Hothotレビュー

17型で税別8万円切り。大画面がとにかく見やすいマウスのノート「mouse F7」を試す

17.3型ワイド液晶を搭載した「mouse F7」‭。価格は7万9,800円(税別)

 ホームユース向けのノートパソコンというと、14~15型パネルを搭載するA4版ノートパソコンが一般的だ。低価格で購入でき、コンパクトで置き場所に困らないモデルが多いからだろう。ただ、作業効率や見やすさを考える上では、やはり画面サイズは大きければ大きいほどよい。複数のウィンドウを並べて切り替えながら使うなら、14~15型パネルはちょっと狭いからだ。

 たとえば自宅でテレワークを行なう場合、複数の資料を参照しながら書類を作成する機会も多い。14~15型のノートパソコンでは、各アプリはフルスクリーン表示でタスクバーからアプリを切り替える必要が出てくるため、少々煩わしい。だからと言って、液晶ディスプレイを追加できるほどのスペースを確保するのも難しい。

 そんなユーザーにオススメしたいのが、今回紹介するマウスコンピューターの「mouse F7」だ。14~15型パネルよりもひとまわり大きな17.3型ワイドパネルを搭載し、大きな画面でゆったりと作業できる。また光学ドライブを搭載するので光学メディアの読み書きも行なえるなど、幅広い用途に対応できるスタンダードパソコンである。価格は‭7万9,800円(税別)だ。

筐体は大型化、しかしパネルの大型化で使い勝手は高まる

 mouse F7は、同社の15.6型スタンダードノート「mouse F5」の17.3型版といった位置づけで、より大きな画面で書類を作成したり、動画を楽しんだりできるようになっている。

 今回の試用機のおもなスペックは下記のとおりだ。CPUはIntelの第10世代「Core i5-1035G1」で、メモリは8GB。ストレージは256GBのSSDだが、追加で2.5インチタイプのHDDやSSDを追加した構成にもできるという。

【表1】mouse F7のスペック
OSWindows 10 Home
CPUCore i5-1035G1
(4コア/8スレッド、1~3.6GHz、UHD Graphics)
メモリDDR4-2666 8GB
ストレージSATA SSD 256GB
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
ディスプレイ17.3型非光沢フルHD(1,920×1,080ドット)
通信Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0
インターフェイスUSB 3.1 Type-C、USB 3.0、USB 2.0×2、HDMI、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、Webカメラ、SDカードスロット、ヘッドフォン、マイク
バッテリ駆動時間約6.5時間
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)399.9×268×25.3mm
重量約2.35kg
直販価格‭7万9,800円(税別)

 17.3型ワイドパネルを搭載したことで、15.6型のmouse F5よりは大きくなった。mouse F7のサイズは399.9×268×25.3mm(幅×奥行き×高さ)。そしてmouse F5のほうは361×256×24.1mm(同)。幅は約40mm、奥行きも約10mm増えたことになる。

14型パネルを搭載するレノボの「ThinkPad T14(AMD)」を上に載せてみると、かなり大きめであることがわかる

 設置に必要な底面積も増えているため、タッチパッドではなく使い慣れたマウスを接続して利用するつもりなら、それなりに広い机を用意する必要はあるかもしれない。感覚的には幅55cm、奥行きは30cm前後のスペースがあれば、マウスも含めて余裕を持って作業できるだろう。

 モバイルパソコンをよく利用する筆者としては、17型液晶を搭載するノートパソコンはひさびさだ。そしてやはりパネルサイズは、使い勝手に大きな影響を与えると感じた。パネルの解像度はフルHD、14~15型パネルのノートパソコンだと125%のスケーリングが設定されていることが多いのだが、mouse F7では100%設定が最適状態だ。

 この設定だと、Webブラウザのウィンドウを横に2つ並べても、表示される情報量は十分だ。書類作成用のWordのウィンドウにPDFの書類やExcelのウィンドウなどを重ねて表示するなど、Windows 10らしい使い方も問題ない。

推奨のスケーリングは100%だった
Edgeの画面を縦に2つ並べて情報を比較すると言った使い方も可能

 また100%スケーリングだと、デスクトップ上のアイコンは縦に10個表示される。今までフルHD解像度の液晶ディスプレイを利用してきたユーザーなら、こうしたアイコンの表示数やウィンドウの使用感はまったく同じになる。

 動画再生やデジタルカメラで撮影した画像の表示でも、mouse F7のほうが快適だ。14~15型パネル搭載モデルと比べるとたった2~3型の違いとは言え、臨場感や画面全体から伝わってくる迫力は、mouse F7のほうが優れているように感じる。パネルタイプの表記はないが、画面全体は安定した色合いで、斜めから見ても色味の変化はほとんど感じない。

画面全体の色味は安定しており、視野角も広いと感じる

 内蔵する光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブなので、BDは見られない。しかし最近はNetFlixやAmazonプライム・ビデオなど、動画配信サービスが広く普及している。こうしたサービスを楽しみたい場合も、より大型の17.3型パネルを搭載するmouse F7のほうが、臨場感のある映像が楽しめる。

搭載する光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブ

Windows 10やアプリの操作感は十分

 CPUのCore i5-1035G1は、第10世代Core(IceLake)で、現行の第11世代(TigerLake)より1世代古い。内蔵GPUも、型番の末尾に「G4/G7」が入るCPUが内蔵する「Intel Iris Plus」ではない。

デバイスマネージャーでCPUとディスプレイアダプタを確認して見ると、CPUは4コア8スレッドのCore i5-1035G1、ディスプレイアダプタはIntel UHD Graphicsだった

 とは言えWindows 10の日常的な操作はまったく問題はないし、各アプリの起動や応答性、操作性に問題を感じる場面はない。毎回行なっている基本的なベンチマークテストの結果を、マウスコンピューターの「MousePro NB4」と比較したのが以下の表だ。

 MousePro NB4では、同じく第10世代ながらコードネームCometLakeと呼ばれていたアーキテクチャを採用する「Core i5-10210U」を搭載する。Core i5-1035G1と比べると、グレードは同じくCore i5、標準のTDPも15W、4コア/8スレッドと、スペックは両者ともによく似ている。ただし動作クロックはCore i5-10210Uのほうが上だ。

【表2】ベンチマーク結果
mouse F7
Core i5-1035G1
(4コア/8スレッド、1~3.6GHz、UHD Graphics)
MousePro NB4
Core i5-10210U
(4コア/8スレッド、1.6~4.2GHz、UHD Graphics)
PCMark 10 Extended v2.1.2506PCMark 10 Extended v2.0.2144
PCMark 10 Extended score2,4782,414
Essentials7,3867,690
App Start-up score9,68910,399
Video Conferencing score6,0216,592
Web Browsing score6,9096,635
Productivity5,1386,368
Spreadsheets score4,6817,467
Writing score5,6415,431
Digital Content Creation2,7182,695
Photo Editing score3,1343,518
Rendering and Visualization score1,9821,613
Video Editting score3,2183,452
Gaming990697
Graphics score1,304899
Physics score8,2906,792
Combined score403295
PCMark 10 Battery Test v2.1.2506PCMark 10 Battery Test v2.0.2144
MODERN OFFICE4時間4分18時間42分
3DMark v2.16.71133DMark v2.11.6846
Time Spy436382
Fire Strike1,057879
Sky Diver4,3173,904
CINEBENCH R23.0
CPU2,794cb-
CPU(Single Core)1013cb-
CINEBENCH R20.0
CPU1,137cb1,061cb
CPU(Single Core)405cb394cb
CINEBENCH R15.0
CPU501cb566cb
CPU(Single Core)156cb164cb
TMPGEnc Video Mastering Works 7
※フルHDでビットレート15~16Mbps、約3分の動画を利用
H.264/AVC8分17秒8分6秒
H.264/AVC(Quick Sync Video有効)1分21秒1分5秒
H.265/HEVC13分38秒14分35秒
H265/HEVC(Quick Sync Video有効)1分37秒2分7秒

 パソコンの日常的な使用感を計測できるPCMark 10の結果を見ると、Webブラウズや書類作成などの軽作業では似たような使い勝手になることがわかる。

 CPU自体の性能を反映するCinebenchや、TMPGEnc Video Mastering Works 7による動画のエンコードテストでは、テスト内容にもよるが、クロックの高いCore i5-10210Uがややリードしている。

 内蔵GPUの性能を計測できる3DMarkでは、Core i5-1035G1を搭載するmouse F7のほうが性能が高い。とは言えスコアには大きな差があるわけではないので、依然として最新の精緻なグラフィックスを多用するパソコンゲームのプレイには向かない。

 また、CrystalDiskMark 8.0.1でストレージの性能を計測したが、以下の結果のように、シーケンシャルライトが400MB/s台と200MB/s台で安定しないという挙動が見受けられた。デバイスマネージャーを見ると、今回の試用機では、A-DATAの「Ultimate SU800 SATA 6Gb/s M.2 2280」シリーズに属する256GBモデル「ASU800NS38-256GT-C」が搭載されているようだ。

CrystalDiskMark 8.0.1の計測結果。両方とも同条件で測定したが、右のようにシーケンシャルライトが極端に落ちることがあった

 そのスペック上、ライト性能は520MB/sになるはずだが、今回の結果は遅いほうだと約半分の数値だ。トリムをかけたり、何度かタイミングをずらして計測しても結果は同じだった。ファイルの書き込みが遅いということが、TMPGEnc Video Mastering Works 7のエンコード速度に影響している可能性はある。検証機個体の問題という可能性もあるので、今回の結果は参考値として捉えたほうがいいかもしれない。

大型なのでテンキーつき、USB PDにも対応

 17.3型パネルを搭載するため横幅には余裕があり、キーボードはテンキーつき。キートップには、大きめでくっきりと文字が印字されており、視認性は高い。キーピッチは実測値で19mm、ストロークは軽めで指先に負担を感じることなくタイプできた。メインキーとテンキー部分には、若干広い隙間が設けられており、打ち間違いが少ないのも個人的には好みだ。

くっきりとした印字のキーボードだ。英字の「O」と数字の「0」が近い場所にあり、しかも似たフォントなのはちょっとおもしろい

 メインキーに関しては、キートップが小さくなっているものはない。最上列のキー、そしてカーソルキーはやや細めのキーになっている。とくにカーソルキーの上下キーが、指先で触るだけではちょっと判別が難しい。ファンクションキーと組み合わせてページアップやページダウンキーの代わりに使うキーなので、これは普通サイズにしてほしかった部分だ。

少し下に張り出してもいいので、カーソルキーは通常サイズにしてほしかった

 タッチパッドは実測値で幅が11.2cm、奥行きが6.4cmでゆったりとしており、反応もよい。マルチタッチに対応しており、画面のスクロールもなめらかだ。下部には独立したボタンを装備しており、マウスに近い感覚でスムーズに操作が可能だった。

マルチタッチに対応したタッチパッド。独立したマウスボタンを装備する

 17.3型の大きめな筐体サイズなので、搭載するインターフェイスも豊富だ。左側面には専用の充電ポートとLANポート、HDMI、Type-C、USB 3.0ポートに加えてなんとミニD-Sub15ピンを装備する。液晶ディスプレイはともかく、プロジェクタならミニD-Sub15ピンを入力端子として利用するモデルもあるので、ビジネス用途では意外と便利に使えるのだ。

 Type-Cは、USB PD対応の充電機能に対応する。標準で付属する充電器だけでなく、筆者が普段から利用しているエレコムのUSB PD対応充電器「ACDC-PD0465BK」でも、問題なく充電できた。ただ映像出力には対応しないので、モバイルディスプレイと組み合わせて利用する場合はHDMIやミニD-Sub15ピンで接続する必要があった。

左側面の様子。周辺機器やLANケーブル、充電ケーブルはこちらに接続する

 右側面には、2基のUSB 2.0ポートとヘッドフォン端子、マイク端子を搭載するほか、DVDスーパーマルチドライブを装備する。右方向にトレイを引き出すタイプなので、右利きでマウスを使う場合はちょっとジャマになることもある。このほか前面に、SDカードスロットを装備する。

右側面の様子。USB 2.0ポートはワイヤレスマウスのレシーバなどを接続するとよいだろう
左ボタンの下にSDカードスロットを装備する

 最近ではめずらしく、バッテリ部分は着脱可能な構造だ。バッテリは長く使うと劣化してしまうため、新品に交換できる手段が用意されているのはうれしい。また底面のパネルを外すと、ストレージ用のM.2スロットや2.5インチシャドウベイ、メモリスロットに簡単にアクセスできる。こうした拡張性も、長く利用したいユーザーにはメリットになるだろう。

バッテリ部分を着脱できるノートパソコンは、最近ではめずらしい
4本のネジで固定されている裏面パネルの一部を外すと、メモリスロットやM.2スロットなどにアクセスできる

 マウスコンピューターのシンボルマークが入っているだけの天板も、シンプルでうるささを感じさせず、落ち着いた印象を受ける。使い勝手のよい大画面はテレワークにもぴったりであり、前述の拡張性の高さを考えれば、低価格ながら長く使い続けられる、優れたスタンダードノートと言ってよいだろう。