンドウ内に複数の画像やPDFのサムネールがより多く表示されるようになり、確認や選定がもっと楽に行なえます。

Finder上で複数の画像を選択した状態でダブルクリックすると、「サムネール表示」で開きます。写真を切り替えたいときはサイドバーに並んだサムネールをクリックしましょう
[表示]メニューから[コンタクトシート]を選ぶとウィンドウ内にさらに多くの項目を表示できます(ダブルクリックして開けます)。「コンタクトシート表示」に戻すときは[表示]メニューから[コンタクトシート]を再選択するか、[command]キー+[option]キー+[6]キーを押しましょう

別の画像フォーマットに変換する

 カラー調整やサイズ調整だけでなく、JPEGからPNGなど画像ファイルのフォーマットを変換したいときにも「プレビュー」は役立ちます。

 ファイルを開いた状態で[ファイル]メニューから[書き出し]を選び、[フォーマット]から変換したい形式を選択するだけで実行できます。

 「プレビュー」ではHEICやJPEGなどの一般的なフォーマットだけでなく、より高圧縮率でより高品質のJPEG-2000や、ハイダイナミックレンジイメージ(High Dynamic Range Image, HDRI)向けのOpenEXRへの変換もサポートしています。

[ファイル]メニューの[書き出し]を選択して表示される画面で、[フォーマット]をクリックして目的の形式を選択しましょう。フォーマットによっては品質や階調、圧縮なども指定できます

iPhoneやiPadを使って写真や書類を取り込む

 Macにスキャナが接続されていれば、「プレビュー」を利用して紙の書類や写真をスキャンして取り込むことができます。しかし、最近ではスキャナを利用する機会が減少している、またはそもそもスキャナを持っていないという人も多くいるでしょう。

 そんなときに役立つのが、iPhoneやiPadです。「プレビュー」の[ファイル]メニューには[iPhoneから読み込む]もしくは[iPadから読み込む]が用意されており、近くにある、Macと同じApple IDで接続されたiPhoneやiPadで撮影した書類や写真を取り込むことができます。

[ファイル]メニューの[iPhoneから読み込む]もしくは[iPadから読み込む]などから[写真を撮る]や[書類をスキャン]を選びましょう。[“◯◯”で写真を撮る]もしくは[“◯◯”で書類をスキャン]とメッセージが表示されます
iPhoneやiPad側でカメラが自動的に開きます。シャッターボタンをタップして写真を撮りましょう。撮り終えたら[写真を使用]をタップします。[再撮影]をタップすれば撮り直しできます
書類をスキャンする場合はカメラを向けるだけで書類の輪郭を自動的に検知して撮影してくれます。撮り終えたら[保存]をタップしましょう。書類がうまく検知されない場合は[自動]をタップして手動撮影に切り替えてシャッターボタンをタップ。書類の四隅の位置をドラッグして調整したのち[スキャンを保持]をタップしましょう
撮った写真やスキャンした書類が「プレビュー」に転送されます(図は、撮影した写真の場合)。あとは[ファイル]から[保存]を選べば保存できます

PDFの隠したい部分を墨消しする

 PDFを公開したり、シェアしたりする際は、他人に知られたくない機密情報や個人情報などの箇所を隠す必要があるでしょう。そんなときは「プレビュー」に搭載されている墨消し機能を使いましょう。

 PDFを開いた状態で[ツール]メニューから[墨消し]を選び、あとは隠したい文字の部分をドラッグすれば墨で塗りつぶしてくれます。墨消しした内容は書類を閉じると完全に削除されますので、マークアップのペンやマーカーを使って塗りつぶしたりするよりも簡単で安全です。

[ツール]メニューから[墨消し]を選ぶと、確認のメッセージが表示されるので[OK]をクリック。あとは消したい文字の部分をドラッグすれば塗りつぶしてくれます

 今回は具体的な方法は説明しませんが、[墨消し]の下にある[注釈]を選ぶと、テキストや線、図形などの注釈やコメントをPDF書類に追加することもできます。

PDFを開くときのパスワードを設定する

 重要なPDFをシェアする際は、共有相手以外が見ることができないようにパスワードをかけて保護するのが鉄則です。「プレビュー」では、[ファイル]メニューから[アクセス権を編集]を選ぶと、PDFを開く際のパスワードを設定できます。

 [アクセス権を編集]を選択したあとに表示される画面で、[書類を開くときにパスワード要求]という項目にチェックを入れ、パスワードを設定しましょう。

 また、ここでPDFの変更を許可するかどうかのアクセス権の設定も行なえます。[プリント][テキストまたはグラフィックスをコピー][注釈または署名を追加]などの各項目に対して設定を行ない、[所有者のパスワード]を入力しましょう。これで、所有者のパスワードを入力しない限り、設定した項目の変更ができなくなります。

 なお、共有相手に書類の変更を許可しない場合は、[書類を開くときにパスワード要求]に入力したパスワードと[所有者のパスワード]を異なるものに設定しておきましょう。

PDFを開く際のパスワードを設定するには、[ファイル]メニューにある[アクセス権を編集]を選びます
[ファイル]メニューから[書き出し]を選んだ際に表示されるダイアログで、[アクセス権]ボタンをクリックしてパスワードを設定することも可能です
[書類を開くときにパスワードを要求]にチェックを入れて、パスワードを設定。また、所有者のパスワードを入力しないと変更できない項目にもチェックを入れ、所有者のパスワードも設定します
パスワードを設定したPDF書類は鍵付きのアイコンになります。ダブルクリックしてもパスワードを入力しないと開けません
変更を許可していない操作を実行しようとすると図のようなダイアログが表示され、所有者のパスワードの入力を求められます

[Quartzフィルタ]でPDF書類のサイズを小さくする

 PDFは、テキスト以外に写真やグラフィックスが含まれていると、ファイルサイズが大きくなりがちです。そうしたPDFをシェアする際にファイルサイズを小さくしたい場合は、[Quartzフィルタ]を使ってサイズを小さくしましょう。

 PDFを開いて[ファイル]メニューの[書き出す]を選択すると、フォーマット欄の下に[Quartzフィルタ]という項目が表示されます。ここをクリックしてプルダウンメニューの中から[Reduce File Size]を選んで[保存]すると、小さいファイルサイズのPDFを新たに作成できます。

[ファイル]メニューの[書き出す]選択後に表示される画面で、[フォーマット]が[PDF]になっていれば、その下に[Quartzフィルタ]が表示されます。ここから[Reduce File Size]を選んで保存するとファイルサイズの小さなPDFが作成できます
テキストだけのファイルだとほとんどサイズは変わりませんが、写真やグラフィックスが含まれる書類だと場合によっては半分以下のファイルサイズになります

PDFのページの入れ替えや追加をする

 PDFのページの入れ替えや追加も「プレビュー」だけで行なえます。PDFを開いて「サムネール表示」にすると、サイドバー上にすべてのページのサムネールが表示されますので、それをドラッグして入れ替えましょう。

 また、ほかのPDFにあるページを追加することも可能です。それぞれのPDFを開いて[表示]メニューから[サムネール]を選んだら、サイドバー上のサムネールをドラッグして挿入したい位置にドロップしましょう。

 さらに、2つのPDFを連結したいときは、サイドバー上の最終ページのあとに、追加したいPDFファイルを直接ドラッグ&ドロップすればOKです。

[表示]メニューから[サムネール]を選んだら、サイドバー上で入れ替えたいページのサムネールをドラッグしましょう
他のPDFにあるページを追加したい場合はサムネールに表示した状態で、ページのサムネールをドラッグして挿入したい位置にドロップしましょう
PDFを連結したいときは1つをサムネール表示にした状態で、ページの最後に追加したいPDFファイルをドラッグ&ドロップします