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5G対応で3万円台のAndroidタブレット見参!ソフトバンクの「Lenovo TAB6」を使ってみた

5G対応のAndroidタブレット「Lenovo TAB6」

 高速・低遅延の5Gネットワークは、もはやスマートフォンだけのものではない。タブレットにもいよいよその風が吹き始めている。ソフトバンクが2021年10月に発売したレノボジャパン製Androidタブレット「Lenovo TAB6」が、5Gネットワークに対応する日本で初めてのAndroidタブレットとなったようだ。

 チップセットにQualcomm Snapdragonを搭載し、それでいて端末本体価格は3万円台の比較的リーズナブルな正統派タブレット。どんな端末なのか、チェックしてみよう。

下り最大1.8Gbpsの5Gに対応するミドルクラス

 Lenovo TAB6は、10.3型(1,920×1,200ドット、60Hz駆動)の液晶ディスプレイを搭載するAndroid 11タブレット。チップセットはQualcomm Snapdragon 690 5G(最大2GHz、8コア)で、メモリ4GB、ストレージ64GBのミドルクラス端末だ。ソフトバンクが販売元となっており、一括支払時の端末本体価格は3万6,720円となっている。

10.3型液晶ディスプレイのAndroid 11タブレット
今回試用したのはムーンホワイトのボディカラー

 最大のポイントは、チップセットに「5G」とある通り、高速・低遅延の5G通信に対応していることだろう。従来のLTE(4G)をはるかに上回る下り最大1.8Gbpsを実現し、大容量コンテンツもストレスなく利用できる。

 チップセット自体はより高速なミリ波(28GHz帯)にも対応するようだが、現時点でLenovo TAB6が対応するのはSub-6と呼ばれる周波数帯。ソフトバンク網に割り当てられている帯域で言えば、国内の700MHz/1.7GHz/3.4GHz/3.7GHz帯のすべてに対応している。

 LTEでも下り最大695Mbpsで通信できるので、5Gが繋がらない場所でももちろん問題なく利用できる。ただし、5GにしろLTEにしろ、2021年11月時点でこれら最大速度で通信できるとされている地域はまだごく一部に限られている。多くの人にとっては、将来的な高速通信エリア拡大を見越した投資、というような形になってしまうのは否定できないところだ。

SoftBank 5Gサービスエリアマップ、新宿駅周辺。5G対応とされるピンク色や紫色のエリアは比較的広範囲に渡っているが、試した限りでは、実際に5Gで接続されることはまだそれほど多くない

 もう1つ、無線LANがWi-Fi 5までの対応に止まっているのも、少し残念なところ。これはチップセット側のスペックからくるものなので仕方のないところだが、宅内でもWi-Fi 6でより高速に通信したいと願うユーザーは物足りないかもしれない。

 Androidスマートフォンでも8GB以上のメモリを搭載する機種が珍しくない中、メモリ4GBというのも少なく感じる部分。動画コンテンツをダウンロードしたり、写真・動画を頻繁に撮影するような使い方だと、ストレージの64GBも今や大容量とは言えない。ただし、ストレージについては最大2TBまでのmicroSDカードを利用できるので、ある程度余裕をもった運用はできそうだ。

microSDカードはSIMスロットに挿入する形

 本体サイズは158×244×8.3mm(幅×奥行き×高さ)で、ベゼルはやや細め。重量約498gというのは軽くはないが、かと言って重すぎることもない、10型クラスタブレットとしては標準的なものだ。

 筆者の手元にあったタブレットAmazon Fire HD 10 Plus(10.1型)と比べると、ディスプレイサイズが大きいにも関わらず、ベゼルが細い分、全体はわずかにコンパクト。それでいてIPX3/IP5Xの防水・防じん性能も備えているので、屋外での一時的な使用や、雨がぱらつく程度の環境下なら不安はない。

充電ポートはType-C
側面にイヤフォン端子を備える
電源、ボリュームキーは本体上部に位置している
SIM装着状態で実測495g
Amazon Fire HD 10 Plusより縦横サイズはコンパクト。さらに0.9mm薄い

スマートフォンに通知できる「連携しよう」アプリはマストツール

 ソフトバンクが提供する独自アプリがいくつかプリインストールされているものの、強制的に利用させるような仕組みにはなっていないので、初期状態はかなり素のAndroidに近い。しかしその中でも、できるだけ活用したい独自アプリがある。タブレットとスマートフォン(またはフィーチャーフォン)を連携させ、より便利に使えるようにする「連携しよう」という名前のツールだ。

ソフトバンク独自のアプリがいくつかプリインストールされているが、初期設定時などに使用が強制されるような手順にはなっていない
スマートフォンとの連携を可能にするアプリ「連携しよう」

 連携させたいスマートフォン側にもこの「連携しよう」アプリをインストールし、画面の指示に従ってLenovo TAB6とスマートフォンの両方で設定することで、例えばスマートフォンに電話やメッセージの着信があった時にLenovo TAB6側に通知できるようになる。

スマートフォンに電話着信などがあると、タブレット側にも通知される

 また、Lenovo TAB6上で電話番号のリンクをタップするとスマートフォン側で電話発信画面に遷移させたり、Lenovo TAB6とスマートフォンのどちらかで閲覧しているWebページのURLを、もう一方の端末に送信してコンテンツの続きをすぐに読めるようにしたり、といったことも可能だ。

Webページを開いている状態で「共有」機能を使い、「連携しよう」を選ぶとスマートフォンで同じページを開けるようになる

 中でも、スマートフォンの着信をLenovo TAB6に通知してくれる機能は便利さを実感することが多い。タブレットでWebや動画を見ているような時は、すぐ近くの手元にスマートフォンがないこともままあるわけで、電話を取り逃すようなことも防げるし、メッセージに気付かず放置してしまうようなこともなくなる。

 なお、連携するスマートフォンはソフトバンクの端末である必要はなく、ソフトバンクのネットワークに接続している必要もない。既存の多くの機種に対応しているのもうれしいところだ。

「PCモード」との組み合わせに最適なランチャー機能

 こうした10型クラスタブレットに期待されることの1つに、PC的なスタイルで使えるかどうか、というのもあるだろう。Lenovo TAB6では、Android OSの標準機能を元にした「PCモード」(他機種ではデスクトップモードと呼ばれることが多い)があり、これを使うことでマルチタスクな作業がしやすくなっている。

 設定画面で「PCモード」をオンにすることで切り替えられるほか、(有線もしくはワイヤレスの)物理キーボードを接続して自動的にオンにもできる。PCモードにすると、「戻る・ホーム・タスク切り替え」のナビゲーションバーが画面左下に表示され、起動中のアプリがWindowsのタスクバーのようなイメージでその右側に並ぶ。

設定画面から「PCモード」をオン
画面下にタスクバー状に起動中のアプリアイコンが並ぶ
物理キーボードやマウスを接続して「PCモード」にすれば、ある程度PCに近い使い方ができる

 タスクバーにあるアプリアイコンをタップして、ほかのアプリに素早く切り替えながら作業する、というのが基本の使い方。その上で、このPCモードと組み合わせて使いたいものの1つに、ランチャー機能がある。何らかのアプリ画面を表示している状態で画面右上にうっすら見えるツマミを左方向にスワイプすることで、ランチャーを引き出すことが可能だ。

画面右上から左方向にスワイプするとランチャーが表示

 このランチャーには、最大6つまでのインストール済みアプリや端末の機能を登録しておける。ランチャー上から登録したアプリアイコンをタップして起動すると、タブレットの画面が左右に2分割され、今表示しているアプリの画面と新たに起動したアプリの画面が並んで表示されるようになる。

インストール済みアプリや端末の機能を最大6つまで登録しておける

 つまり、2つのアプリを同時に1画面内に表示できるので、いちいち画面を切り替えることなく効率的に作業できるというわけだ。例えば片側でYouTube動画を再生しながらもう片側でWebブラウジングする、という使い方ができるし。片側で調べ物をしつつ、片側で資料を作る、みたいなことも可能だ。

 高速なモバイル通信が可能なLenovo TAB6の特徴を活かす、というところで言うと、屋外でメッセージをやり取りしながらGoogle マップも表示し、待ち合わせ場所に向かう、といったような使い方も考えられるだろう。こうしたマルチタスクな処理においても特にもたついたりしないのは、Snapdragon 6シリーズのパフォーマンスのおかげかもしれない。

Webサイトで施設の住所などを確認し、それを地図表示しながら現地に向かう、という使い方
画面の分割表示1:1、もしくは2:1の大きさに調整可能。ちなみにPCモードにしていなくてもランチャーや画面分割は使用可能

マクロ的に使えるカメラ機能が面白い

 本体サイズが大きく、スマートフォンと比べると扱いにくい10型クラスのタブレットでは、カメラ機能はあまり注目されないというか、重視されない部分。ただLenovo TAB6では、このカメラがちょっと意外な面白い性能を持っている。それは、マクロ撮影に近い使い方ができる点だ。

約800万画素のアウトカメラ

 アウトカメラは約800万画素(インカメラも約800万画素)。ズームはデジタルで、タブレットのカメラ機能としては一般的な性能だ。しかし、このアウトカメラ、広角レンズというわけでもないのに、被写体まで3cm以下の距離でもしっかりピントが合い、小さな文字どころか、印刷物の網点までくっきり見える。

Lenovo TAB6の外箱の厚みが大体2.7cmほど。この上に載せて撮影してもピントが合う

 一部のスマートフォンが備える顕微鏡カメラとまではいかないにしても、かなり高性能なマクロ的接写撮影が可能なので、色々と楽しい活用方法が考えられそう。まさにDTP校正時に網点やズレをチェックするのに使ってもいいし、小さな生き物の様子を写真撮影したり、動画で動きを追ったりするのもいい。10.3型の大画面というタブレットならではの映像確認のしやすさもポイントだ。

風景(ズームなし)
風景(2倍デジタルズーム)
風景(6倍デジタルズーム)
花を接写してみた
印刷物を接写したところ
メダカを接写しながら動画撮影

5G接続の速度など、端末の各種パフォーマンスをチェック

 簡単にベンチマークテストも実行してみた。まずは5G通信時の速度がどれくらいのものなのか、東京は新宿駅東側にある5Gエリアでインターネットの通信速度をテストしてみたのが以下のグラフ。同じ場所でLTEでも計測し、比較している。結果は5Gで500Mbps超えを記録し、LTEの10倍を軽く上回る速度を叩き出した。Lenovo TAB6が持つ5G通信性能の本領を発揮できるエリアではないが、それでもこの速度は立派だ。

新宿駅東側で計測。5G接続時は500Mbpsを超えた
同じ場所でLTE接続で計測したところ約44Mbpsだった
5G/LTE速度計測結果(「Speedtest」アプリを使用)

 「Geekbench 5」および「Google Octane 2.0」によるベンチマーク結果は以下の通り。過去に本誌で計測したAndroid端末の結果と比較する形にしているが、Snapdragon 7シリーズやハイエンドの8シリーズほどのパフォーマンスはやはり期待できず、6シリーズのポジショニングなりのスコアとなっている。

Geekbench 5
Google Octane 2.0
Geekbench 5の結果
Google Octane 2.0の結果

 7,500mAh容量のバッテリを搭載しているLenovo TAB6の連続稼働時間もチェックした。画面輝度50%の状態で、フルHD動画をフルスクリーンでループ再生したところ、10時間15分ほどでバッテリ残量は5%に。その後40分程度動作して電源が切れた。合計10時間55分という、ビジネスアワーを十分カバーする長さだ。先述のPCモードも合わせて考えれば、丸1日使い続けられる簡易なモバイルワーク環境としても活躍してくれることだろう。

残り2%で10時間48分稼働。最終的に10時間55分ほどで電源が切れた

 なお、3DグラフィックのRPG「原神」をプレイしてみると、グラフィック品質は自動で「低」(30fps)が選択された。このデフォルト設定なら、滑らかさはあまり感じられないが、全体としては大きな不満なく遊べるクオリティだ。画質を「最高」にしてもプレイはできるものの、画面描画はややぎこちなくなる。スムーズにゲームを楽しみたいなら画質を少し落としてプレイするのがおすすめだ。

「原神」はデフォルトの画質設定に「低」が自動で選ばれた。これなら大きな不満はないが、より高画質・高フレームレートでプレイしようと思うと快適さはやや失われる
BluetoothオーディオはaptX Adaptive対応。ただし、同コーデック対応のイヤフォンを使ったところ、動画・音楽コンテンツが正常に再生できなかった(SBC対応イヤフォンでは問題なし)。不具合と思われるのでいずれアップデートなどで解消されることを期待したい

5Gを先取りしつつ、安心して使えるシンプルなタブレット

 PCモードを利用した文書ファイルの編集などのビジネス用途はもちろんのこと、動画再生やゲームなどのエンタメ用途も難なくこなす十分な性能を備えたLenovo TAB6。5G対応であることを除けば、これと言って飛び道具的なギミックはないが、シンプルな10型クラスのタブレットとして安心して使える1台であることは間違いない。

 いかんせん対応エリアがまだまだ少ない5Gだけに、そこに価値を見い出すのは現時点ではなかなか難しいところもある。ただ、かつての3GからLTEへの切り替わり黎明期も似たような空気感であったことを考えると、LTEで繋がるのが当たり前という現在のような状況に、いずれ5Gもなっていくのだろう。タブレットであっても、今のうちに5G対応端末を手に入れておくのは「早すぎる」というわけではないはずだ。