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デスクトップに勝つ“2画面”ゲーミングノート「ROG Zephyrus Duo 16」はゲーマー/クリエイター注目の1台
2023年3月13日 16:00
3月13日より、ASUSがROGブランドで展開するユニークな2画面ゲーミングノート「ASUS ROG Zephyrus Duo 16」の2023年モデル(GX650PY-R9R4090)が発売される。
2023年モデルのROG Zephyrus Duo 16では、16型+14型の2画面構成を継承しつつ、CPUとGPUを最新鋭のRyzen 7000シリーズとGeForce RTX 40シリーズに刷新することで、ノートPCとしては破格とも言える性能を実現した。
今回は、その実力をデスクトップPCとの比較を通して確認してみよう。
16型+14型の2画面構成がユニークなゲーミングノート
ROG Zephyrus Duo 16の2023年モデルは、16型と14型のディスプレイを搭載する2画面ゲーミングノートで、CPUにZen 4ベースの16コア/32スレッドCPU「Ryzen 9 7945HX」、GPUにNVIDIAのノートPC向け最上位「GeForce RTX 4090 Laptop GPU」を新たに搭載した。
ROG Zephyrus Duo 16の価格65万9,000円で、最新鋭にして最上級のCPU/GPUのほか、32GBのDDR5-4800メモリや2TB NVMe SSD(PCIe 4.0 x4)などを搭載したウルトラハイエンドなゲーミングノートとなっている。
【表1】ASUS ROG Zephyrus Duo 16 (2023)のスペック | |
---|---|
OS | Windows 11 Home |
CPU | Ryzen 9 7945HX (16コア/32スレッド) |
dGPU | GeForce RTX 4090 Laptop GPU (16GB) |
iGPU | Radeon 610M |
メモリ | 32GB DDR5-4800 (16GB×2) |
ストレージ | 2TB NVMe SSD (PCIe 4.0 x4) |
メインディスプレイ | 16型WQXGA液晶ディスプレイ (2,560×1,600ドット) |
セカンドディスプレイ | 14型液晶ディスプレイ (3,840×1,100ドット、タッチパネル搭載) |
有線LAN | 2.5GbE |
無線機能 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1 |
USB/Thunderbolt | USB 3.1 Type-C(2基)、USB 3.1 Type-A(2基) |
そのほかのインターフェイス | microSDXCカードスロット、HDMI、207万画素赤外線カメラ、ヘッドセットジャック |
バッテリ | 容量:4セル/90Wh、駆動時間:約4.5時間(JEITA v2.0) |
ACアダプタ | 出力:330W、バッテリ充電時間:約1.8時間、USB Type-C給電対応 |
本体サイズ | 約355×265.9×30mm |
本体重量 | 約2.69kg |
2画面ノートPCであるROG Zephyrus Duo 16のディスプレイ構成は、16型液晶パネルを採用したメインディスプレイと、14型ワイド液晶パネルを採用するセカンドディスプレイという構成で、セカンドディスプレイをキーボード面に配置することにより、2枚のパネルが縦に並ぶ形となっている。
筐体サイズは約355×265.9×30mmで、重量は約2.69kg。大型で重量もあるため持ち運びやすいノートPCではないが、特殊な2画面構成とハイスペックな搭載パーツを考えると、厚さはかなり抑えられている方だ。
バッテリ駆動時間は約4.5時間で、これを約1.8時間で充電できる330WのACアダプタが同梱されているほか、USB Type-C充電にも対応している。
クリエイティブシーンでの利用にも好適な2画面ノート
ここで、ROG Zephyrus Duo 16が備える2基のディスプレイについて改めて紹介しよう。
16型のメインディスプレイには、最大リフレッシュレート240Hz、画面解像度WQXGA(2,560×1,600ドット)に対応したアスペクト比16:10の液晶パネルを採用。
HDR規格の「DisplayHDR 1000」に対応するほか、DCI-P3カバー率100%の色再現性を実現しており、ゲーミングモニターとして優れた表示性能を備えている。
標準設定ではメインディスプレイはCPUのRyzen 9 7945HXの内蔵GPU(iGPU)であるRadeon 610Mと接続されているが、ROG Zephyrus Duo 16はMUXスイッチに対応しており、ユーティリティソフトでGPUモードを「Ultimate」に変更することで、ディスクリートGPU(dGPU)であるGeForce RTX 4090 Laptop GPUとメインディスプレイを直結できる。
一方、14型のセカンドディスプレイは、画面解像度3,840×1,100ドットという横長の液晶パネルを採用。リフレッシュレートは一般的な60Hzに留まるが、タッチパネルを搭載しており、タッチ操作によって直感的にアプリを操作できる。
また、マウスカーソルの移動範囲をメインディスプレイに限定する機能や、セカンドディスプレイを非表示にする機能なども用意されている。
ROG Zephyrus Duo 16のユニークな2画面をどのように活用するのかはユーザーのアイデア次第だ。
ゲーミングPCとしてポピュラーなところでは、メインディスプレイをフルに使ってゲーム画面を表示しつつ、ブラウザなどで攻略情報を表示したり、ゲーム録画や配信用のアプリを配置しておくと言ったところだろう。
ゲーミングに限らなければ、メインディスプレイに動画編集アプリを表示して、セカンドディスプレイに表示したエクスプローラから素材をドラッグ&ドロップでアプリに取り込むといった使い方もできる。
セカンドディスプレイは最大で3,840×1,100ドットという、フルHD(1,920×1,080ドット)2枚分以上という広大な作業領域を確保できるので、クリエイターならゲーマー以上に活用可能かもしれない。
Ryzen 9 5950Xを凌駕する驚異的なCPU性能を実現
ここからは、ベンチマークテストでROG Zephyrus Duo 16のパフォーマンスをチェックする。実施したベンチマークテストは以下の通り。
- Cinebench R23
- Blender Benchmark
- 3DMark
- PCMark 10
- ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
- BLUE PROTOCOL ベンチマーク
今回、ROG Zephyrus Duo 16の比較相手として、Ryzen 9 5950XとGeForce RTX 3080を搭載した1世代前のハイエンドデスクトップPCを用意した。
1世代前とは言え、現在でもハイスペックPCとして十分に通用する実力を備えたデスクトップPC相手に、ROG Zephyrus Duo 16がどれほどのパフォーマンスをみせられるのかに注目だ。
なお、テスト時のROG Zephyrus Duo 16のGPUモードは、GeForce RTX 4090 Laptop GPUをメインディスプレイに直結する「Ultimate」に設定している。
【表2】テスト条件 | ||
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機材 | ASUS ROG Zephyrus Duo 16 | 比較機材(Ryzen 9 5950X環境) |
CPU | Ryzen 9 7945HX (16コア/32スレッド) | Ryzen 9 5950X (16コア/32スレッド) |
CPU電力/温度リミット | PPT=85W、TDC=108A。EDC=160A | PPT=142W、TDC=95A。EDC=140A |
CPU温度リミット | 100℃ | 90℃ |
マザーボード | ─ | ASUS TUF GAMING X570-PRO WIFI II |
メモリ | 32GB DDR5-4800 (16GB×2) | 32GB DDR4-3200 (16GB×2) |
GPU | GeForce RTX 4090 Laptop GPU (16GB) | ZOTAC GAMING GeForce RTX 3080 AMP Holo LHR |
GPUドライバ | GRD 528.01 (31.0.15.2801) | GRD 531.18 (31.0.15.3118) |
Resizable BAR | 有効 | |
システム用SSD | 2TB NVMe SSD (PCIe 4.0 x4) | CORSAIR MP600 1TB (PCIe 3.0 x4) |
電源 | 専用ACアダプタ (330W) | 1,200W電源 (80PLUS Platinum) |
OS | Windows 11 Home 22H2 (build 22621.1344、VBS有効) | Windows 11 Pro 22H2 (build 22621.1344、VBS有効) |
GPUモード | Ultimate | ─ |
電源プラン | バランス | |
室温 | 約24℃ |
Cinebench R23
CPUの3DCGレンダリング性能を計測するCinebench R23では、Ryzen 9 7945HXを備えるROG Zephyrus Duo 16がMulti Coreで約29%、Single Coreでも約19%と、明確な差をつけてRyzen 9 5950Xを上回った。
Blender Benchmark
Blenderの公式ベンチマークソフトである「Blender Benchmark」では、CPUとGPUでそれぞれテストを実行した。
CPUテストでは、ROG Zephyrus Duo 16がRyzne 9 5950Xを21~31%上回った。同じ16コア/32スレッドCPUで、なおかつ電力リミットの制限が厳しいにも関わらず、ROG Zephyrus Duo 16が搭載するRyzen 9 7945HXはRyzen 9 5950Xを明確に上回るマルチスレッド性能を発揮している。
GPUテストでは、GeForce RTX 4090 Laptop GPUがGeForce RTX 3080を25~47%上回った。アーキテクチャの刷新によって強化されたRTコアによるレイトレーシング処理性能なども効果を発揮しているようで、Blenderを利用する3DCGクリエイターにとって、ROG Zephyrus Duo 16のパフォーマンスはかなり魅力的だろう。
3DMark「CPU Profile」
CPUの性能をスレッド数ごとに確認する3DMarkのCPU Profileでは、ROG Zephyrus Duo 16のRyzen 9 7945HXがRyzen 9 5950Xを10~25%上回った。スレッド数を問わずにRyzen 9 5950Xを凌駕できるのが、Zen 4アーキテクチャを採用したRyzen 9 7945HXの強みだ。
PCMark 10
PCMark 10でもっともテスト数の多いExtendedを実行した結果、ROG Zephyrus Duo 16はRyzen 9 5950X環境を総合スコアで約9%上回った。
サブスコアについても、ほとんどはROG Zephyrus Duo 16がRyzen 9 5950X環境を上回っているが、Gamingに関してはRyzen 9 5950X環境をわずかに下回った。
3DMark
3DMarkではCPU Profile以外にも、ゲーミング性能を計測する「Speed Way」、「Port Royal」、「Time Spy」、「Fire Strike」、「Wild Life」を実行した。
ROG Zephyrus Duo 16は、Time Spyで約3%、Fire Strikeで約5%、それぞれRyzen 9 5950X環境を上回ったが、Speed Wayで約1%、Port Royalは約3%、Wild Lifeでは約2%、逆にRyzen 9 5950X環境を下回った。
CPUとGPUが要求した分だけの電力を得ることができ、ピーク時には500W近い電力を消費しているRyzen 9 5950X環境を相手に、最大でも330W以下の電力しか消費できないROG Zephyrus Duo 16が拮抗したパフォーマンスを発揮しているというこの結果は、ROG Zephyrus Duo 16に搭載された最新鋭のプロセッサが非常に高い電力効率を実現していることを示すものだ。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、フルHDとWQXGAの最高品質設定でベンチマークを実行し、スコアと平均フレームレートを計測した。
ROG Zephyrus Duo 16のスコアは、フルHDでわずかにRyzen 9 5950X環境を下回り、WQXGAでは逆に約1%上回った。ROG Zephyrus Duo 16の平均フレームレートはフルHDで191.8fps、WQXGAで152.0fpsと、かなり高いフレームレートで動作している。
実際のゲームでのパフォーマンスを検証。DLSS 3対応タイトルではGeForce RTX 3080を圧倒
ここからは、実際のゲームを使ってパフォーマンスを比較する。テストしたゲームは以下の4本だ。
- オーバーウォッチ 2
- モンスターハンターライズ : サンブレイク
- サイバーパンク2077
- Microsoft Flight Simulator
オーバーウォッチ 2
オーバーウォッチ 2では、グラフィックプリセットを最高の「エピック」に設定して、フルHDとWQXGAでの平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fps
ROG Zephyrus Duo 16は、フルHDで約269.0fps、WQXGAで約187.0fpsを記録した。Ryzen 9 5950X環境比でのパフォーマンスは、フルHDが約98%で、WQXGAが約95%だった。
モンスターハンターライズ : サンブレイク
モンスターハンターライズ : サンブレイクでは、グラフィックプリセットを「高」に設定して、フルHDとWQXGAでの平均フレームレートを計測した。
ROG Zephyrus Duo 16は、フルHDで約174.4fps、WQXGAで約175.1fpsを記録。Ryzen 9 5950X環境を3~6%上回った。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、グラフィックプリセット「レイトレーシング : ウルトラ」でベンチマークモードを実行した。なお、ROG Zephyrus Duo 16ではDLSS 3のフレーム生成を有効にした際のパフォーマンスも計測した。
フレーム生成無効時にROG Zephyrus Duo 16が記録した平均フレームレートは、フルHDが88.2fpsで、WQXGAが69.3fps。これはRyzen 9 5950X環境の記録を多少下回るものとなっている。
しかし、GeForce RTX 40シリーズで新たに対応したDLSS 3のフレーム生成を有効にすると、ROG Zephyrus Duo 16はフルHDで140.4fps、WQXGAで108.3fpsとRyzen 9 5950X環境を48~59%と大きく上回った。
Microsoft Flight Simulator
Microsoft Flight Simulatorでは、グラフィックプリセットを「ウルトラ」に設定して、フルHDとWQXGAでの平均フレームレートを計測した。
グラフィックスAPIはDirectX 12で、ROG Zephyrus Duo 16ではではDLSS 3のフレーム生成を有効にしたさいのデータも取得した。
フレーム生成無効時の結果は、フルHDで52.2fpsを記録したROG Zephyrus Duo 16がRyzen 9 5950X環境を約3%上回り、49.9fpsだったWQXGAでは逆に約3%下回った。
DLSS 3のフレーム生成を有効にすると、ROG Zephyrus Duo 16の平均フレームレートはフルHDで約97.7fps、WQXGAでも約94.3fpsに上昇し、Ryzen 9 5950X環境を83~92%も上回った。
DLSS 3対応タイトルでフレーム生成が利用できるというのは、GeForce RTX 4090 Laptop GPUを搭載したROG Zephyrus Duo 16にとっての大きな強みだ。
ベンチマーク実行中のモニタリングデータをチェック
最後に、ベンチマークテスト実行中に取得したモニタリングデータから、高負荷動作中のROG Zephyrus Duo 16の状態を確認してみよう。
計測を行なったベンチマークテストは、Cinebench R23の「Multi Core」と、WQXGA解像度で実行した「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」。
CPU温度はCinebench R23実行中が最大89.8℃(平均84.0℃)で、ファイナルファンタジーXIVベンチマーク実行中が最大99.1℃(平均86.2℃)となっている。
ROG Zephyrus Duo 16ではCPUの温度リミット(TjMax)が100℃に設定されているので、ファイナルファンタジーXIVベンチマーク実行時は一時的に最大値付近に達しているが、CPU負荷の高いCinebench R23実行中はTjMax未満の温度を保っていた。
一方、GPU温度については温度リミットの87℃に対し、ファイナルファンタジーXIVベンチマーク実行中の温度は最大73.9℃(平均70.3℃)で、こちらも温度リミットの範囲内でGPUを冷却できている。
CPU、GPUともにベンチマークテスト実行中はベースクロックを超えるブースト動作を維持しており(Cinebench R23実行中のGPUを除く)、ROG Zephyrus Duo 16の冷却システムがかなり優秀であることが伺える。
最新鋭プロセッサによって驚異的な性能を実現した2画面ゲーミングノート
ROG Zephyrus Duo 16は、Ryzen 9 7945HXとGeForce RTX 4090 Laptop GPUという最新鋭にして最高峰のプロセッサを採用したゲーミングノートだ。
これにより、デスクトップ向けのハイエンドCPUであったRyzen 9 5950Xを凌駕するCPU性能と、GeForce RTX 3080と拮抗するほどのGPU性能を実現。さらに、DLSS 3のフレーム生成に対応したことで、対応ゲームでは旧世代製品を圧倒するパフォーマンスを発揮できる。
メインディスプレイの表示性能も優秀であり、ゲーミングノートとしては最上級の性能を備えた製品だ。
抜群の性能に14型のセカンドディスプレイを搭載していることが、ROG Zephyrus Duo 16の大きな魅力だ。
ゲーマーやストリーマーにとっても利用価値のあるセカンドディスプレイだが、映像制作用途などでハイパワーなノートPCを求めるクリエイターにこそ、2画面ノートPCは価値あるものではないだろうか。
ROG Zephyrus Duo 16は携帯性に優れた薄型軽量ノートPCではないものの、ハイエンドゲーミングデスクトップPCに匹敵する性能と、高品質かつ広い作業領域を提供する2画面ノートPCは、メインPCとして通用するパワフルなPCを持ち運びたいと望むゲーマーやクリエイターの望みを叶えられる可能性のあるユニークな1台だ。