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ゲーム性能ここに極まる。大容量キャッシュ+高クロックな「Ryzen 7 9850X3D」の驚異を体感せよ
2026年1月28日 23:00
AMDのゲーマー向けCPUの新モデル「Ryzen 7 9850X3D」が1月30日午前11時に発売される。AMDの推奨販売価格は9万4,800円。
今回、発売前にRyzen 7 9850X3Dをテストする機会が得られたので、Ryzen 7 9800X3DおよびCore Ultra 9 285Kとの比較を通して、新作ゲーミングCPUが実現するパフォーマンスを確かめてみた。
最大5.6GHzで動作するRyzen 7 9850X3D
Ryzen 7 9850X3Dは、Zen 5アーキテクチャを採用する8コア/16スレッドCPU。チップレット構成はCCD(Core Complex Die)とIODが各1個ずつの2チップレットで、CCDに3D V-Cacheを搭載することで96MBの大容量L3キャッシュを実現した。対応CPUソケットはSocket AM5。
最大ブーストクロックが5.2GHzから5.6GHzに引き上げられたことを除けば、Ryzen 7 9850X3Dの基本的なスペックはRyzen 7 9800X3Dを踏襲している。電力指標のTDPは120W、電力リミットのPPTは162Wで、これらもRyzen 7 9800X3Dと同等だ。
| 【表1】Ryzen 7 9850X3Dの主なスペック | ||
|---|---|---|
| モデルナンバー | Ryzen 7 9850X3D | Ryzen 7 9800X3D |
| CPUアーキテクチャ | Zen 5 | Zen 5 |
| チップレット構成 | 1×CCD + IOD | 1×CCD + IOD |
| 製造プロセス(CPU) | TSMC 4nm FinFET | TSMC 4nm FinFET |
| 製造プロセス(IOD) | TSMC 6nm FinFET | TSMC 6nm FinFET |
| CPUコア数 | 8 | 8 |
| CPUスレッド数 | 16 | 16 |
| L2キャッシュ | 8MB | 8MB |
| L3キャッシュ | 96MB | 96MB |
| ベースクロック | 4.7GHz | 4.7GHz |
| 最大ブーストクロック | 5.6GHz | 5.2GHz |
| iGPU | Radeon Graphics | Radeon Graphics |
| GPUコア数 | 2 | 2 |
| GPUクロック | 2,200MHz | 2,200MHz |
| 対応メモリ | DDR5-5600/2ch | DDR5-5600/2ch |
| PCI Express | PCIe 5.0 x16+x4+x4+x4 | PCIe 5.0 x16+x4+x4+x4 |
| TDP | 120W | 120W |
| PPT | 162W | 162W |
| TDC | 120A | 120A |
| EDC | 180A | 180A |
| TjMax | 95℃ | 95℃ |
| 対応ソケット | Socket AM5 | Socket AM5 |
テスト環境とベンチマーク結果
高クロック版Ryzen 7 9800X3Dといって差し支えないスペックのRyzen 7 9850X3D。今回は、従来モデルのRyzen 7 9800X3Dと、IntelのハイエンドCPUであるCore Ultra 9 285Kを比較相手として用意した。
また、AMDからはCPUのほかに、MSI製マザーボード「MPG X870E CARBON WIFI」と、G.Skill製のDDR5-6000対応メモリキット「F5-6000J2836G16X2-TZ5NR」が提供されたので、これらを使用してRyzen 7 9850X3Dをテストする。
ただし、DDR5-6000メモリの使用は製品仕様外のオーバークロック動作であるため参考データとして扱い、別途JEDEC準拠のDDR5-5600メモリを搭載した場合のパフォーマンスも計測する。
各CPUのテスト環境は以下の通り。AMD環境のマザーボードであるMPG X870E CARBON WIFIにはレビュアー向けBIOS「E7E49AMSI.1A74N1」を導入。DDR5-6000メモリ利用時にメモリプロファイルのEXPOを適用したが、そのほかの電力供給や各種クロックはマザーボードのデフォルト設定をそのまま使用している。
Core Ultra 9 285Kに関しては、製品保証が有効なIntel公式オーバークロックプロファイル「Intel 200S Boost」をBIOSで有効化。製品保証の範囲内で利用可能な1.4V駆動のDDR5-7200メモリと組み合わせることで、製品保証を損なわない範囲内でベストに近いパフォーマンスが得られる環境を構築した。
| 【表2】テスト環境 | ||||
|---|---|---|---|---|
| CPU | Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000) | Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600) | Ryzen 7 9800X3D(DDR5-5600) | Core Ultra 9 285K(DDR5-7200) |
| コア数/スレッド数 | 8C/16T | 8C/16T | 8C/16T | 8P+16E/24T |
| L2キャッシュ | 8MB | 8MB | 8MB | 40MB |
| L3キャッシュ | 96MB | 96MB | 96MB | 36MB |
| CPU電力リミット | PPT=162W | PPT=162W | PPT=162W | PL1=PL2=250W |
| CPU電流リミット | TDC=120A、EDC=180A | TDC=120A、EDC=180A | TDC=120A、EDC=180A | IccMAX=347A |
| CPU温度リミット | 95℃ | 95℃ | 95℃ | 105℃ |
| メモリ | 16GB×2 DDR5-6000 | 16GB×2 DDR5-5600 | 16GB×2 DDR5-5600 | 16GB×2 DDR5-7200 |
| メモリプロファイル | EXPO (OC) | SPD (JEDEC) | SPD (JEDEC) | 200S Boost (XMP) |
| メモリタイミング/電圧 | 28-36-36-96/1.4V | 46-45-45-89/1.1V | 46-45-45-89/1.1V | 34-42-42-84/1.4V |
| マザーボード | MSI MPG X870E CARBON WIFI | ASUS ROG MAXIMUS Z890 HERO | ||
| BIOS | E7E49AMSI.1A74N1 | v2302 | ||
| CPUファームウェア | AGESA 1.2.7.1 | 0x116 | ||
| メモリコントローラ | 3,000MHz | 2,800MHz | 2,800MHz | 1,800MHz/Gear2 |
| Infinity Fabric | 2,000MHz | 2,000MHz | 2,000MHz | NGU、D2D=3,200MHz |
| ビデオカード | ASUS TUF Gaming GeForce RTX 5090 32GB GDDR7 | |||
| GPUドライバ | GRD 591.74 (32.0.15.9174)、Resizable BAR=有効 | |||
| システム用SSD | Samsung 970 EVO PLUS 500GB (NVMe SSD/PCIe 3.0 x4) | |||
| アプリケーション用SSD | CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | |||
| CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 Blackout (ファンスピード=100%) | |||
| 電源 | 玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1,200W/80PLUS Platinum) | |||
| OS | Windows 11 Pro 25H2 (build 26200.7623、VBS有効) | |||
| 電源プラン | バランス | |||
| 計測 | HWiNFO64 Pro v8.40、ラトックシステム RS-BTWATTCH2 | |||
| 室温 | 約24℃ | |||
Cinebench 2026
2026年1月にリリースされたばかりのCinebench 2026では、CPUのマルチスレッド性能を計測する「CPU (Multiple Threads)」と、SMT対応CPUのシングルコア性能を計測する「CPU (Single Core)」、そしてシングルスレッド性能を計測する「CPU (Single Thread)」を実行した。テストの最低実行時間は10分。
なお、Cinebench 2026のシングルコアテストである「CPU (Single Core)」はSMT非対応CPUでは実行できないため、Core Ultra 9 285Kはスコアを計測できていない。
マルチスレッドテストにおけるRyzen 7 9850X3D(DDR5-5600)のスコアは「5,526」で、Ryzen 7 9800X3Dを約1%上回り、Core Ultra 9 285Kを約44%下回った。
また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)はDDR5-5600メモリ搭載時のスコアを約3%上回っている。Cinebench 2026は全バージョンのCinebench 2024同様、比較的メモリ性能が反映されやすいテストとなっているようだ。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)は、シングルコアで「754」、シングルスレッドで「565」を記録しており、SMTによる1コア/2スレッド動作によって、シングルスレッド時より3割強スコアが向上している様子が確認できる。
ほかのCPUとの比較では、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)はRyzen 7 9800X3Dをシングルコアで約4%、シングルスレッドでも約8%上回り、Core Ultra 9 285Kをシングルスレッドで約3%下回った。
また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)はDDR5-5600メモリ搭載時のスコアをシングルコアで約3%、シングルスレッドで約2%上回った。
Cinebench 2024
Cinebench 2024では、CPUのマルチスレッド性能を計測する「CPU (Multi Core)」と、シングルスレッド性能を計測する「CPU (Single Core)」を実行した。最低実行時間は10分。
マルチスレッドテストにおけるRyzen 7 9850X3D(DDR5-5600)のスコアは「1,327」で、Ryzen 7 9800X3Dを約1%上回り、Core Ultra 9 285Kを約46%下回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)はDDR5-5600メモリ搭載時のスコアを約4%上回っている。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)のシングルスレッドスコアは「140」で、Ryzen 7 9800X3Dを約6%上回り、Core Ultra 9 285Kを約5%下回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)はDDR5-5600メモリ搭載時のスコアを約3%上回っている。
Cinebench R23
Cinebench R23では、CPUのマルチスレッド性能を計測する「CPU (Multi Core)」と、シングルスレッド性能を計測する「CPU (Single Core)」を実行した。最低実行時間は10分。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)はマルチスレッドで「23,007」を記録し、Ryzen 7 9800X3Dを約1%、Core Ultra 9 285Kを約46%下回った。
Cinebench R23はメモリ性能が反映されにくいテストであるためか、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)はDDR5-5600メモリ搭載時のスコアをわずかに上回るにとどまり、結果としてRyzen 7 9800X3Dを約1%下回った。
CinebenchにおけるRyzen 7 9850X3DとRyzen 7 9800X3Dのマルチスレッド性能はほぼ同程度であり、ここでの逆転現象も計測誤差の範囲内といえる程度のものだ。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)はマルチスレッドで「2,250」を記録し、Ryzen 7 9800X3Dを約8%上回り、Core Ultra 9 285Kを約6%下回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)はDDR5-5600メモリ搭載時とまったく同じスコアを記録した。
3DMark「CPU Profile」
CPU性能をスレッド数毎に計測する3DMarkのベンチマークテスト「CPU Profile」では、Ryzen 7 9800X3Dのスコアを基準に指数化したグラフを作成した。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)は、最大スレッドおよび16スレッドではRyzen 7 9800X3Dを約1%下回るほぼ同等のスコアを記録しているが、4~8スレッドでは1~3%、1~2スレッドでは5~6%、それぞれRyzen 7 9800X3Dを上回っており、使用コア数が少ないほどRyzen 7 9800X3Dに対して優位である様子がうかがえる。
24コア/24スレッドCPUであるCore Ultra 9 285Kとの比較では、最大スレッドおよび16スレッドで34~47%、8スレッド以下では6~10%下回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)のスコアはDDR5-5600メモリ搭載時と大差ないものとなっている。
Blender Benchmark
Blender Benchmarkでは、CPUテストを実行して3つのシーンでレンダリング速度(Samples per Minutes)を計測した。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)はRyzen 7 9800X3Dと同程度のレンダリング速度を記録しており、Core Ultra 9 285Kを41~44%下回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)はシーン2の「junkshop」でDDR5-5600メモリ搭載時を約5%上回ったが、ほかのシーンでは大差ない速度となっている。
やねうら王
将棋ソフトの「やねうら王」では、ベンチマーク機能を利用してマルチスレッドテストとシングルスレッドテストを実行した。やねうら王の実行ファイルはAVX2版で、テスト時間は約180秒。
マルチスレッドテストにおけるRyzen 7 9850X3D(DDR5-5600)の処理速度は「10,952kNPS」を記録。Ryzen 7 9800X3Dを約3%、Core Ultra 9 285Kを約38%下回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)は「11,252kNPS」を記録し、DDR5-5600メモリ搭載時の処理速度を約3%上回っている。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)はシングルスレッドテストで「1,231kNPS」を記録。Ryzen 7 9800X3Dを約3%、Core Ultra 9 285Kを約6%上回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)は「11,252kNPS」を記録し、DDR5-5600メモリ搭載時の処理速度を約3%上回っている。
Adobe Camera Raw「RAW現像」
Adobe Camera Rawにて、デジタルカメラで撮影した2,400万画素のRAWファイル100枚をJPEGファイルに現像するのに掛かった時間を測定。処理速度として1分間当たりの処理枚数(fpm)を算出して比較する。
なお、計測はGPUを極力使わない場合(CPU処理)と、GPUを最大限に活用した場合(CPU+GPU処理)の2パターンで行なった。
CPU処理時のRyzen 7 9850X3D(DDR5-5600)は「156.58fpm」を記録。Ryzen 7 9800X3Dを約2%、Core Ultra 9 285Kを約29%下回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)は「162.87fpm」を記録し、DDR5-5600メモリ搭載時の処理速度を約4%上回った。
GPUを最大限に活用したCPU+GPU処理時のRyzen 7 9850X3D(DDR5-5600)は「361.66fpm」を記録。Ryzen 7 9800X3Dを約3%、Core Ultra 9 285Kを約22%下回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)は「381.19fpm」を記録し、DDR5-5600メモリ搭載時の処理速度を約5%上回った。
HandBrake
HandBrakeでは、約60秒の2160p60(4K60p)動画をH.264、H.265、AV1の各形式でエンコード。1秒間あたりの処理フレーム数(fps)を算出して比較した。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)はH.264で「107.1fps」、H.265で「36.7fps」、AV1で「32.8fps」を記録。Ryzen 7 9800X3Dを約1%、Core Ultra 9 285Kを16~32%下回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)はDDR5-5600メモリ搭載時の処理速度を4~6%上回っている。
PCMark 10 Extended
PCMark 10標準のテストの中でもっとも詳細な「PCMark 10 Extended」を実行した結果が以下のグラフ。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)は総合スコアで「19,145」を記録。Ryzen 7 9800X3Dを約3%、Core Ultra 9 285Kを14%上回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)の総合スコアは「19,266」で、DDR5-5600メモリ搭載時の処理速度を約1%上回っている。
UL Procyon「Office Productivity Benchmark」
Microsoft Officeを使ってパフォーマンスの計測を行うUL Procyon「Office Productivity Benchmark」を実行した結果が以下のグラフ。
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Office Productivity Benchmark│UL Procyon
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)は総合スコアで「8,887」を記録。Ryzen 7 9800X3Dを約6%、Core Ultra 9 285Kを3%上回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)の総合スコアは「9,040」で、DDR5-5600メモリ搭載時の処理速度を約2%上回っている。
UL Procyon「Photo Editing Benchmark」
Adobeの画像編集系ソフト(Photoshop、Lightroom Classic)を使ってパフォーマンスの計測を行うUL Procyon「Photo Editing Benchmark」を実行した結果が以下のグラフ。
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Photo Editing Benchmark│UL Procyon
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)は総合スコアで「11,258」を記録。Ryzen 7 9800X3Dを約3%、Core Ultra 9 285Kを12%上回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)の総合スコアは「11,472」で、DDR5-5600メモリ搭載時の処理速度を約2%上回っている。
CPUコア間のレイテンシ
MicroBenchXの「CoherencyLatency」でCPUコア間のレイテンシを計測した結果が以下のマトリックス表だ。
Ryzen 7 9850X3DのCPUコア間レイテンシは、SMTによる同じ物理コア内の論理コア間が16ナノ秒前後と小さく、物理コアを跨いだ場合は20~25ナノ秒程度となっている。これはRyzen 7 9800X3Dと同程度の数値だ。
AIDA64 Cache & Memory Benchmark「メインメモリ性能」
AIDA64 Cache & Memory Benchmarkで、メインメモリの帯域幅とレイテンシを計測した結果が以下のグラフ。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)のメモリ帯域幅は、同じDDR5-5600メモリを搭載するRyzen 7 9800X3Dとほぼ同等の結果となっており、スペックや動作設定的に順当な結果が得られた。
DDR5-6000(CL28)を使用することでRyzen 7 9850X3Dのメモリ帯域幅は9~14%拡大するが、DDR5-7200(CL34)メモリを搭載したCore Ultra 9 285KをReadで約41%、Writeで約14%、Copyで約42%下回っている。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)のメモリレイテンシは90.8ナノ秒で、92.0ナノ秒を記録したRyzen 7 9800X3Dとほぼ同等だった。
JEDEC準拠のDDR5-5600メモリより高クロックかつ低レイテンシなDDR5-6000(CL28)メモリを搭載することで、Ryzen 7 9850X3Dのレイテンシは75.4ナノ秒へと約17%短縮され、DDR5-7200(CL34)メモリを搭載したCore Ultra 9 285Kの79.7ナノ秒を下回った。
AIDA64 Cache & Memory Benchmark「キャッシュ性能」
AIDA64 Cache & Memory Benchmarkで、CPUが備えるキャッシュメモリの帯域幅とレイテンシを計測した結果が以下のグラフ。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)が備えるキャッシュの帯域幅をRyzen 7 9800X3Dと比較してみると、L1キャッシュは6~19%ほど増加しており、L2キャッシュについてもReadとCopyは1~2%微増しているのだが、L2キャッシュのWriteに関してはなぜか35%も下回っている。理由は不明だが、複数回実行しても同様の結果が得られているので、計測のブレというわけではないようだ。
3D V-Cacheにより96MBの大容量を実現しているL3キャッシュについては、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)がRyzen 7 9800X3Dの帯域幅を4~8%上回っており、L3キャッシュが若干高速に動作していることがうかがえる。また、DDR5-6000メモリを搭載したRyzen 7 9850X3Dのキャッシュ帯域幅はDDR5-5600搭載時と同程度となっている。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)のキャッシュレイテンシは、Ryzen 7 9800X3Dよりわずかに低い数値を記録している。DDR5-6000メモリを搭載したRyzen 7 9850X3DのキャッシュレイテンシはDDR5-5600搭載時とまったく同じ数値となっており、メモリクロックの変化による影響はみられない。
3DMark「Speed Way」
3DMarkのDirectX 12 Ultimateテスト「Speed Way」を実行した結果が以下のグラフ。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)のスコアは「14,142」で、Ryzen 7 9800X3DやCore Ultra 9 285Kをわずかに下回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)は比較製品の中で最高のスコアとなる「14,194」を記録したが、DDR5-5600メモリ搭載時や他のCPUとの差は1%未満なので、差がつかなかったと見るのが適当だろう。
3DMark「Steel Nomad」
3DMarkのDirectX 12テスト「Steel Nomad」では、GPU負荷の高い通常版Steel Nomadと、より軽量なSteel Nomad Lightを実行した。
Steel NomadでのRyzen 7 9850X3D(DDR5-5600)は「14,000」を記録し、他のCPUと同等といえるパフォーマンスを発揮した。GPU負荷が特に高いテストでは基本的にGeForce RTX 5090がパフォーマンスのボトルネックとなるため、CPUの性能の差はほとんどスコアに反映されない。
低負荷版であるSteel Nomad LightにおけるRyzen 7 9850X3D(DDR5-5600)のスコアは「54,091」。Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)やRyzen 7 9800X3Dと同等のスコアを記録している点は高負荷なSteel Nomadと同じだが、明らかに低いスコアを記録したCore Ultra 9 285Kを約10%上回った。
3DMark「Port Royal」
3DMarkのDXR(DirectX Raytracing)テスト「Port Royal」を実行した結果が以下のグラフ。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)のスコアは「37,290」。これはRyzen 7 9850X3D(DDR5-6000)およびRyzen 7 9800X3Dと同等のスコアで、Core Ultra 9 285Kを約12%上回った。
3DMark「Solar Bay」
3DMarkの軽量レイトレーシングテスト「Solar Bay」では、Vulkan 1.1を用いる通常版Solar Bayと、DirectX 12を用いる高負荷版Solar Bay Extremeを実行した。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)が記録したスコアは、Solar Bayが「241,519」で、高負荷版のSolar Bay Extremeが「50,511」。Solar Bay系のテストではすべてのCPUが横並びのスコアを記録しており、CPUの性能や特性はスコアにほとんど反映されていない。逆にいえば、いずれのCPUもSolar Bay系のテストではGeForce RTX 5090の性能を同じ程度引き出せているといえる。
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークでは、グラフィックプリセットを「最高品質」に設定して、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pの3画面解像度でスコアと平均フレームレートを計測した。なお、超解像は無効にしている。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)はRyzen 7 9850X3D(DDR5-6000)に次ぐ全体2番手のスコアを記録しており、Ryzen 7 9800X3DをフルHD/1080pで約4%、WQHD/1440pで約2%、4K/2160pでもわずかに上回った。また、Core Ultra 9 285Kには17~49%という大差をつけて上回っている。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5では、グラフィックプリセット「エクストリーム」でゲーム内ベンチマークモードを実行し、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測。また、フルHD/1080pでグラフィックプリセットを「中」に落とした高fps設定でも計測を行なった。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)が記録した平均フレームレートはRyzen 7 9800X3Dと同等かわずかに上回るもので、Core Ultra 9 285Kをエクストリーム設定で4~8%、高fps設定では25%上回った。
オーバークロックメモリを搭載したRyzen 7 9850X3D(DDR5-6000)の平均フレームレートはDDR5-5600メモリ搭載時とほとんど変わらないものとなっており、Forza Horizon 5ではメモリ性能の差がフレームレートにほとんど反映されなかった。
VALORANT
VALORANTでは、グラフィック設定を可能な限り高く設定し、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測した。なお、計測は射撃場の高CPU負荷シーンで行なった。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)が記録した平均フレームレートは「580.0~586.5fps」で、Ryzen 7 9800X3Dを4~5%上回り、Core Ultra 9 285Kを61~65%という大差で上回った。
高CPU負荷シーンでの計測では、いずれのCPUもGeForce RTX 5090の性能を引き出せておらず、Ryzen 7 9850X3DもDDR5-6000メモリを使用することで1~2%ほど平均フレームレートが上昇している。
フォートナイト
フォートナイトでは、NaniteおよびLumenを無効にした上でグラフィックプリセットを「最高」に設定し、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測。また、フルHD/1080pでグラフィックプリセットを「中」に落とした高fps設定での計測も行なった。テスト時のグラフィックスAPIはDirectX 12。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)は、WQHD/1440pと4K/2160pでRyzen 7 9800X3Dをわずかに上回り、Core Ultra 9 285Kを5~10%上回った。より負荷の低いフルHD/1080pおよび高fps設定ではこの差が拡大しており、Ryzen 7 9800X3Dを2~3%、Core Ultra 9 285Kを33~41%上回っている。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)が記録した平均フレームレートはDDR5-5600搭載時と同程度となっており、メモリ性能の差はほとんどパフォーマンスに反映されなかった。
VALORANT
エーペックスレジェンズでは、グラフィック設定を可能な限り高く設定し、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測した。グラフィックスAPIはDirectX 12で、上限フレームレートは300fps。
エーペックスレジェンズではCore Ultra 9 285Kを含めたすべてのCPUが上限フレームレートである300fpsをほぼ維持できており、結果的にCPU性能の差が反映されない結果となった。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、グラフィックプリセット「レイトレーシング:オーバードライブ」でゲーム内ベンチマークモードを実行し、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測。また、フルHD/1080pでグラフィックプリセットを「ウルトラ」に落とした高fps設定でも計測を行なった。
なお、すべての条件で超解像を「DLSS(バランス)」、フレーム生成を「オフ」に設定している。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)が記録した平均フレームレートはRyzen 7 9800X3Dとほぼ同等で、Core Ultra 9 285KをWQHD/1440pおよび4K/2160pで1~5%、よりGPU負荷の低いフルHD/1080pおよび高fps設定では18~21%上回った。
また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)は4K/2160pで約2%下回ったものの、その他条件ではDDR5-5600搭載時のフレームレートを1~4%上回った。
アサシン クリード シャドウズ
アサシン クリード シャドウズでは、グラフィックプリセット「最高」でゲーム内ベンチマークモードを実行し、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測。また、フルHD/1080pでグラフィックプリセットを「中」に落とした高fps設定でも計測を行なった。
なお、すべての条件で超解像を「DLSS(バランス)」、フレーム生成を「オフ」、レイトレーシングを「全体的に拡散+反射」に設定している。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)の平均フレームレートは、Ryzen 7 9800X3Dを2~4%上回り、Core Ultra 9 285Kを5~8%上回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)の平均フレームレートはDDR5-5600搭載時とほぼ変わらないものとなっている。
モンスターハンターワイルズ
モンスターハンターワイルズでは、グラフィックプリセットを「ウルトラ」に設定して、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測。また、フルHD/1080pでグラフィックプリセットを「中」に落とした高fps設定でも計測を行なった。
なお、すべての条件で超解像を「DLSS」、フレーム生成を「オフ」に設定している。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)が記録した平均フレームレートは、Ryzen 7 9800X3Dと大差ない結果である一方、WQHD/1440p以下の設定ではCore Ultra 9 285Kを2~12%上回った。
また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)の平均フレームレートは、WQHD/1440p以下の設定でDDR5-5600搭載時を2~8%上回った。テスト時点のモンスターハンターワイルズ(v1.040.03.00)は、Ryzen 7 9850X3Dでも比較的メモリオーバークロックの効果が反映されやすいようだ。
Microsoft Flight Simulator 2024
Microsoft Flight Simulator 2024では、グラフィックプリセットを「ウルトラ」に設定して、フルHD/1080p、WQHD/1440p、4K/2160pで平均フレームレートを計測。また、フルHD/1080pでグラフィックプリセットを「ミドル」に落とした高fps設定でも計測を行なった。
なお、すべての条件で超解像を「DLSS(DLAA)」、フレーム生成を「オフ」に設定している。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)が記録した平均フレームレートは、Ryzen 7 9800X3Dを3~5%、Core Ultra 9 285Kを5~14%上回った。また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-6000)の平均フレームレートはDDR5-5600搭載時を7~8%上回っており、メモリオーバークロックの効果が比較的大きく反映されている。
Microsoft Flight Simulator 2024は3D V-Cache搭載CPUが特に高いパフォーマンスを発揮するタイトルのひとつだが、どうやらメインメモリのアクセス性能もパフォーマンスに大きく反映されるようで、Core Ultra 9 285Kが善戦している理由はDDR5-7200(CL34)メモリにあるものと考えられる。
システムの消費電力
ラトックシステムのワットチェッカー「RS-BTWATTCH2」を使用してシステム全体の消費電力を計測。アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力と最大消費電力を比較したものが以下のグラフ。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)のアイドル時消費電力は97.9Wで、これはRyzen 7 9800X3Dの97.2Wとほぼ同等で、Core Ultra 9 285Kの81.5Wを15W以上上回るものだ。また、オーバークロックメモリを使用したRyzen 7 9850X3D(DDR5-6000)のアイドル時消費電力は、DDR5-5600搭載時よりやや高い99.7Wとなっている。
CPU系ベンチマークテストを実行したRyzen 7 9850X3D(DDR5-5600)の平均消費電力は250.3~266.5W。これはRyzen 7 9800X3Dの227.8~269.4Wに近いものだが、CinebenchやBlender Benchmarkでは20Wほど高い平均消費電力となっている。CPU消費電力はRyzen 7 9800X3Dよりやや大きい印象だが、300Wを超えるCore Ultra 9 285Kに比べれば省電力であるともいえる。
3DMarkをはじめとする3D系ベンチマークテストにおいて、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)は平均消費電力で526.1~741.0Wを記録。同条件で486.4~742.0Wを記録したRyzen 7 9800X3Dと比較するとやや高い数値となっているものが多い。これらのテストではGPUの性能を引き出せば引き出すほどGPU消費電力が増加するという要素があり、FF14ベンチマークでCore Ultra 9 285KがRyzen 7 9850X3Dを大きく下回る消費電力を記録した理由もそこにある。
ワットパフォーマンスの比較
ベンチマークスコアをシステムの平均消費電力で割ることによって求めたワットパフォーマンスを比較したものが以下のグラフ。今回はRyzen 7 9800X3Dを基準に指数化している。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)のワットパフォーマンスはRyzen 7 9800X3D比で91.6%~99.4%となっており、すべてのテストでRyzen 7 9800X3Dをやや下回った。
ベンチマークテストでのパフォーマンスが向上したとしても、それ以上にCPU消費電力も増加しているためワットパフォーマンスがやや悪化した格好だ。とはいえ、そこまで大きな差ではないので、特に気にする必要もないだろう。
Cinebench 2026実行中のモニタリングデータ
HWiNFO64 Proを使って計測したCinebench 2026「CPU (Multiple Threads)」実行中のモニタリングデータをまとめたものが以下のグラフ。テスト時の室温は約24℃。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)のCPUクロック(CCD-0)は平均5,243MHzとなっており、これはRyzen 7 9800X3Dの平均5,225MHzと大差ないものだ。どちらのCPUも温度/電力/電流リミットには余裕がある状態なのでスロットリングによる制限は受けていない。
最大ブーストクロックが5.6GHz(5,600MHz)に引き上げられたRyzen 7 9850X3Dだが、Cinebench 2026のようにすべてのコアがフル稼働するようなシチュエーションでの上限クロックはRyzen 7 9800X3Dと大差ないようだ。動作クロックがほぼ同じなのだから、一部のCPU系ベンチマークテストでRyzen 7 9850X3DとRyzen 7 9800X3Dのパフォーマンスが拮抗していたのも当然だ。
FF14ベンチマーク実行中のモニタリングデータ
HWiNFO64 Proを使って計測した「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク(フルHD/1080p、最高品質)」実行中のモニタリングデータをまとめたものが以下のグラフ。テスト時の室温は約24℃。
Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)のCPUクロックは平均5,516MHz(最大5,625MHz)で、Ryzen 7 9800X3Dの平均5,195MHz(最大5,225MHz)より明らかに高く、最大クロックはスペック通り5.6GHzに達している。
また、Ryzen 7 9850X3D(DDR5-5600)ではL3キャッシュの動作クロックも平均5,572MHz(最大5,632MHz)となっており、Ryzen 7 9800X3Dの平均5,237MHz(最大5,243MHz)より高速に動作していた。
Cinebecnh 2026のようにすべてのCPUコアがフル稼働する条件では最大ブーストクロック向上の恩恵がほとんどなかったRyzen 7 9850X3Dだが、ゲームなどで多く見られる低~中程度のCPU負荷では、CPUコアとL3キャッシュの両方が高速化することでより良いパフォーマンスを発揮するようだ。
Ryzen 7 9800X3Dのゲーミング性能をさらに高めたプレミアムモデル
最大ブーストクロックを5.6GHzに高めたRyzen 7 9850X3Dは、最高のゲーミングCPUの1つとしてゲーマーの支持を獲得してきたRyzen 7 9800X3Dの上位互換品だ。すべてのシチュエーションで高クロック化の恩恵を得られるわけではないが、ゲームでのパフォーマンスは確かに向上している。
依然としてRyzen 7 9800X3Dは魅力的な製品だが、シングルCCD最高のゲーミングCPUという肩書はRyzen 7 9850X3Dに継承される。妥協することなく最高のゲーミングPCを構築したいと望むなら、Ryzen 7 9850X3Dがベストな選択肢となるだろう。





































































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