買い物山脈
あえて型落ちのGeForce RTX 30搭載ゲーミングノートPCを購入した話。しかも約23万円でお得に
2023年6月13日 06:14
- 製品名
- GIGABYTE AERO17(XE5-73JP744HP)
- 購入価格
- 23万6,000円
- 購入時期
- 2023年4月12日
- 使用期間
- 約2カ月
突然やってくる「ノートPCの買い換え時」
テクニカルライターの筆者は、自宅に居るときは仕事もゲームもそれぞれ「専用のデスクトップPC」で行なっている。しかし、出張時などはそうもいかないので、ノートPCも使用する。
そのため、ここ20年くらいは、海外滞在を伴う取材ではノートPC 2台体勢で臨んでいる。これは万が一、現地での故障・紛失・盗難などのトラブルに遭ったときに仕事ができなくなってしまうことを回避するのが主たる目的だ。
と言っても、2台とも同じような機種ではなく、1台は、バッテリ保ちに優れ、軽量で持ち運びしやすいモデルで、もう1台はホテルの部屋に置いておく母艦的なPCとしている。
この母艦PCは、原稿執筆、資料確認、撮影した写真チェックといった筆者の主たる業務のしやすい大画面ノートPCとすることが常で、撮影した動画や写真を保存させる目的も多いため、ストレージ容量が大きいことが必須。時と場合によってはストレージデバイスの増設・換装もできればなおよし、といったところ。
そして、この母艦PCでは、取材滞在中に息抜きのゲームプレイにも対応できることが望まれ、なおかつ撮影した動画の編集作業を快適に行なうためにも、CPUやGPUの性能も相応に優れていなければならない。
これまで使っていた母艦PCは、2017年発売モデルで、ストレージ容量/性能に関しては一切不満はなかったのだが、搭載CPUが第7世代Core i7のため、Windows 11への移行が不可能だった。
また、これに搭載されているGeForce GTX 1070は、PCの普段使いには不満がなかったが、最新ゲームを高品質で動かしづらくはなってきた。レイトレにも未対応だ。
そんな「そろそろ買い換え時かな」と思っていた矢先のことだ。今春に入り、各社からGeForce RTX 40系を搭載した新ノートPCが矢継ぎ早に発表されたのだ。
おおっ!と思い、各社の新製品たちをチェックしてみたのだが……。
今期モデルは「17型×4K画面」採用機が少ない!?
筆者の母艦PC選びでは、性能面にはある程度の許容範囲があったが、画面に関しては譲れない要件があった。それは画面サイズが大型の17型であること。
原稿執筆時には、画面内に原稿執筆用のテキストエディタだけではなく、写真・PDF資料なども同時に開くため、見やすさを優先すると、ノートPCとしては最大級の17型が最善だという経験が根拠になっている。
マウスコンピューターのDAIVで「17型画面×4K解像度」のありがたさを知ってしまった筆者は、買い替えるのであれば画面解像度は4K(3,840×2,160ドット)解像度であることも必須と考えるようになってしまった。それは、画面内の各所にマルチウィンドウで開いた写真やPDF資料が、サイズか小さくとも高精細に描かれても見やすかった経験がきっかけになっている。
以上のことを踏まえて、新製品を調べてみたのだが、今期の17型画面モデルは4K解像度対応が少ないのだ。
ないわけではないのだが、4K画面モデルは組み合わされるCPU/GPUおよびその他のスペックが超ハイエンド状態として60万円以上クラスが多く、はっきり言って手を出しにくくなってしまっていた。
なんとか購入圏内に入ってきそうな30万円台前後の17型画面モデルは、どれも画面解像度がWQHD(2,560×1,440ドット)やフルHD(1,920×1,080ドット)程度。これは困った……。
「17型画面×4K解像度」は先代機に多し!
気長かつ継続的に「筆者の要望に合いそうなモデル」を調べていた4月のある日。新発表が続くGeForce RTX 40シリーズ搭載ノートの発売をきっかけに、各社が先代GeForce RTX 30シリーズノートPCを処分価格で販売しだしたことに気がつく。しかも17型画面で4K解像度採用機は先代モデルにこそ豊富なことにも気づかされた。
GeForce RTX 30シリーズは最新GPUではないものの、筆者の“現”母艦PCと比較すれば十分に高性能なので、これを狙おう……と方針を転換。
結果、めでたくGIGABYTEのAERO17(XE5-73JP744HP)を23万円台で購入することができた。
このモデルは、画面になんと「量子ドット×ミニLED」バックライト式の4K/HDR液晶パネルを採用しており、CPUに第12世代Core i7(20スレッド対応)、GPUにGeForce RTX 3070 Ti、メインメモリがDDR5 32GB、ストレージがNVMe SSD 1TBとなかなかの贅沢スペック。
購入先のAmazonでは、筆者が買った当該モデルは、昨年時よりもかなり安価な29万7,000円で売られていた。ところが、各社からの新製品発表ラッシュをきっかけに、なんと20%オフクーポンの提示が開始され出したのだ。
筆者は、これを利用したことで23万円台でAERO17(XE5-73JP744HP)を購入できたわけである。
新GPUが登場したタイミングは、まさに「買い換え時」といったところだったようだ。
処分価格ノートPCは見つけたらすぐ買え!
今回はたまたまGIGABYTEのモデルを選択し、一部のお買い得モデルはすでに完売傾向にあるが、同じ動きはメーカー各社においても見られる。
実は、今回のマシンに決定する前、普段は50万円超で販売されていた同じGIGABYTEのGeForce RTX 3080 Ti搭載モデル(AERO 17 YE5-74JP748HP)が、約30万円で売りに出ていたので、これの購入を迷うタイミングがあった。しかし、残念。二日後には、売り切れとなってしまった。
そしてさらに、今回の当該マシン購入にあたり、筆者が20%オフクーポンを利用してかなり安く購入できた旨をTwitterで呟いたところ、その直後、自分のフォロワーの方、2名が同マシンを購入。
20%オフクーポンは2週間ほどの期間が設けられていて、そのフォロワーの方達の購入後はまだ「在庫7台」となっていたにも関わらず20%オフクーポンが引っ込められてしまった。
どうやらAmazonの「クーポンあるある」らしいのだが、システム側が「売れる!」と見込むと、クーポンの終了期間を早めて平常価格に戻してしまうようなのだ。処分価格ノートPCは迷っている間に、値上げもあり得るということなのだ。要注意である。
それと、クーポンがなくなっても、その商品ページの「中古」欄に「外箱破損品」というアウトレット品がならべられている場合もあるのでそちらのチェックも忘れずに行ないたい。
新マシンを使ってみての所感
実機がうちに届いたその日、筆者は、Windowsのアカウント生成をする前に、本体底面のネジを外して、ご開帳(笑)。
元々十分に高性能だったとは思うが、メインメモリを16GB×2枚の32GB仕様から32GB×2枚の64GB仕様へと換装。
さらに起動ドライブ(Cドライブ)のNVMe SSDを1TBから2TBへと換装。本機にはなんと空きM.2スロットがあったので、ここにも2TB SSDを搭載してDドライブとした。
アップグレードの甲斐もあってなのか、よくプレイする「ストリートファイターV」もスムーズに動き、新作ゲーム「BIOHAZARD RE:4」もかなりの高画質設定でもサクサク動いてくれた。
映像パネルは液晶だが、ミニLEDバックライトを採用しているとのことで、実際に、白色光のスペクトラムを計測して見たところ、赤緑青のスペクトラムのピークの鋭さ、そして分離感がすばらしく、その発色性能の優秀さを裏付けている。
HDR映像を表示させたときの、ハイコントラスト感もすばらしく、ミニLEDバックライトによるきめ細やかなエリア駆動制御により、液晶ながら、暗部表現も優秀であった。
上の写真で示した「BIOHAZARD RE:4」のプレイ風景の写真は、外部ディスプレイでプレイしている様子を収めたものだが、本機自身のディスプレイを用いて、同作のHDRゲーム映像を表示させても十分に美しかった。それと、YouTubeにいろいろ上がっている4K/HDRの花火映像なども見てみたが、これもまた見応えがあった。
ゲームプレイ時の本体の発熱量や冷却ファンの騒音は、軽めのゲームである「ストリートファイターV」プレイ時はそうでもなかったが、「BIOHAZARD RE:4」プレイ時は、冷却ファンの騒音は結構大きくなり、本体も熱くなった。キーボード面やタッチパッド面はそれほどでもなかったが、本体シャシー部はかなり熱くなっていた。
キーボードは、テンキー付きでキーピッチも良好で打ちやすいのだが、1つだけ不満が出た。それは、右[Shift]キーが左にずらされ、カーソルキーの[↑]が、[Enter]キーの直下に食い込むように配置されているところだ。
こうした、カーソルキー群を「凸」字状に[Enter]キーに食い込ませるキー配置を筆者は「テトリス配置」と表現しているが、本機のキーボードはまさしくこのパターン。
一部のノートPCで採用されているような、カーソルキー群を下にずらし、右[Shift]を、ずらさずに[Enter]キーの直下に配置してほしかった。
ゲーミングノートPCでは、[Enter]キーの直下に、カーソルキー群を食い込ませた「テトリス配置」の採用率が多い気がするが、筆者以外のほかのユーザーはこのあたり、どう考えているのだろうか……。
筆者の先代愛機のマウスコンピューターのDAIVでもそうだったように、今回もエレコムのキーボードを、本体キーボードの上に置いて使うことになりそうだ。
なお、タッチパッドの近い勝手に不満はなかった。
そして、接続性や入出力端子関連についても気になったことがいくつかあった。
まずは、USB Type-Aが1つも設けられていないこと。本機に搭載されているUSB端子は、すべてUSB Type-Cなのだ。USBメモリやマウスなど、今でも、USB Type-Aを採用したUSB機器は多いので1つや2つは残してほしかった。
ちなみに、本体側面の写真を見ると、USB Type-Aのような、長方形状の四角い穴があることに気が付くと思うが、これはUSB Type-Aではない。
排気孔なのであった(笑)。筆者は、購入前に本体の写真を見ているが、この時、この黒い穴を完全にUSB Type-Aとして誤認していた。まさに不覚!……であった。
もう一つは、SDカードスロットがないこと、だ。
商品パッケージには、拡張ポートデバイスとも言うべき、USB Type-C接続型のドックが付属するが、ここには、USB Type-A(USB 3.0/5Gbps)、HDMI、Mini DisplayPort、LANが搭載されているものの、SDカードスロットはない。17型の大判サイズの高性能GPU搭載ノートPCで、SDカードスロットがないのはちょっと驚きだった。
根本的なことを言えば、本機は、元々「ノートPCの形をした据え置き型PC」のようなものなので、ドック側に配置されている端子群は、すべて、本体側に実装されていてよかったのではないか、と強く思う。
このUSB Type-C接続型のドックは、本体右側面側のUSB Type-C(Thunderbolt 4)と接続することが奨励されており、ここにあるHDMIやMini DisplayPortは、Intel製CPUの内蔵GPUからの出力に対応するもののようだ。
その関係からなのか、USB Type-Cドックに搭載されているHDMIは、4K/60Hz出力が最大で、Mini DisplayPortの方は4K/120Hz出力が最大となっていた。
その反対側……つまり本体左側面のUSB Type-Cは、搭載GPUのGeForce RTX 3070 Tiと連動しているようで、DisplayPort Alt Modeに対応したUSB Type-Cであることが確認できた。
市販のDisplayPort Alt Mode対応のUSB Type-C→DisplayPortケーブルを購入して使ってみたところ、4K/HDR/144Hzまでの出力が行なえた。
HDMI Alternateモードへの対応がなされているかよく分からなかったが、市販のUSB Type-C→HDMIケーブルを購入して使ってみたところ、4K/HDR/120Hzまでの出力が行なえることを確認。ただし144Hzは不可だった。
ここで、別メーカーのUSB Type-C→HDMIケーブルを購入しても試してみたが、今度はそちらでは、4K/HDR/60Hzまでの出力に留まってしまった。HDMI出力にこだわりたい人は、USB Type-C→HDMIケーブルの選び方に気を付けたい。
なお、GeForce RTX 3070 Ti自体は、HDMI2.1出力に対応済みのGPUなので、普通にHDMIを付けてくれればよかったのに……とは思う。
とまあ、まだ徹底活用までは行なえていないが、トータルでみて、PCとしての使い勝手は概ね良好という実感を得ている。先代愛機と同様に、今回も長い付き合いになりそうな予感も。
かなり古いノートPCを使ってきた筆者のような人であれば、超最新世代のマシンでなくとも、十分に高性能感は得られるので、処分価格の旧モデルをあえて購入してみるのも悪くないと思う。読者の皆さんも、ぜひ!