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価格がアップしたけど実力はどう?「Pixel 9/Pixel 9 Pro XL」をチェック
2024年8月22日 02:00
Googleから、最新スマートフォン「Pixel 9」シリーズが登場した。これまでPixelシリーズは、10月頃に開催される「Made by Google」で発表することが通例だったが、今年はMade by Googleの開催が8月13日(現地時間)と1カ月以上前倒し。しかも、Pixel 9シリーズとして「Pixel 9」、「Pixel 9 Pro」、「Pixel 9 Pro XL」、「Pixel 9 Pro Fold」と4モデルを1度に発表した。
今回はその中から、日本でも8月22日より発売となるPixel 9とPixel 9 Pro XLを発売に先駈けて試用できたので、ハード面を中心に紹介する。直販価格はPixel 9が12万8,900円から、Pixel 9 Pro XLが17万7,900円から。
なお、Pixel 9 ProおよびPixel 9 Pro Foldについては、今後試用機を入手できた段階で改めて紹介する予定。また、今回試用した個体は発売前の評価機のため、ベンチマークテストは行なえず、仕様も製品版と異なる可能性がある点はご了承いただきたい。
本体デザインが大きく変更され、個性がやや失われた印象
Pixel 9およびPixel 9 Pro XLのスペックについては、こちらの記事で詳しく紹介しているのでそちらを参照していただくとして、ここでは外観をチェックしていく。
Pixel 9シリーズの外観は、Pixel 8シリーズからかなり大きく変更されてる。
まず、見た目に最も大きな違いと感じるのが、背面の「カメラバー」だ。Pixel 8シリーズのカメラバーは、Pixel 6シリーズから採用された、突起部が本体左右側面まで伸び、側面フレームとなだらかに一体化した帯状のデザインとなっていた。他のスマートフォンにはないPixel独自デザインで、Pixelの特徴といえばカメラバー、と言ってもいいほどに定着している印象だ。
それに対しPixel 8シリーズのカメラバーは、左右側面付近まで伸びる帯状ではあるものの、側面フレームから切り離されて、楕円柱状に独立したデザインへと変更された。また側面部は全周にわたって直線的に切り落とされている。そのため、カメラバーの存在感が増し、より目立つようになったと感じる。同時に、指がカメラバーに触れたときのゴツゴツ感も増している印象だ。
ただ、カメラバー自体は左右側面付近まで伸びているため、飛び出したカメラユニットが本体片側に偏っているスマートフォンのように、ディスプレイ面を上にしてテーブルに置いてもグラグラすることがないのはありがたい。
ちなみに、カメラバーの突起の高さはPixel 9、Pixel 9 Pro XLとでほぼ差がなく、実測で約3.4mmだった。Pixel 8やPixel 8 Proのカメラバーよりもわずかに高さが増しており、これもカメラバーの存在感を強めているのだろう。
デザインの変更はカメラバーだけでなく本体にも及んでいる。従来までのPixelシリーズでは、側面フレームがなだらかにカーブしていたが、Pixel 9では側面がほぼ直線的に切り落とされたデザインに変更された。そのため、カメラバーも本体デザインに合わせて変更したものと考えていいだろう。
このように側面が直線的に切り落とされたデザインに変更されたことで、本体を手にすると、従来よりもかなりゴツゴツとした手触りとなった。反面、しっかり掴んで持てるようになったとも感じる。
ところで、本体の四角は従来よりもなだらかで大きなカーブとなっている。この直線的に切り落とされた側面と大きなカーブの四角のデザインからは、Pixelの個性があまり感じられなくなったように思う。確かに、カメラバーの存在感は十分で、それだけでPixelだと分かるのは事実だが、ディスプレイ面から見た印象はPixelというよりもiPhoneにかなり近付いてしまった印象。Pixelの個性がやや薄まったように感じるのは、個人的にはちょっと残念に思う。
側面およびカメラバーの金属部分には、従来同様100%リサイクルアルミニウムを採用。ディスプレイ面と背面のガラスは、Pixel 9、Pixel 9 Pro XLともにCorning製強化ガラス「Gorilla Glass Victus 2」を採用することで強度を高めている。
側面のメタルフレームとカメラバーの側面部分は、Pixel 9がマット処理、Pixel 9 Pro XLが光沢処理となっている。それに対し背面ガラスはPixel 9が光沢処理、Pixel 9 Pro XLがマット処理と、フレームとは異なる処理となっている。なおカメラバー上部のメタル部分は、双方ともにマット処理だ。
カラーは、Pixel 9がObsidian、Porcelain、Wintergreen、Peonyの4色、Pixel 9 Pro XLがObsidian、Porcelain、Hazel、Rose Quartzの4色をラインナップ。試用機はPixel 9がWintergreen、Pixel 9 Pro XLがObsidianだった。
側面および背面の手触りは、双方ともなめらかだが、側面がマット処理のPixel 9のほうが手に持った場合に滑りやすい印象。どちらにしても、安心して持ち歩きたいなら、純正ケースなどのケースの装着がお勧めだ。
Pixel 8シリーズより重量が重くなった
サイズは、Pixel 9が72×8.5×152.8mm、Pixel 9 Pro XLが76.6×8.5×162.8mm。双方を横に並べた状態でのサイズ感は、Pixel 8とPixel 8 Proと大きく変わらない。
Pixel 9をPixel 8と比べてみると、幅が1.2mm、高さが2.3mm増えているが、カメラバーを除いた奥行きは0.4mm薄くなっている。特に高さが2.3mm増えていることもあって、横に並べると結構大きくなったと感じる。
それでも、手に持った印象はそこまで大きな違いは感じなかった。筆者は比較的手が大きいこともあるが、片手でも余裕を持って持てる印象だ。
ただし、重量は198gと、187gだったPixel 8より11g重くなった。せっかく重量が190gを切っていたのに、200gにかなり近くなったこともあって、持ち比べてもちょっと重くなったと感じる。重量が増えるにしても、190g台前半に収めてもらいたかった。
Pixel 9 Pro XLは、Pixel 8 Proと比べて幅が0.1mm、高さが0.2mm増え、カメラバーを除いた奥行きが0.3mm薄くなった。こちらはPixel 9ほどの大きな違いはなく、横に習えてもほとんど同じサイズという印象だ。手に持った印象もほぼ同等で、さすがにこのサイズでは筆者の手にもやや大きく、片手での操作はかなり厳しいと感じる。
重量は221gと、Pixel 8 Proから8g増えている。実際に手に持ってみると、それほどの違いは感じられないが、どちらにしても200gを大きく上回る重量のため、ずっしり重く感じる。
AI処理に最適化したTensor G4を搭載
Pixel 9シリーズでは、SoCにGoogle DeepMindと共同設計したGoogle独自SoC「Tensor」の第4世代モデルとなる「Tensor G4」を搭載している。
Tensor G4では、従来のTensor G3と比べてWebブラウズが約20%、アプリの起動時間が約17%高速化されているという。また普段使いの電力効率も高められているそうだ。
そして、大きな特徴が最先端のAIモデルを実行するよう最適化されている点だ。これによって、Gemini Nanoにおいてテキストや画像、音声を端末内で認識して処理できるマルチモーダルに対応している。
Pixel 9 | Pixel 9 Pro XL | |
---|---|---|
SoC | Google Tensor G4 | |
メモリ | 12GB | 16GB |
内蔵ストレージ | 128GB/256GB | 128GB/256GB/512GB |
セキュリティチップ | Titan M2 | |
OS | Android 14 | |
更新 | 7年間のOS/セキュリティアップデート | |
ディスプレイ | 6.3型有機EL「Actuaディスプレイ」、1,080×2,424ドット、アスペクト比20:9、HDR、コントラスト比200万:1、リフレッシュレート60~120Hzスムーズディスプレイ、輝度最大1,800nits、ピーク時最大2,700nits | 6.8型LTPO有機EL「Super Actuaディスプレイ」、1,344×2,992ドット、アスペクト比20:9、HDR、コントラスト比200万:1、リフレッシュレート1~120Hzスムーズディスプレイ、輝度最大2,000nits、ピーク時最大3,000nits |
背面カメラ | 超広角:F値1.7、画角123度、1/2.55型4,800万画素Quad PDセンサー 広角:F値1.68、画角82度、1/1.31型5,000万画素Octa PDセンサー、光学式手ブレ補正 | 超広角:F値1.7、画角123度、1/2.55型4,800万画素Quad PDセンサー 広角:F値1.68、画角82度、1/1.31型5,000万画素Octa PDセンサー、光学式手ブレ補正 望遠:F値2.8、画角22度、1/2.55型4,800万画素 Quad PDセンサー、光学式手ブレ補正 |
前面カメラ | F値2.2、画角95度、1,050万画素Quad PDセンサー、オートフォーカス | F値2.2、画角103度、4,200万画素Quad PDセンサー、オートフォーカス |
モバイル通信 | 5G Sub-6:n1/2/3/5/7/8/12/14/20/25/26/28/30/38/40/41/66/71/75/77/78/79 4G LTE:B1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/17/18/19/20/21/25/26/28/29/30/32/38/39/40/41/42/48/66/71/75 3G:1/2/4/5/6/8/19 GSM:850/900/1,800/1,900MHz | 5G Sub-6:n1/2/3/5/7/8/12/14/20/25/26/28/30/38/40/41/66/71/75/77/78/79<BR4G LTE:B1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/17/18/19/20/21/25/26/28/29/30/32/38/39/40/41/42/48/66/71/75<BR>3G:1/2/4/5/6/8/19 GSM:850/900/1,800/1,900MHz |
対応SIM | nanoSIM+eSIM | |
無線LAN | Wi-Fi 7(IEEE 802.11be、2×2+2×2 MIMO) | |
Bluetooth | Bluetooth v5.3 | |
センサー | 近接センサー、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、磁力センサー、気圧センサー | 近接センサー、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、磁力センサー、気圧センサー、温度センサー |
おサイフケータイ | 対応 | |
防水・防塵 | IP68 | |
生体認証性能 | ディスプレイ埋め込み型超音波式指紋センサー、顔認証 | |
外部ポート | USB 3.2 Gen2 USB Type-C | |
バッテリ容量 | 標準4,700mAh(最小4,558mAh) | 5,060mAh(最小4,942mAh) |
ワイヤレス充電 | 対応(Qi準拠)、最大15W | 対応(Qi準拠)、最大23W |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 72×8.5×152.8mm | 76.6×8.5×162.8mm |
重量 | 198g | 221g |
カラー | Obsidian、Porcelain、Wintergreen、Peony | Obsidian、Porcelain、Hazel、Rose Quartz |
このGemini NanoをはじめとするAI処理を快適に行なえるように、Pixel 9シリーズではRAMが増やされており、Pixel 9では12GB、Pixel 9 Pro XLでは16GB搭載している。内蔵ストレージ容量は、Pixel 9が128GB/256GB、Pixel 9 Pro XLが128GB/256GB/512GB。従来同様にmicroSDは利用できない。
モバイルネットワークは5G対応だが、Pixel 9、Pixel 9 Pro XLともに5GはSub6のみ対応でミリ波は非対応。Pixel 8 Proはミリ波に対応していたことを考えると少々残念だが、ミリ波のエリアはかなり限られることを考えると、実用上それほど大きな問題はないだろう。
無線LANは、いずれもWi-Fi 7(IEEE 802.11be、2×2+2×2 MIMO)に対応。BluetoothはBluetooth 5.3対応となる。
生体認証機能は、従来同様に前面カメラを利用した顔認証とディスプレイ埋め込み型の指紋認証に対応。このうち指紋認証は従来の光学式から超音波式へと変更されたことで、認証精度や認証速度が向上している。
実際に指紋認証を試してみると、これまでセンサーに指を比較的強く押しつける必要があったり、それでも認証に失敗することがよくあったが、Pixel 9およびPixel 9 Pro XLではセンサーに軽く指をタッチするだけで素早く認証できる。認証速度が早く、認証に失敗することも激減しており、利便性が大きく高まったと感じる。
顔認証については、前面カメラを利用しつつ、ロック解除だけでなく、アプリログインや決済時の認証などにも利用可能な点はPixel 8シリーズ同様だ。
ポートは、下部側面にUSB 3.1準拠USB Type-Cを用意し、オーディオジャックは非搭載。物理SIMカード用トレイは下部側面に用意しており、nanoSIMを1枚装着可能。物理ボタンは従来同様で、右側面に上から電源ボタン、ボリュームボタンの並びとなる。
センサー類は、近接センサー、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロスコープ、磁力センサー、気圧センサーを搭載。また、Pixel 9 Pro XLにはPixel 8 Pro同様に背面Pixelカメラバー内に温度センサーを搭載し、-20℃~150℃の範囲で温度を計測できる。
温度測定時には温度計アプリを利用するが、温度計アプリが進化し、これまで通りの温度測定だけでなく、測定対象として食べ物、液体、調理器具を選択することでより正確に測定できるようになった。またカメラを同時利用して画面に測定場所を映像で表示できるようになったことで、温度計測自体もやりやすくなっている。
このほか、NFC/FeliCaを搭載し、おサイフケータイをサポートする点や、IP68準拠の防水防塵性能を有する点は従来同様だ。なお、NFC/FeliCaアンテナは背面中央のGマーク付近に搭載している。
バッテリ容量は、Pixel 9が標準4,700mAh(最小4,558mAh)、Pixel 9 Pro XLが5,060mAh(最小4,942mAh)。駆動時間は24時間以上で、スーパーバッテリセーバー利用時には最長100時間。
別売の45W USB-C充電器の利用で、Pixel 9は30分ほどで55%(最大27W)、Pixel 9 Pro XLは30分ほどで70%(最大37W)の急速充電が可能。またQi準拠のワイヤレス充電もサポートしており、別売のGoogle Pixel Stand(第2世代)を使用することで、Pixel 9は最大15W、Pixel 9 Pro XLでは最大23Wの急速充電が可能だ。
パッケージの付属品は、USB 2.0準拠のUSB Type-Cケーブルとインストラクションカード、SIMピンが付属。従来まで付属していたUSB Type-A Type-C変換コネクタは省かれている。
搭載OSはAndroid 14で、アップデート期間はセキュリティアップデート、OSアップデートともに7年間となる。
Pixel 9 Pro XLはPixel史上最も明るいディスプレイを搭載
Pixel 9のディスプレイは、1,080×2,424ドット表示、リフレッシュレート60~120Hzのスムーズディスプレイに対応する6.3型有機EL「Actuaディスプレイ」を搭載。Pixel 8と比べてサイズがわずかに大型化するとともに、縦の解像度が24ドット分増えている。
コントラスト比は200万:1と従来の100万:1を凌駕。輝度も最大1,800cd/平方m、ピーク時2,700cd/平方mとなっており、直射日光下でもPixel 8より圧倒的に画面が見やすくなっている。
また、Pixel 9 Pro XLのディスプレイは、1,344×2,992ドット表示、リフレッシュレート1~120Hzのスムーズディスプレイ対応の6.8型有機EL「Super Actuaディスプレイ」を搭載。表示解像度やリフレッシュレートはPixel 8 Pro同様だが、サイズはわずかに大型化している。側面が湾曲していない平面ディスプレイとなっている点は従来同様だ。
コントラスト比はこちらも200万:1。輝度は最大2,000cd/平方m、ピーク時3,000cd/平方mとPixel 9以上に明るく、Pixel史上最も明るいディスプレイだという。
実際にPixel 8 ProとPixel 9 Pro XLのディスプレイを直射日光下で比較してみたところ、Pixel 8 Proもそこまで悪くはないが、Pixel 9 Pro XLのほうがより明るく表示され、視認性が優れていた。特に夏の強烈な直射日光下でもしっかり表示内容を確認できるのはありがたい。
このほか、双方ともディスプレイベゼル幅が狭められている。比較しても劇的な違いとは感じないものの、よく見るとPixel 9/9 Pro XLのほうがベゼル幅が狭くなっていることが分かる。
ただ、やはりディスプレイ上部のインカメラがパンチホールで搭載される点はどうしても気になってしまう。カメラをディスプレイ外に追い出すことはベゼル幅を広げることになるため致し方ない部分ではあるが、少々残念でもある。
背面カメラはレンズや撮像素子を強化
背面カメラは、Pixel 9が超広角と広角の2眼構成、Pixel 9 Pro XLが超広角と広角、5倍望遠の3眼構成と従来同様。ただその仕様は強化されている。
まずPixel 9は広角カメラはF値1.68、画角82度、光学手ブレ補正機構を備えるレンズに1/1.31型5,000万画素Octa PDセンサーの組み合わせで、こちらはPixel 8と同じ。ただ超広角カメラはF値1.7、画角123度のレンズに1/2.55型4,800万画素Quad PDセンサーの組み合わせと、明るいレンズと高画素の撮像素子に強化されている。
撮影倍率は、超広角が0.5倍、広角が1倍で、広角レンズでの2倍撮影はセンサーの中央部分をクロップすることで無劣化撮影が可能。デジタル望遠ズームは最大8倍。撮影時にはピクセルビニング技術を使用し、記録画素数は約1,200万画素となる。
Pixel 9 Pro XLの背面カメラは、広角カメラについてはF値1.68、画角82度のレンズに光学手ブレ補正機構を備えるレンズに1/1.31型5,000万画素Octa PDセンサーの組み合わせで、Pixel 9および従来のPixel 8 Proと同じ。それに対し超広角カメラはF値1.7、画角123度のレンズに1/2.55型4,800万画素Quad PDセンサーの組み合わせと、Pixel 9と同じ構成となっている。また望遠レンズはF値2.8、画角22度の屈曲光学系レンズに1/2.55型4,800万画素Quad PDセンサーの組み合わせとなっている。Pixel 8 Proでは超広角レンズと望遠レンズで異なる撮像素子を採用していたが、Pixel 9 Pro XLでは同じ撮像素子を採用している。
撮影倍率は、超広角が0.5倍、広角が1倍、望遠が5倍で、広角レンズでの2倍撮影はセンサーの中央部分をクロップすることで無劣化撮影が可能。デジタル望遠ズームは最大30倍。撮影時にはピクセルビニング技術を使用し、標準の記録画素数は約1,200万画素となるが、Pixel 8 Pro同様にプロ設定で記録画素数を約5,000万画素に設定した撮影も可能だ。5,000万画素撮影時には1枚の撮影に1秒弱の時間がかかる点も従来同様。
前面カメラは、Pixel 9はF値2.2、画角95度のレンズと1,050万画素Quad PDセンサーの組み合わせ、Pixel 9 Pro XLはF値2.2、画角103度のレンズと4,200万画素Quad PDセンサーの組み合わせで、双方ともオートフォーカス対応となる。
以下に、背面カメラの各レンズおよびデジタルズームで撮影した写真を掲載するが、いずれもかなり高品質に撮影できていることが分かる。特に、デジタルズームでも大きな破綻なく撮影できており、これならPixel 9の8倍ズームやPixel 9 Pro XLの30倍ズームもかなり実用的に利用できそうだ。
カメラアプリのUIは従来とほぼ同じ。写真と動画の撮影切り替えは、下部の写真と動画のアイコンで簡単に切り替えられる。また、Pixel 9 Pro XLでは写真撮影時に「プロ設定」モードが利用でき、記録画素数を約1,200万画素または約5,000万画素に設定したり、RAWデータの保存、撮影時に使用するレンズの選択などが可能となる。
このほか、双方とも超広角レンズで3cmほどまで近接したマクロ撮影が可能な点も従来同様だ。なお、約5,000万画素での撮影時には、1枚の撮影に1秒ほどの時間がかかるため、静物や風景などの撮影での利用が中心となるだろう。
ところで、写真の撮影機能は、アクションパン、長時間露光、ポートレート、夜景モード、パノラマに加えて、新たに「一緒に写る」が追加されている。
一緒に写るは、集合写真撮影時などに、撮影者が含まれない写真と、撮影者だけを写した写真を合成して全員の集合写真を作るという機能だ。複数人での旅行時などに全員で集合写真を撮りたくても、他人に撮影を頼めず撮影者が抜けてしまうということはよくあるだろう。そういったときでも、まずは撮影者以外で撮影し、続けて撮影者を撮影してその2枚の写真を合成することで、全員が写った写真を撮影できるというわけだ。
撮影方法も思った以上に簡単で、まずは撮影者以外で、撮影者が写り込むであろう場所を空けて1枚目を撮影。次に撮影者だけの撮影を行なうが、その時には1枚目の写真が画面内にAR合成されるとともに、撮影範囲が四角く囲われて表示されるので、大きく場所がずれることなく2枚目の撮影が行なえる。そして、2枚の写真を撮影すると、あとは自動的に破綻なく合成し、1度で撮影したかのような集合写真が出来上がるというわけだ。
サンプルの作例を見ても、別々に撮影したとは思えないような仕上がりで、これはかなり使える機能と言える。
また、パノラマはUIが新しくなっている。従来のパノラマ撮影は、撮影スタート後にゆっくりスマートフォンの角度を移動させながら撮影するが、移動速度などが分かりづらく撮影しにくかった。それに対し新しいパノラマでは、画面に撮影ポイントが・で表示され、その・を追いかけるように画面中央の○を合わせて順次撮影していく、という撮影方法になった。これによって、スマートフォンをどう移動させて撮影すればいいのかが非常に分かりやすくなり、失敗なくパノラマ撮影が可能となっている。
同時に、暗いシーンや夜景も高画質にパノラマ撮影できるようになった。実際に撮影した暗いシーンや夜景のパノラマ写真を見ても、かなり高品質に撮影できていることが分かると思うので、確認してみてもらいたい。
以下に、Pixel 9 Pro XLで撮影した作例を掲載しておく。
動画の撮影機能は、パン、ぼかし、スローモーション、タイムラプスが用意され、Pixel 9 Pro XLでは「夜景モード」を追加。暗い場所での動画をより高画質に撮影できるようになっている。
そして、Pixel 9 Pro XLではフルHDと4Kの動画撮影に加えて、8K動画撮影に対応。こちらは、8K解像度で直接動画を撮影するのではなく、撮影後に元となる撮影データをクラウドに転送し、「動画ブースト」によって解像度をアップスケーリングすることで実現している。
ただ、今回の試用時にはうまく試せなかったため、今後Pixel 9 Pro Foldのレビュー時に改めて紹介しようと思う。
新たなAI編集機能「オートフレーム」
フォトアプリの写真編集機能「編集マジック」に追加された新機能が「オートフレーム」で、撮影画角をAI処理で変更するというものだ。撮影した写真を後から見返すと、もう少し寄って撮影すれば良かったとか、もう引いて広範囲に撮影すればよかったと思うことがあるが、それをAI処理で実現するわけだ。
利用時には、フォトアプリで編集したい写真を表示して、下部の「編集」ボタンをタップする。その後、左下の「編集マジック」アイコンをタップした後に、画面下部中央のボタンをタップして表示されるメニューから「オートフレーム」を選択する。
すると、AIが写真を解析して、より広範囲な画角や被写体に寄った画角、縦位置の写真などの候補を自動生成する。生成結果が気に入らない場合には、改めて生成し直すことも可能。あとは、候補の中からこれと思うものを選択して保存すればいい。
画角を広く修正する場合には、写っていないものをAI処理で生成することになるため、実際にはその場に存在しないものが写る写真が出来上がることになる。見慣れた場所の写真では違和感を覚える可能性が高いが、旅行時の写真などではほぼ違和感なく編集できるという印象だ。
より自然な受け答えができる「Gemini Nano」
Pixel 9シリーズでは、独自SoCのTenser G4によるAIサービス「Gemini」などへの最適化が実現されており、スマートフォン上でテキストや画像、音声を理解できるマルチモダリティを備える「Gemini Nano」を実行できる初のSoCであるという。
たとえば、こちらの記事でも紹介しているように、食材を撮影し、その食材を使ったレシピを教えてもらったり、Gmailに届いているメールの中から特定のメールを抽出する、といったことが簡単に行なえるようになっている。
また、Google製アプリとの連携も進化。たとえば、Geminiに「目的地への行き方を教えて」と聞くと、現在地から目的地までの道順がGoogleマップで検索して表示してくれる。しかも、その直後に「お勧めのお昼ご飯は?」と聞くと、目的地周辺のレストラン情報を教えてくれるというように、前後の文脈を認識してそれに沿った回答が得られるようになっている。
実際に試してみても、これまで自ら入力して検索していたことを、声で聞くだけで簡単に結果が得られるとい点は、かなり便利だと感じる。
このGemini Nanoの機能については、Pixel 9で最適化されているとはいえ、Pixel 9だけが利用できる機能ではない。ほかのPixelシリーズや他社のスマートフォンでも利用可能だ。そのため、Pixel 9の特徴的な機能とは言えないかもしれないが、Tensor G4搭載によってGemini NanoをはじめとしたAI関連機能を快適に利用できるという点は、十分大きな魅力となるだろう。
ディスプレイ輝度50%の状態でYouTube動画を約22時間半ほど連続再生できた
今回の試用機は発売前の評価機ということもあってベンチマークテストは行なえなかったが、バッテリの持ちについてのみ簡単にチェックしてみた。
満充電の状態でディスプレイ輝度を50%に設定し、Wi-Fiに接続した状態でYouTubeのフルHDライブ動画を連続再生してみた。すると、Pixel 9は約22時間26分、Pixel 9 Pro XLは約22時間27分の連続再生が可能だった。Pixel 9シリーズでは駆動時間が24時間以上とされているが、それに匹敵する駆動時間が確認できた。
今回はディスプレイ輝度を50%に絞っていたり、SIM未装着でWi-Fi接続、YouTubeのフルHD動画連続再生という、比較的バッテリへの負担が少ない設定での検証だったことも、これだけの長時間駆動が確認できた要因だろう。そのため、実利用時にはもっと駆動時間が短くなる可能性も考えられる。このあたりは今後の検証が必要だが、ゲームなどよほど高負荷なアプリを長時間連続で使用しない限り、アッという間にバッテリ切れになる心配はないと考えて良さそうだ。
円安の影響もあり価格はさらに高くなったが、まだまだ魅力あり
Pixelシリーズと言えば、従来まではハイエンドモデルに匹敵するパフォーマンスや機能を備えつつ、ミドルハイレンジクラスの比較的手を出しやすい価格設定で、コストパフォーマンスに優れるスマートフォンとして非常に人気だった。
ただ、ここ数年の物価高騰や円安の影響もあり、Pixelシリーズも値段が高くなってきており、Pixel 9シリーズではPixel 9が12万8,900円から、Pixel 9 Pro XLが17万7,900円からと、Pixel 8シリーズからさらに価格が上昇しており、ミドルハイレンジとしても高価な部類のスマートフォンになってしまった。
もちろん、ディスプレイやカメラ、AI関連機能などの進化もあって、競合のハイエンドスマートフォンと比較しても遜色のない機能が網羅されているため、これだけ価格が高くなったとしても、それ相応の機能はしっかり搭載していると言える。
また、例年同様に直販のGoogleストアでは、Pixel 8シリーズなど指定のスマートフォンの下取りによる値引やストアクレジットの還元などによって、実質39,800円から購入できるキャンペーンを9月2日まで実施している。下取りに出すスマートフォンが高額査定となる必要はあるが、こういったキャンペーンを有効活用することで、比較的安価に購入できるので、そちらも活用するといいだろう。
価格はしかたのない部分もあるが、Pixel 8シリーズからのハード面、ソフト面、AI関連機能などの進化を考えると、価格相応の十分な魅力があるのは間違いない。近年Pixelシリーズは特に日本で非常に好調な売れ行きとなっていることもあって、Pixel好きはもちろん、Pixelシリーズを使ってみたいと考えていた人など広くお勧めしたい。