Hothotレビュー

8コアCPU+GeForce搭載の15.6型モバイルワークステーション、マウス「DAIV 5P」

マウスコンピューター「DAIV 5P」18万6,780円~

 マウスコンピューターはクリエイター向けを謳う15.6型ノートPC「DAIV 5P」を9月13日に発表、同日より販売開始した。本製品は8コアCPUに加え、ディスクリートGPU(dGPU)を搭載しつつ、厚さ20.6mm、重量約1.73kgの薄型・軽量ボディを実現。持ち歩ける高性能ノートPCに仕上げられている。

 というわけで今回は、モバイルノートPCとしての使い勝手にも注目してレビューしていこう。

CPU/GPUは固定、メモリ/ストレージはカスタマイズ可能

CPUはCore i7-11800H、GPUはGeForce RTX 3050 Laptop GPUを搭載

 「DAIV 5P」はOSにWindows 10 Home、CPUに第11世代(Tiger Lake)のCore i7-11800H(8コア/16スレッド、2.3~4.6GHz)、dGPUにGeForce RTX 3050 Laptop GPU(4GB)を採用。メモリは16GB(DDR4-3200 SO-DIMM)、ストレージは512GB(PCIe 3.0 x4接続SSD)を搭載している。

 ディスプレイは15.6型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、sRGB比約100%、非光沢、タッチ/スタイラス非対応)を採用。HDMIとUSB Type-Cに外部ディスプレイを接続可能だ。

 インターフェイスはUSB 3.1 Type-C、USB 3.1、USB 3.0×2、HDMI、2.5Gigabit Ethernet、microSDカードスロット、マイク入力、3.5mmヘッドフォン出力を装備。ワイヤレス通信機能はWi-Fi 6、Bluetooth 5をサポートする。なお、USB 3.1 Type-CはUSB Power Deliveryによる充電に対応していない。

 Webカメラのイメージセンサーは100万画素。ディスプレイ上部にはWebカメラ以外に、Windows Hello対応顔認証カメラとデュアルアレイマイクを内蔵する。

 本体サイズは約355.5×236.7×20.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.73kg。62,320mWh(Battery reportで確認)のバッテリを内蔵しており、駆動時間はJEITA2.0準拠で約9時間と謳われている。

 購入時にはカスタマイズが可能で、メモリは16GB/32GB/64GB、ストレージは512GB/1TB/2TBから選択できる。またストレージは、PCIe 3.0 x4接続SSDより高速なPCIe 4.0 x4接続SSDも用意されており、容量は512GBに限定されるが2基目のSSDも搭載できる。

 今回カスタマイズ購入を試してみたが、出荷日は3日後に予定されていた。カスタマイズしても比較的短納期なのが嬉しいところだ。

【表1】DAIV 5Pのスペック(※9月29日時点)
製品名DAIV 5P
型番21095P-TGLAB
OSWindows 10 Home(バージョン21H1)
CPUIntel Core i7-11800H(8コア/16スレッド、2.3~4.6GHz、TDP 45W)
GPUGeForce RTX 3050 Laptop GPU、Intel UHD Graphics(350MHz~1.45GHz)
メモリDDR4-3200 SO-DIMM 16GB(8GB×2、最大64GB)
ストレージ512GB PCIe 3.0 x4 SSD
ディスプレイ15.6型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、141ppi、60Hz、輝度非公表、sRGB比約100%、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応)
ワイヤレス通信Wi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5
WWAN-
インターフェイスUSB 3.1 Type-C、USB 3.1、USB 3.0×2、HDMI、2.5Gigabit Ethernet、microSDカードスロット、マイク入力、3.5mmヘッドフォン出力
カメラ100万画素
バッテリ容量62,320mWh(Battery reportで確認)
バッテリ駆動時間約9時間(JEITA2.0準拠)
バッテリ充電時間非公表
本体サイズ約355.5×236.7×20.6mm(幅×奥行き×高さ)
重量約1.73kg
セキュリティWindows Hello対応顔認証カメラ
オフィスアプリオプション
同梱品ACアダプタ、電源ケーブル、説明書(製品仕様、ファーストステップガイド、サポートマニュアル、保証書、CLIP STUDIO PAINT DEBUTソフトウェア)
価格18万6,780円~
本体サイズは約355.5×236.7×20.6mm(幅×奥行き×高さ)
CPU、GPUを効率的に冷やすために冷却口は大きく開けられている
本体背面にUSB 3.1 Type-C、HDMI、2.5Gigabit Ethernet、電源端子を配置
右側面にmicroSDカードスロット、USB 3.0×2、左側面にケンジントンロックスロット、USB 3.1、マイク入力、3.5mmヘッドフォン出力を用意
ディスプレイは15.6型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、141ppi、60Hz、輝度非公表、sRGB比約100%、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応)
キーボードは100キーの日本語配列
ディスプレイの最大展開角度は実測146度
パッケージには本体以外に、ACアダプタ、電源ケーブル、説明書(製品仕様、ファーストステップガイド、サポートマニュアル、保証書、CLIP STUDIO PAINT DEBUTソフトウェア)が同梱
ACアダプタのコード長は実測178cm、電源ケーブルの長さは実測177cm
ACアダプタの型番は「A15-150P1A」。仕様は入力100-240V~2A、出力19V/7.89A、容量150W
本体の実測重量は1,691g
ACアダプタと電源ケーブルの合計重量は実測650g
システム情報
主要なデバイス
初回起動時のCドライブの空き容量は436.56GB
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITY、FULL CHARGE CAPACITYともに62,320mWhと表示された

キーボードのフィーリングは良好。タッチパッドの面積も広い

 本製品のキーボードは100キーの日本語配列。キーピッチは約18.75mm、キーストロークは約1.4mm。やや音は大きめだが、打鍵感自体は悪くない。

 気になったのはテンキーの存在。Enterキーと密着しており、「+」「-」「×」「÷」の数学記号の配置も変則的だ。PhotoshopやLightroomで素早くパラメータを入力できるようにテンキーを用意したのかもしれないが、個人的にはテンキーは省いて、余裕のあるキー配列にしてほしかった。

キーピッチは約18.75mm
キーボードバックライトは4ゾーンRGB LED。各ゾーンの色、明るさは変更可能。エフェクトも用意されている
キーストロークは約1.4mm
Fキーの押圧力は実測0.55N
【表2】キーボードの押圧力の一例
FキーEnterキーSpaceキー
DAIV 5P(2021年モデル)0.55N0.5N0.51N
DAIV 7N(2021年モデル)0.56N0.53N0.53N
Lenovo Legion 560 Pro0.55N0.57N0.52N
FFF-PC03B0.54N0.57N0.58N
STYLE-14FH057-i5-UXEX0.48N0.5N0.55N
mouse X4-R50.48N0.54N0.45N
DAIV 7N(2020年モデル)0.5N0.55N0.5N
dynabook V80.51N0.54N0.5N
13インチMacBook Air0.51N0.51N0.53N
ZenBook 13 UX325EA0.53N0.5N0.51N
13インチMacBook Pro0.51N0.54N0.5N
One-Netbook A10.61N0.55N0.56N
MUGAストイックPC30.51N0.46N0.47N
DAIV 4N0.55N0.55N0.58N
LG gram 2-in-10.6N0.6N0.6N
16インチMacBook Pro0.55N0.55N0.55N
ZenBook Duo0.56N0.54N0.55N

 タッチパッドの面積は実測116×72mm(幅×奥行き)。面積が広いので複数指でジェスチャーするさいも広々と操作できる。フィーリングについては、ややストロークが深く、押圧力も強く感じられた。クリックのさいに指がずれるほどではないが、もっと軽い力で操作できたほうがよいと思う。

タッチパッドの面積は実測116×72mm(幅×奥行き)

 Webカメラの画質については少々厳しいというのが率直な感想。室内灯下で撮影すると露出が飛び気味だった。アプリ側で画質を手動で調整したほうがよさそうだ。

ディスプレイ上部には100万画素Webカメラ、Windows Hello対応顔認証カメラ、デュアルアレイマイクが内蔵されている
Windows 10の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)
Windows 10の「カメラ」アプリで撮影(HDRオン)

 ディスプレイ画質については、カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測したところ、sRGBカバー率は96.7%、sRGB比は102%、Adobe RGBカバー率は74.8%、Adobe RGB比は75.6%、DCI-P3カバー率は75.2%、DCI-P3比は75.2%となった。

 カタログスペック通りの色域を備えていることを確認できたが、クリエイター向けノートPCなら、もっと広色域のディスプレイをカスタマイズ項目として選択できるようになってほしい。

15.6型フルHDディスプレイはsRGB比約100%と謳われている
実測したsRGBカバー率は96.7%、sRGB比は102.0%
実測したAdobe RGBカバー率は74.8%、Adobe RGB比は75.6%
実測したDCI-P3カバー率は75.2%、DCI-P3比は75.2%
視野角は上下/左右ともに170度。真横近くからでも画面になにが映っているのか確認できる

 スピーカーについてはデフォルトではかなり大人しめの設定だが、プリインストールされている「Sound Blaster Cinema 6+」を有効にすると、途端にメリハリの効いた、臨場感のある音に変化する。なぜデフォルトで有効になっていないのか不思議なぐらいの違いだ。初回起動時に「Sound Blaster Cinema 6+」を有効にすることを強くお勧めする。

YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生した際の音圧レベルは最大83.0dBA(50cmの距離で測定)
「Sound Blaster Cinema 6+」を有効にすると、メリハリの効いた、臨場感のある音に変化する

8コア/16スレッドCPU、dGPUの性能を遺憾なく発揮

 最後に性能をチェックしよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.1.2523」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.20.7256」
  • プロユーザー向けベンチマーク「UL Procyon v1.0.183」
  • CPUベンチマーク「Cinebench R23.200」
  • CPUベンチマーク「Cinebench R20.060」
  • CPUベンチマーク「Cinebench R15.0」
  • 3Dゲームベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
  • Adobe Lightroom Classicで100枚のRAW画像を現像
  • Adobe Premiere Proで実時間5分の4K動画を書き出し

 比較対象としては、第11世代(Tiger Lake)のCore i7-1165G7(4コア/8スレッド、2.8~4.7GHz)を搭載する「DAIV 4P」を採用した。同じ世代のCPUがコア数/スレッド数の違いでどのぐらい差があるのか、また、dGPUのあるなしでスコアがどのぐらい開くのかという視点からご覧いただきたい。下記が検証機の仕様とその結果だ。

ベンチマークは、「Control Center」で動作モードを「パフォーマンスモード」に設定し、「ターボモード」を有効にして実施している
【表3】検証機の仕様
DAIV 5PDAIV 4P
CPUCore i7-11800H(8コア/16スレッド、2.3~4.6GHz)Core i7-1165G7(4コア/8スレッド、2.8~4.7GHz)
GPUGeForce RTX 3050 Laptop GPU、UHD Graphics(350MHz~1.45GHz)Iris Xe Graphics(1.30GHz)
メモリDDR4-3200 SDRAM 16GB
ストレ-ジ512GB PCIe 3.0 x4 SSD
ディスプレイ15.6型、1,920×1,080ドット(141ppi)14型、1,920×1,200ット(162ppi)
TDP45W28W
OSWindows 10 Home
サイズ(幅×奥行き×高さ)約355.5×236.7×20.6mm約308.8×213×16.4mm
重量約1.73kg約985g
価格18万6,780円15万3,780円
【表4】ベンチマーク結果
DAIV 5PDAIV 4P
PCMark 10 v2.1.2519
PCMark 10 Score6,3454,527
Essentials10,1559,984
App Start-up Score14,29213,436
Video Conferencing Score7,7897,949
Web Browsing Score9,4109,320
Productivity8,3817,028
Spreadsheets Score10,2616,216
Writing Score6,8467,948
Digital Content Creation8,1475,110
Photo Editing Score9,5237,934
Rendering and Visualization Score9,8853,407
Video Editting Score5,7464,937
PCMark 10 Modern Office Battery Life6時間14分-
3DMark v2.19.7225
Time Spy Extreme2,557-
Time Spy5,4971,465
Port Royal615(※非互換)-
Fire Strike Ultra3,102-
Fire Strike Extreme6,241-
Fire Strike12,309-
Wild Life30,921-
Wild Extreme Life10,329-
Night Raid40,04414,605
UL Procyon v1.0.183
Photo Editing Benchmark score7,200-
Image Retouching score7,083-
Batch Processing score7,319-
Video Editing score4,190-
Cinebench R23.200
CPU(Multi Core)11,441 pts5,818 pts
CPU(Single Core)1,511 pts1,520 pts
Cinebench R20.060
CPU4,463 pts2,311 pts
CPU(Single Core)583 pts582 pts
Cinebench R15.0
OpenGL193.09 fps-
CPU1,884 cb-
CPU(Single Core)232 cb-
FINAL FANTASY XV BENCHMARK
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリーン11,177(とても快適)-
1,920×1,080ドット、標準品質、フルスクリーン7,584(快適)-
SSDをCrystalDiskMark 8.0.4で計測
1M Q8T1 シーケンシャルリード2,116.459 MB/s1,572.99 MB/s
1M Q8T1 シーケンシャルライト1,426.551 MB/s1,117.18 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルリード2,091.301 MB/s1,296.57 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルライト1,208.446 MB/s988.89 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード463.587 MB/s482.01 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト425.066 MB/s480.85 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード43.663 MB/s69.68 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト109.407 MB/s166.96 MB/s
Adobe Lightroom Classicで100枚のRAW画像を現像
7,952×5,304ドット、カラー - 自然3分51秒26-
Adobe Premiere Proで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、30fps1分16秒13-

 まずCPU性能については、DAIV 5PはDAIV 4に対して約1.93~1.97倍のスコアを記録した。コア数/スレッド数の違いがそのまま表われた結果と言える。

 3Dグラフィックス性能については、DAIV 5PはDAIV 4に対して3DMarkのTime Spyで約3.75倍、Night Raidで約2.74倍のスコアを記録している。Intel Iris Xe Graphicsは3Dグラフィックス性能が大幅に向上しているとはいえ、やはりdGPUの恩恵は大きいわけだ。

 ストレージベンチマークについては、DAIV 5Pは1M Q8T1 シーケンシャルリードで2,116.459MB/s、1M Q8T1 シーケンシャルライトで1,426.551MB/sを記録した。せっかく高性能なDAIV 5Pを購入するなら、予算が許せばPCIe 4.0 x4接続のSSDにアップグレードしておきたいところだ。

 バッテリベンチマークについては、ディスプレイ輝度50%という条件で、PCMark 10 Modern Office Battery Lifeを実行したところ6時間14分動作した。バッテリ駆動時間はモバイル用途に活用できるスペックを備えていると言える。

Cinebench R23.200実行中のCPUのクロック周波数は平均3,319.05MHz、最大3,365.9MHz、温度は平均64.41℃、最大69℃(室温25.0℃で測定)
FINAL FANTASY XV BENCHMARK実行中のキーボード面の最大温度は40.9℃(室温25.2℃で測定)
底面の最大温度は43.8℃
ACアダプタの最大温度は39.5℃

2kg以下で高性能なマシンを探している方にピッタリ

 本製品は高性能なCPUに、dGPUを追加しており、それでいて厚さ20.6mm、重量約1.73kgと比較的携帯性に優れている。だからこそ残念なのが、USB PD(Power Delivery)に対応していないこと。高負荷時では給電が間に合わなくなるとしても、低負荷時に使いながら充電できるのなら、モバイルノートPCとして活躍できる機会が増えるので惜しい。

 とはいえ、ACアダプタは電源ケーブル込みで実測650gと、携帯できなくはない。2kg以下で高性能なマシンを探している方には有力な選択肢と言えよう。