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ついにここまで来たMR体験!「Meta Quest 3」のパススルー画質は3倍アップで歴代最強だった

Meta「Meta Quest 3」7万4,800円~9万6,800円

 Metaは9月27~28日に開催された第10回「Meta Connect」にて、複合現実(MR)に対応したメインストリーム向けヘッドセット「Meta Quest 3」を発表、同日より予約を開始した。発売日は10月10日で価格は128GBモデルが7万4,800円、512GBモデルが9万6,800円。

 「Oculus Quest 2」が発売されたのが2019年5月、「Oculus Quest 2」(現Meta Quest 2)が登場したのが2020年10月。2022年10月に「Meta Quest Pro」がリリースされているとは言え、Quest 2の後継機としては3年ぶりの待望のニューモデルだ。

 今回Metaより本製品の長期貸与を受けたので、Quest 2やQuest Proからどのような進化を遂げたのが実機レビューをお届けしよう。

Quest 2の2倍のグラフィック性能、Quest Proの3倍のパススルー画質を実現

 Meta Quest 3はSoCに「Qualcomm Snapdragon XR2 Gen 2」を採用。メモリは8GB、ストレージは128GBまたは512GBを搭載している。Snapdragon XR2 Gen 2のCPU、GPUの詳細は不明だが、「Snapdragon 865」相当の「Snapdragon XR2 Gen 1」に対して、2倍以上のグラフィック性能を備え、また読み込み時間の短縮を実現していると謳われている。

 ディスプレイは片目あたり2,064×2,208ドットの液晶ディスプレイ「Infinite Display」を搭載。リフレッシュレートは72Hz/80Hz/90Hz/120Hz、視野角水平110度/垂直96度。

 レンズは同心円状の溝が刻まれた「フレネルレンズ」から「パンケーキレンズ」に変更され、40%スリムな光学デザインを実現。またシャープネスは中央部視野で25%、周辺部視野で70%向上。迷光や散乱光も大幅に低減しているとのことだ。

本体レンズ部。「レンズを直射日光に当てないでください」、「液体クリーナーを使用しないでください」との注意事項が記載。実際筆者は屋外でVRヘッドセットを使っていて、直射日光でディスプレイを破損したことがあるので、くれぐれもご注意を
Quest 2は同心円状の溝が刻まれた「フレネルレンズ」だったが、Quest 3は薄型の「パンケーキレンズ」に変更された

 レンズの調節機構は2種類。「レンズ間隔ダイアル」ではIPD(瞳孔間距離)を53~75mmの範囲で、「奥行き調整ボタン」では目とレンズの距離を4段階で調整できる。一般的なサイズの眼鏡であれば装着したままで利用可能だ。

ヘッドセットのレンズ側には「奥行き調整ボタン」の調整方法が記載されている

 大きく進化したのがカメラ性能。2つのRGBカラーカメラ(18PPD、400万画素)と、深度センサーを搭載。Quest 2の約10倍、Quest Proの約3倍の解像度でフルカラーパススルーの複合現実(MR)を利用できる。ただしQuest Proに採用されていた、ヘッドセット内部の5つの赤外線センサーによるフェイス、アイトラッキングは省略されている。

本体前面。左右にRGBカラーカメラ(18PPD、400万画素)、中央に深度センサーとマイク。左右RGBカメラの下にあるのは「トラッキングセンサー(カメラ)」。向かって右側のRGBカメラの右上には環境光センサーが内蔵されている

 無線通信はWi-Fi 6E、Bluetooth 4.2に対応。有線端子はUSB Type-Cと3.5mmオーディオジャックを搭載している。

左側面にはUSB Type-C、電源ボタン、「トラッキングセンサー(カメラ)」を用意
右側面には3.5mmオーディオジャック、「トラッキングセンサー(カメラ)」を装備

 本体サイズは184×160×98mm、重量は515g。コントローラのサイズは126×67×43mm。5,060mAhのバッテリを内蔵しており、バッテリ駆動時間は平均2.2時間だ。

Quest 3のパッケージ。サイズは210×220×120mm。Quest 2のパッケージより大幅に小型化された
本体、コントローラはコンパクトに収められている
フタの裏側には専用アプリをインストールするためのQRコードと、電源ボタン、上部ストラップ、後部ストラップの使い方が掲載されている
パッケージには本体、Meta Quest Touch Plusコントローラー、「Meta Quest 3の使い方」、「安全および保証ガイド」、電源アダプタ、充電ケーブルが同梱
ストラップの根元には左右それぞれ2つの開口部があるが、内蔵されているスピーカーは1つずつ
本体上面
本体下面には音量ボタン、「Meta Quest 3充電ドック」と接続するための金属接点、IPD(瞳孔間距離)を53~75mmの範囲で調整するための「レンズ間隔ダイアル」を配置
本体内側左右側面には「奥行き調整ボタン」が備えられており、目とレンズの距離を4段階で調整できる。
Meta Quest Touch Plusコントローラー。上面にはサムスティック、メニューボタン、アクションボタン(X/Y/A/B)を用意
下面にはトリガーボタン、グリップボタンを配置。内部にはそれぞれ単3電池が1本ずつ装着済み。手首ストラップは取り外し可能
電源アダプタ、充電ケーブル(長さは実測100cm)
電源アダプタの型番は「MA0122」。仕様は入力100-240V~0.5A、出力5V 3A、9V 2A、容量18W

 Quest 3には多くのアクセサリが用意されている。特に「Meta Quest 3 接顔部&ヘッドストラップ」にはエレメンタルブルーとブラッドオレンジの2色が展開されている。カラバリを含めてアクセサリを豊富に用意していることから、Metaが本格普及を目指していることがうかがえる。

「Meta Quest 3 Eliteストラップ」(1万450円)
「Meta Quest 3シリコン接顔部」(5,940円)
「Meta Questアクティブストラップ(Touch Plusコントローラー用)」(5,940円)
「Meta Quest 3 接顔部&ヘッドストラップ」(7,480円) ※製品公式サイトより転載
「Meta Quest 3 用Zenni VR度付きレンズ」(7,499円)
「Meta Quest 3 Eliteストラップ バッテリー付き」(1万9,580円)
「Meta Quest 3充電ドック」(1万9,580円)
「Meta Quest Link ケーブル」(1万780円) ※製品公式サイトより転載
「Meta Quest Touch Proコントローラー」(3万7,180円) ※製品公式サイトより転載
「Meta Quest 3携帯用ケース」(1万450円)
Meta Quest 3Meta Quest ProMeta Quest 2(旧Oculus Quest 2)
発売日2023年10月10日2022年10月25日2020年10月13日
価格128GB:7万4,800円
512GB:9万6,800円
256GB:15万9,500円64GB:3万7,180円(販売終了)
128GB:4万7,300円
256GB:5万3,900円
ハードウェアPC不要、PCと接続可能PC不要、PCと接続可能PC不要、PCと接続可能
トラッキング6DoF6DoF、フェイストラッキング、アイトラッキング6DoF
パススルー対応(4MP、18PPD。Quest 2の約10倍、Quest Proの約3倍の高解像度で体験できるフルカラーのMR)対応(1MP、8PPD。Quest 2の約4倍の高解像度で体験できるフルカラーのMR)対応(モノクロ)
SoCSnapdragon XR2 Gen 2Snapdragon XR2+ Gen1Snapdragon XR2 Gen 1
GPU不明不明不明
メモリ8GB12GB6GB
ストレージ128GB、512GB256GB64GB、256GB
ディスプレイ液晶ディスプレイ、片目あたり2,064×2,208ドット、1,218PPI、25PPD、リフレッシュレート72Hz/80Hz/90Hz/120Hz液晶ディスプレイ、片目あたり1,800×1,920ドット、1,058PPI、22PPD、リフレッシュレート72Hz/90Hz高速スイッチ液晶ディスプレイ、片目あたり1,832×1,920ドット、773ppi、20ppd、リフレッシュレート60Hz/72Hz/90Hz/120Hz(テスト機能)
IPD58~71mm55~75mm58、63、68mmで調整
オーディオステレオスピーカー、マイク、3.5mmオーディオジャックステレオスピーカー、マイク、3.5mmオーディオジャックステレオスピーカー、マイク、3.5mmオーディオジャック
無線通信Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0以上
端子USB Type-CUSB Type-CUSB Type-C
コントローラ2本、サイズ:126×67×43mm、重量:非公表、電源:単3電池×22本、サイズ:130×70×62mm、重量:153g、電源:充電式バッテリ2本、サイズ:90×120mm、重量:126g、電源:単3電池×2
サイズ184×160×98mm265×127×196mm191.5×102×295.5mm(ストラップ展開時)
重量515g722g503g
バッテリ容量5,060mAh5,348mAh3,640mAh
バッテリ駆動時間最大使用可能時間:平均2.2時間約2.5時間ゲーム:約2時間、動画視聴:約3時間
充電時間約2.3時間約2時間約2.5時間

Quest 3とQuest Proのパススルー画像の差は歴然としている

標準のストラップでも装着感は良好。ただし上部ストラップをきつめにする必要があるので、髪に変な癖がつくのが気になる

 セットアップの流れについては基本的にQuest 2、Quest Proと変わらない。Quest 3を起動したらまずはWi-Fiネットワークに接続。その後、「Quest」アプリをインストールしたiOS、Android端末とペアリングすると、ソフトウェアのアップデートが実行される。

 最後に、「Meta Questの安全に関するご注意」、「プライバシーに配慮した設計」、「Meta Questの改善のために追加データを共有しますか?」、「ジェスチャーコントロールをオンにする」について、同意・確認を済ませればセットアップは完了だ。

これはiOS端末で表示した「Oculus」アプリのホーム画面。この画面ではすでにQuest 2が登録されている
ホーム画面から「メニュー→デバイス→[…]→新しいデバイスを接続」と進むと、ペアリング画面が表示される
あとはメッセージに従って、同意または確認を進めていけばいい
Quest 3では初回起動時にパススルー環境が表示される。もちろんバーチャル環境も表示可能だ
Questシリーズの設定項目は多岐に渡る。初体験の人には難易度が高い
日常的には「クイック設定」だけで事足りる

 Quest 3にはQuest 2の約10倍、Quest Proの約3倍の2つのRGBカラーカメラ(18PPD、400万画素)が採用されている。今回Quest 3とQuest Proのパススルー画像を見比べてみたが、その差は歴然としている。解像感の違いは当然のことながら、Quest 3のパスルー画像のほうが色は正確で、また白飛びも抑えられている。特に現実空間のディスプレイ表示をかなり明瞭に見られることには驚かされた。

Quest 3にはQuest 2の約10倍、Quest Proの約3倍の2つのRGBカラーカメラ(18PPD、400万画素)が搭載されている

 もちろん肉眼で見たときとはまだまだ大きな差はある。しかし、Quest 3をかぶったままでも、現実世界のディスプレイを必要に応じて確認する用途であれば十分こなせるはずだ。

Quest 2のパススルー画像
Quest 3のパススルー画像

 今度は有機ELディスプレイを搭載したiPhoneの画面を見たら、白飛びしてしまっていた。しかし、輝度を少し下げると下の写真のようにハッキリと見える。小さな文字も問題なく読むことが可能だ。MR、VRゲームをプレイしている間にSNSやメールの内容を確認するぐらいなら十分実用的だ。

Quest 3のパススルー画像

 VRゲームプレイ時のグラフィックスをQuest 2とQuest 3で比較すると、片目あたりで1,832×1,920ドットから2,064×2,208ドットへと高精細化されているだけに、格子模様が見えにくくなっている。しかしそれは止まっている映像を凝視すれば分かるぐらいの違いで、実際にQuest用ゲームをプレイしていると気づかない程度だ。Quest 3で画質向上の恩恵を受けるためには、PC用VRコンテンツを選ぶべきだ。

Quest 3のディスプレイにピントを合わせて撮影。周辺が放射状にボケているが、実際に装着していればこのような現象は見られない
これは「サンバDEアミーゴ(仮称)」のタイトル画面。このような画面で細部を凝視すると、格子模様の細かさを感じられる

 一方、大きな差を感じたのはサウンド品質。Quest 2より再生音域の音量が40%向上しているとのことだが、数値以上の迫力を感じる。一度Quest 3でサウンドを聴くと、Quest 2では最大ボリュームでも物足りなくなるほどだ。とは言えそれだけ盛大に音洩れするわけである。公共交通機関でQuest 3を使う際にはイヤフォンは必須と言えよう。

スピーカーの出力が向上したQuest 3は、屋外使用時にはイヤフォンが必須

 ヘッドセット、コントローラトラッキング、ジェスチャーコントロールの精度は非常に高く感じられた。ただし、Quest Proの「Meta Quest Touch Proコントローラー」は「Snapdragon 662」を搭載し、3つのセンサーを内蔵しており、360度のフル可動域を実現している。「Meta Quest Touch Proコントローラー」で単体で購入できるので、より高い精度を求めるなら追加購入を検討しよう。

 それにしてもQuest 3の画質が向上したパススルー映像と、正確なジェスチャーコントロールによる複合現実(MR)体験は本当に楽しい。現実空間に浮いているウィンドウはほとんどずれない。ウィンドウをつかめないことも数回あったが、これは慣れで解消できそうだ。どのような体験が可能なのかは、下記の動画でぜひ確認していただきたい。

 Snapdragon XR2 Gen 2はSnapdragon XR2 Gen 1に対して、読み込み時間の短縮を実現していると謳われている。そこで、「Marvel's Iron Man VR」の起動時間で比較してみたところ、Quest 2は24秒87、Quest Proは22秒89、Quest 3は24秒18という結果になった。もっと大容量のデータを展開するようなゲームでなければ、読み込み時間においてSnapdragon XR2 Gen 2の優位性は表われないようだ。

「Marvel's Iron Man VR」のスタート画面で2つのメニューが表示されるまでの時間を計測した
「Marvel's Iron Man VR」の起動時間は、Quest 2が24秒87、Quest Proが22秒89、Quest 3が24秒18

高画質な複合現実(MR)体験を先取りできる魅力的なガジェットだ

 Quest 3をQuest 2と比較すると、すべての面で進化していることは間違いない。Quest Proと比較しても、残念なのはフェイストラッキングとアイトラッキングが省略された点ぐらい。むしろ、パススルー画質が大幅に向上しているので複合現実(MR)の体験はQuest 3のほうが上だと思う。

Quest 3はQuest 2よりも価格は上がっている。しかし高画質な複合現実(MR)の体験を先取りできることを考えれば、非常に魅力的なガジェットだ。