Hothotレビュー

最大-35℃冷却!水冷ウェア「ChillerX Pro」を気温36℃のサバゲーで徹底検証

気温36℃を記録したサバイバルゲームフィールドで、ChillerX Proの冷却性能と使い勝手を検証した(協力:SURVIVAL GAME FIELD TENKOO)

 毎年のように「観測史上最高の暑さ」と報じられている。昭和世代の筆者としても、確かに年々暑くなっているように感じる。本来であれば冷房の効いた室内で大人しくしているべきだが、屋外で働かなければならない人は多い。また、せっかくの休みにはアウトドアレジャーも楽しみたいものである。

 さて、筆者はエアソフトガンでの撃ち合いを楽しむ「サバイバルゲーム」に週に一度出かけるほどドハマりしており、夏場の暑さ対策は喫緊かつ継続的な課題である。これまでもファン付きベストや水冷ベストを導入し、昨年はShiftallのペルチェチラー方式水冷ウェア「ChillerX」を購入した。

 ChillerXは、筆者がこれまで試してきたファン付きベストや一般的な水冷ベストよりも冷却性能が高く、非常に気に入っている。そのChillerXの性能をさらに向上させた「ChillerX Pro」が今年発売されたのである。

 そこで今回は、最高気温36℃を記録した猛暑日にChillerX Proをサバゲーフィールドへ持ち込み、直射日光下でゲームを繰り返すという厳しい条件でテストを実施した。実際の冷却効果をはじめ、装着感、バッテリ駆動時間、運用上の注意点まで検証している。ChillerX Proが猛暑の屋外でどのぐらい頼りになるのか、ぜひご確認いただきたい。

「ペルチェチラー方式」を採用した水冷ベストのニューモデル

 ChillerX Proは、ペルチェ素子で冷却した水を水冷ベスト内に循環させる「ペルチェチラー方式」を採用した冷却ベストだ。ペルチェ素子を身体に直接当てる直冷式とは異なり、水冷シートを使って身体を広い面で冷やせるのが特徴である。

 2026年モデルのChillerX Proは、「重さや大きさといったスペックを捨て」、冷却性能を前モデル比で約1.6倍に向上したとうたわれている。外気温との最大温度差も、ChillerXの最大-20℃から最大-35℃へと強化された。そのほか、連続稼働時間の延長、使用温度範囲の拡大、最大運転音の低減も図られている。

 構造上の大きな違いは吸排気構造だ。ChillerXは背面から吸気し、上面と下面から排気していたが、ChillerX Proは下面から吸気し、斜め上方へ排気する構造を採用している。排熱が身体へ当たりにくくなっているわけだ。

 使用水量も、約60mlから約140mlへと増えている。これは冷却性能の強化に伴い、冷却ユニット内や水冷シートを循環する水量が増えたためだと思われる。

 基本的な仕組みや操作方法は共通している。動作モードは、冷却性能を優先する「MAX」と、消費電力を抑える「ECO」の2種類。給電には20V/3A、最大60WのUSB PD対応モバイルバッテリを使用する。ベストはいずれも胸囲79~120cmに対応するフリーサイズだ。

 本体重量はバッテリを含まない状態で、ChillerX Proが約2.0kg、ChillerXが約1.6kg。約0.4kgの差と考えると、重量差は意外と大きい。

 前モデルのChillerXは、発売時の3万9,900円から1万円値下げされた2万9,900円で併売されている。冷却性能を重視するならChillerX Pro、軽さと価格を重視するなら、あえて前モデルを選ぶのもよいだろう。

【表1】ChillerX Proと前モデルのスペック
ChillerX ProChillerX
モデル年2026年モデル2025年モデル
型番SOP-C1W2GSOP-C1W1G
冷却方式ペルチェチラー方式
重量約2.0kg(バッテリ含まず)約1.6kg(バッテリ含まず)
冷却水温最大-35℃最大-20℃
連続稼働時間ECOモード: 約3時間
MAXモード: 約1.4時間
ECOモード: 約2.5時間
MAXモード: 約1.3時間
使用温度範囲外気温0~45℃外気温0~40℃
最大運転音51.2dB55.6dB
動作モードMAXモード、ECOモード
給電方式USB Type-C(DC20V 3A、60W)
サイズフリーサイズ(S~3L、胸囲79~120cm)
使用水量約140ml約60ml
直販価格3万9,900円2万9,900円
発売時は3万9,900円

※連続稼働時間は、3.85V換算で20,000mAhのPD対応モバイルバッテリを使用した場合

ChillerX Proには、本体、水冷ベスト、水注入チューブ、取扱説明書、安全上のご注意/保証書が同梱される。モバイルバッテリは別売り
手前が上面。冷却ユニットは下面から空気を取り込み、斜め上方へ排気する。排熱がユーザーの身体に当たりにくい構造だ
コントローラでは電源のオン/オフと、動作モード(ECO/MAX)の切り替えが可能。形状は同じだが、薄いグレーから濃いグレーへ色が変更された

ChillerX Proは確かに冷えるが、暑すぎると体感しにくいこともある

 今回は、気温36℃を記録した八王子のサバイバルゲームフィールド「TENKOO」で、ChillerX Proを実際に着用してテストした。筆者は従来モデルのChillerXも所有しているので、冷え方の違いについてもお伝えしよう。

 装着すると、従来モデルより冷却性能が向上していることはすぐに体感できた。メーカーは約1.6倍の冷却性能をうたっているが、さすがに体感だけで倍率までは判断できない。それでも、水冷ベストから伝わる冷たさは従来モデルより明らかに強い。特に日陰のセーフティーエリアでは、装着直後からかなり涼しく……というか、冷たく感じられた。

ChillerX Proの「冷え感」が向上していることは明確に体感できた
ChillerX Proの上からチェストリグなどのサバゲー装備を装着できる
排気口への被弾を避けるため、ステンレスメッシュを取り付けた

 フィールドに入り、チームで3~5分ほど作戦を練っている間も冷たさは続いていた。ゲーム開始と同時にスタートダッシュしたときも、まだ快適だった。

 しかし、ゲーム開始から4~5分ほど経過すると、冷却感が弱くなってきた。表ゲームの15分間はまだよかったが、そのまま続けて行なわれる裏ゲームでは、もう「冷え」をほとんど感じられなかった。

 今回のゲームは快晴の直射日光下で、風もほとんどなかった。さらに、表ゲームと裏ゲームを連続して行なう、なかなかに過酷な進行である(もちろん休憩は自由に取れるし、推奨されている)。鉄製コンテナなどの建物内にも熱気がこもっており、そのような環境で動き続けたことで、運動や日射による発熱がChillerX Proの冷却能力を上回った可能性がある。

表ゲームと裏ゲームを合わせると約30分。これだけの時間、直射日光下でプレイするのはなかなかハードだ
ダウン後の誤射を避けるため、日向側で衛生兵による救援を待っている筆者。建物内は風が遮られるため、さらに暑く感じられた

ところが、ゲーム終了後にサーモグラフィカメラで撮影すると、水冷ベストが密着していた部分だけ、模様のように表面温度が下がっていた。つまり、ChillerX Proはしっかりと筆者の身体を冷やしていたものの、あまりの暑さによって、その冷たさを体感しにくくなっていたわけだ。

肩甲骨、脇、腰付近の表面温度が低くなっている。この写真を見る限りでは、水冷ベストの下側がより冷えているようだ

 サーモグラフィカメラでの撮影後、再びChillerX Proを装着して日陰のセーフティエリアで休んでいると、「冷え感」が復活し、身体の熱が徐々に下がっていった。真面目な話、午前中の休憩時には2回ほどくしゃみをしてしまったぐらいである。

 ChillerX Proは、気温36℃の直射日光下でも1日中快適……という製品ではない。しかし、日陰が多いフィールドで、表ゲームと裏ゲームの間に休憩を挟むような進行であれば、今回よりも快適に過ごせたと思う。

 なお、スマートウォッチが記録した当日の総消費カロリーは6,849kcalに達した。消費カロリーの推定値にはある程度の誤差があるものの、気温36℃の環境で長時間ゲームを続けたことによる運動負荷が大きかったことは間違いない。

スマートウォッチが記録した当日の総消費カロリーは6,849kcalに達した

MAXモードのバッテリ駆動時間は約1時間35分

 サバゲーに限らず、実際の運用で気になるのがバッテリ駆動時間だ。今回はChillerX ProをMAXモードで使用し、複数のモバイルバッテリを交換しながら検証した。

 途中で交換したバッテリのうち、残量を50%以上消費した3回の記録から満充電時の駆動時間を推定すると、94.6~96.0分となった。3回の消費量と使用時間を合算して算出した平均は95.3分で、実用上の駆動時間は約95分、つまり約1時間35分と考えてよさそうだ。メーカー公称値の約1.4時間を約13%上回っている。

 一方、MOTTERUの25,000mAhモデルを残量0%まで使用した際の駆動時間は91分だった。20V出力時の定格出力容量は、20,000mAhモデルが67.2Wh、25,000mAhモデルが72Whで、容量差はそれほど大きくない。また、25,000mAhモデルを使用したのは、気温34.1~36.5℃を記録した最も暑い時間帯である。高温が実効容量や出力に影響した可能性がある。

 なお、5回目と6回目のテストでは、バッテリ残量が半分前後残っていたものの、途中でChillerX Proが停止した。原因は断定できないが、モバイルバッテリの温度が上昇し、保護機能によって出力が止まった可能性がある。

【表2】モバイルバッテリでの動作記録
記録バッテリ開始時刻記録時刻経過時間(分)残量(%)状態・備考
1MOTTERU 200009:5310:414850交換
2MOTTERU 2000010:4111:456433交換
3MOTTERU 2500011:4513:16910残量0%で停止
4MOTTERU 2000013:1614:267026交換
5MOTTERU 2000014:2615:154956停止
6CIO 2000015:1515:503554停止
7MOTTERU 2000015:5016:142474検証終了

 真夏の屋外では、モバイルバッテリを直射日光にさらさず、熱がこもらないように携帯する必要がある。標準のバッテリポーチがメッシュ状なのも、放熱を考慮しているためと思われる。

 今回は気温36℃を超える猛暑日だったため、終日MAXモードで運用した。実測駆動時間は約1時間35分だったが、途中停止や交換の余裕も考えると、最低でも2本、1日を通して使うなら3~4本のバッテリを用意したほうがよいだろう。

ほかのバッテリポーチを使う場合も、放熱性を考えて選ぶべきだ

酷暑を無効化はできないが、身体を確実に冷やしてくれる

 今回のテストは、気温36℃の直射日光下で、表ゲームと裏ゲームを連続して行なうというかなり厳しい条件だった。それでもChillerX Proは従来モデルより明らかに冷え、日陰や風のある場所では、身体の熱が下がっていくことを体感できた。

 本体重量はバッテリを含まず約2.0kgに増えているが、サバゲーではチェストリグやプレートキャリアを装着することが多いので、筆者はそれほど負担に感じなかった。また、吸気口が下面、排気口が斜め上方に配置されたことで、本体の正面側に被弾してもBB弾が内部へ直接入り込む可能性は低くなった。サバゲープレーヤーとしては、排熱が身体に当たりにくくなったこと以上に、被弾による破損の可能性が低くなったことがうれしい変更である。

今回テストしていて、最も欲しいと思ったのが、頭頂部や後頭部を冷やす冷却パッドだ。延長チューブなどを利用して頭部用の冷却パッドを追加できるようになれば、体感的な涼しさはさらに増すだろう。ぜひとも頭まで冷やせるようにしてほしい。

今回は氷嚢を使って頭部を冷やした。頭まで冷やせれば、体感的な涼しさはかなり増すと思う

 ChillerX Proは、酷暑を完全に無効化する製品ではない。しかし、従来モデルから冷却性能は確実に向上しており、条件が厳しい場所でも身体を冷やし続けてくれる。今回のサバゲーも、ChillerX Proがなければ最後までプレイできなかったと思う。まあ、1回休んではいるが、オッサンなので許してほしい。

 通常のファン付きウェアでは物足りない人や、氷を頻繁に補充せずに強い冷却効果を得たい人にとって、ChillerX Proは有力な選択肢といえるだろう。