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「ファイル共有」や「画面共有」などMacの共有機能をまるごと理解しよう
2022年12月8日 06:37
Macの「システム設定」を使えば、Macの各種設定を変更できます。多くの設定項目は直感的に理解できますが、中にはいまいちピンと来ないものも……。その筆頭に挙げられるのが、長年のMacユーザーでも知らないことがある「共有」の設定です。「画面共有」や「ファイル共有」「メディア共有」「プリンタ共有」「リモートログイン」など、ここではMacの「システム設定」から設定可能な共有機能の詳細について見ていきます。
「システム設定」の[共有]が窓口
Macの「システム設定」の[一般]→[共有]を選択すると、さまざまな共有機能の設定項目が表示されます。「画面共有」「ファイル共有」「メディア共有」「プリンタ共有」「リモートログイン」などの項目が表示され、macOS Venturaからは各項目ごとにスイッチをクリックしてオン/オフを切り替えられます。
また、オン/オフのスイッチの脇にある[i]ボタンをクリックすると、詳細な設定が可能。項目名を見ただけではどんな機能かわからない場合は、機能を有効化する前に必ず[i]ボタンをクリックして機能および設定の詳細を確認するようにしましょう。
AirDropとは異なるメリットを持つ[ファイル共有]
[共有]にある各種共有機能の中で多くの人にとって有用なのが「ファイル共有」です。この機能はその名の通り、ネットワーク上のほかのユーザーとファイルやフォルダを共有するためのものです。
もちろん、Macから近くにいる人とファイルを共有したいのであれば、Wi-FiとBluetooth機能を利用したワイヤレス転送の「AirDrop」を使って送受信することができます。
しかし、AirDropは相手が近くにいなければなりませんし、手軽とはいえ、送受信の操作を互いにしなければなりません。また、MacやiPhone、iPadといったAppleデバイス同士でなければ利用できないという制約があります。
一方で「ファイル共有」を利用すれば、共有相手および共有フォルダを設定するだけで、そのフォルダに対してほかのユーザーがネットワーク経由でいつでも自由にアクセスできるようになります。
また、「ファイル共有」を使えばMacのみならず、Windowsユーザーとのやりとりも可能。さらに、共有相手ごとに[読み/書き][読み出しのみ]などのアクセス権を細かく設定することもできます。
たとえばオフィスで利用する場合は、1台のMacの中に共有フォルダを作成し、その中にチームメンバーで共有したいファイルを保存しておくことでファイルサーバーとして利用可能です。
また、ゲストユーザーのアクセスを許可すれば、共有中のフォルダに対してログインパスワードなしでアクセスを許可することもできます。
別のMacと画面をシェアできる[画面共有]
「ファイル共有」と並んで便利なのが「画面共有」です。この機能は、自分のデスクトップの画面をほかのMacに表示するためのもの。たとえば、同じネットワーク内にある別の自分のMacや、別のユーザーのMacの画面を自分のMacに表示して操作できます。
また、1台のMacの画面を複数人で共有して、プレゼンや共同制作などの用途に活用することも可能。後述する「リモートマネジメント」と機能が似ていますが、「リモートマネジメント」はAppleのVNC(Virtual Network Computing)アプリである「Apple Remote Desktop」を利用するためのもので、「画面共有」と同時に有効にすることはできません。
[インターネット共有]でネット接続を共有
[共有]設定の中にある「インターネット共有」は、Macのインターネット接続を別のMacやデバイスと共有するためのものです。たとえば、1台のMacがイーサネット経由でインターネットに接続している場合、ほかのMacやデバイスからその接続をWi-Fi経由で利用できます。
たとえば、Wi-Fiがない場所や、またはWi-Fiの速度が遅い場所でインターネット接続したい場合もあると思います。そんなときにこの機能を活用すれば、インターネット接続された1台のMacをWi-Fiアクセスポイントのように利用し、Wi-Fi経由で接続してその回線を共有することが可能です。
音楽や写真を共有できる[メディア共有]
「メディア共有」は名前だけではどんな機能かイメージしにくいかもしれません。これは「ミュージック」アプリの音楽や映画、「写真」アプリ内の写真といったMacに保存されているメディアライブラリをネットワーク内の別のデバイスと共有するための機能です。
「メディア共有」の脇にある[i]ボタンをタップすると「ホームシェアリング」または[メディアをゲストと共有]をオンにすることができ、前者の場合は同じApple IDでサインインしているすべてのデバイスでメディアライブラリにアクセスできます。
一方で後者を選んだ場合は、同じネットワーク上にあるほかのMacの[ミュージック]サイドバーに、メディア共有をオンにしたMacの名前が表示され、それをクリックして接続することでメディアライブラリを利用できます。
ただし、この「メディア共有」はMacに古くから搭載されているものが未だ残っている機能ともいえます。Apple MusicやiCloud写真を利用すれば同じApple IDでサインインした別のデバイスでも音楽や写真が同期されますから、自分だけで使うのであればそちらを使ったほうが便利でしょう。
とはいえ、現在でもアイデア次第では便利に使うこともできます。たとえば、普段使っていないMacがあるなら、そこに音楽やビデオをまとめて保存してメディアサーバーとして利用することができます。
上級者におすすめのそのほかの共有機能
ここまで多くの人にとって便利だと思われる「ファイル共有」「画面共有」「インターネット共有」「メディア共有」について解説してきましたが、それ以外の機能についても簡単に見ていきましょう。
まず「プリンタ共有」は、1台のMacに接続されているプリンタやスキャナを同じネットワーク内の別のMacから利用するための機能です。1台のMacで機能を有効にしておけばプリンタサーバーとして、そのMacを経由して別のMacからプリントやスキャンが行なえます。
ただし、今では多くのプリンタがAirPrintをはじめとするネットワーク機能を搭載し、ドライバ等をインストールしなくても手軽に利用できるため、利用する機会は少ないかもしれません。オフィスや教室内でネットワーク非対応プリンタがあり、それを手軽に共有したい場合に活用できる機能です。
次に、「リモートログイン」「リモートマネジメント」「リモートApple Events」の各機能は、ネットワークやコマンドラインでの操作に知識があるユーザーや「Apple Remote Desktop」でリモート操作を行なう際に設定する上級者向けの共有機能です。ダイナミックDNS機能を備えたルータなどを用いれば、自宅にあるMacを外出先からインターネット経由でリモート操作することも可能です。
ただし、不用意にこれらのリモート接続を許可すると、外部から侵入されて個人情報を盗まれるなどのリスクが高まります。必要がある場合を除いては、基本的にこれらの設定はオフのままにしておくことを推奨します。
また、「コンテンツキャッシュ」も、個人や少人数の場合にはあまり効果がない共有機能です。これは、macOSのソフトウェア・アップデータなど大きなファイルを一時的にキャッシュ保存しておき、ネットワーク内のMacがアップデートする際にインターネットから都度ダウンロードしなくても済む機能です。
特に学校やオフィスなど多くのAppleデバイスを運用している環境では、一斉アップデートによるネットワークの輻輳などを避けられる便利な機能と言えます。
最後に「Bluetooth共有」は、近距離ワイヤレス通信でファイルを送受信するための設定です。Wi-Fiと比べるとデータ転送速度は高くないものの、ネットワークトラブルなどに備えて知っておくと、いざというときに役立ちます。
なお、今ではMacに標準で搭載されなくなりましたが、CDやDVDといった光学式ドライブをネットワークで共有する設定も残されています。「Apple USB Super Drive」など対応製品をMacに接続すると[共有]に項目が表示されます。