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内蔵ファン×Snapdragon 888のド安定性能、165Hz有機ELも搭載の強力ゲーミングスマホ「RedMagic 6」

RedMagic 6

 スマートフォンの高性能化に伴い、ゲーム専用ハード顔負けのリッチなシステムや映像でプレイ可能なスマホゲームタイトルが増えてきたのはここ数年のことだ。そのような流行にあわせて登場したのが、ゲームの快適なプレイを主な用途とする「ゲーミングスマートフォン」。ディスプレイをハイリフレッシュレート化するようなスペックの底上げはもちろん、最近では独自機能を盛り込んだ機種も増えており、ジャンルとしてのスマホゲームの定着とともに、すっかり洗練されてきた印象がある。

 Nubia Technologyが4月から販売を開始したAndroidゲーミングスマートフォン「RedMagic 6」は、まさにそのようなゲーミングスマホの進化を感じさせる最新機種だ。クアルコムのSoC「Snapdragon 888」搭載でメモリ容量12GB、最大165Hz駆動の有機EL(OLED)を搭載するなど、スマートフォンとしての性能の高さはもちろんのこと、空冷ファンを採用した冷却システム「ICE 6.0」を搭載。これにより、長時間のゲームプレイでも安定した動作を可能にしているのが大きな特徴だ。実用性もさることながら、ガジェットとしてもユニークかつ魅力的な1台に仕上がっていると言えるだろう。

 この記事では「RedMagic 6」のサンプルをもとに、本製品の特徴や性能に迫っていく。

現行フラッグシップのSnapdragon 888搭載、最大165Hzのディスプレイで快適ゲーミングを実現

本体正面。ノッチやパンチホールのない今時のデザインで、画面の視認性を高めている。画面占有率は90%超えだ

 「RedMagic 6」は、昨年(2020年)リリースされたゲーミングスマホ「RedMagic 5」の後継モデルという位置づけ。本体側面に専用のゲームモードを起動するための物理スイッチを備えており、ゲームモード時は18,000rpmの内蔵ファンが起動、タッチセンサー式のショルダートリガーが有効化されるなど、スイッチ1つでスマホゲームのプレイに最適化した状態に挙動を切り替えられるのは従来通りだ。前世代から基本的な路線を引き継ぎつつ、順当なスペックアップを図ったモデル、という理解でいいだろう。

 ちなみに、Nubia Technologyが本格的に日本市場へ参入したのは前回の「RedMagic 5」リリース時。まだまだ聞きなれないという人も多いと思うが、同じくスマホメーカーとして著名な中国ZTEの子会社として誕生し、2015年からは独立してスマートフォンを開発している企業だ。

 昨年の「RedMagic 5」リリースに際しては技術基準適合証明(いわゆる技適)を取得したのが4G通信まで(機種自体は5G対応だった)といった注意点があったものの、今回の「RedMagic 6」はしっかりと5Gまで技適を取得。同時にシステムの日本語化を洗練させ、日本語サポートにも対応するなど、より国内市場にアジャストした製品となっている。

 製品の主なスペックは以下の通り。

【表】RedMagic 6の仕様
SoC Snapdragon 888
メモリ12GB LPDDR5
ストレージ128GB
ディスプレー6.8型有機EL、フルHD+(1,080×2,400ドット)、リフレッシュレート最大90Hz
背面カメラ広角:F値2.2、約800万画素センサー
標準:F値1.79、約6,400万画素センサー
マクロ:F値2.4、約200万画素センサー
前面カメラF値2.0、約800万画素センサー
無線LANWi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)
Bluetooth5.1
モバイル通信5G:Band n41/n78
FDD LTE:Band 1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/26/28/66
TDD LTE:Band 34/38/39/40/41
WCDMA:Band 1/2/4/5/6/8/9/19
SIMNano SIM×2
3.5mmオーディオジャック
センサー指紋認証、Gセンサー、電子コンパス、ジャイロスコープ、近接センサー、環境光センサー
防水/防塵×
バッテリ容量5,050mAh
USBUSB 3.1 Type-C
本体サイズ77.19×169.86×9.7mm
本体重量約220g

 すでに述べた通り、SoCにはクアルコムの最新フラッグシップであるSnapdragon 888を採用し、メモリは容量12GBのLPDDR5 DRAMと、基本性能については申し分ない。ストレージ容量は128Gbで、OSはAndroid 11ベースの「RedMagic OS 4.0」を採用している。

ディスプレイは最大リフレッシュレート165Hzを実現。現状、メジャーなタイトルでも対応しているゲームはあまりないが、120Hzで運用しても十分に快適だ

 大きな強みである6.8型の有機ELディスプレイは、解像度こそフルHD+(1,080×2,400ドット)と高くないものの、10bitカラー対応/DCI-P3カバー率100%の広色域に加え、最大リフレッシュレートがスマホ向けパネルとしては現行最速の165Hzに達する。最速表示にはゲーム側の対応も必要となるものの、映像表現に力を入れたゲームではPC顔負けのリッチな体験が可能だ。タッチ操作の反応速度に影響するサンプリングレートはシングルタッチで500Hz、マルチタッチで360Hzと非常に高速であり、こちらは快適な操作性に寄与している。

 利用状況に応じて最大リフレッシュレートを変化させる「Touch Choreographer」機能を採用することで、バッテリ消費にも配慮。最大リフレッシュレートは60Hz/90Hz/120Hz/165Hzの4パターンから自動的に選択されるが、ユーザーによる手動設定も可能だ。

左側面にはゲームモード起動用の物理スイッチ、音量ボタンを配置。空冷ファンを内蔵する都合で、スイッチとボタンの間には通気口が配置されている
右側面には電源ボタンのほか、両端にタッチセンサー式のショルダートリガーを用意する。ゲームモード時に有効化することで、追加ボタンとして利用可能
本体上部にはヘッドフォン、イヤフォン接続用の3.5mmジャックを配置
本体下部にはUSB 3.1(Type-C)ポート、SIMスロットがある

 本体サイズは77.19×169.86×9.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約220g。スマートフォンとしてはそこそこ重量級ではあるものの、ゲーム中に膝の上で操作したり、肘で腕を支えてプレイしているぶんにはそれほど負担には感じなかった。デザインに関して言えば、正面から見た場合はノッチやパンチホールのない平面ディスプレイが印象的で、画面の視認性は高め。

 背面は見た目こそゲーミングらしい厳つさを感じられるものの、形状自体は凹凸を抑えていることに加え、ややふくらみがあるため、両手で横持ちした際はグリップしやすいのが好印象だ。ショルダートリガーを有効にすればいわゆるL/Rボタンのように扱えるため、外付けのクリップなども必要なく、シンプルにゲームを楽しめる。

本体背面。やや丸みを持たせたデザインにより、両手持ちでもグリップしやすくなっている
3眼カメラは標準、広角、マクロのオーソドックスな構成
前面カメラは顔認証に対応。生体認証機能に関しては、ディスプレイ下部にも埋め込み式の指紋センサーを内蔵している

 バッテリ容量は5050mAhと、ゲーム向けスマートフォンだけあって大容量。実際の駆動時間は動作モードやパフォーマンス設定、ファンの有効/無効などにより大きく変わってくるが、ゲームモードでファンを回転させたまま3D系のタイトルをプレイしていても、2~3時間程度であればまったく問題ない。

 付属の充電器は30Wタイプだが、別売の急速充電器を使用することで、最大66Wの超急速充電にも対応。充電時間は0%から満充電まで65分(30W 充電器の場合)としている。

 実売価格は10万3,385円で、販売は直販サイトのみ。なお、本製品には上位機種「RedMagic 6 Pro」が存在するが、そちらは筐体に高熱伝導アルミニウム合金素材を採用し、メモリ容量が16GB、ストレージ容量が256GB、空冷ファンの最大回転数が若干高く設定されているなど、さらにポテンシャルが高くなる。価格は11万4,885円と1万円ほど高価になるものの、よりリッチなこだわるなら購入を検討するのもいいだろう。

ノイズは出るが効果は抜群、内蔵ファンによる冷却システム

赤いスイッチがゲームモードの切り替えスイッチ
ゲームモードでは内蔵ファンが起動する。通気口を塞がないようにしたい
専用メニュー画面「ゲームスペース」。ゲームアプリを登録することで、スムーズな起動やゲーム中のパフォーマンス調整が可能になる

 本製品の最大の特徴でもあるゲームモードは、本体左側面上部にある物理スイッチを切り替えることで起動できる。このモードでは、ゲームプレイ時の専用メニュー画面「ゲームスペース」が立ち上がり、メニューからアプリの起動、リフレッシュレートやファン、パフォーマンスモードの調整といったゲーム向けの設定項目を変更可能だ。

ファンの回転は本体設定から調整可能。よほどハードな使い方をしない限り、基本的にはスマート調整モードで問題ないはず

 そして工場出荷時の状態では、ゲームモードに切り替えることで内蔵の空冷ファンが起動する。スマートフォンで長時間ゲームをプレイした場合にパフォーマンス低下の原因となりがちな発熱を、内蔵ファンによって力業で抑え込もうというわけだ。

 ファンは小型ながら、最大回転数18,000rpmの高速回転によりSoCを冷却。本製品では従来機種からエアダクトデザインを変更したことで、空気熱の伝導率が500%向上、CPUのコア温度16℃低下を実現(RedMagic 6 Proの場合)しているとのこと。本体側面の通気口から吸気・排気を行なうさまはなんともパワフルで、スマホというよりはノートPCを思わせる。

「PUBG MOBILE」などのFPSタイトルはそれほど重くないので、高フレームレートで非常に快適なプレイが可能

 現状、165Hz駆動に対応しているメジャーなゲームタイトルがあまりないのだが、それはそれとしてゲームモードを利用したゲームプレイはすこぶる快適だ。サンプルでは「PUBG MOBILE」や「荒野行動」のようなシューター系タイトル、「原神」のようなアクションRPG系タイトル、「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」のようなリズムゲームをそれぞれプレイしてみたが、「原神」以外のタイトルで最高のグラフィックス設定を適用し、高いフレームレートでのプレイが可能であることを確認している。

フレーム設定を「極限」に上げることでなめらかな映像を堪能できる
ショルダートリガーを設定しておけば、トリガーで射撃可能になるため、親指だけで操作するよりも格段に遊びやすくなる。外付けコントローラーなしでこれを実現できるのは嬉しい

 シューター系タイトルやリズムゲームに関しては、もともとの負荷がそれほど高いわけではないため、高フレームレートでも快適なプレイが可能だ。120Hz設定でプレイしてもスマホ自体は少し熱を持つ程度なので、発熱を気にする機会はほぼなかったと言っていい。

 なお、シューター系タイトルではショルダートリガーが非常に有効で、トリガーを使って射撃などの操作が可能になるため、左右の親指の自由度が非常に高くなるぶん、操作の快適性がぐんと上がる。ASUSの「ROG Phone」シリーズのように外付けの専用コントローラーを取り付けることで快適性を担保しているゲーミングスマホもあるが、本製品は本体1つで気軽にトリガーを起動して遊べるのが嬉しい。操作自体もキビキビしており、遅延や違和感は感じられなかった。

「原神」はスマホ版も極めて負荷が高く、フル回転しても本体の発熱が大きくなる。ただし、長時間プレイでも60fpsモードで大きな支障はなかった

 今回試したタイトルの中では、唯一「原神」のみプレイ中にSoC周辺の発熱が大きくなったが、そもそも本作は極めて負荷が高いため、これについては致し方ないように思える。プレイ自体は快適であり、60fps設定で安定して遊べることには驚いた。総じて性能と取り回しの良さのバランスが良く、ゲーミングスマホとして非常に魅力的な製品に仕上がっていると感じられる。

ゲームモード中はオーバーレイメニューを使って各種調整が可能。リフレッシュレート変更などもここから実行する
パフォーマンスを制御する「ゲーム強化」。「スーパーパフォーマンス」では本体性能が高まるが、バッテリなどの消費が大きくなってしまう

 ゲームモード中はゲーム起動中/非起動時を問わず専用のオーバーレイメニューが利用でき、これを使うことで細かい調整が可能だ。例えば「ゲーム強化」メニューからはSoCのパフォーマンス設定を4つのプリセットから選択できる。通常はバランスを重視した「スマート調節」が適用されているが、「スーパーパフォーマンス」に切り替えることで最大性能を発揮できる。ショルダートリガーの有効化やリフレッシュレートの手動設定、ファンのオン/オフなどもオーバーレイで設定変更できるため、ゲームをプレイしながら細かな調整がしやすいのがポイントだろう。

 そのほか、ピクチャー・イン・ピクチャー表示やエイムアシストのクロスヘア表示など、まるでゲーミングディスプレイのような機能も用意されており、至れり尽くせりといった感がある。

 このモードの有効化によるデメリットがあるとすれば、ファンノイズの発生だろう。小型の空冷ファンはもともとの回転数が高いため、フル回転で運用せずともはっきりと分かるほどの甲高いファンノイズが耳に入ってくる。スピーカー状態でゲームをプレイしていてもよほど爆音でなければノイズは聞こえてくるし、仮に電車内などでファンを起動すれば、周囲の人の耳に入る可能性も高い。

 うるさい、というほどではないが気になる音ではあるので、発熱が気にならない場合はファンをオフにするか、一人でゲームを遊ぶならイヤフォンやヘッドフォンを用意しておくのがオススメだ。本体上部には3.5mmのステレオジャックが用意されているため、無線タイプでないヘッドフォンやイヤフォンも利用できる。

クセのない画質の3眼カメラ

 本製品背面のカメラは、広角、標準、マクロの3眼タイプで、標準カメラのセンサーはサムスン製の6,400万画素センサー「S5KGW3」を採用。画質は誇張やクセの感じられないフラットなもので、これといった特徴があるわけではないがキレイに撮れるといった印象だ。

 明るさを調整したくなる場面はあるが、おおむねオート任せで撮影してしまっても失敗は少ないように思う。なお、通常のフォトモードからはズームが可能だが、広角カメラへの切り替えはプローショット(マニュアルモード)でしか実行できない点には注意が必要だろう。

画質はクセがなく、解像感も良好。広角カメラへの切り替えがやや分かりづらいが、まずプローショット(マニュアルモード)に切り替える必要がある点には注意
望遠カメラは搭載しないが、10倍までのデジタルズームに対応する。
カメラファミリーからさらに豊富な機能へのアクセスも可能だ

ベンチマーク結果は軒並み高水準

 最後にベンチマークテストの結果を紹介しよう。利用したベンチマークアプリは、「3DMark」「Geekbench 5」の3種類だ。計測はすべてゲームモードを起動した状態で「ゲーム強化」の「スーパーパフォーマンス」プリセットを適用して計測している。

【表】ベンチマークテスト結果
3DMark
Wild Life5742
Wild Life Extreme1521
Geekbench 5
Single-Core Score1119
Multi-Core Score3503

 最新の「Snapdragon 888」と空冷ファンの恩恵は大きく、いずれのベンチマークにおいても高水準のスコアを記録できている。高性能スマートフォンとして見ても、極めて魅力的な機種と言ってよさそうだ。

性能は抜群で扱いやすさも〇、ゲーマーならずとも注目の1台

 「RedMagic 6」は、ハイエンド製品としての卓越したパフォーマンスをベースに、ゲーム向けの豊富な機能、実売10万円前後のコストパフォーマンスの高さなど、あらゆる要素を高水準にまとめた魅力的なゲーミングスマートフォンだ。

 フレームレートの高さや操作の正確さが求められる競技性の高いタイトルはもちろん、リッチなグラフィックスが魅力の3Dゲームまで、およそスマホゲームであればあらゆるタイトルのプレイに対応できるポテンシャルの高さは現行機種随一だろう。

 国内での5G対応実現や大容量バッテリ、カメラ性能なども含め、純粋なスマホとしての使い勝手も決して悪くない(ちょっと重いが)。ゲーム専用のスマートフォンを探すゲーマー、ゲームもやりつつ1台で汎用性が高いスマホが欲しいと考えているユーザーにおすすめしたい。