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もはや変態ではなく個性。2画面ノート「Zenbook Pro 14 Duo OLED UX8402」実機レビュー
2023年4月21日 11:00
ASUS JAPANはデュアルディスプレイ搭載ノートPC「Zenbook Pro 14 Duo OLED UX8402」を発表した。発売日はGeForce RTX 4060 Laptop搭載の上位モデルが4月21日、RTX 4050 Laptop搭載の下位モデルが5月12日で、価格はそれぞれ44万9,800円、39万9,800円。
本製品はメインディスプレイに14.5型OLED、セカンドディスプレイに12.7型TFTカラー液晶を搭載。CPUに第13世代のCore i9、ディスクリートGPUにGeForce RTX 4000番台を採用しつつ、17.9mm(最薄部)、1.75kgという薄型軽量ボディを実現している。デュアルディスプレイ&ハイパフォーマンスの恩恵をあらゆる場所で受けられる、もはや「変態ノートPC」とは言えない個性を確立したマシンだ。ライバルの存在しない異色のマシンをじっくりと検証していこう。
ディスクリートGPUのみが異なる2モデルをラインナップ
最近のASUSのラインナップはシンプルだ。CPUが第13世代(Raptor Lake)のCore i9-13900H、メモリが32GB LPDDR5-4800、ストレージが1TB SSD(PCIe 4.0 x4接続)という点は共通。異なるのはディスクリートGPUのみ。上位のUX8402VV-P1028WがGeForce RTX 4060 Laptop、下位のUX8402VU-P1024WがGeForce RTX 4050 Laptopを搭載している。ディスクリートGPUのみで購入すべきマシンを選べるわけだ。
なお2022年モデルとの違いは、CPU、ディスクリートGPU、Wi-Fi、Webカメラ、バッテリ駆動時間など。Wi-FiはWi-Fi 5からWi-Fi 6E、Webカメラは92万画素から207万画素にアップグレードされている。ディスプレイのスペック、インターフェイスの構成、ボディデザインなどは同じ。価格差を考えると2022年モデルを購入するというのも堅実な選択だ。細かなスペックについては下記表を参照してほしい。
【表1】Zenbook Pro 14 Duo OLED UX8402のスペック | ||
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製品名 | Zenbook Pro 14 Duo OLED UX8402 | |
型番 | UX8402VV-P1028W | UX8402VU-P1024W |
OS | Windows 11 Home | |
CPU | Core i9-13900H(Pコア×6+Eコア×8、20スレッド、最大5.4GHz、PBP 45W) | |
GPU | GeForce RTX 4060 Laptop(8GB) Iris Xe Graphics(1.5GHz) | GeForce RTX 4050 Laptop(6GB) Iris Xe Graphics(1.5GHz) |
メモリ | LPDDR5-4800 32GB | |
ストレージ | 1TB PCIe 4.0 x4 SSD | |
ディスプレイ | 14.5型OLED(2,880×1,800ドット、234ppi、16:10、550cd/平方m、120Hz、DCI-P3 100%、VESA DisplayHDR True Black 500認証、PANTONE認証、光沢、ペンおよびタッチ対応) 12.7型TFTカラー液晶(2,880×864ドット、237ppi、500cd/平方m、120Hz、DCI-P3 100%、非光沢、ペンおよびタッチ対応) | |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1 | |
WWAN | - | |
インターフェイス | Thunderbolt 4×2、USB 3.1、HDMI 2.1、microSDカードスロット、3.5mmコンボジャック | |
カメラ | 207万画素IR(赤外線)カメラ | |
サウンド | ステレオスピーカー(1W×2)、クアッドアレイマイク | |
バッテリ容量 | 76Wh | |
バッテリ駆動時間 | 約8.4時間(JEITA2.0準拠) | |
バッテリ充電時間 | 約1.7時間 | |
本体サイズ | 約323.5×224.7×17.9~19.6mm | |
重量 | 約1.75kg | |
セキュリティ | Windows Hello対応顔認証カメラ | |
オフィスアプリ | WPS Office 2 Standard Edition(3製品共通ライセンス付き) | |
同梱品 | ACアダプタ、電源ケーブル、ASUS Pen 2.0、スタンド、説明書類 | |
価格 | 44万9,800円 | 39万9,800円 |
デュアルディスプレイは一度使ったら手放せない
さてZenbook Pro 14 Duo OLED最大の魅力は、メインに14.5型OLED、セカンドに12.7型TFTカラー液晶を搭載したデュアルディスプレイ環境だ。当然、天板を開けばすぐに2画面を利用できるわけでモバイルモニターなどと比べると段違いにお手軽。一度使ったら手放せなくなるほど中毒性のある装備だ。
それぞれの画面に異なるアプリを表示できるのも便利だが、意外に楽しいのが2画面合わせて1つの大きなディスプレイとして使うこと。特にWebブラウジングや書類作成時には見通しが圧倒的によい。スクロールの回数が激減し、非常に快適である。
また本製品で特筆すべきがデュアルディスプレイ専用のユーティリティ。ウィンドウのタイトルバーをつかんで少しずらすと、アプリスイッチャーが表示されて、ウィンドウをどちらのディスプレイのどの位置に表示するか選択可能。さらに、あらかじめアプリやウィンドウの配置を記録したタスクグループを作成しておけば、2タッチでまとめて開ける。わざわざアプリを1つずつ起動して、配置する手間が省けるのだ。
またAdobeのPhotoshop、Lightroom、Illustrator、Premiere Pro、After Effectsなどでは、「ASUS Control Panel」でダイヤルやスライダーを使ってアナログのような操作が可能。ただ現時点では対応アプリが少ない。もっと多くのアプリで利用可能となることを期待したい。
なお、harman/kardonと協業した1W×2のステレオスピーカーが内蔵されており、OLEDディスプレイの画質に見合った音圧、音質のサウンドを再生してくれる。ディスプレイはDolby Vision、スピーカーはDolby Atmosに対応している。本機は映像コンテンツを堪能するプレーヤーとしても活躍してくれる。
キーボードは前モデルから変更なし、タッチパッドは慣れが必要
86キーの日本語配列キーボードは2022年モデルから変更はないようだ。キーピッチは実測17mm前後、キーストロークは実測1.5mm前後。キーピッチはやや狭いがキーボード面の剛性は高く、キータッチも良好。Enterキーが大きいので日本語変換時の確定操作も容易。長文入力も快適なキーボードだ。
右端に配置されているタッチパッドは多少慣れが必要だが、メイン、セカンドディスプレイともにタッチおよびペン操作に対応しているので、意外と不便は感じない。ただクリエイティブ系アプリで細かな操作をするには約53×77mmのタッチパッドではやや窮屈だ。素直に割り切ってマウスを使ったほうがよいと思う。
Webカメラは前モデルの92万画素から207万画素へと高解像度化。またRGBカメラとIRカメラが独立して搭載されているので、室内灯下でも明るく、発色は自然、なおかつ高精細だ。Web会議用途であれば、外付けWebカメラを用意する必要はない。
GPU強化で3Dグラフィックス性能が飛躍的に向上
最後にパフォーマンスをチェックしよう。今回は比較対象機種として、Core i9-12900HとGeForce RTX 3050 Ti Laptopを搭載する「Zenbook Pro 14 Duo OLED UX8402ZE(UX8402ZE-M3034W)」を採用した。なお、このベンチマークの章では、「Zenbook Pro 14 Duo OLED UX8402(UX8402VV-P1028W)」を2023年モデル、「Zenbook Pro 14 Duo OLED UX8402ZE(UX8402ZE-M3034W)」を2022年モデルと言い換えている。
【表2】検証機の仕様 | ||
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製品名 | Zenbook Pro 14 Duo OLED UX8402(UX8402VV-P1028W) (2023年モデル) | Zenbook Pro 14 Duo OLED UX8402ZE(UX8402ZE-M3034W) (2022年モデル) |
CPU | Core i9-13900H (6P+8Eコア/20スレッド、最大5.4GHz、PBP 45W) | Core i9-12900H (6P+8Eコア/20スレッド、最大5GHz、PBP 45W) |
GPU | GeForce RTX 4060 Laptop Iris Xe Graphics | GeForce RTX 3050 Ti Laptop Iris Xe Graphics |
メモリ | LPDDR5-4800 32GB | LPDDR5-4800 32GB |
ストレ-ジ | 1TB PCIe 4.0 x4 SSD | 1TB PCIe 4.0 x4 SSD |
まずCPU性能については、2023年モデルは2022年モデルに対して、「Cinebench R23.200」のCPU(Multi Core)で108%相当、CPU(Single Core)で114%相当のスコアを記録している。第13世代Core Hプロセッサは、コア数やスレッド数などは据え置き。大きく変わったのはクロック周波数の向上だ。今回のスコアは順当な結果と言えよう。
一方、大幅な性能向上を果たしたのが3Dグラフィックス。GeForce RTX 3050 Ti LaptopからRTX 4060 Laptopにグレードアップされたことにより、「3DMark v2.25.8056」で240~442%(平均385%)相当、「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」で384~455%相当のスコアを叩き出している。「Battlefield V」(1440p Ultra)の推定ゲームパフォーマンスも75~115fps以上を記録しており、多くの3Dゲームを快適にプレイ可能な性能を備えていることが証明された。
ストレージ速度については、「CrystalDiskMark 8.0.4」でシーケンシャルリード(1M Q8T1)は6,511.058MB/s、シーケンシャルライト(1M Q8T1)は4,926.663MB/sとなった。ストレージベンチマークでは2023年モデルと2022年モデルで優劣が入れ替わっている項目もあるが、体感できるほどの差ではない。
総合ベンチマーク「PCMark 10」では、PCMark 10 Scoreは139%、Essentialsは105%、Productivityは159%、Digital Content Creationは159%相当のスコアを記録。ちなみに最も大きな性能向上が見られたのがRendering and Visualization Scoreで、260%相当のスコアとなった。ディスクリートGPUが大きく貢献したわけだ。
不可解な結果となったのが実アプリのベンチマーク。「Adobe Premiere Pro 2023」では2023年モデルは2022年モデルの58%相当の所要時間で処理を終えているが、「Adobe Lightroom Classic」ではわずかではあるが2023年モデルのほうが時間はかかってしまった。OS、アプリのバージョンが異なるので、2023年モデルではなんらかの相性問題が発生している可能性がある。
バッテリ駆動時間については、ディスプレイ輝度50%という条件で「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行したところ、2023年モデルは2022年モデルの105%相当の5時間26分動作した。カタログスペックの約8.4時間には届いていないが、メイン、セカンドディスプレイの輝度を調整すれば、さらに長時間利用できるはずだ。
高負荷時のCPU温度とクロック周波数の推移についても触れておきたい。「Cinebench R23.200」を1回実行したときにはじりじりとCPU温度が上がるもののクロック周波数は安定していたが、10分間連続で実行すると3回目実行中の2分16秒時点で大きくクロック周波数が落ち込んだ。ただ、そこからは平均3,290.04MHzで安定して推移している。緻密にCPU温度とクロック周波数が制御されていると言えそうだ。
ちょっと気になったのが本体の発熱。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」実行中、キーボード面で最大53.6℃、底面で53.2℃とかなり高い数値を記録した。高負荷な処理をする際には、少なくとも膝上で作業するのは避けたほうがいい。
もう誰も「変態ノートPC」とは言えない
2022年モデルより価格がグッと上がった「Zenbook Pro 14 Duo OLED UX8402」だが、より高性能なディスクリートGPUを採用することにより、ゲーミングノートPCとしてのパフォーマンスが大幅に向上している。またCPU、GPU性能が向上しているにもかかわらず、輝度50%でも5.5時間に迫るスタミナ性能を備えている点もポイントが高い。
持ち運べるデュアルディスプレイ搭載ハイパフォーマンスノートPCという希有な個性を備えた本機。もう誰も「変態ノートPC」とは言えないはずだ。