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ハンドルが便利! コンパクト&高性能ゲーミングPC「G-Tune HL-B」をレビュー

G-Tune HL-B

 株式会社マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」より、ハンドルつきミニタワー型ゲーミングPC「G-Tune HL-B」が発売された。直販価格は15万9,800円(税別)から。

 本機はMini-ITXマザーボードを採用した、「G-Tune」ブランドのなかでももっともコンパクトなデスクトップPCとなる。設置場所に困らない省スペースゲーミングPCの人気は根強いが、本機は筐体上部にハンドルが装着されており、持ち運びも考慮されているのが特徴だ。

 このシリーズはVRデバイスの人気が高まった数年前、パワフルなPCを持ち運びやすくする目的で開発された、と記憶している。VRにかぎって言えば、コロナ禍にある昨今は、ヘッドセットを装着して使うイベントの開催が難しく、また世界的な半導体不足の影響でビデオカードの入手が困難になっており、逆風は強い。

 もちろん用途をVRに限定する必要はなく、一般のゲーミングPCとしても使えるので、コンパクトで可搬性に優れたゲーミングPCとして一定のニーズはあるだろう。それでは、本機の使用感をお伝えしていく。

ストレージも充実、小さくてもマルチに使える

 「G-Tune HL-B」のスペックは下記のとおり。

【表1】G-Tune HL-B
CPUCore i7-10700(8コア/16スレッド、2.9~4.8GHz)
チップセットIntel B460(Mini-ITX)
GPUGeForce RTX 3060(12GB)
メモリ16GB DDR4-2666(8GB×2)
SSD512GB(M.2 NVMe)
HDD2TB
光学ドライブなし
電源700W(80PLUS Bronze)
OSWindows 10 Home 64bit
汎用ポートUSB 3.0×6
カードスロットなし
映像出力HDMI、DisplayPort×3
有線LANGigabit Ethernet
無線機能Wi-Fi 6、Bluetooth 5
その他PS/2コネクタ、音声入出力など
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)約178×395×285mm
重量約8kg
価格15万9,800円(税別)

 CPUは8コア16スレッドのCore i7-10700、GPUはGeForce RTX 3060。CPUが高めのミドルクラスゲーミングPCといった構成だ。メインメモリは16GB、SSDが512GBで、HDDも搭載する。光学ドライブは非搭載だが、カスタマイズでスロットイン式のDVDスーパーマルチドライブを内蔵できる。コンパクト筐体ながら汎用性は高い。

 スペック的にユニークなのは、Wi-Fi 6対応の無線LANを標準搭載していること。持ち運びが楽な筐体なら、無線LANを搭載しているほうが利便性は上がるし、置き場所の選択肢も広がる。Bluetoothも標準搭載するので、キーボードやマウスのワイヤレス環境も構築しやすい。キーボードと言えば、PS/2コネクタも搭載しており、古いキーボードを愛用している人も安心だ。

 カスタマイズの幅も広く、SSDは最大2TB、HDDは最大8TB、メインメモリも32GBまで選択可能。冷却性能を高めるため、熱伝導率の高いCPUグリスに変更できるのもおもしろい。電源もより変換効率に優れた80PLUS Goldのものに変更でき、省電力に加え発熱を減らす効果が期待できる。

性能は十分に発揮。VR用マシンとしても活躍できる

 次は実機を使ってベンチマークテストを行なう。利用したのは、「PCMark 10 v2.1.2508」、「3DMark v2.17.7173」、「VRMark v1.3.2020」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」「Cinebench R23」、「CrystalDiskMark 8.0.0」。

【表2】ベンチマークスコア
PCMark 10 v2.1.2508
PCMark 106,511
Essentials9,833
Apps Start-up score13,976
Video Conferencing Score7,311
Web Browsing Score9,305
Productivity8,111
Spreadsheets Score9,517
Writing Score6,914
Digital Content Creation9,395
Photo Editing Score10,962
Rendering and Visualization Score13,245
Video Editing Score5,712
3DMark v2.17.7173 - Time Spy
Score8,736
Graphics score8,482
CPU score10,524
3DMark v2.17.7173 - Port Royal
Score4,959
3DMark v2.17.7173 - Fire Strike
Score19,451
Graphics score21,247
Physics score24,233
Combined score10,079
3DMark v2.17.7137 - Wild Life
Score45,146
3DMark v2.17.7173 - Night Raid
Score52,341
Graphics score96,621
CPU score14,552
VRMark v1.3.2020 - Orange Room
Score11,726
Average frame rate255.62FPS
VRMark v1.3.2020 - Cyan Room
Score8,843
Average frame rate192.78FPS
VRMark v1.3.2020 - Blue Room
Score2,531
Average frame rate55.18FPS
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(高品質)
3,840×2,160ドット3,793
1,920×1,080ドット8,704
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(最高品質)
3,840×2,160ドット7,107
1,920×1,080ドット18,559
Cinebench R23
CPU(Multi Core)9,902pts
CPU(Single Core)1,294pts

 4K解像度の結果を見ると、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では最高評価の「非常に快適」を獲得。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」では「普通」の評価となっており、実用的な範囲と言える。また「3DMark」の結果を見ても、フルHDであれば120fps以上の高リフレッシュレートにも対応できるゲームは多そうだ。

 「VRMark」でも、もっとも処理が重い「Blue Room」では約55fpsで少々物足りないが、ほかの2つのテストは200fps前後の値となっており、とくにヘビーなVRゲームでなければ問題なさそうだ。

 コンパクトな筐体なので冷却面も気になるところだが、Core i7-10700を搭載したほかのPCと比べるとむしろ良好なスコアが出ており、十分に冷却できていることがうかがえる。性能面での心配はなさそうだ。

 ストレージは、SSDはADATA製「SX6000PNP」、HDDはSeagate製「ST2000DM005」が使われていた。「SX6000PNP」はNVMe SSDとしては廉価なモデルだが、シーケンシャルリードでは2GB/sを超えるなど、実用上で気になることはないであろう速度は確保している。HDDは3.5インチタイプで、速度も約200MB/sと問題ない。

ADATA製SSD「SX6000PNP」
Seagate製HDD「ST2000DM005」

コンパクトケースでもバランスの取れた排熱

 続いて実機を見ていこう。ケースは先述のとおり、天面に取っ手がついためずらしい外見をしている。前面と天面が緩い曲面になっているのもユニークだ。筐体はほぼ全体がマットブラックで統一されており、ほかは前面にあるパワーLEDの赤いラインと、取っ手のグレーが見える程度。地味ながら、ところどころに存在感を出している。

 「約8kgもある筐体を、この取っ手で持ち上げて大丈夫か?」という不安もありそうだが、実際に持ってみると、筐体がきしむこともなく安定して持ち上げられる。ただ重量バランス的に、後ろが下がるかたちで斜めになってしまうので、もう少し後方(筐体中央付近)に取っ手があってもいいかなとは思う。もっとも、そんなに頻繁に本機を持ち運ぶ人もいないとは思うが。

 電源ボタンは右側面にあり、USB端子やヘッドフォン、マイク端子もその下に並ぶ。小型筐体で、かつボタンや端子が筐体の中央から下部に並ぶので、使いやすさを考えると卓上で使用者の左側がベスト。右側にすると端子の使い勝手が悪くなり、床置きすると電源やヘッドフォン端子がかなり遠くなる。製品写真を参考に、購入前にあらかじめ使用環境をイメージしておくほうがいいだろう。

 筐体の側面はどちらも広く網目状の穴が空けられている。騒音対策の面では不利になるが、パワフルな小型筐体ゆえに、内部の放熱には苦心していると思われる。実際のエアフローは内部を開けて確かめたい。

前面は緩く出っ張るような曲面になっている。パワーLEDが横一線の赤いラインになっているのが特徴
左側面は広く網目状の穴が開けられている
右側面も同様に網目になっている
背面は端子類が並ぶオーソドックスな配置
天面は緩い曲面で、空気の通り道はない
底面はメッシュになっている

 左サイドパネルを開けてみると、手前に金属プレートが出てくる。このプレートはネジ止めされているので外してみると、上に持ち上がるように開いて外せるようになっている。プレート部には3.5インチHDDが取りつけられており、さらに2基の2.5インチベイが空いている状態だ。

 内部を見ると、想像どおりかなり狭い。前方上部に電源があり、後方はマザーボードの上にサイドフローのCPUファンが乗っている。下部はビデオカードがほぼ占有するかたちだ。

 ケースファンは見当たらず、各パーツのファンでエアフローを作っている。電源は右側面から吸気し、ケース内の上方に排気。CPUファンは前方から後方に流れるかたちで、電源の排気とともに背面から排気する流れ。ビデオカードは底面から吸気し、背面から排気。ただ左側面も大きく開いているので、全体として空気の出入りはしやすいかたちになっている。

 かなり詰め込んでいるのは確かだが、CPUやビデオカードの周辺はうまくスペースが取ってあり、うまく排熱できるよう配置できているように思う。配線の残りが、電源の下方、前方下部にぎゅうぎゅうにまとめられており、そもそもの配線自体を減らしてほしい気もしないでもない。ただ前方からの吸気に頼ったエアフローではないので、実使用上に問題はないだろう。

 さらに右サイドパネルを開けると、電源やマザーボードの裏面が見えるほか、マザーボードの下部にさらに2.5インチベイがある。最近はM.2タイプのSSDが安価になったこともあり、2.5インチベイが使われる機会も減りつつあるが、あとから計3基のSSDやHDDを増設可能というのは、このサイズのケースであることを思うと相当がんばっている。Mini-ITXのケースとしてもなかなか魅力的だ。

左サイドパネルを開けると、金属製のプレートが出てくる
プレートのネジを外すと、上向きに開く。プレートにはHDDが取りつけられている
サイドフローのCPUファン。前方から後方へと風を流す
電源は本体前方に取りつけられている
下部に取りつけられたビデオカード。奥行きにはまだ余裕がある
右サイドパネルを開いたところ。ここにも2.5インチベイがある

コンパクトで安いゲーミングPCが欲しいなら安定・安心の1台

取っ手の印象が強く残りがちだが、コンパクトゲーミングPCとしてよくできている

 コンパクトなゲーミングPCが欲しい人にとっては、本機はかなり魅力的であろう。基本的なデザインは落ち着いた印象で、ゲーミングPCであることをことさらに主張しない。

 性能的にもミドルクラスのゲーミングPCとしては満足がいく。CPUやビデオカードはカスタマイズできないものの、メモリやストレージ、光学ドライブは増強できる。価格もコンパクトなゲーミングPCながら高価に設定されているわけでもない。

 弱点もなくはない。ケースの開放部が多いため、騒音が漏れやすい。高負荷になるとCPUとGPUのファンの音がはっきりと聞こえている。ただどちらも各パーツの元々の騒音レベルがそこまで大きくはないので、同レベルの構成でより大型のゲーミングPCに比べれば騒音が聞こえやすい、という程度ではある。

 ほかにはUSB Type-Cがないのは気になる。拡張スロットに空きがないので、あとで増設もできない。USBなので端子を変換して使えなくはないが、将来性を考えれば1つは用意しておいてほしいところだ。

 トータルすると、取っ手の必要性の有無に関わらず、お買い得感のある製品であるのは確か。コンパクトなゲーミングPC自体にそれほど選択肢がないなか、価格的にも比較的安価で、設計も十分よくできている。もちろん、持ち運べることも大きなメリットだし、それゆえか一般的なゲーミングPCよりも堅牢性が高いように感じる。見た目や性能が気に入れば、あらゆる意味で安心して買える1台だ。