Hothotレビュー

パナソニック「Let'snote LX3」

~14型液晶搭載ノートPCで世界最軽量を実現

Let'snote LX3
発売中

価格:オープンプライス

 パナソニックのLet'snoteシリーズといえば、軽くて丈夫でバッテリが長持ちするモバイルノートPCとして、ビジネスマンを中心に人気のある製品だ。新たに登場した「Let'snote LX3」は、Let'snote Bシリーズの後継となる新製品であり、14型液晶を搭載しながら、最軽量時構成では約1.14kgという、驚異的な軽さを実現していることが魅力だ。今回、Let'snote LX3を試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。なお、今回試用したのは、試作機であり、製品版とは細部や仕様、パフォーマンスなどが異なる可能性がある。

光学ドライブ搭載でも重量1.4kg未満を達成

 Let'snote LX3は、14型液晶を搭載したモバイルノートPCであり、現行のLet'snoteシリーズの中では、最も筐体が大きな製品となる。Let'snote LX3の筐体デザインは、12.1型液晶搭載のLet'snote SX/NXシリーズによく似ており、Let'snote SX/NXを大画面化したモデルといってよい。ラインナップ上はLet'snote Bシリーズの後継のようにみえるが、パナソニックとしてはLet'snote SX/NXの兄弟機のような位置付けにしたいということだ。

 Let'snote SX/NXは、軽くて携帯性に優れた高性能モバイルノートPCとして人気を集めたが、オフィスの机の上で使う場合は、もう少し画面が大きく、キーボードも大きい方が便利だというユーザーからの声があったという。Let'snote LX3は、そうした声に応えるために誕生した製品であり、1台でモバイルノートPCとしても、デスクトップPC代わりのメインマシンとしても実用的に使えるマシンだ。

 Let'snote LX3は、光学ドライブ搭載モデルと非搭載モデルがあり、さらにストレージもSSDモデルとHDDモデルがあるが、今回は、BDドライブ搭載の店頭モデルを試用した。筐体のサイズは、333×225.6×24.5mm(幅×奥行き×高さ)で、Ultrabookの要件よりはわずかに厚いが、重量は約1.395kg(BDモデル付属のバッテリパック(L)装着時)と軽い。携帯性に関しては、13.3型クラスのUltrabookと比べても遜色はない。さらに、光学ドライブなし、ストレージがSSD、バッテリが軽量のバッテリパック(S)という最軽量時構成では、重量は約1.14kgまで軽減され、14型液晶搭載ノートPCとして世界最軽量となる。12.1型液晶搭載Ultrabookとほぼ同程度の重量であり、14型ノートPCとしては驚異的な軽さだ。

 Let'snote LX3の薄くて軽い筐体の秘密は、新開発の天板とトップケースにある。Let'snoteシリーズは、以前から独自のボンネット構造を採用し、軽さと強度を両立させていたが、サイズが大きくなるとたわみやすくなるので、15.6型液晶搭載のLet'snote Bシリーズではボンネット部分にリブ構造を採用し、剛性を高めていた。しかし、この構造では厚みが大きくなってしまうことと、リブの配置が直線的であったため、リブ方向には強いがそれと垂直な方向には弱いという欠点があった。

 そこで、Let'snote LX3では、平面部分にも波形のリブを配置することで、面全体の強度をアップし、薄さと強度を両立させることに成功。76cm落下試験や100kgf加圧振動試験もクリアするなど、Let'snote AX/SX/NXと同等の堅牢性を実現している(Let'snote Bシリーズは76cm落下試験や100kgf加圧振動試験は行なっていない)。また、Let'snote Bシリーズではトップケース(キーボード面)が樹脂のみでできており、厚みが犠牲になっていたが、Let'snote LX3では、樹脂+マグネシウム合金のハイブリッド構造を採用し、軽量かつ高い堅牢性を保ちつつ、従来よりも薄い筐体を実現しているのだ。

Let'snote LX3の上面。Let'snoteシリーズではお馴染みのボンネット構造を採用しているが、以前に比べてボンネットの凹凸はかなり小さくなっている
Let'snote LX3の背面。右下にはメモリスロットなどのカバーがある
背面のカバーを開けたところ。右下にSO-DIMMスロットが用意されている
「DOS/V POWER REPORT」誌とLet'snote LX3のサイズ比較。横幅はLet'snote LX3のほうが56mm大きく、奥行きもLet'snote LX3の方が16.6mm大きい
試用機の重量は、実測で1,385gであった

第4世代Core i7と8GBメモリ、256GB SSDを搭載

 次に、Let'snote LX3の基本スペックを見ていこう。今回試用したBDドライブ搭載店頭モデルでは、CPUとして第4世代Core i7-4500U(1.8GHz)を搭載し、メモリ容量も標準で8GBと余裕がある。また、ストレージとしては256GB SSDを搭載する。これまでのLet'snoteシリーズの店頭モデルでは、SSD容量が128GBであり、やや容量的に不安があったが、256GB SSDを搭載する本製品なら、メインマシンとしても安心して使える。基本スペックについては、十分満足できる。

 液晶は14型で、解像度は1,600×900ドットである。解像度はLet'snote SX/NXと同じだが、Let'snote AX3では、1,920×1,080ドットのフルHD解像度を実現していることを考えると、こちらもフルHD液晶搭載モデルも用意して欲しかったところだ。逆に、Let'snote SX/NXで文字などが見にくい場合は、Let'snote LX3が見やすいだろう。タッチパネルは非搭載だが、ノングレア液晶を採用しているため、外光の映り込みが抑えられており、長時間使っても目の疲れが少ない。鮮やかさでは、光沢タイプの液晶には及ばないところもあるが、仕事で使うにはこちらの方が向いている。液晶上部には、720p対応Webカメラが搭載されており、ビデオチャットなどに利用できる。

 BDドライブは右側面に用意されており、一般的なトレイ式を採用している。今回試用したBDドライブモデル以外に、DVDスーパーマルチドライブモデルや光学ドライブレスモデルも用意されており、用途に応じて選べるのは嬉しい。

液晶は14型で、解像度は1,600×900ドットである。タッチパネル非搭載のノングレア液晶なので、外光の映り込みが抑えられており、目の疲れが少ない
光学ドライブとしてBDドライブを搭載。DVDスーパーマルチドライブ搭載モデルや光学ドライブレスモデルもある

使いやすいキーボードとタッチパッド

 Let'snote LX3は、12.1型クラスのモバイルノートに比べて、筐体サイズが大きいため、キーボードもゆったりしていて使いやすい。キーピッチは約19mmで、不等キーピッチもなく、キー配列も標準的だ。キートップは独自のリーフ型と呼ばれるもので、爪などでのひっかかりを減らし、ミスタイプを減らしてくれるという。キーストロークも2mmと深く、キータッチも良好だ。ポインティングデバイスとしては、長方形のタッチパッドを搭載。他社のUltrabookでは、パッドとクリックボタンが一体化したタッチパッドを採用していることが多いが、Let'snote LX3のタッチパッドは、パッドとクリックボタンが独立しているタイプなので、クリックミスなどがなく、操作しやすい。

キーボードは、全87キーで、キーピッチは約19mm。キー配列は標準的であり、不等キーピッチもないので、快適にタイピングが可能
ポインティングデバイスとして、タッチパッドを搭載。パッドとクリックボタンが分かれているタイプなので、操作しやすい

WiMAXに対応するなどインターフェイスも充実

 インターフェイスが充実していることも魅力だ。HDMI出力やUSB 3.0×2、USB 2.0に加えて、アナログRGB(ミニD-Sub15ピン)やGigabit Ethernet(GbE)にも対応する。アナログRGBやGbEは、コネクタの厚みが大きいため、薄さを優先したUltrabookでは搭載していないことが多い。コンシューマ用途なら、アナログRGBやGbEに対応していなくても、そう問題はないが、ビジネス用途に使うのなら、プロジェクターへの出力や社内LANへの接続など、アナログRGBやGbEを必要とする場面はまだまだ多い。

 また、ワイヤレス機能として、IEEE 802.11a/b/g/n対応無線LANとBluetooth 4.0に加え、WiMAXに対応していることもポイントだ。以前に比べて、WiMAX搭載マシンが減ってしまっている中、標準搭載していることは高く評価できる。なお、直販サイト「マイレッツ倶楽部」限定のプレミアムエディションでは、無線LANが11acドラフト準拠となり、より高速な通信が可能だ。

左側面には、Gigabit EthernetやアナログRGB、HDMI出力、USB 3.0×2が用意されている
左側面のポート部のアップ。左側のUSB 3.0ポートは、パワーオフUSB充電機能をサポートしている
右側面には、USB 2.0と光学ドライブが用意されている
前面には、電源スイッチとワイヤレススイッチ、ヘッドフォン出力、マイク入力、SDカードスロットが用意されている

新開発の高容量セルを採用し、最大約22時間駆動を実現

 Let'snoteシリーズは、バッテリ駆動時間が長いことで定評があるが、Let'snote LX3でも、その伝統はしっかりと受け継がれ、さらに進歩している。Let'snote LX3では、6セルのバッテリパック(L)と3セルのバッテリパック(S)の2種類のバッテリが用意されている。どちらも外形サイズは同じで、重量のみ異なる。今回試用したBD搭載店頭モデルでは、標準で大容量のバッテリパック(L)が付属しているが、オプションのバッテリパック(S)に変えることで、重量は約140g軽くなる。

 このバッテリパックには、最新の高容量セルが使われており、6セルの公称容量は7,100mAh(10.8V)、3セルの公称容量は3,550mAh(10.8V)となる。バッテリパック(L)を装着したBD搭載店頭モデルの公称バッテリ駆動時間は実に約22時間にもなる(バッテリパック(S)装着時のDVDスーパーマルチドライブ搭載機の公称駆動時間は約11.5時間)。駆動時間についても、最長クラスであり、高く評価できる。

 ACアダプタもコンパクトで軽く、携帯しやすいが、さらにオプションとしてより小型のミニACアダプタも用意されている。ミニACアダプタは容量が小さいため、バッテリの充電は、電源オフまたはスリープ時、休止時のみとなるが、もともとバッテリ駆動時間が長いので、持ち歩きの際には、ミニACアダプタもお勧めだ。

試用機のバッテリは6セルの大容量タイプである
バッテリの背面。6セルバッテリでも3セルバッテリでもサイズは変わらない
6セルのバッテリパック(L)は、10.8V/7,100mAhで、従来よりも容量が増加している
CDケース(左)とバッテリパック(L)のサイズ比較
ACアダプタもコンパクトで軽い
ACアダプタの出力は16V/4.06Aで、容量は65Wである
CDケース(左)とACアダプタのサイズ比較
ACアダプタの重量は、実測で263gであった

高いパフォーマンスと長時間駆動を実現

 参考のために、ベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークソフトは、「PCMark05」、「PCMark Vantage」、「PCMark 7 v1.4.0」、「3DMark03」、「3DMark」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark 2.2」である。比較用として、ソニー「VAIO Pro 11」、ソニー「VAIO Pro 13 | red edition」、ソニー「VAIO Duo 13」、ソニー「VAIO Fit 15」の結果も掲載した。

 結果は下の表に示したとおりで、Core i5-4200Uを搭載したVAIO Pro 11やVAIO Duo 13に比べて、全体的にスコアは高い。同じCore i7-4500Uを搭載したVAIO Pro 13 | red editionと比べても、パフォーマンスは高く、モバイルノートPCとしてはトップクラスの性能といえるだろう。ストレージの速度も、PCI Express接続SSDを搭載したVAIO Pro 13 | red editionにはかなわないが、リードは500MB/secを超えており、SATA3接続のSSDとしては高速な部類だ。

 Let'snote LX3VAIO Pro 11VAIO Pro 13 | red editionVAIO Duo 13VAIO Fit 15
CPUCore i7-4500U (1.8GHz)Core i5-4200U (1.6GHz)Core i7-4500U (1.8GHz)Core i5-4200U (1.6GHz)Core i7-3537U (2GHz)
ビデオチップIntel HD Graphics 4400Intel HD Graphics 4400Intel HD Graphics 4400Intel HD Graphics 4400Intel HD Graphics 4000
PCMark05
PCMarksN/AN/AN/AN/AN/A
CPU Score93797864829382039453
Memory Score85999978670873028082
Graphics Score33022144272225902777
HDD Score560405512263337360439939
PCMark Vantage 64bit
PCMark Score155401288115722132389038
Memories Score84937106763777585666
TV and Movie ScoreFailedFailedFailedFailedFailed
Gaming Score1103070259549107828348
Music Score1807715744180491396912051
Communications Score1797214934197981533012300
Productivity Score215031620924448173917223
HDD Score4790750784622484033811431
PCMark Vantage 32bit
PCMark Score141111194413652123358809
Memories Score81046994732475175029
TV and Movie ScoreFailedFailedFailedFailedFailed
Gaming Score96997554851496707121
Music Score1654314962168851319810609
Communications Score1604313508175801109510611
Productivity Score197191532521896154876915
HDD Score4811751157633554091910711
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score53104016450044683971
Lightweight score57894892352031452276
Productivity score47243835262424181785
Entertainment score38162645309733162910
Creativity score99868312845680397614
Computation score169019970104441121915773
System storage score54915317546650753251
Raw system storage score61215679636743871192
3DMark03
1024×768ドット32ビットカラー(3Dmarks)128561012813605867713486
CPU Score20721655201815601980
3DMark
Ice Storm4415527312342941515037436
Cloud Gate49003461392343994184
Fire Strike721469501654587
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH75986732742463974565
LOW1089999381086288826760
FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
1,280×720ドット 最高品質1580未計測未計測未計測未計測
1,280×720ドット 高品質(デスクトップPC)1598未計測未計測未計測未計測
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)1894未計測未計測未計測未計測
1,280×720ドット 標準品質(デスクトップPC)3350未計測未計測未計測未計測
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC)3279未計測未計測未計測未計測
ストリーム出力テスト for 地デジ
DP10099.9799.9799.97100
HP10010010099.97100
SP/LP10099.9710099.97100
LLP10010010099.97100
DP(CPU負荷)4212422112
HP(CPU負荷)34632154
SP/LP(CPU負荷)28430103
LLP(CPU負荷)2732871
CrystalDiskMark 2.2
シーケンシャルリード513.8MB/s481.2MB/s987.8MB/s477.9MB/s146.0MB/s
シーケンシャルライト455.1MB/s139.3MB/s434.1MB/s134.3MB/s87.86MB/s
512Kランダムリード454.6MB/s419.4MB/s604MB/s418.7MB/s114.6MB/s
512Kランダムライト444.9MB/s140.7MB/s416.2MB/s132.4MB/s78.06MB/s
4Kランダムリード24.57MB/s33.36MB/s28.42MB/s22.47MB/s11.22MB/s
4Kランダムライト56.09MB/s99.30MB/s69.71MB/s48.69MB/s19.64MB/s
BBench
標準バッテリ19時間16分8時間5分10時間18分12時間58分4時間17分
標準バッテリ+シートバッテリなし未計測21時間なしなし

 また、バッテリベンチマークソフトの「BBench」(海人氏作)を利用し、1分ごとに無線LAN経由でのWebアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測したところ、19時間16分もの長時間駆動が可能になった(電源プランは「バランス」、液晶輝度は「中」)。無線LANを常時有効にして、これだけ持つのはやはり驚異的だ。軽量な3セルバッテリに交換しても、9時間以上バッテリが持つ計算になるので、1日中、客先を回っているような営業職の方でも、安心して利用できる。

モバイルノートPCとしての完成度は高い

 Let'snote LX3は、文字が見やすい14型液晶を搭載しながら、他社の12.1型液晶搭載モデルと同等の重量を実現した、非常に完成度の高いモバイルノートPCだ。これまで、パナソニックがLet'snoteシリーズで培ってきた技術の集大成ともいえるマシンであり、携帯性重視のモバイルノートを使っていて、液晶やキーボードの小ささに不満を持っていた人には最適だ。基本性能が優れているので、オフィスの机の上ではメインマシンとして使い、そのまま出張や外出の際には、気軽に持ち出せるモバイルマシンとなる。堅牢性も高く、1台でさまざまな用途に対応できるので、持ち歩く道具にこだわりたいという、こだわり派の人にもお勧めしたい。

(石井 英男)