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上位譲りの性能を6万円台で!「Google Pixel 7a」
2023年5月11日 04:05
Googleは、高コストパフォーマンススマートフォンとして人気の「Pixel a」シリーズ最新モデル「Pixel 7a」を発表した。今回、いち早く試用機に触れる機会を得たので、ハード面を中心に紹介する。5月11日より販売を開始し、Google直販価格は6万2,700円から。
Pixel 7シリーズのデザインを踏襲
Pixel aシリーズは、前年秋に登場したPixelシリーズ最新モデルをベースとしつつ価格を抑えた、コストパフォーマンスに優れるミドルレンジシリーズとして人気がある。その最新モデルとなる「Pixel 7a」も、昨年(2022年)秋に登場したPixel 7シリーズの特徴を受け継ぎながら比較的安価な価格が魅力となっている。Pixel 7aの主な仕様は以下の表にまとめたとおりだ。
SoC | Google Tensor G2 |
---|---|
メモリ/内蔵ストレージ | 8GB LPDDR5/128GB UFS 3.1 |
セキュリティチップ | Titan M2 |
OS | Android 13 |
OSの更新 | 5年間のPixelアップデート |
ディスプレイ | 6.1型有機EL、1,080×2,400ドット、アスペクト比20:9、HDR、リフレッシュレート最大90Hz |
背面カメラ | 超広角:F値2.2、画角120度、1,300万画素センサー(ピクセルピッチ1.12μm) 広角:F値1.89、画角80度、6,400万画素 1/1.73型Quad PD Quad Bayerセンサー(ピクセルピッチ0.8μm)、光学式手ブレ補正 |
前面カメラ | F値2.2、画角95度、1,300万画素センサー(ピクセルピッチ1.12μm) |
モバイル通信 | 5G Sub-6:n1/2/3/5/7/8/12/20/25/28/38/ 40/41/66/75/76/77/78/79 4G LTE:B1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/ 20/21/25/28/32/38/39/40/41/42/66 3G:1/2/4/5/6/8/19 GSM:850/900/1,800/1,900MHz |
対応SIM | nanoSIM+eSIM |
無線LAN | Wi-Fi 6E |
Bluetooth | Bluetooth v5.3 |
センサー | 近接センサー、環境光センサー、 加速度センサー、ジャイロセンサー、 磁力計、気圧計 |
おサイフケータイ | 対応 |
防水・防塵 | IP67 |
生体認証性能 | ディスプレイ埋め込み型指紋認証センサー、顔認証 |
セキュリティ | Google Open VPN |
外部ポート | USB 3.2 Gen2 Type-C |
バッテリ容量 | 標準4,385mAh |
ワイヤレス充電 | 対応(Qi準拠) |
サイズ/重量 | 72.9×152×9.0mm/193.5g |
カラー | Charcoal、Sea、Snow、Coral |
Pixel 7aの外観は、Pixel 7シリーズのデザインをほぼそのまま受け継いだものとなっている。リサイクルアルミニウムを採用した金属フレームに、ディスプレイ面および背面にガラスを組み合わせ、背面には側面まで帯状に突起した「Pixelカメラバー」を配置。PixelカメラバーもPixel 7シリーズ同様に、金属フレームにレンズ部分のみをくり抜く形となっている。なお、本体に利用されているアルミニウムは、全てリサイクルアルミニウムとなっている。
ディスプレイ面はエッジ付近までフラットで、側面フレームは背面ガラスとなだらかなカーブで接続。細かく見ると、Pixelカメラバーの縦幅が狭くなり、突起も低くなるなどの違いはあるが、本体デザインはPixel 7とほぼ同じだ。
質感についても、金属フレームとガラスを組み合わせているため、Pixel 7とまったく遜色がない。
Pixel aシリーズでは、従来モデルのPixel 6aからこのデザインを採用しているが、ミドルレンジモデルでありながら、上位モデルと遜色のない質感を実現しているという点でも、大いに歓迎できる。
カラーはCharcoal、Sea、Snow、Coralの4色を用意。試用機はCharcoalだったが、重厚感があり落ち着いた印象だ。また、Pixel 6aではPicelカメラバーを挟んだ上下で色合いを変えていたが、Pixel 7aではどちらも同じ色で統一されている。
背面ガラスはPixel 7同様に光沢仕上げ。指紋が付きにくいコーティングが施されてはいるものの、やはり指紋の痕はそこそこ目立つようだ。
採用するガラスは、Pixel 7ではCorning製強化ガラス「Gorilla Glass Victus」を採用しているのに対し、Pixel 7aでは下位ランクの「Gorilla Glass 3」を採用。これはPixel 6aと同じで、コストダウンに伴うものと考えられるが、十分優れた強度を備えているため不安はない。
ところで、金属フレームも含めてやや滑りやすい印象なのもPixel 7同様。裸の状態ではツルッと滑り落としやすい印象なので、できればカバーを装着して利用したいところだ。
Pixel 6aからわずかに大きくなり、かなり重くなった
サイズは、72.9×152×9.0mm。Pixel 6aは71.8×152.2×8.9mmだったため、わずかに大きくなっている。とはいえ、横に並べたり、実際に手に持ってみてもその違いはほとんど感じられないため、サイズについてはほぼ同等と考えていい。
Pixel 7と比べてみると、ひとまわり小さくなっていることで持ちやいという印象だ。Pixel 7はかなりサイズが大きく、手の大きな筆者でも片手で持つとやや手に余るが、Pixel 7aは片手でもまずまず持ちやすい印象。特別コンパクトというわけではないが、小型筐体のスマートフォンを求める声の多い日本でも十分受け入れられそうだ。
ただ、重量は193.5gと、Pixel 6aの178gから15.5gも増えている。試用機の実測でも公称と同じ193.5g(SIM非装着)だった。実際に手で持ってみても、Pixel 7aはかなりずっしり重く感じてしまう。Pixel 7は197gなので、そちらと比べても3.5gの違いしかない。
Pixel 7と比べてひとまわり小さな筐体でありながら、3.5gしか軽くないというのは少々残念。従来モデルのPixel 6aはPixel 6と比べてかなり軽かったこともあり、Pixel 7aもできればもう少し軽くあってほしかった。
6.1型有機ELディスプレイは90Hz表示に対応
ディスプレイは、従来モデルのPixel 6a同様に、アスペクト比20.9、表示解像度1,080×2,400ドットの6.1型有機ELパネルを採用している。4辺狭額ベゼル仕様となり、寿應部中央に前面カメラ用のパンチホールが空けられている点も同様だ。
コントラスト比は100万:1以上、HDR表示にも対応と、こちらもPixel 6aから変わっていない。実際に鮮やかな映像を表示してみても、メリハリのある明暗と非常に鮮やかな発色が確認できる。これなら、写真や動画などのコンテンツも本来のクオリティを損なうことなく楽しめるだろう。
ところで、Pixel 6aではハードウェア的にリフレッシュレート最大90Hzに対応する有機ELパネルを採用しつつも、60Hzに制限されていることが話題となったことがある。それに対しPixel 7aでは、標準でリフレッシュレート最大90Hz駆動のスムーズディスプレイに対応。これによって、対応するコンテンツによっては90Hzのなめらかな描画が可能となった。
Pixel 6aでリフレッシュレートを60Hzに制限していたのは、上位モデルのPixel 6シリーズとの差別化という意味合いもあっただろう。しかしPiel 7aではPixel 7同様の90Hz駆動に対応することで、上位モデルとの差がなくなった。もちろんこれは、ユーザーにとって大いに歓迎できるのは間違いない。
実際にリフレッシュレートを90Hzに設定してみると、Webページを比較的高速にスクロールしてもくっきりと文字が視認できる。バッテリへのインパクトは増えるが、ユーザーが60Hz固定に設定することも可能なので、この点も大きな問題はないだろう。
細かな違いはあるがPixel 7に近い仕様の背面カメラを搭載
Pixelシリーズの大きな魅力の1つでもあるカメラ機能。その部分はPixel 7aにもしっかり受け継がれており、Pixel 7に似通った仕様の背面カメラを搭載している。
背面カメラは、Pixel 7と同じように、超広角レンズと広角レンズの2眼仕様。超広角レンズはF値2.2、画角120度で、1,300万画素センサー(ピクセルピッチ1.12μm)との組み合わせ。広角レンズはF値1.89、画角80度で光学式手ブレ補正機構を備え、6,400万画素 1/1.73型Quad PD Quad Bayerセンサー(ピクセルピッチ0.8μm)との組み合わせとなっている。
前面カメラはF値2.2、画角95度のパンフォーカスレンズに1,300万画素センサー(ピクセルピッチ1.12μm)の撮像素子の組み合わせとなる。
ただ、レンズや撮像素子の仕様を細かく比べてみると、Pixel 7のカメラと比べてかなり多く違いが見られる。そのあたりは以下にまとめた通りだ。
このように、背面カメラ、前面カメラともに、レンズや採用する撮像素子の仕様など多くの項目で異なっている。それでも、機能面はかなり近いものとなっている。
例えば、広角レンズの超解像デジタルズームは、従来モデルのPixel 6aでは最大7倍だったのに対し、Pixel 7aではPixel 7と同じ最大8倍となった。実際にPixel 7a試用機で撮影した写真を見ると、8倍ズーム時には細かな部分はかなり潰れているものの、そこまで大きく破綻することなく撮影できている。同じ場所から撮影したPixel 7の8倍ズームの写真と比べても、ほぼ遜色のないクオリティで撮影できていると分かるだろう。
また、Pixel 7シリーズで利用可能な、2倍高速な夜景モードにも対応。Pixel 6aでは5秒ほど撮影にかかるような暗い場面でも、2秒ほどで鮮やかに撮影できた。暗い場面でも短時間で鮮やかに撮影できるのはありがたい。
このほかにも、長時間露光、リアルトーン、ボケ補正、消しゴムマジックなど、Pixel 7で話題となった撮影機能や撮影後の編集機能も利用できる。これは、Pixel 7aに搭載されるSoCがPixel 7と同じ「Tensor G2」となったことが大きな要因だ。
もちろん、機能面がまったく同じというわけではなく、Pixel 7に搭載されている「シネマティックぼかし」や「10bit HDR動画」などの動画撮影機能は非搭載で、動画撮影時のデジタルズームは最大5倍となり、シネマティックぼかしや音声ズームといった機能も省かれている。それでも、ユーザーにとっては上位モデルに近いカメラ機能を利用できる点は大きな魅力となるだろう。
以下に、Pixel 7a試用機で撮影した写真を掲載するので、参考にしてもらいたい。
SoCにTensor G2を採用、5G Sub6 バンドn79をサポート
冒頭の表1にも記載しているが、Pixel 7aではSoCにPixel 7と同じGoogle独自の「Tensor G2」を採用。また、メモリは8GB、内蔵ストレージは128GBと、基本スペックはPixel 7と同等だ。これまでのPixel aシリーズでは、SoCは同じ世代のPixelシリーズと同じでも、メモリが少なくなっていることが多かったので、この点はうれしい。なお、外部ストレージに対応しない点は従来同様だ。
SoCにTensor G2を採用したことで、Pixel 7に近い機械学習関連機能を搭載。カメラ関連機能では、2倍高速な夜景モードや最大8倍の超解像デジタルズームなどの搭載。このほか、英語のみではあるが、「レコーダー」アプリで録音する場合の話者認識機能にも対応している。
セキュリティ機能としては、Pixel 7同様にセキュリティチップの「Titan M2」を搭載。また、生体認証機能として、従来同様のディスプレイ埋め込み型指紋認証センサーに加えて、前面カメラを利用した顔認証もサポート。この顔認証機能はPixel 7に搭載されているものと同じで、2Dカメラを利用するためアプリのサインインや決済時の認証などには利用できず、ロック解除にのみ利用可能。とはいえ、これだけでも利用時の利便性向上は十分期待できる。
このほか、Pixel 7シリーズ同様、Google One利用者向けVPNサービス「Google One VPN」の無償利用も可能だ。
モバイル通信はPixel 7同様、5G Sub6に対応。そして、Pixel 7aはNTTドコモからも発売されることもあり、これまでの5G対応Pixelシリーズで非対応となっていた5G Sub6のバンド「n79」に対応。これにより、NTTドコモのSIMを装着して利用する場合でも、NTTドコモの5G Sub6ネットワークをフルに利用できる。これはNTTドコモユーザーにとって非常にうれしい部分だろう。
防水防塵性能は従来同様IP67準拠。おサイフケータイもサポート。センサー類は、近接センサー、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロメーター、磁力計、気圧計を搭載と、このあたりも従来同様だ。OSはAndroid 13で、3年間のOSアップデート、5年間のセキュリティアップデートを保証。
物理ボタンは、右側面に電源ボタンとボリュームボタンを用意。ポートは、下部側面にUSB 3.2 Gen2準拠のUSB Type-Cを用意し、オーディオジャックは非搭載。SIMカードトレイは左側面にあり、nanoSIMを1枚装着可能。eSIMも利用可能で、nanoSIM+eSIM、またはeSIM+eSIMのDSDVに対応する。
内蔵バッテリ容量は4,385mAhで、駆動時間は公称で24時間以上、スーパーバッテリセーバーモード利用時に最大72時間。別売のGoogle 30W USB-C充電器などの対応する充電器を利用することで、約30分で50%の容量を充電できる急速充電にも対応。
そして、Pixel aシリーズとして初となる、Qi準拠のワイヤレス充電に対応。Pixel 7で対応していた、Qi対応周辺機器を充電できるバッテリシェアは非対応だが、ワイヤレス充電のサポートは利便性を高めるという意味でもうれしい。
製品の付属品はインストラクションカード、USB 2.0 Type-Cケーブル、USB変換アダプタ、SIMピンで、ACアダプタは付属しない。
このほか、オプション品として専用ケースをGoogleストアで販売。「Pixel 7a Case」は、従来モデルに用意されていたものと同様で、本体カラーに合わせてコーディネートが可能。また「iFace」ブランドのケースも販売される。さらに、クリアケースにGoogleのAIやTensorチップを示唆する特徴的な幾何学模様を施した、Googleストア限定ケースも販売される。
なお、5月11日から5月22日までの期間限定で、GoogleストアでPixel 7aを購入した人全員に、限定ケースに加えて、Pixel 7a購入後の次回以降の購入に利用できる1万円分のストアクレジットと2万円分の下取りクーポンが提供される。
Pixel 6aから価格は上がったが、魅力は申し分ない
今回試用したPixel 7aは、発売前の評価機ということもあって、ベンチマークテストは行なえなかった。とはいえ、SoCはTensor G2、メモリは8GBとPixel 7と同等で、性能はPixel 7と同等と考えていい。実際に試用してみても、Pixel 7同様のキビキビとした動作を実感できた。そのため、性能面での不安はまったくないと言える。
しかも、まったく同じではないものの、機械学習機能やカメラ関連機能をはじめ多くの機能がPixel 7にかなり近くなっている。それでいて価格は6万2,700円からだ。Pixel 6aは価格が5万3,900円だったので、そちらと比較すると9,000円弱高くなっているが、Pixel 7からは2万円近く安いのだから、コストパフォーマンスは申し分ないと言える。
以上のようにPixel 7aは、上位モデルに匹敵する性能や機能を備え、コストパフォーマンスに優れるミドルレンジスマートフォンとして魅力的な製品であり、広くお勧めしたい。