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Ryzen 7 7840U搭載ゲーミングUMPC「AOKZOE A1 Pro」、Steam DeckやAYANEO 2と比較してどう?

AOKZOE「AOKZOE A1 Pro」

 モバイルゲーミングUMPCの進化が止まらない! 2021年登場の「Steam Deck」では内蔵GPUに当時としては驚きのRDNA2アーキテクチャを採用したAMDのカスタムAPUを搭載しており、筆者も大いに驚愕した。国内販売は1年後の2022年末となったが、その頃には、AMDからRDNA2アーキテクチャの内蔵GPUを備えるRyzen 7 6800Uが登場し、2022年末~2023年初頭には採用製品が数多くリリースされた。

 暫くはこの辺りで落ち着くか、またはインテルの反撃があるかと考えていた矢先、AMDが新たなCPUとしてモバイル向けの「Ryzen 7040U」シリーズを発表、最新のRyzen 7 7840Uでは、CPUアーキテクチャをZen 4に刷新、GPUアーキテクチャもRDNA3になるなど、驚愕の性能を備えたAPUだった。

 4月末にはこちらを搭載した製品が早くも各社のクラウドファンディングに登場するなどの盛り上がりを見せていたが、ASUSが5月に正式に発表した「ROG Ally」では、AMDと協業のCPUブランド「Ryzen Z1」シリーズを搭載という事実が明らかになる。ただ、性能面では前述のRyzen 7 7840Uに近い点も多いため、暫く先の発売になると思っていたら、早くも6月に発売開始ということで、買い時はここだ! と思い、一念発起した筆者は「ROG Ally」を購入したのであった。

 そして「ROG Ally」が手元に届く少し前に、筆者の元には早くもRyzen 7 7840Uを搭載したモバイルゲーミングUMPC「AOKZOE A1 Pro」が夏に国内発売されるという情報と共に、その評価機が届いたのであった。

 AOKZOEが発表した「AOKZOE(エーオーケー・ゾーイ) A1 Pro」は8コア/16スレッドのRyzen 7 7840Uを採用するモバイルゲーミングUMPCだ。前述の通り、CPUには最新のZEN 4アーキテクチャを採用し、内蔵GPUもRDNA 3アーキテクチャのRadeon 780Mを備えるのが特徴だ。

 株式会社ハイビームが国内正規代理店を務め、8月上旬発売予定だが、6月26日まで先々行予約の受付を行なっている。国内販売モデルは本体カラー「クォンタムブルー」モデルと「ルナホワイト」モデルを用意。カラー以外の本体スペックは共通で、価格はメモリ16GB、ストレージ1TBモデルが11万9,800円、32GB/1TBモデルが13万9,800円、32GB/2TBモデルが14万9,800円となる。

 今回はメモリ32GB、ストレージ2TB、クォンタムブルーモデルの試用機をお借りしたので、こちらで評価を行なっていく。

自立可能なキックスタンド搭載。豊富な端子類も魅力

 まずは外観から見ていこう。ディスプレイは8型/1,920×1,200ドットのIPS液晶を採用。外観の全体的なディティールはOne-Netbook Technologyの「ONEXPLAYER」に近い印象だ。重量は実測730gで、このサイズのモバイルゲーミングUMPCとしては妥当な重量と言える。

 8型ディスプレイのサイズはかなり大型で、手に持った時にかなりの存在感が感じられる。一方で両端は流線型のエルゴノミクスデザインを採用しており、手に持った際のグリップ感がかなり高く、安定して本体をホールドできるため、ゲームプレイ時などは快適にプレイが可能だった。

 本体の厚みは公称で最薄部21~最大40mm。底面部がフラットなデザインとなっており、スタンドなどがなくても自立できる点はうれしいポイントだ。さらに本体背面に90度近くまで自由に開閉可能なキックスタンドを備えており、机上など据え置きで使いたい場面で、手軽に自立できる点は魅力の1つと言える。

搭載するディスプレイは8型/1,920×1,200ドットのIPS液晶。形状はコントローラ一体型のスレート型。底面部がフラットになっているため、単体で自立することが可能だ
背面には独特のデザインの吸気口を備えるほか、最大80度近くまで開くキックスタンドを備える
キックスタンドにより、角度を自由に調整して自立させることが可能
重量は実測で730g
ACアダプタの重量は214g。ACアダプタとケーブルが別になっているので、ケーブルを付け替えて使うことも可能だ

 コントローラ部は左側にアナログスティックと十字キーライクな操作も可能なパッドを搭載、右側にはA/B/X/Yボタンとアナログスティックを備える。側面部にはLB/RBボタンとLT/RTトリガーを備えており、標準的な配置となっている。スタートボタンやメニューボタンは左右上部のディスプレイ寄りの位置に配してある。なお、カスタム可能な特殊なキーやボタンについては特に用意されていない。

 天面部には、給電可能なUSB4端子やイヤフォンジャックに加えて、一般的なA型のUSB 3.0端子も備え、底面部にも給電可能なUSB 3.2 Type-C端子や、microSDカードスロットを備える。個人的に給電可能なUSB Type-C端子が天面と底面両方にあるのは、用途に応じて接続を切り替えられるので、かなりありがたい設計だ。また、キーボードレスのモバイルゲーミングUMPCは、外付けのキーボードを手軽に接続できる仕組みの方が助かる場面が多いので、A型のUSB 3.0端子採用はとてもうれしいポイントだ。

 本体右側下部にはキーボードボタンとTURBOボタンが併設されており、TURBOボタン押下でハードウェア制御や、ゲームランチャー機能などを備える同社独自の「AOKZOEプレイヤーセンター」が起動できる。画面右側から緑色のウィンドウがスライド表示される動きとなっており、ここで電圧制御やCPUパフォーマンス、ファン回転数、明るさ、音量といった各種操作がタッチパネルで行なえる。また、TURBOボタン長押しでゲームランチャーの画面が開く作りになっているほか、左側下部のボタンは長押しでOS標準「Xbox」アプリを開くことも可能となっている。

 クォンタムブルーの本体カラーは、青と言うよりはグレーに近い色味で、派手さはないが落ち着いた雰囲気に仕上がっている。全体的に回路図を模したような意匠が施されており、デジタル感のあるデザインがゲーミングデバイスらしさを演出する。また、正面両端のグリップ部にはLEDが内蔵されており、起動時などに点灯したり点滅するなどのゲーミングデバイスらしい仕掛けも用意されている。

天面部にはUSB 3.0端子、給電対応のUSB4端子、イヤフォンジャック、電源LED、ボリュームスイッチ、電源スイッチを備える
底面部には中央に給電対応のUSB 3.2 Type-C端子、microSDカードスロットを備える。底面部はフラットな作りになっており、このまま何の支えもなく自立が可能だ
右側にはA/B/X/Yボタンとアナログスティック、RBボタン/RTトリガーを備える
左側には十字キー操作が可能なパッドとアナログスティックを備える
右側下部にはTURBOボタンとキーボードボタンが併設されており、TURBOボタン押下で「AOKZOEプレイヤーセンター」が起動できる
「AOKZOEプレイヤーセンター」からTDP設定やCPUパフォーマンス、ファン回転数などがコントロールできる

ROG Allyと互角以上のパフォーマンスを実現

 続いて性能面についてチェックしていこう。今回は比較対象として、RDNA2採用のValve社「Steam Deck」をmicroSD上のWindows 11から起動したもの、Ryzen 7 6800U搭載の「AYANEO 2」、そしてRyzen Z1 Extreme搭載のASUS「ROG Ally」の3製品を加えた4製品で各種ベンチーマークやゲーム起動時のパフォーマンス、バッテリ駆動時間などについてチェックしていく。

今回比較に使用した4台を並べてみた。上からAOKZOE A1 Pro、Steam Deck、AYANEO 2、ROG Ally。Steam DeckとROG Allyは自腹購入、AOKZOE A1 ProとAYANEO 2は評価機だ

 まずはCPU性能から。Cinebench R23のCPU(MultiCore)ではAOKZOE A1 ProとROG AllyがどちらもAYANEO 2と比べて3割以上の高スコアとなっており、最新CPUの実力が伺える。

 一方でSingleCoreのテストでは、AOKZOE A1 Pro搭載のRyzen 7 7840UがROG AllyのRyzen Z1 Extremeを上回り、次いでAYANEO 2のRyzen 7 6800Uと並んではいるものの、その差はかなりの僅差だ。

 総合的なPC性能を測るPCMark10でもその傾向は変わらず、全体的にAOKZOE A1 ProかROG AllyがAYANEO 2と比べるとわずかに高いスコアを出してはいるが、AYANEO 2が逆転しているテストケースもあるなど、CPUパワーが重視されるテストにおいては3製品とも僅差での競り合いとなった印象だ。

Cinebench R23の結果。何度か試してみたが、MultiCoreのテストではROG AllyがAOKZOE A1 Proを上回る結果となった
PCMark10の結果。トータルスコアは順当にAOKZOE A1 Proが最も高く、次いでROG Ally、AYANEO 2と続くが、個々のテストでチェックすると、AOKZOE A1 Proが最も高いスコアを稼ぐテストもあれば、AYANEO 2がトップのテストがあるなど、各CPU毎の得手不得手が出ているような印象も感じた

 GPU性能が重視される3DMarkを見てみると、ROG AllyとAOKZOE A1 Proでは、これまで実行できなかったSpeed Wayのテストが実行可能になっていた。3DMarkではテスト実行前にハードウェアの情報をチェックしてからテストを実行する仕組みとなっているが、その際に必要スペックを満たしていない場合、テスト自体が実行できない。Speed Wayの必要ビデオメモリは6GBのため、少なくともAOKZOE A1 Proのメモリ32GBモデルについては標準で6GB以上のビデオメモリを確保しているのが確認できる。

 なお、ROG Allyの場合、標準でビデオメモリを4GB確保しているため、デフォルトの設定のままでは実行不可だったが、本体の設定で8GBに変更することで、実行が可能になった。

 どのテストもスコアとしては劇的な進化とまではいかないまでも、着実に性能の向上が感じられるスコアとなっていた。なお、参考までにGeForce RTX 3070 LapTopを搭載するASUS製ゲーミングノートPC「ASUS TUF DASH F1」で測定したSpeed Wayのスコアは1,898だったため、ノートPC内蔵の単体GPUに追いつくにはまだまだCU数が足りないようだ。

 続いてゲーム用途向けベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」を実行してみたが、全体的に見るとAYANEO 2のスコアが僅差ながらAOKZOE A1 ProやROG Allyを上回るという結果となっていた。一方でフルHD解像度の最高品質というもっとも負荷の高いテストにおいてのみ、AOKZOE A1 ProとROG AllyのスコアがAYANEO 2を上回っており、この辺りはドライバの最適化など、調整次第で変化しそうなポイントと言えそうだ。

3DMarkの結果。全てのテストにおいて、AOKZOE A1 ProとROG Allyが僅差で接戦を展開し、AYANEO 2がそれに追随しているのが分かる。この辺りもROG Allyが製品版であるのに対して、AOKZOE A1 Proはまだ調整中の評価機である点を考慮に入れると、今後ドライバーの最適化などで性能向上の可能性は高そうだ
「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク 」の結果。最高品質設定のみ、AOKZOE A1 ProとROG AllyがAYANEO 2を上回ったが、それ以外の項目は全てAYANEO 2が勝利する結果となった
なお、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク 」実行中のAOKZOE A1 Proの発熱の様子をチェックしてみたが、背面部で最大55度くらいまで温度が上がっていた
ストレージ速度をチェックするCrystalDiskMark 8.0.4については、AOKZOE A1 Proのみ実行してみたが、スコアとしては問題なさそうだ

 ここからはベンチマークではなく、実際のゲームプレイ時のフレームレート測定でパフォーマンスをチェックした。使用したのは「CapFrame X」で、各種ゲームプレイ時にこちらを使用して1分間のフレームレートを測定、その平均値を比較することにした。

 まずはFPSの定番「Apex Legends」を試した。デフォルトのビデオ設定(ただしV-Syncは常にオフ)と全ての画質設定を裁定にまで下げた最低設定の2種類を試してみたところ、さすがにフルHD解像度の標準画質では、対戦などで挑むにはちょっと物足りないフレームレートとなった。一方で解像度はそのままに画質を下げてみると、AYANEO 2はまだ厳しいが、AOKZOE A1 ProとROG Allyはいきなり実用的なフレームレートを稼げるようになっており、GPU性能の高さが再認識できる。

「Apex Legends」のトレーニングルームを入口からダッシュしてぐるっと建物を回る間の1分間のフレームレートを計測した
フレームレートの測定結果。AOKZOE A1 ProとROG AllyについてはフルHD解像度であっても映像品質を下げることで、平均100fps以上のフレームレートが稼げるようになる。ちなみに4製品で唯一ディスプレイ解像度が低いSteam DeckはWindows版であってもデフォルト画質で60fps前後、映像品質を下げることで120fps前後まで向上できる。

 次いで今回は新たに話題の最新タイトルとして「Street Fighter 6」のソロモード「WORLD TOUR」でのパフォーマンスも試した。設定は標準で用意されている「HIGHEST」、「NORMAL」、「LOWEST」の3種類のプリセットを使用。画面設定はボーダレスウィンドウ、入力遅延低減をOFF、いずれもプリセット変更後に、MAXFrameRateを120、VsyncをOFFに変更する。なお、解像度についてはHIGHESTとNORMAL時は自動で1,920×1,080に、LOWEST時のみ1,280×720ドットに変更されていた。

 コースとしてはゲームスタート後に訪れるメトロシティの中心地、ビートスクエアのバス停から計測をスタート、車道を走りつつ、火を噴く大道芸人のザグルールの横を抜けて、そのまま奥のつきあたりまで直進、その後は車道を走り、2つ先の交差点、警察署がある道路を右に曲がり、再びビートスクエアの通りまで戻り、最後は時間いっぱいまで車道を駆け抜ける。なお、レベルが低すぎる場合、計測中に敵に絡まれてしまう危険があるため、もし試す場合はある程度レベルを上げておくのがいいだろう。

 筆者が普段使っている前述のASUS TUF DASH F1でも試してみたが、画質を最高品質のHIGHESTに設定すると平均フレームレートは44.9fps、LOWESTにした場合も57.3fpsとなっており、ノートPC用GPUとはいえかなり厳しいスコアとなった。

 今回4製品で比較してみたが、やはりHIGHESTについてはどれも厳しい結果となった。AOKZOE A1 Proですら大体平均30fpsとなっており、実際の動作でもフィールド内に建物やNPCの数が増えて負荷が高くなる場面ではかなりカクカクとした動作になってしまうシーンも見られた。

 一方で画質設定を下げるごとにフレームレートは上がっていき、LOWESTまで下げることで、解像度も低下してしまうが、60fps以上を達成できており、見栄えはともかく動きについては問題のないレベルまで向上することができた。計測は数回しか試していないため、多少の誤差はあると思うが、まさか低解像度においてゲーミングノートPCが負けてしまうとは思わず、密かにショックを受けた。

 補足をしておくと、実際にゲームプレイする際にはこうしたプリセットだけでなく、建物やNPCの数の調整や、内部解像度の調整など、各所で調整が行なえるので、画質を上げつつ、高フレームレートをキープするような設定を模索するのも面白いだろう。

 本作のユニークなソロモードである「WORLD TOUR」は自作のアバターを操作して、ちょっと小さめのオープンワールド内を自由に歩き回り、街行く人々と格闘バトルを繰り返して、俺より強いヤツに会いに行くゲームに仕上がっており、めちゃくちゃ面白いのだが、クリアまでにそれなりに時間がかかる。

 アイテムによるステータス強化やレベルの要素、コレクション要素もあるため、じっくりプレイしたい人は外出先などではこうしたモバイルゲーミングUMPCで「WORLD TOUR」を進めて、自宅などでは単体GPUを搭載したゲーミングPCで腰を据えてじっくりと格闘ゲームの練習をするといったスタイルが楽しめる。

 なお、余談だが、本作では対戦格闘ゲーム部分についてはフレームレート60fps固定という縛りが設けられているほか、格闘ゲーム時にはこのフレームレートが低下せずに快適にプレイできるようにきっちり調整されているようだ。

「Street Fighter 6」の「WORLD TOUR」は自作のアバターを操作して、本作に登場するキャラクターたちを師事して、技や心構えなどを教われるという格闘ゲームファンからすると夢のようなオープンワールドが展開するオリジナルストーリー。昔どこかで見たようなキャラとの対戦など遊び心満載なので是非プレイしてほしい1本だ
フレームレートを計測した結果。LOWESTまで下げるとAOKZOE A1 ProとROG Allyは問題ないレベルでプレイできそうなフレームレートまで到達した。なおSteam DeckはSTEAM OS上でも試そうとしたが、こちらは筆者環境ではエラーが発生しており、正常にプレイできなかった。ストア情報としてはプレイ可能になっているため、こちらの環境に何か原因がありそうだ

 最後にバッテリ駆動時間のテストだ。使用したのは海人氏開発のBBenchを使って、ゲームをプレイせずに、キー入力とブラウジングのみで電源が落ちるまで、そして「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク 」のループ再生を実行したままの状態で電源が落ちるまでの時間を測定した。いずれも輝度などの設定は最高設定のままで実行したため、ディスプレイ輝度を下げたり、スリープを多用することで、バッテリ駆動時間はさらに伸ばせる。

 また、事前に補足しておくと、Steam Deckは2022年末に筆者が自腹で購入した物のため、購入後半年以上が経過している。AYANEO 2は半年ほど長期借用で使っているため、これら2製品についてはバッテリが多少経年劣化している可能性がある。

 ゲームを実行しない状態ではAYANEO 2以外はいずれも5時間前後という長時間の連続駆動を実現していた。バッテリ容量の増加もあるが、設定上で高パフォーマンスになっていても、ブラウジングなどあまりCPUやGPUが使われない作業であればバッテリをあまり消費していないことが分かる。一方で「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク 」のループ再生時はいずれも早々にファンの回転数が爆上がりしており、大体1時間前後、Steam Deckのみ2時間弱の連続駆動となった。

バッテリ駆動時間の比較。通常利用ならAOKZOE A1 ProもROG Allyも5時間近くバッテリ駆動するのは驚きだ。なお、AYANEO 2はバッテリの劣化が影響してか、BBenchでのスコアがやや奮わないスコアとなった。逆にSteam Deckのバッテリ持ちがやたらと良い点も驚きだ。ちなみにゲームのフレームレートなどを計測すると、STEAM OSよりもWindowsでゲームする方が高パフォーマンスを発揮してたりもする

スペックは文句なし! 後はこだわりのポイント次第

 以上、簡単ではあるがAOKZOE A1 Proを一通り試してみた。8型とサイズは比較的大型ながら、そうした大きさを感じさせない持ちやすい本体設計と、最新CPUのRyzen 7 7840U搭載、自立可能な仕組みや豊富な端子類など、他社と比べてもアドバンテージの多い製品に仕上がっていると感じた。今回は評価機のため、内蔵ソフトについてはあまり触れていないが、電圧設定やファンコントロールなどのハードウェア設定が簡単に調整できる仕組みも好印象だ。

 なお、クラウドファンディングのページを確認したところ、メモリ16GBモデルがなかったため、メモリ16GBモデルは現段階では日本国内限定のモデルとなっている。逆にクラウドファンディングで用意されていたメモリ64GBモデルについては、国内販売のラインアップには含まれていないため、こちらを入手するにはクラウドファンディングで出資する必要があるようだ。

 こうして次から次へと最新CPUを搭載したモバイルゲーミングUMPCが発売されると、果たしていつが買い時なのか困る人も多いだろう。しかし、今回の各種ベンチマークを見てもらうと分かる通り、日々性能が向上されていながらも、劇的にパフォーマンスが向上しているわけではないため、結局のところは「ほしい時が買い時」というのがやはり結論となる。

 パフォーマンス以外のポイントで選ぶのも面白い。たとえば独自の拡張機能の有無でチェックしたり、コントローラレイアウトで見たり、カスタマイズ可能な内蔵機能のチェックや、キックスタンドの有無など、一見すると同じように見えるスレート型のモバイルゲーミングUMPCでも細かな違いは各所にある。

 こうした細かな違いをチェックして、自分好みの1台を探すことができるのも、モバイルゲーミングUMPC市場がそれなりに盛り上がりを見せており、各社がさまざまな製品を発売しているからこそ。今後も更なる盛り上がりと、個人的にはインテルの次の一手にも期待したいところだ。

AYANEO 2(手前)とAOKZOE A1 Pro(奥側)の厚みをチェックしたところ。最厚部についてはAOKZOE A1 Proの形状も関係してかなり厚みが感じられる
ROG Ally(左前)とAOKZOE A1 Pro(右奥)を並べたところ。自腹購入のROG Allyだが、独自の拡張端子にカバーがない点とUSB Type-C端子が1つしかない点が悲しいポイントだ
Steam Deck(左前)とAOKZOE A1 Pro(右奥)を並べたところ。サイズ面ではデカいデカいと言われることの多いSteam Deckだが、こうして並べるとさすがに8型ディスプレイ搭載のAOKZOE A1 Proの高さがわずかに上回っているのが分かる