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交換できるっていいじゃないか、バッテリだもの。「dynabook X83(CHANGER)」

dynabook X83(CHANGER)

 Dynabookから、新型モバイルノートPC「dynabook X83(CHANGER)」(以下、X83)が登場した。最小モデルで約778gという軽さを実現しながら、ユーザーが底面の一部を開けて内蔵バッテリを交換できる機構を採用していることで注目を集めている。今回、評価機機を試用する機会を得たので、ハード面を中心に紹介する。

dynabookシリーズらしいオーソドックスなデザイン

 PCのデザインは、メーカーごとにおおよそ方向性が決まっており、メーカーロゴを見ずとも、本体を見ただけであのメーカーの、あのシリーズの製品と分かることも少なくない。それはdynabookシリーズも同様。東芝時代から脈々と受け継がれているデザインの特徴がある。

 天板はフラットで、角は比較的なだらかなカーブを採用。背面や底面角付近にも曲線を取り入れることで、ビジネス向けのモデルであっても全体的に柔らかく優しい印象が伝わってくる。そういったdynabookシリーズ特徴的なデザインがX83にも取り入れられている。

 全体的にシンプルで、ノートPCとしてオーソドックスなデザインではあるが、逆にどういったシーンにも馴染み、安心して利用できるデザインと感じる。

ディスプレイを開いて正面から見た様子。ディスプレイは4辺狭額ベゼル仕様のため、本体の小型化に貢献している
天板。フラットで角が比較的なだらかにカーブした、dynabookシリーズらしいデザイン。落ち着いた印象で、どういったシーンでも安心して利用できる

 サイズは約298.8×212×17.9~18.9mm(セルフ交換バッテリーL搭載モデルの場合)。ディスプレイは4辺狭額ベゼル仕様となっているため、13.3型モバイルノートPCとして十分コンパクトなフットプリントを実現。

 高さは17.9~18.9mmと、モバイルノートPCとして標準的なものとなっている。ただ、後ほど紹介するように、X83はユーザー自身が底面の一部を開けて内蔵バッテリを交換できるという、特徴的な仕様を備えていることを考えると、なかなかの薄さと感じる。

 X83では、底面の一部を蓋状に加工して採用しているが、こういった仕様を実現する場合には、蓋などを備えない一体構造の底面と比べて強度の面で不利になってしまう。また、内部にバッテリの着脱構造を設ける必要もあるため、ある程度余裕のあるスペースを確保する必要がある。そうなると、高さという点でも不利になる。

 しかしX83では、これまでのシリーズで培ってきた高密度実装技術を活かし、こういった構造を実現しつつも、最厚部で19mmを切る高さにとどめている。

 そして堅牢性についても、26方向からの落下や粉塵、温度など、米国国防総省調達基準「MIL-STD-810H」に準拠した10種類の堅牢性テストを実施予定で、十分な堅牢性を備えているという。

 また、重量も最軽量モデルで約778gからと、なかなかの軽さを実現。今回の試用機のスペックでは、大容量の「セルフ交換バッテリーL」を搭載していることもあり、公称では約937g、実測で913gと900gを超える重量だったが、それでも13型クラスのモバイルノートPCとしてはかなり軽い部類となる。優れた堅牢性と合わせて、毎日軽快に持ち運んで利用できるだろう。

正面
左側面。高さは17.9~18.9mmと、ユーザーが内蔵バッテリを交換できる仕組みを盛り込んでいるにもかかわらず十分な薄さとなっている
背面
右側面
底面。底面の一部をユーザーが開けられるようになっており、内蔵バッテリを交換できる。その上で「MIL-STD-810H」準拠のテストも実施予定で堅牢性も確保したという
試用機の実測の重量は913g。十分に軽く、軽快に持ち歩ける印象だ

内蔵バッテリの交換は非常に簡単

 では、X83の最大の特徴である、内蔵バッテリの交換について見ていこう。

 ところで、X83ではなぜ内蔵バッテリをユーザーが交換できる仕様を実現したのか。

 dynabookシリーズは、特に法人で広く利用されている。そういった中、以前より法人ユーザーから、バッテリの交換についての要望が多かったそうだ。法人ではPCの利用期間が比較的長く、ノートPCのバッテリ交換需要も多いそうだ。ただ、これまではサポートに預けてバッテリを交換する必要があり、その間PCが使えず業務が滞るため、改善してほしいとの声が多かったのだという。

 そういった声に声応えるために、X83ではユーザー自身がバッテリを交換できる構造を実現したとのことだ。

 X83の底面は、中央付近から前方側が開閉可能な蓋となっていて、そこを外すことで内部のバッテリを交換できる。この蓋部分は、通常は2本のネジで固定されており、そのネジを外さない限り外せないようになっている。これは、バッテリを交換する必要のない通常時に、簡単に蓋が外れないための配慮と考えていいだろう。

 ネジは一般的なプラスドライバで簡単に外せる。ネジ2本を緩め、その上部に用意されているツメ部分を引き上げると、蓋が外れる。このときネジはカバーから外れないような構造となっているので、ネジをなくす心配がないのはありがたい。

底面の前方が着脱可能な蓋となっており、ここを開けて内蔵バッテリを交換できる
蓋を開けるには、普通のプラスドライバで2本のネジを外すだけでいい

 蓋を取ると、内部に装着されているバッテリが現れる。バッテリを外す場合には、上部のスライドレバーを上に押上ながら、バッテリ上部を引き抜くだけでいい。こちらはネジを外す必要もなく、手間がかからない。

 あとは、交換用のバッテリを装着し、逆の手順で蓋を閉めてネジ止めすれば交換作業は完了となる。

ネジを外して蓋を取ると、このように内蔵バッテリにアクセスできる
バッテリの交換は非常に簡単。これならバッテリ交換を短時間で行え、バッテリ交換のためにPCを利用できなく期間も発生しない

 ところで、X83の底面には、後方にも2つネジ止めされた蓋がある。これは、プロセッサを冷却する冷却システムのホコリをユーザーが掃除するためのもの。この蓋を開けると、空冷ファン直後に置かれている冷却フィン部分が現れる。そこに溜まったホコリをユーザーが簡単に掃除できるというわけだ。これも、PCをより長期間利用するための工夫で、ユーザーにとってありがたい仕様だ。

後方にもネジ止めされた蓋があり、こちらもユーザーが開けられる
後方の蓋を取ることで、冷却システムに溜まったホコリを掃除できる

第13世代Coreプロセッサ採用でスペック面も申し分なし

 X83は、内蔵バッテリ交換可能という点に注目が集まっているが、スペック面も最新モバイルノートPCとして申し分ないものとなっている。試用機の主なスペックは表にまとめたとおりだ。

【表1】dynabook X83(試用機)の主なスペック
プロセッサCore i5-1340P
Pコア:4コア・8スレッド/ブースト時最大4.6GHz
Eコア:8コア/ブースト時最大3.4GHz
スレッド数:16
メモリ16GB
内蔵ストレージ256GB PCIe SSD
ディスプレイ13.3型液晶、1,920×1,200ドット
無線LANWi-Fi 6E(IEEE 802.11ax) 2x2
BluetoothBluetooth 5.1
キーボード日本語、約19mm、キーストローク約1.5mm
カメラ約200万画素Webカメラ
生体認証顔認証IRカメラ、指紋認証センサー
インターフェイスThunderbolt 4×3
USB 3.0×2
HDMI
Gigabit Ethernet
microSDカードスロット
3.5mmオーディオジャック
nanoSIMカードスロット
OSWindows 11 Pro 64bit
駆動時間約26.5時間(セルフ交換バッテリーL搭載)
サイズ/重量約298.8×212×17.9~18.9mm(幅×奥行き×高さ)/約937g

 プロセッサにはCore i5-1340Pを採用。その上で、長年培ってきた放熱技術や筐体設計技術を駆使した独自の「エンパワーテクノロジー」を適用。これによってプロセッサの性能を最大限、かつ安定して引き出せるようになっている。Core i7-1370Pを搭載する上位モデルも用意されるが、Core i5-1340Pでも不満のない性能が発揮されるはずだ。

 メモリは標準で16GBと十分な容量を搭載。カスタマイズモデルでは最大32GBまで搭載できる。内蔵ストレージは標準で容量256GBのPCIe SSDを搭載。こちらは512GB SSDを選択することも可能だが、容量的にはあまり多くない印象だ。

 無線機能は、Wi-Fi 6E(IEEE 802.11ax 2×2)準拠無線LANとBluetooth 5.1を標準搭載。LTE対応ワイヤレスWANの搭載も可能となっているが、試用機では非搭載だった。

 生体認証機能は指紋認証センサーを標準搭載し、顔認証カメラはオプション搭載となる。なお試用機では指紋認証センサーと顔認証カメラを同時搭載していた。顔認証カメラはWebカメラは約200万画素のWebカメラとしても利用できる。またカメラのレンズを物理的に覆うシャッターも用意されている。なお、顔認証カメラ非搭載時には約92万画素Webカメラが搭載される。

生体認証機能として、電源ボタン一体型の指紋認証センサーを標準搭載
ディスプレイ上部に顔認証カメラも搭載可能。顔認証カメラは約200万画素のWebカメラとしても利用できる
カメラのレンズを覆うシャッターが用意されており、物理的に撮影を抑制可能だ

 AI関連機能としては「オンラインミーティングアシスト」や「オンラインオーディオエフェクト」を搭載する。

 オンラインミーティングアシストは、カメラで捉えた映像に対し、背景ぼかしなどのエフェクトを加えたり、明るさ補正、顔位置の自動トリミングなどを用意。オンラインオーディオエフェクトでは、バックグラウンドノイズの除去に加えて、内蔵マイクの指向性を変化させたり、高音質化、音声のみを聞きやすく加工するといったことが可能。もちろん、これらは利用するWeb会議アプリを問わず活用できる。

オンラインミーティングアシスト機能では、カメラで捉えた映像に、背景ぼかし、明るさ補正、顔位置の自動トリミングなどの補正が行える
オンラインオーディオエフェクトでは、マイクの指向性やノイズキャンセリングが行える

 拡張ポートを豊富に用意する点は、シリーズおなじみの特徴。X83では、左側面にThunderbolt 4×2、HDMI、USB 3.0を、右側面にmicroSDカードスロット、3.5mmオーディオジャック、USB 3.0、Thunderbolt 4、Gigabit Ethernetの各ポートを配置。中でも、Thunderbolt 4を合計3ポート搭載している点は、拡張性を高めるという点でも大きな魅力となる。

 付属ACアダプタは、USB Type-C接続のものが付属する。サイズは特別コンパクトではなく、付属電源ケーブル込みの重量は実測で243.5gとやや重い印象。より軽快に持ち歩きたいなら、汎用のUSB PD対応ACアダプタを利用してもいいだろう。

左側面にはThunderbolt 4×2、HDMI、USB 3.0を配置
右側面にはmicroSDカードスロット、3.5mmオーディオジャック、USB 3.0、Thunderbolt 4、Gigabit Ethernetを配置
付属ACアダプタはUSB Type-C接続のもので、出力は65W
ACアダプタの重量は電源ケーブル込みで実測243.5gだった

アスペクト比16:10の13.3型WUXGA液晶を搭載

 ディスプレイは、アスペクト比16:10、1,920×1,200ドット表示対応の13.3型液晶を採用している。パネルの種類は非公開ながら、視点を大きく移動させても明るさや色合いの変化はほとんど感じられず、IPSパネル相当の広視野角を実現している。なお、試用機ではタッチ非対応液晶を搭載していたが、オプションでタッチ対応液晶の搭載も可能。

 ディスプレイ表面は非光沢処理となっている。これによって外光の映り込みはほとんど感じられない。オフィスで利用する場合でも天井の照明が写り込んで邪魔になるといったことがなく、快適に作業をこなせるだろう。

 発色の鮮やかさは、非光沢液晶ということで、広色域液晶や光沢液晶のような鮮烈な鮮やかさは感じられない。それでも、写真や動画コンテンツを表示させてみると、モバイルノートPCのディスプレイとして標準以上の発色性能は備えていると感じるため、特に不満を感じることはないだろう。

 このほか、ディスプレイは360度開閉し、水平まで開いて利用できる。これは対面プレゼンなどで画面を相手に見せる場合などに便利に活用できるだろう。

アスペクト比16:10、1,920×1,200ドット表示対応の13.3型液晶を採用。表面は非光沢処理で、外光の映り込みはほとんど気にならない
発色は、モバイルノートPCとしては十分鮮やか。また視野角も広く、視点を大きく移動させても明るさや色合いの変化は感じられない
ディスプレイは180度開き、水平まで開いて利用できる

キーボードはストロークを1.5mmまたは2.0mmから選択可能

 キーボードは、キーの間隔が開いたアイソレーション型の日本語キーボードを搭載する。主要キーのキーピッチは約19mmフルピッチを確保。Enterキー付近の一部キーでピッチがやや狭くなっている部分がある点は少々気になるものの、実際にタイピングしてみてもタッチタイプがやりにくいと感じることはなかった。

 打鍵感はやや柔らかめの印象。個人的には柔らかめのキーが好みなので、なかなか好印象だった。ただ、クリック感はしっかりと感じられるため、硬めの打鍵感が好みの人でも大きな違和感なくタイピングできるだろう。また、打鍵時の音が静かな点も大きな特徴。よほど強くキーを叩かない限り打鍵音はそれほど気にならないため、静かな場所でも気兼ねなく作業できそうだ。

 ところで、キーストロークは標準では1.5mmとなるが、オプションで2.0mmとやや深めのストロークのキーボードも選択可能となっている。今回の試用機ではストローク1.5mmのキーボードを搭載していたが、もし深めのストロークが好みなら2.0mmのキーボードを選択したい。

 ポインティングデバイスは、クリックボタンが独立したタッチパッドを搭載。クリックボタンはあるものの、パッドの面積は十分広く、ジェスチャー操作も含めて操作性は良好だ。また、キーボードのホームポジションを中心としてタッチパッドが搭載されており、扱いやすさを高めている。これも大きなポイントだ。ただ、クリックボタンのクリック音がやや大きい点は少々気になった。せっかくキーボードの静音性が優れるため、できればクリックボタンも静音化してもらいたかった。

キーボードはアイソレーション型の日本語キーボードを搭載。配列は標準的だ
主要キーは19mmフルピッチを確保
ストロークは標準1.5mmだが、オプションで2.0mmとやや深めのストロークのキーボードも選択できる。タッチはやや軽めだが、しっかりとしたクリック感があり打鍵感も良好
Enterキー付近の一部キーでピッチが狭くなっている点は少々残念だが、タッチタイプに大きな影響はなかった
タッチパッドは面積が十分広く、独立したクリックボタンも用意されていて操作性は良好。キーボードのホームポジション中心に搭載している点も扱いやすさを高めている印象だ

性能、バッテリ駆動時間とも十分満足できる

 では、ベンチマークテストの結果を簡単に紹介する。今回利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.1.2636」、「3DMark Professional Edition v2.27.8177」、Maxonの「CINEBENCH R23.200」の3種類だ。また比較としてVAIOの「VAIO SX14 VJS146」の結果も加えてある。

PCMark 10
Cinebench R23
3DMark

 結果は、いずれのテストも申し分ないスコアが得られている。比較用として掲載している「VAIO SX14 VJS146」は、搭載プロセッサが上位のCore i7-1360Pということもあって、X83は全項目で劣っているものの、これは搭載プロセッサの性能差がそのまま現れている形で、当然の結果だ。

 その上でスコアを見てみると、スコアが大きく劣る部分はほとんどなく、X83もプロセッサの性能が十分に引き出せていると言える。X83ではプロセッサにCore i7-1370Pを選択することも可能なので、そちらを搭載すればVAIO SX14 VJS146同等以上の性能が発揮されると考えていいだろう。

 また、ベンチマークテスト中の空冷ファンの動作音は、それほど大きくはないものの、ゴーという風切り音がしっかりと耳に届いてくる。ただそれも、周囲があるていどざわついているような場所ではほとんど気にならないレベル。ゲーミングPCのようなうるささは全くないため、よほど静かな場所で高負荷な作業を行なわない限り、気になることはなさそうだ。

 続いてバッテリ駆動時間だ、X83試用機では大容量バッテリの「セルフ交換バッテリーL」を搭載しており、公称の駆動時間は約26.5時間となっている。そして、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を50%、無線LANをオンに設定してPCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測してみたところ、13時間を記録した。

 これは、公称の半分ほどの駆動時間だが、公称の駆動時間は「JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver.2.0)」の値であり、今回の検証で得られた駆動時間はまずまず納得の数字と言える。おそらく通常利用時ではもう少し短くなる可能性もあるが、それでも10時間程度は十分に利用できるはずで、1日外出して利用する場合でもバッテリ残量はほぼ気にせず利用できると考えていいだろう。

PCを長期間安心して利用したいビジネスユーザーにお勧め

 今回X83を試用してみて、内蔵バッテリをユーザー簡単に交換できるという特徴的な仕様を備えつつも、最新モバイルノートPCとして申し分ない性能、軽さ、堅牢性も兼ね備えており、かなり魅力的な製品に仕上がっていると実感できた。

 その上で、プロセッサを強化したり、タッチ対応ディスプレイの搭載、LTE対応ワイヤレスWANの搭載、バッテリ容量を減らしてより軽くするというように様々なオプションが用意され、幅広い用途や業種に対応できるという点も大きな魅力と感じる。

 以上から、長期間安心して利用できるモバイルノートPCを探しているビジネスパーソンや法人にお勧めしたい。