Hothotレビュー
2,880×1,800の有機EL搭載でコスパ良し。薄型14型ノート「Zenbook 14 OLED」を試す
2022年9月5日 06:20
ASUSから、プレミアムノートPC「Zenbook」シリーズ新モデル「Zenbook 14 OLED UX3402ZA」が登場した。モバイル用途にも十分対応できる薄型ボディに、14型有機ELタッチディスプレイや、第12世代Core Pプロセッサを採用し、ビジネスからホビーまで、幅広い用途に対応可能な製品となっている。
今回は、CPUにCore i7-1260Pを搭載する上位モデル「Zenbook 14 OLED UX3402ZA-KN278W」を試用する機会を得たので、ハード面を中心に紹介する。すでに発売中で、価格はMicrosoft Officeなしモデルが16万9,800円、Microsoft Office Home and Business 2021付属で19万9,800円。
“Aモノグラム”を採用したスタイリッシュボディ
「Zenbook 14 OLED UX3402ZA-KN278W」(以下、UX3402ZA)は、ASUSのノートPCの中でプレミアムモデルとして位置付けられているZenbookシリーズの最新モデルだ。
Zenbookシリーズと言えば、同心円状のヘアライン処理が施された天板や、細部まで緻密に加工された高品質デザインのボディなどが特徴としておなじみだ。UX3402ZAも、ボディ素材にアルミニウム合金を採用するとともに、細部まで緻密に加工されたボディは、ひと目でその品質の高さが伝わってくる。
また、UX3402ZAでは、天板デザインに、近年ASUSがコーポレートロゴとしてさまざまな場面で使用している“Aモノグラム”をモチーフとしたデザインを採用。
全体がマット調に加工された天板に、光沢感のあるラインでAモノグラムの一部が刻み込まれており、従来までのZenbookシリーズとは大きく印象の異なるデザインとなっている。
どちらかというと落ち着いた印象だが、Aモノグラムのラインがいいアクセントとなり、上質な印象だ。加えてASUSロゴもほとんど目立たないように小さく彫り込まれている点も、非常に好印象。カラーは、ガンメタリックのような質感で、ほのかに深みのあるブルーが感じられるポンダーブルーを採用。
サイズは、313.6×220.6×16.9~17.3mm(幅×奥行き×高さ)。アスペクト比16:10の14型ディスプレイを搭載しつつ、ベゼル幅を比較的狭めることで、ボディサイズも十分コンパクトとなっている。
そのうえで、申し分ない堅牢性も実現。米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810H」に準拠した、落下や振動といったさまざまな堅牢性試験をクリアしているとのこと。実際にボディやディスプレイ部をやや強めの力でひねったりしてみても頑丈なことが分かる。
重量は公称で約1.39kg、試用機の実測重量は1,401gだった。モバイルノートとしてはやや重い部類に入るものの、優れた堅牢性を備えていることで、安心して持ち歩けるだろう。
薄型軽量ボディながらCPUに第12世代Core Pプロセッサを採用
UX3402ZAは、スペック面も充実している。主なスペックは表1にまとめた通りだ。
【表】Zenbook 14 OLED UX3402ZA-KN278W(試用機)の主なスペック | |
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プロセッサ | Core i7-1260P Pコア:4コア・8スレッド/ブースト時最大4.70GHz Eコア:8コア/ブースト時最大3.40GHz スレッド数:16 |
メモリ | 16GB LPDDR5-4800 |
内蔵ストレージ | 512GB PCIe 3.0 SSD |
ディスプレイ | 14型有機EL、2,880×1,800ドット リフレッシュレート最大90Hz DCI-P3カバー率100% DisplayHDR True Black 600、Dolby Vision 10点マルチタッチ、非光沢 |
無線LAN | Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax 2×2) |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 |
キーボード | 日本語、約19mmフルピッチ、キーストローク約1.5mm キーボードバックライト |
カメラ | 約207万画素Webカメラ |
生体認証 | 電源ボタン一体型指紋認証センサー |
インターフェイス | Thunderbolt 4×2、USB 3.1、HDMI、microSDカードスロット、オーディオジャック |
OS | Windows 11 Home |
駆動時間 | 最大7.3時間 |
サイズ/重量 | 313.6×220.6×16.9~17.3mm(幅×奥行き×高さ)/約1.39kg |
CPUには、一般的なモバイルノートに搭載されるものよりも高い性能を発揮する、第12世代Core Pプロセッサを採用。試用機ではCore i7-1260Pを、下位モデルではCore i5-1240Pを搭載している。
また、メモリも標準でLPDDR5-4800を16GBと、申し分ない容量を搭載。これなら、高負荷の作業はもちろん、動画編集なども十分快適に行なえるだろう。
内蔵ストレージは、容量512GBのPCIe 3.0 SSDを搭載。ほかのスペックを考えると、より高速なPCIe 4.0 SSDを採用してもよかったのでは、とも思うが、このあたりは性能と価格のバランスを取った選択と思われる。
無線機能は、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax、2×2)準拠無線LANとBluetooth 5.1を標準搭載。生体認証機能は、Windows Hello対応の指紋認証センサーを電源ボタン一体型として搭載している。
カメラは、約207万画素のWebカメラをディスプレイ上部に搭載。1080Pの動画が撮影でき、高画質映像でWeb会議などが行なえる。専用ツール「MyASUS」には、Webカメラ利用時に明るさの自動調整や背景ぼかし、常に顔が中央に来るようにする自動トリミングといった機能を搭載。これはWeb会議ツールを問わず効果が利用できるため、便利だ。
加えて、マイクで集音した音からバックグラウンドノイズを除去し、人の声だけをクリアに届けるAIノイズキャンセリング機能や、Web会議などでの相手の音からもノイズを除去し話をしている人の声をクリアに再生するAIノイズキャンセリングスピーカー機能なども搭載。これら機能により、テレワークも快適にこなせるだろう。
側面ポート類は、左側面にUSB 3.1を、右側面にmicroSDカードリーダ、Thunderbolt 4×2、オーディオジャック、HDMIの各ポートを配置。必要十分なポートが用意されており、拡張性も申し分ない。
内蔵バッテリ容量は75Whで、駆動時間は約7.3時間。付属ACアダプタはUSB Type-C接続で、重量は実測で221.8g。約49分で容量約60%の急速充電にも対応。OSはWindows 11 Home。
90Hz表示対応の14型有機ELタッチディスプレイを搭載
ディスプレイは、2,880×1,800ドット表示対応の14型有機ELディスプレイを搭載する。アスペクト比16:10で、一般的な16:9ディスプレイより縦の表示領域が広く、Web閲覧やOfficeアプリなど、さまざまな作業をより快適にこなせる。
また、リフレッシュレートは最大90Hzに対応。一般的な60Hzディスプレイと比べると、Webブラウザなどで高速にスクロールを行なった場合の表示のなめらかさがはっきりと実感できる。
UX3402ZAは、CPU性能や内蔵グラフィックス性能の高さから、ゲームも比較的快適に動作するが、ゲームプレイ時の表示のなめらかさも高まるはずで、この点は大きな利点と言える。
同時に、ダイナミックスムージング機能を利用すると、電源接続時には90Hz、バッテリ駆動時には60Hzと、自動的にリフレッシュレートが変更されるため便利だ。
このほか、10点マルチタッチ対応のタッチパネルも搭載しており、直感的なタッチ操作も可能だ。
ベゼルは、極端な狭額縁というわけではないが、特に左右はかなり狭められており、画面占有率は約89%に高められている。もちろん、本体の小型化にも大いに貢献。ディスプレイは180度まで開くため、複数人で囲んでディスプレイを見たり、対面プレゼンなどにも便利だ。
発色性能は、有機ELディスプレイらしく、非常に高品質となっている。DCI-P3カバー率100%の広色域表示に対応するのはもちろん、DisplayHDR True Black 600やDolby Vision準拠のHDR表示もサポート。
非常に鮮やかな発色はもちろんのこと、明るい場所から暗い場所までメリハリのある表示が確認でき、画像処理やゲーム、動画視聴など、申し分ないクオリティの表示が可能と感じる。このほか、PANTONEやTÜV Rheinlandの認証も取得している。
ただ、タッチパネルを搭載していることもあり、ディスプレイ表面は光沢仕様となっており、外光の映り込みが気になる。文字入力が中心の作業に活用する場合には、この点が少々気になるかもしれない。
キーボードはのクリック感のある押し心地
キーボードは、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプの日本語キーボードを搭載している。
キーボードの仕様は、従来のZenbookシリーズに搭載されているものに近い。主要キーのキーピッチは約19mmフルピッチを確保しており、ストロークは約1.5mm。薄型ノートPCのキーボードとしてはほぼ標準的だ。
キータッチはわずかに軽めな印象だが、クリック感がしっかりとしており、打鍵感も悪くない。個人的には軽めのキータッチが好みということもあって、なかなか好印象だった。
ディスプレイを開くと、本体後方が持ち上がり、キーボード面に適度な角度がつくエルゴリフトヒンジ構造も採用しており、こちらも良好な打鍵感につながっている部分だ。標準でキーボードバックライトを搭載し、暗い場所でも快適なタイピングが可能な点も嬉しい。
ただ、キー配置で一部気になる部分もある。それは、スペースキー左右やEnterキー周辺のキーだ。その付近のキーを見ると、もともとあったキーを分割して搭載していることが分かる。
加えて、[¥]キーのピッチがかなり狭くなっている。これは、英語配列のキーボードをベースとして無理やり日本語化していることによるものだ。
なるべく違和感なくタイピングできるよう、キーとの隙間を感じるようにキートップの端が低く彫り込まれているなどの工夫も見られるが、どうしても無理やり日本語化することによる弊害のほうが目立ってしまう。コストがかかるため難しい部分もあるとは思うが、できればきちんとした日本語キーボードを搭載してもらいたいところだ。
ところで、以前ASUS製ノートPCの一部では、電源ボタンがBackspaceキーの上に配置され、Delキーと間違えて押してしまうことがよくあった。それに対しUX3402ZAでは、電源ボタンがDelキーの左に搭載するとともに、ほかのキーよりもはるかに強い力で押さないと反応しないボタンとなっていることで、タイピング中に電源ボタンを間違って押す心配がなくなっている。この配慮は好印象だ。
ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを搭載。従来のZenbookシリーズ同様に面積の広いタッチパッドとなっており、ジェスチャー操作も含めて快適な操作が可能だ。ただ、個人的にはタッチパッドの搭載位置を本体中央ではなく、キーボードのホームポジションを中心とした位置に搭載してもらいたいと感じる。
十分に優れた性能を確認
では、ベンチマークテストの結果を紹介しよう。今回利用したベンチマークソフトは、「PCMark 10 v2.1.2563」、「3DMark Professional Edition v2.22.7359」、「Cinebench R23.200」の3種類だ。
なお、テスト時には独自ツール「MyASUS」を利用し、CPUクーラーの動作モードを、CPUの処理能力がフルに発揮される「パフォーマンスモード」に設定して行っている。結果は下の通りで、比較用としてCPUにCore i7-1255Uを搭載するASUSの「ExpertBook B9 B9400CBA-KC0218WS」の結果も加えてある。
結果を見ると、低電力版CPUのCore i7-1255Uを搭載するExpertBook B9 B9400CBAの結果に対して、ほとんどすべての項目で上回っていることが分かる。
この結果から、Core i7-1260Pの性能がしっかりと引き出されることで、優れた性能が発揮できていることが分かる。モバイルノートとしてはやや重量が重いとは言え、ぎりぎりモバイルノートとしても活用できるため、優れた性能のPCを持ち歩きたいと考えているなら、この点は大きな魅力となりそうだ。
ただし、高負荷時の十例ファンの動作音は、かなり大きい。CPUクーラーの動作モードを、CPUの処理能力がフルに発揮される「パフォーマンスモード」に設定していたということもあるが、ゲーミングPCの高負荷時に近いうるささを感じる。
もちろん、それによって高負荷時でもCPUがしっかり冷却され、優れた性能が引き出せているわけだが、静かな場所で高負荷な作業を行なうのはためらわれる印象。
なお、それほど負荷の高くない作業を行なう場合には、冷却ファンの動作音は十分に静かなので、Officeアプリなど負荷の高くないアプリの利用時は問題ない。
続いてバッテリ駆動時間だ。UX3402ZAの公称の駆動時間は最大7.3時間となっている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を50%、無線LANをオン、キーボードバックライトをオフに設定し、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を実行。
計測してみたところ、9時間15分と、公称を上回る時間を記録した。公称の駆動時間から、それほど長時間駆動は難しいのではないかと思っていたが、これはいい意味で予想を裏切られた形だ。
もちろん、モバイルノートとしては、少々心許ない駆動時間ではあるが、大型有機ELディスプレイや搭載CPUを考えると、十分納得の駆動時間だ。これなら、モバイル用途でも十分に活用できそうだ。
幅広い用途に対応できる優れた性能を備えるノートPCとして魅力
今回見てきたようにUX3402ZAは、CPUに高性能なCore i7-1260Pを採用するとともに、申し分ない基本スペック、表示性能に優れる14型有機ELタッチディスプレイの搭載により、ビジネス用途からホビー用途まで、非常に幅広い用途に対応できる製品に仕上がっている。
モバイルノートとしてみると、やや重量が重いのは事実だが、バッテリ駆動時間も思ったほど短くなく、高性能なPCを持ち出して利用したいという人にとっても十分魅力がある。もちろん、スタイリッシュなボディも、持ち出して利用する人に満足感を与えるだろう。
細かな部分を見ると、内蔵ストレージがPCIe 3.0 SSDだったり、顔認証カメラが非搭載、キーボードの一部キーのクセのある配列など、もう少しがんばってほしいと感じる部分もある。
とは言え、16万9,800円という価格から考えると、コストパフォーマンスは非常に高い。そのため、幅広い用途に対応できる優れた性能や、表示品質に優れるディスプレイを備え、比較的軽快に持ち運べるノートPCを探しているなら、十分考慮に値する製品と言える。