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8万円台のWindows 11搭載ノート「mouse F5-i5」。過不足なく使える高コスパの1台

 Microsoftの最新のOSとなる「Windows 11」が、10月5日に公開された。それに伴い各社から、このWindows 11を搭載する新しいPCが続々と発表されている。マウスコンピューターの「mouse F5-i5」も、そうしたPCの1つだ。

 mouse F5-i5は、15.6型液晶ディスプレイやDVDスーパーマルチドライブを備えるノートPCで、9万円を割り込むコストパフォーマンスの高さが大きな魅力だ。今回は、このノートPCの使い勝手や性能を検証していこう。

シンプルデザインで必要十分の機能性

 mouse F5-i5は、MicrosoftのOfficeシリーズが付属するかどうかでいくつかのモデルを用意している。基本的なハードウェアやプリインストールされているWindows 11のエディションは同じで、Officeが付属しないmouse F5-i5は8万7,780円、Office Personal 2021が付属するモデルは10万9,780円で、Home and BusinessやProfessionalを選択したい場合は、カスタマイズで変更できる。

【表1】mouse F5-i5のスペック
型番mouse F5-i5mouse F5-i5-A
OSWindows 11 Home
Microsoft OfficeなしPersonal 2021
CPUCore i5-10210U(4コア/8スレッド、1.6~4.2GHz)
メモリ(空きスロット)DDR4-2666 8GB(1基)
ストレージSATA SSD 256GB
ディスプレイ15.6型(1,920×1,080ドット、非光沢)
通信Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)、Bluetooth 5
主なインターフェイスUSB 3.1 Type-C、USB 3.0、USB 2.0×2、HDMI、ミニD-Sub15ピン、ヘッドフォン、マイク
Webカメラ100万画素
バッテリ駆動時間約7.5時間
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)361×256×24.1mm
重量約2.03kg
直販価格‭8万7,780円‬10万9,780円

 本体サイズは361×256×24.1mm(幅×奥行き×高さ)と、15.6型サイズの液晶ディスプレイを搭載するノートPCとしては平均的なサイズ感だ。液晶ディスプレイのフチが狭いタイプなので、すっきりとした印象を受ける。

 最近のビジネス向け薄型モバイルノートと比べれば、やや厚めではある。ただDVDスーパーマルチドライブを内蔵していることを考えれば、このくらいなら許容範囲だろう。一般的なビジネスバッグなら問題なく収納できるサイズであり、家庭内やオフィススペースで利用するノートPCとして考えれば十分だ。

液晶画面のフチはかなり狭く、スタイリッシュなデザインだ
上部には100万画素のWebカメラを装備する

 キーボードは右側にテンキーを装備するフルキータイプだ。Excelを利用して書類を作成する機会が多いユーザーは、こうしたテンキーを装備する方が使いやすいだろう。

 キートップは適度な反発があり、ちょっと力を入れるとすっと押し込まれる。キートップの上で指先を遊ばせているくらいでは誤入力は起きず、かと言って意識して強く押し込む必要もないため、タンタンと快適にタイプできる。

 タッチパッドは実測値で横幅が112mm、高さが64mmと広めで、マルチタッチにも対応する。マウスボタンは下部に独立しているタイプだが、タッチパッドの領域が広いので狭いと感じることはない。またメインキーのホームポジションに合わせて、左に寄った配置になっている。

キーボードはテンキーを装備するタイプ。キーピッチは実測値で約19mm確保しており、快適にタイピングできる
タッチパッドは独立したボタンを装備するタイプで、マルチタッチにも対応

 映像出力端子は、HDMIとミニD-Sub15ピンの2系統だ。最近のノートPCだとミニD-Sub15ピンを搭載するモデルは少ないが、オフィスの現場ではミニD-Sub15ピン入力端子を装備する古いプロジェクタもまだまだ現役だ。mouse F5-i5のように、レガシーなポートを搭載するノートPCが重宝する場面もある。

 ネットワークへの接続は、Gigabit Ethernet対応の有線LANポートと、Wi-Fi 5対応の無線LAN経由で行なう。またType-AのUSB 3.0ポートを左側面に1基、Type-CのUSB 3.1ポートを同じく左側面に1基装備するため、USB接続の周辺機器は基本的に左側面側で利用することになるだろう。

左側面には電源ポート、有線LANポート、ミニD-Sub15ピン、USB 3.1 Type-C、HDMI、USB 3.0を装備
右側面にはマイクやヘッドフォン端子、2基のUSB 2.0ポート、DVDスーパーマルチドライブを装備

 またType-Cは、USB PD(Power Delivery)にも対応する。付属のACアダプタの端子を挿すための電源ポートは別に搭載しているが、USB PD対応のACアダプタを持っているなら、それを流用して充電することも可能だ。

付属のACアダプタは45W出力に対応しており、コンパクトで持ち運びも容易だ

CPUの世代は古いがWindows 11の動作は快適

 mouse F5-i5では、Intelの第10世代「Core i5-10210U」をCPUとして搭載する。最新の第11世代Core iシリーズではないこと、そしてOSが「Windows 11 Home」ということもあって、性能面に不安を感じるユーザーもいるかもしれない。しかしその辺は杞憂だ。Windows 11の起動は高速だし、様々なアプリの起動や操作、ウィンドウの切り換えや移動なども素早く行なえる。

プリインストールされているのはWindows 11 Home。Windows 10と違い、タスクバーのアイコンは中央寄りに変更されている

 Windows 11では、セキュリティに関する機能が大きく強化された。しかしCPUやメモリ、ストレージなどパフォーマンスに影響する要件については、Windows 10と大きな違いはない。このクラスのCPUを搭載するWindows 10のノートPCを使ったことがあるなら、それと同等の使い勝手と考えて間違いない。

 いくつかの定番ベンチマークテストを実行した結果は、こちらの表を参照してほしい。各テストのスコアに関して言えば、今までテストしてきたCore i5-10210U搭載の薄型モバイルノートとほぼ同等という結果だった。Windows 11だからと言って、性能が低下するということもない。

【表2】ベンチマーク結果
PCMark 10 Extended v2.0.2144
PCMark 10 Extended score2,321
Essentials6,657
App Start-up score7,902
Video Conferencing score5,830
Web Browsing score4,604
Productivity5,739
Spreadsheets score6,728
Writing score4,896
Digital Content Creation2,840
Photo Editing score3,618
Rendering and Visualization score1,831
Video Editting score3,460
Gaming723
Graphics score930
Physics score8,409
Combined score306
PCMark 10 Battery Test v2.0.2144
※輝度40%、バッテリ節約機能有効
MODERN OFFICE4時間48分
3DMark v2.11.6846
Time Spy403
Fire Strike894
Sky Diver4,537
Cinebench R23
CPU3,163pts
CPU(Single Core)1,051pts
TMPGEnc Video Mastering Works 7
※解像度1,920×1,080ドット、ビットレート15~16Mbps、約3分の動画をH264/AVCとH.265/HEVC形式で圧縮
H.264/AVC7分15秒
H.264/AVC(Quick Sync Video有効)1分4秒
H.265/HEVC12分18秒
H265/HEVC(Quick Sync Video有効)1分49秒

 搭載するストレージは、CrystalDiskMarkの結果を見るとSATA 6Gbps対応モデルのようだ。PCI Express対応モデルほど高速ではないが、Windows 11や各種アプリの起動は十分高速で、不満を感じることはなかった。

シーケンシャルリード/ライト性能を見ると、SATA 6Gbps対応モデルであることが分かる

 搭載メモリは8GB、ストレージは256GBとやや控えめなスペックではあるが、どちらも簡単に増設したり、交換したりできる。底面に4本の小さなネジで固定されているカバーを外すと、メモリスロットやM.2スロット、2.5インチシャドウベイにアクセスできる。

 もちろん、メーカーの動作保証外とはなるが、自己責任で行なえるなら、メモリスロットは1基分が空いているので、必要に応じてDDR4 SO-DIMMモジュールを挿せる。M.2スロットにはM.2対応SSDが組み込まれており、これが今回のモデルのシステムドライブと思われる。サイズは2280タイプなので、PCパーツショップで購入できる一般的なM.2対応SSDを利用できる。

カバーは4カ所でネジ止めされている
写真左下が2.5インチシャドウベイ、中央下が2基のメモリスロット、右下がM.2スロットだ
右上にあるM.2スロットにはWi-Fi 5とBluetooth対応のワイヤレスモジュールが組み込まれている

 2.5インチシャドウベイは空いた状態なので、2.5インチHDDやSSDの大容量モデルを追加し、M.2スロットのM.2対応SSDはシステムドライブ、2.5インチシャドウベイに組み込んだドライブはデータドライブとして利用することも可能だ。

軽作業中心で利用するユーザーの強い味方

 ビジネス向けA4判ノートPCとしては、過不足ない装備と性能、使い勝手を兼ね備えており、9万円を切る価格ならかなり買い得感がある。CPUの世代が古いとは言え、実際にMicrosoftのOfficeなどで書類を作成したり、TeamsでWeb会議を行なうくらいの作業なら、まったく不満はないレベルだった。

 最近のノートPCとしては拡張作業も容易であり、メモリやストレージを拡張していけば、長くじっくりと使い続けられるはずだ。自宅でのテレワーク用として購入するもよし、子供の新入学などに伴って、10万円以下でもちゃんと使えるPCが欲しいというニーズにも十分応えられる、優れたノートPCだ。