ベンチで検証! CPUのキキどころ

3世代9種類のCPUで「TMPGEnc Video Mastering Works 7」の動画エンコード速度を検証

「TMPGEnc Video Mastering Works 7」

 今回テストするのは、ペガシスの動画変換ソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 7」。3世代9種類のCPUで動画エンコードの処理時間を比較してみた。

 テストするCPUとそのほかの機材は以下のとおり。

【表1】テストするCPUのおもな仕様
プロセッサー・ナンバーCore i9-10900KCore i5-10600Core i3-10100Core i7-6700KCore i5-6600KCore i3-6100Core i7-2600KCore i5-2500KCore i3-2105
世代第10世代第6世代第2世代
CPUアーキテクチャComet LakeSkylakeSandy Bridge
製造プロセス14nm14nm32nm
コア数1064442442
スレッド数20128844844
ベースクロック3.7GHz3.3GHz3.6GHz4.0GHz3.5GHz3.7GHz3.4GHz3.3GHz3.1GHz
最大ブーストクロック5.3GHz4.8GHz4.3GHz4.2GHz3.9GHz3.8GHz3.7GHz
L3キャッシュ20MB12MB6MB8MB6MB3MB8MB6MB3MB
対応メモリDDR4-2933 (2ch)DDR4-2666 (2ch)DDR4-2133/DDR3L-1600 (2ch)DDR3-1333 (2ch)
PCI ExpressPCIe 3.0 x16PCIe 3.0 x16PCIe 2.0 x16
TDP125W65W65W91W91W51W95W95W65W
対応ソケットLGA1200LGA1151LGA1155
【表2】テスト機材一覧
CPUCore i9-10900KCore i5-10600Core i3-10100Core i7-6700KCore i5-6600KCore i3-6100Core i7-2600KCore i5-2500KCore i3-2105
コア数/スレッド数10/206/124/84/84/42/44/84/42/4
パワーリミット (PL1)125W65W65W95W95W51W95W95W65W
パワーリミット (PL2)250W134W90W118.75W118.75W63.75W118.75W118.75W81.25W
パワーリミット (Tau)56秒28秒28秒8秒8秒8秒1秒1秒1秒
マザーボードASUS TUF GAMING Z490-PLUS (WI-FI) [UEFI:1001]ASUS Z170-A [UEFI:3802]ASUS P8Z68-V PRO [UEFI:3603]
メモリDDR4-2933 8GB×2 (2ch、21-21-21-47、1.20V)DDR4-2133 8GB×2 (2ch、15-15-15-36、1.20V)DDR3-1333 8GB×2 (2ch、9-9-9-24、1.50V)
ビデオカードZOTAC GAMING GeForce RTX 2080
システム用SSDCrucial MX500 500GB (SSD/6Gbps SATA)
アプリケーション用SSDSanDisk Ultra 3D SSD 1TB (SSD/6Gbps SATA)
電源CORSAIR RM850 CP-9020196-JP (850W/80PLUS Gold)
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 451.48 DCH (27.21.14.5148)
OSWindows 10 Pro 64bit (Ver 2004 / build 19041.329)
電源プラン高パフォーマンス
室温約25℃

ソフトウェアエンコーダーでのエンコード時間を比較

 TMPGEnc Video Mastering Works 7では、ソフトウェアエンコーダを使って動画ファイルをエンコードしたさいの処理時間を比較する。ソフトウェアバージョンは「7.0.17.19」。

 まずは、x264を使ってフルHD動画をエンコードした場合の処理時間を比較する。動画時間は180秒で、解像度は1,920×1,080ドット、フレームレートは59.94fps、ビットレートは24.85Mbps(VBR)。

 最速はCore i9-10900Kの3分24秒で、2番手はCore i5-10600の6分1秒、3番手はCore i3-10100の8分58秒だった。最速のCore i9-10900Kと最下位のCore i3-2105との速度さは約10倍の差がついており、Core i7-2600Kとの間にも約4.7倍の差がついている。

TMPGEnc Video Mastering Works 7「フルHD動画出力 (H.264、1080p60、180秒)」

 続いて、x265を使って4K動画をエンコードした場合の処理時間を比較した。動画時間は60秒で、解像度は3,840×2,160ドット、フレームレートは59.94fps、ビットレートは59.65Mbps(VBR)。

 最速を記録したのは、7分56秒でエンコードを完了したCore i9-10900K。2番手は13分32秒を記録したCore i5-10600で、3番手は19分34秒のCore i3-10100だった。

 以下の順位はフルHDと変わらないが、x265は第4世代Core以降でサポートされたAVX2の効果が大きいこともあり、同命令に非対応の第2世代Core「Sandy Bridge」の相対的なパフォーマンスは低下しており、Core i7-2600KはCore i9-10900Kに約5.5倍、Core i3-2105は約11.2倍の差をつけられている。

TMPGEnc Video Mastering Works 7「4K動画出力 (H.265、2160p60、60秒)」

 CPUを使用して動画をエンコードするソフトウェアエンコーダを利用した今回のテストでは、CPUのコア数や動作クロック、アーキテクチャや対応する拡張命令の違いのすべてが処理時間に影響しており、すべてが最新の第10世代Coreプロセッサが順当に上位を独占している。

 マルチスレッド性能への最適化が進んでいる動画エンコードでは、CPUコアの多いCPUが高い性能を発揮すると思われがちだが、CPUの世代が変わればコア数やスレッド数の差が覆る場合もある。ソフトウェアエンコーダーで動画を変換する機会の多いユーザーなら、より新しく、よりコア数の多いCPUを選択するメリットは大きい。

[制作協力: インテル]