Hothotレビュー
8コアCPU+GeForce搭載の15.6型モバイルワークステーション、マウス「DAIV 5P」
2021年10月6日 06:55
マウスコンピューターはクリエイター向けを謳う15.6型ノートPC「DAIV 5P」を9月13日に発表、同日より販売開始した。本製品は8コアCPUに加え、ディスクリートGPU(dGPU)を搭載しつつ、厚さ20.6mm、重量約1.73kgの薄型・軽量ボディを実現。持ち歩ける高性能ノートPCに仕上げられている。
というわけで今回は、モバイルノートPCとしての使い勝手にも注目してレビューしていこう。
CPU/GPUは固定、メモリ/ストレージはカスタマイズ可能
「DAIV 5P」はOSにWindows 10 Home、CPUに第11世代(Tiger Lake)のCore i7-11800H(8コア/16スレッド、2.3~4.6GHz)、dGPUにGeForce RTX 3050 Laptop GPU(4GB)を採用。メモリは16GB(DDR4-3200 SO-DIMM)、ストレージは512GB(PCIe 3.0 x4接続SSD)を搭載している。
ディスプレイは15.6型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、sRGB比約100%、非光沢、タッチ/スタイラス非対応)を採用。HDMIとUSB Type-Cに外部ディスプレイを接続可能だ。
インターフェイスはUSB 3.1 Type-C、USB 3.1、USB 3.0×2、HDMI、2.5Gigabit Ethernet、microSDカードスロット、マイク入力、3.5mmヘッドフォン出力を装備。ワイヤレス通信機能はWi-Fi 6、Bluetooth 5をサポートする。なお、USB 3.1 Type-CはUSB Power Deliveryによる充電に対応していない。
Webカメラのイメージセンサーは100万画素。ディスプレイ上部にはWebカメラ以外に、Windows Hello対応顔認証カメラとデュアルアレイマイクを内蔵する。
本体サイズは約355.5×236.7×20.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.73kg。62,320mWh(Battery reportで確認)のバッテリを内蔵しており、駆動時間はJEITA2.0準拠で約9時間と謳われている。
購入時にはカスタマイズが可能で、メモリは16GB/32GB/64GB、ストレージは512GB/1TB/2TBから選択できる。またストレージは、PCIe 3.0 x4接続SSDより高速なPCIe 4.0 x4接続SSDも用意されており、容量は512GBに限定されるが2基目のSSDも搭載できる。
今回カスタマイズ購入を試してみたが、出荷日は3日後に予定されていた。カスタマイズしても比較的短納期なのが嬉しいところだ。
製品名 | DAIV 5P |
---|---|
型番 | 21095P-TGLAB |
OS | Windows 10 Home(バージョン21H1) |
CPU | Intel Core i7-11800H(8コア/16スレッド、2.3~4.6GHz、TDP 45W) |
GPU | GeForce RTX 3050 Laptop GPU、Intel UHD Graphics(350MHz~1.45GHz) |
メモリ | DDR4-3200 SO-DIMM 16GB(8GB×2、最大64GB) |
ストレージ | 512GB PCIe 3.0 x4 SSD |
ディスプレイ | 15.6型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、141ppi、60Hz、輝度非公表、sRGB比約100%、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応) |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5 |
WWAN | - |
インターフェイス | USB 3.1 Type-C、USB 3.1、USB 3.0×2、HDMI、2.5Gigabit Ethernet、microSDカードスロット、マイク入力、3.5mmヘッドフォン出力 |
カメラ | 100万画素 |
バッテリ容量 | 62,320mWh(Battery reportで確認) |
バッテリ駆動時間 | 約9時間(JEITA2.0準拠) |
バッテリ充電時間 | 非公表 |
本体サイズ | 約355.5×236.7×20.6mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約1.73kg |
セキュリティ | Windows Hello対応顔認証カメラ |
オフィスアプリ | オプション |
同梱品 | ACアダプタ、電源ケーブル、説明書(製品仕様、ファーストステップガイド、サポートマニュアル、保証書、CLIP STUDIO PAINT DEBUTソフトウェア) |
価格 | 18万6,780円~ |
キーボードのフィーリングは良好。タッチパッドの面積も広い
本製品のキーボードは100キーの日本語配列。キーピッチは約18.75mm、キーストロークは約1.4mm。やや音は大きめだが、打鍵感自体は悪くない。
気になったのはテンキーの存在。Enterキーと密着しており、「+」「-」「×」「÷」の数学記号の配置も変則的だ。PhotoshopやLightroomで素早くパラメータを入力できるようにテンキーを用意したのかもしれないが、個人的にはテンキーは省いて、余裕のあるキー配列にしてほしかった。
Fキー | Enterキー | Spaceキー | |
---|---|---|---|
DAIV 5P(2021年モデル) | 0.55N | 0.5N | 0.51N |
DAIV 7N(2021年モデル) | 0.56N | 0.53N | 0.53N |
Lenovo Legion 560 Pro | 0.55N | 0.57N | 0.52N |
FFF-PC03B | 0.54N | 0.57N | 0.58N |
STYLE-14FH057-i5-UXEX | 0.48N | 0.5N | 0.55N |
mouse X4-R5 | 0.48N | 0.54N | 0.45N |
DAIV 7N(2020年モデル) | 0.5N | 0.55N | 0.5N |
dynabook V8 | 0.51N | 0.54N | 0.5N |
13インチMacBook Air | 0.51N | 0.51N | 0.53N |
ZenBook 13 UX325EA | 0.53N | 0.5N | 0.51N |
13インチMacBook Pro | 0.51N | 0.54N | 0.5N |
One-Netbook A1 | 0.61N | 0.55N | 0.56N |
MUGAストイックPC3 | 0.51N | 0.46N | 0.47N |
DAIV 4N | 0.55N | 0.55N | 0.58N |
LG gram 2-in-1 | 0.6N | 0.6N | 0.6N |
16インチMacBook Pro | 0.55N | 0.55N | 0.55N |
ZenBook Duo | 0.56N | 0.54N | 0.55N |
タッチパッドの面積は実測116×72mm(幅×奥行き)。面積が広いので複数指でジェスチャーするさいも広々と操作できる。フィーリングについては、ややストロークが深く、押圧力も強く感じられた。クリックのさいに指がずれるほどではないが、もっと軽い力で操作できたほうがよいと思う。
Webカメラの画質については少々厳しいというのが率直な感想。室内灯下で撮影すると露出が飛び気味だった。アプリ側で画質を手動で調整したほうがよさそうだ。
ディスプレイ画質については、カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測したところ、sRGBカバー率は96.7%、sRGB比は102%、Adobe RGBカバー率は74.8%、Adobe RGB比は75.6%、DCI-P3カバー率は75.2%、DCI-P3比は75.2%となった。
カタログスペック通りの色域を備えていることを確認できたが、クリエイター向けノートPCなら、もっと広色域のディスプレイをカスタマイズ項目として選択できるようになってほしい。
スピーカーについてはデフォルトではかなり大人しめの設定だが、プリインストールされている「Sound Blaster Cinema 6+」を有効にすると、途端にメリハリの効いた、臨場感のある音に変化する。なぜデフォルトで有効になっていないのか不思議なぐらいの違いだ。初回起動時に「Sound Blaster Cinema 6+」を有効にすることを強くお勧めする。
8コア/16スレッドCPU、dGPUの性能を遺憾なく発揮
最後に性能をチェックしよう。今回は下記のベンチマークを実施している。
- 総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.1.2523」
- 3Dベンチマーク「3DMark v2.20.7256」
- プロユーザー向けベンチマーク「UL Procyon v1.0.183」
- CPUベンチマーク「Cinebench R23.200」
- CPUベンチマーク「Cinebench R20.060」
- CPUベンチマーク「Cinebench R15.0」
- 3Dゲームベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
- Adobe Lightroom Classicで100枚のRAW画像を現像
- Adobe Premiere Proで実時間5分の4K動画を書き出し
比較対象としては、第11世代(Tiger Lake)のCore i7-1165G7(4コア/8スレッド、2.8~4.7GHz)を搭載する「DAIV 4P」を採用した。同じ世代のCPUがコア数/スレッド数の違いでどのぐらい差があるのか、また、dGPUのあるなしでスコアがどのぐらい開くのかという視点からご覧いただきたい。下記が検証機の仕様とその結果だ。
DAIV 5P | DAIV 4P | |
---|---|---|
CPU | Core i7-11800H(8コア/16スレッド、2.3~4.6GHz) | Core i7-1165G7(4コア/8スレッド、2.8~4.7GHz) |
GPU | GeForce RTX 3050 Laptop GPU、UHD Graphics(350MHz~1.45GHz) | Iris Xe Graphics(1.30GHz) |
メモリ | DDR4-3200 SDRAM 16GB | |
ストレ-ジ | 512GB PCIe 3.0 x4 SSD | |
ディスプレイ | 15.6型、1,920×1,080ドット(141ppi) | 14型、1,920×1,200ット(162ppi) |
TDP | 45W | 28W |
OS | Windows 10 Home | |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 約355.5×236.7×20.6mm | 約308.8×213×16.4mm |
重量 | 約1.73kg | 約985g |
価格 | 18万6,780円 | 15万3,780円 |
DAIV 5P | DAIV 4P | |
---|---|---|
PCMark 10 v2.1.2519 | ||
PCMark 10 Score | 6,345 | 4,527 |
Essentials | 10,155 | 9,984 |
App Start-up Score | 14,292 | 13,436 |
Video Conferencing Score | 7,789 | 7,949 |
Web Browsing Score | 9,410 | 9,320 |
Productivity | 8,381 | 7,028 |
Spreadsheets Score | 10,261 | 6,216 |
Writing Score | 6,846 | 7,948 |
Digital Content Creation | 8,147 | 5,110 |
Photo Editing Score | 9,523 | 7,934 |
Rendering and Visualization Score | 9,885 | 3,407 |
Video Editting Score | 5,746 | 4,937 |
PCMark 10 Modern Office Battery Life | 6時間14分 | - |
3DMark v2.19.7225 | ||
Time Spy Extreme | 2,557 | - |
Time Spy | 5,497 | 1,465 |
Port Royal | 615(※非互換) | - |
Fire Strike Ultra | 3,102 | - |
Fire Strike Extreme | 6,241 | - |
Fire Strike | 12,309 | - |
Wild Life | 30,921 | - |
Wild Extreme Life | 10,329 | - |
Night Raid | 40,044 | 14,605 |
UL Procyon v1.0.183 | ||
Photo Editing Benchmark score | 7,200 | - |
Image Retouching score | 7,083 | - |
Batch Processing score | 7,319 | - |
Video Editing score | 4,190 | - |
Cinebench R23.200 | ||
CPU(Multi Core) | 11,441 pts | 5,818 pts |
CPU(Single Core) | 1,511 pts | 1,520 pts |
Cinebench R20.060 | ||
CPU | 4,463 pts | 2,311 pts |
CPU(Single Core) | 583 pts | 582 pts |
Cinebench R15.0 | ||
OpenGL | 193.09 fps | - |
CPU | 1,884 cb | - |
CPU(Single Core) | 232 cb | - |
FINAL FANTASY XV BENCHMARK | ||
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリーン | 11,177(とても快適) | - |
1,920×1,080ドット、標準品質、フルスクリーン | 7,584(快適) | - |
SSDをCrystalDiskMark 8.0.4で計測 | ||
1M Q8T1 シーケンシャルリード | 2,116.459 MB/s | 1,572.99 MB/s |
1M Q8T1 シーケンシャルライト | 1,426.551 MB/s | 1,117.18 MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルリード | 2,091.301 MB/s | 1,296.57 MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルライト | 1,208.446 MB/s | 988.89 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 463.587 MB/s | 482.01 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 425.066 MB/s | 480.85 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 43.663 MB/s | 69.68 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 109.407 MB/s | 166.96 MB/s |
Adobe Lightroom Classicで100枚のRAW画像を現像 | ||
7,952×5,304ドット、カラー - 自然 | 3分51秒26 | - |
Adobe Premiere Proで実時間5分の4K動画を書き出し | ||
3,840×2,160ドット、30fps | 1分16秒13 | - |
まずCPU性能については、DAIV 5PはDAIV 4に対して約1.93~1.97倍のスコアを記録した。コア数/スレッド数の違いがそのまま表われた結果と言える。
3Dグラフィックス性能については、DAIV 5PはDAIV 4に対して3DMarkのTime Spyで約3.75倍、Night Raidで約2.74倍のスコアを記録している。Intel Iris Xe Graphicsは3Dグラフィックス性能が大幅に向上しているとはいえ、やはりdGPUの恩恵は大きいわけだ。
ストレージベンチマークについては、DAIV 5Pは1M Q8T1 シーケンシャルリードで2,116.459MB/s、1M Q8T1 シーケンシャルライトで1,426.551MB/sを記録した。せっかく高性能なDAIV 5Pを購入するなら、予算が許せばPCIe 4.0 x4接続のSSDにアップグレードしておきたいところだ。
バッテリベンチマークについては、ディスプレイ輝度50%という条件で、PCMark 10 Modern Office Battery Lifeを実行したところ6時間14分動作した。バッテリ駆動時間はモバイル用途に活用できるスペックを備えていると言える。
2kg以下で高性能なマシンを探している方にピッタリ
本製品は高性能なCPUに、dGPUを追加しており、それでいて厚さ20.6mm、重量約1.73kgと比較的携帯性に優れている。だからこそ残念なのが、USB PD(Power Delivery)に対応していないこと。高負荷時では給電が間に合わなくなるとしても、低負荷時に使いながら充電できるのなら、モバイルノートPCとして活躍できる機会が増えるので惜しい。
とはいえ、ACアダプタは電源ケーブル込みで実測650gと、携帯できなくはない。2kg以下で高性能なマシンを探している方には有力な選択肢と言えよう。