Hothotレビュー
高コスパが魅力! 144Hz表示の高性能ゲーミングスマホ「Nubia RedMagic 5」
2020年8月14日 09:50
Nubia Technologyは、ゲーミングスマートフォン最新モデル「RedMagic 5」を発売した。Snapdragon 865や144Hz駆動対応有機ELディスプレイを採用と最強レベルのスペックを搭載しつつ、600ドル台と安価に販売されている点が大きな特徴となっている。
今回、メモリ12GB搭載の上位モデルを試用する機会を得たので、ハード面を中心に紹介する。日本向けの販売は直販サイトで行なわれており、今回試用したメモリ12GBモデルの直販価格は送料・税込みで649ドル(1ドル107円換算で69,443円)。
ゲーミングスマホらしい精かん精悍なデザイン
RedMagicシリーズは、ZTE傘下のNubia Technologyが手がけるゲーミングスマホだ。これまでは海外でのみ販売されており、日本での正式な発売は行なわれなかったものの、最新モデルの「RedMagic 5」は技術基準適合証明と技術基準適合認定を取得し、技術基準適合証明等のマーク(いわゆる技適マーク)も端末に示されている。つまり、RedMagicシリーズとして初となる正式な日本向けモデルとなる。
外観は、ゲーミングスマホらしく精悍なデザインとなっている。今回試用したメモリ12GB搭載モデルは筐体カラーがブラックで、裏面はXをかたどったデザインを採用するとともに、X型に赤のラインが施されている。なお、メモリ8GBモデルは筐体カラーがレッドとなっており、かなり派手な印象だ。
背面中央付近にはRedMagicのロゴがあるが、このロゴにはLEDバックライトが仕込まれており、鮮やかに発色させることが可能。こういった部分はいかにもゲーミングスマホらしい特徴と言える。
背面はガラスを採用していることもあって光沢感が強く、高級感も十分感じられるが、指紋の痕がつきやすい点は少々気になった。側面のフレーム部分は金属素材を採用している。
サイズは78.0×168.56×9.75mm(幅×奥行き×高さ)。6.65型ディスプレイを搭載していることもあってサイズはやや大きいが、近年はスマートフォンの大型化が進んでいるため、特別大きいという印象は受けない。
重量は公称で218g、実測では217.1g(SIM未装着時)だった。筐体サイズから考えるとこの程度の重さもしようがないという気もするが、実際に手にするとかなりずっしり重く感じる。
6.65型有機ELディスプレイは144Hz駆動に対応
ディスプレイは、2,340×1,080ドット表示に対応する6.65型有機ELパネルを採用している。有機ELパネルということでコントラスト比は100,000:1と高コントラスト表示に対応するのはもちろん、DCI-P3カバー率100%の広色域表示にも対応している。
実際に写真や動画を表示してみても、明るい場所から暗い場所まで潰れることなく鮮やかに表示できることが確認できた。輝度は最大600cd/平方m。
このディスプレイは、応答速度は6.9ms、リフレッシュレート最大144Hzに対応する点が大きな特徴となっている。これによって、激しい動きのゲームも滑らかに表示でき、eスポーツレベルのゲーマーも十分満足できる表示環境が備わっているとのこと。
また、リフレッシュレートは設定メニューから60/90/144Hzの3段階に自由に変更できるようになっている。高リフレッシュレート表示では消費電力が高くなるため、普段は60Hzに設定しておいて消費電力を抑えつつ、ゲームをプレイするときには90Hzや144Hzに設定して快適なゲームプレイ環境を実現する、といった使い方が可能な点はうれしい。
実際にリフレッシュレートを変更していくつかゲームをプレイしてみた。個人的には60Hzでも十分滑らかに表示されていると思うが、リフレッシュレートを高めたほうがより描画が滑らかとなり、快適なプレイが可能と感じた。
もちろん、残像などを感じる場面もまったくなかった。おそらく、ゲームマニアやプロゲーマーにとってはこの差が大きなアドバンテージになるはずで、高リフレッシュレート表示対応という点は大きな魅力となるだろう。
なお、ディスプレイには切り欠きやパンチホールといった画面の一部を切り抜く仕様は一切ない。こういった部分もゲーミングスマホらしい仕様と言える。
このほか、タッチパネルはサンプリングレート最大240Hzに対応。高リフレッシュレート表示と合わせて細かな操作も確実に行なえるとのことだ。
高性能SoCを搭載するとともに空冷ファンで安定して高性能を引き出す
RedMagic 5はゲーミングスマホということで、スペック面も優れたものが要求されるが、もちろんその点も不安がない。
SoCはSnapdragon 865を採用。競合となるASUSの「ROG Phone 3」などに搭載が予定されている、CPUやGPUの性能を強化したSnapdragon 865 Plusではないものの、フラグシップクラスのSoCであり、性能面は申し分ないと言っていい。またメモリはLPDDR5を12GBと余裕の容量を搭載しており、ゲームアプリも快適に動作するはずだ。
内蔵ストレージは容量128GBとゲーミングスマホとしては標準的な容量だが、高速なUFS 3.0準拠となっており、ゲームアプリの高速起動やデータの高速読み取りが可能。こういった部分へのこだわりは、ゲーミングスマホらしい特徴だ。
そして、これら充実したスペックを最大限引き出せるように、RedMagic 5には標準で空冷ファン「ターボファン3.0」を内蔵。L字型リキッドクーリングパイプと空冷ファンとの組み合わせによって、従来モデルから200%の冷却性能向上を実現。エアフローは、本体左側面の吸気口から外気を取り込み、右側面の排気口から排出、という流れとなる。
ゲームプレイ時には本体を横持ちとなるため、下部から上方に向かうことになり、放熱という観点からももっとも効率の良いエアフローとなる。
空冷ファンは、標準ではSoCや内部の温度が高まると自動的に動作するようになっている。たとえば、高負荷なゲームをプレイしている場面でSoCの温度が一定以上になるとファンが動作して強制的な冷却が行なわれることになる。
また、ゲームを長時間プレイする場合には給電しながらプレイすることも多いと思うが、給電している状態ではさらに発熱が加わって動作が不安定になる可能性が高まる。
しかしRedMagic 5は空冷ファンによって効率良く冷却が行なわれるため、そういった状況でも安定したゲームプレイが可能となっている。実際にバッテリ残量をわざと減らした状態で給電しながらゲームをプレイしてみたが、確かに本体は通常に比べてかなり温かくなるものの、空冷ファンによって安定して熱が放出できているため、動作が不安定になるといったことはまったくなかった。
ところで、ファンの動作音は思ったほど大きくない。ファンは回転数が最大16,000rpmで、本体内に内蔵する小型のものだが、フル回転で動作させた場合でもそれほどうるさいとは感じなかった。
もちろんファンの動作音は確実に耳に届くが、ゲームのサウンドを妨げるほどのものではなく、ゲームプレイに集中しているとほぼ気にならないレベル。これならファンが動作していてもまったく気にならないと言える。
また、筆者が利用した範囲内では、横持ちの場合でも吸気口や排気口を指で塞いでしまうことはなかった。持ち方によっては塞いでしまう可能性もあるが、一般的な持ち方ならまず気にする必要はないだろう。
本体側面にタッチセンサー型トリガーボタンを用意
本体右側面には、上下に2個のタッチセンサー型トリガーボタンが用意されている。ゲーム中のタップ操作をこのトリガーボタンに割り当てることで、軽快なプレイが可能になる。
2つのトリガーボタンそれぞれにタップゾーンを自由に設定可能なため、たとえばFPS系のゲームであればショットボタン、レース系のゲームであれば左右のハンドルコントロールに割り当てることで、画面内をタッチして操作するよりも確実な操作が可能となる。
タッチセンサーは応答速度が2msで、タッチサンプリングレートは240Hz。これによって、繊細かつ確実な操作を可能としている。
実際にレースゲームで試してみたが、確実なハンドル操作が行なえたことで、快適なプレイが可能だった。加えて、画面内をタップする必要がなくなることで、画面全体をしっかり見ながらプレイできるという点も大きな優位点となると感じた。
SoCやファンなどの動作をカスタマイズできる「ゲームスペース2.1」
本体左側面には、ほかのスマートフォンにはないスライドスイッチを用意。このスライドスイッチは、ゲーム専用モード「ゲームスペース2.1」を起動するためのものとなっている。
ゲームスペース2.1を起動すると専用ランチャーが起動し、登録したゲームを簡単に起動できる。空冷ファンを常時動作モードに設定したり、Wi-Fiネットワークの自動切り替えをオフにする、ゲームプレイ中の受話を抑制するといった設定が可能。
また、背面ロゴイルミネーションの発色や発光パターンの変更、オプションで用意されている専用コントローラの動作設定、ゲームプレイ中動画の自動撮影機能の設定などもゲームスペース2.1で行なえるようになっている。
ゲームスペース2.1上でゲームを起動すると、右側面からのスワイプインでも細かな設定が可能。こちらでは、ファンの動作モードやディスプレイのリフレッシュレート、着信やメッセージ受信の抑制などに加えて、トリガーボタンの動作設定、マクロの登録などが行なえる。
加えて、CPU/GPUの動作モードも設定可能となっており、CPU重視の動作モード、GPU重視の動作モード、CPU/GPUともフルパワーでの動作、といった動作設定が行なえる。
ゲームスペース2.1を利用せずともゲームの起動やプレイは可能だが、ゲームプレイに最適な環境や設定を簡単に反映したり設定できることや、ゲームランチャー機能で簡単にゲームを起動できるという点は、非常に便利に感じる。スライドスイッチを操作するだけで簡単に呼び出せるという点も合わせて、RedMagic 5でゲームをプレイする場合にはゲームスペース2.1経由を基本とすべきだろう。
ゲーミングスマホながらカメラも充実
RedMagic 5はゲーミングスマホながらカメラ機能も充実している。
背面のメインカメラは、1/1.7型6,400万画素センサーと画角78.3度の広角カメラ、800万画素センサーと画角120度の超広角カメラ、200万画素センサーと画角78度のマクロカメラの3眼仕様となっている。
撮像素子は、広角カメラがソニー製「IMX686」、超広角カメラがSK Hynixの「Hi846」、マクロカメラがOmniVision Technologies製の「OV02A10」となる。
正面の前面カメラは、ディスプレイ上部ベゼルに搭載。800万画素センサーを採用しており、セルフィー撮影には十分な仕様となっている。
撮影機能は、AI処理によるシーン自動設定、ポートレート撮影、夜景撮影など、イマドキのスマートフォンらしい充実したものとなっている。動画撮影は8K撮影まで対応。
以下にメインカメラで撮影した写真をいくつか掲載するが、夜景も含めて十分満足できる品質で撮影できている。これなら写真も綺麗に撮影したいと思う人でも安心だろう。
なお、カメラアプリは日本語化されておらず、すべて英語表記のままとなっている。
端末自体は5G対応も日本国内ではLTEまでの対応にとどまる
SoCやメモリ、内蔵ストレージ容量などは先に紹介しているので、ここではそれ以外の仕様を紹介する。
ネットワークは、ハードウェア的には5G(Sub 6)に対応しており、対応バンドはn41およびn78となっている。ただ、日本版ではモバイル通信の技適取得範囲はLTEまでとなっている。そのため、海外では5Gを利用可能だが、国内で5Gに接続することは法的に不可能となっており、LTEまでの利用にとどまることになる。
国内では5Gのエリアがまだまだ十分ではなく、5Gが利用できないとしても現時点では大きな問題はないと思うが、せっかくなら5Gも利用できたほうがいいのは間違いない。そのため、今後5Gについても技適取得を進めてもらいたい。
LTE対応バンドは、Band 1/2/3/4/5/7/8/20/12/17/18/19/26/34/38/39/40/41。このほか、WCDMA Band 1/2/4/5/8/19、CDMA/EVDO BC0/BC1、GSM Band 2/3/5/8もサポートしている。
SIMソケットは表裏にNano SIMを1枚ずつ合計2枚装着可能となっており、デュアルSIMに対応。なおmicroSDカードは利用できない。
無線機能は、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)準拠無線LANとBluetooth 5.1を搭載する。
生体認証機能は、ディスプレイ埋め込み型の指紋認証センサーを搭載。顔認証機能にも対応するが、前面カメラを利用するため赤外線センサーを使った3D顔認証機能に比べると精度は落ちる。
センサー類は、加速度センサー、電子コンパス、ジャイロセンサー、 近接センサー、環境光センサーなどを搭載。この他、GPSやNFCも搭載する。FeliCaは非搭載のため、おサイフケータイの利用には対応しない。
防水防塵仕様については言及がない。ただ、側面に吸気口や排気口が存在することを考えると、防水防塵仕様はないと考えていいだろう。
ポートは、下部側面にUSB 3.0準拠のUSB Type-Cを用意。また、上部側面にはオーディオジャックを用意している。この他、左側面にオプションの周辺機器を接続するための端子とゲームスペース2.1を呼び出すスライドスイッチを、右側面にボリュームボタンと電源ボタン、2つのタッチセンサー型トリガーボタンを配置している。
オーディオ機能は、DTS:X Ultraをサポートし、7.1チャンネルサラウンドサウンドの再生に対応。ゲーム中は、基本的にはオーディオジャックにヘッドセットを接続して利用することになると思うが、DTS:X Ultraによって全方位からの音が再現され、より優れた臨場感でゲームプレイが可能となる。
スピーカーはステレオスピーカーを内蔵。比較的大音量でも音が割れることがなく、かなりいい音が再生される。また、ゲーム内容に合わせてバイブレーションを行なう「4Dショックサウンドフィードバック」機能も搭載。対応ゲームでは、バイブレーションも加えたゲーム体験が可能となっている。
内蔵バッテリ容量は4,500mAhと比較的大容量となっている。また最大55Wでの急速充電もサポート。なお、製品パッケージに付属するACアダプタは出力が最大30Wとなっている。
OSは、Android 10ベースのRedMagic OS 3.0を採用している。ただ、日本語化は一部にとどまっており、設定メニューはほとんどが英語表記のままだ。上級者であれば英語表記のままでも設定に戸惑うことはないと思うが、初心者はややとっつきにくいかもしれない。日本語化にも当然コストがかかるため難しい部分もあるとは思うが、可能なら全面的な日本語化も検討してもらいたい。
空冷ファンの存在でつねに優れた性能を発揮
では、簡単にベンチマークテストの結果を紹介しよう。今回は、UL LLCの「PCMark for Android Benchmark」と「3DMark」、Primate Labs Inc.の「Geekbench 5」を利用し、ゲームスペース2.1経由で起動するとともに、CPU/GPUともフルパワーで動作する設定でテストを行なった。
また、比較用としてRedMagic 5と同じSoCであるSnapdragon 865を搭載するサムスンの「Galaxy S20 5G SC-51A」の結果も加えてある。
結果を見ると、いずれも非常に優れたスコアが得られていることがわかる。比較用のGalaxy S20 5Gの結果と比べても、いずれも凌駕している。そして、この性能が安定して引き出せている点がゲーミングスマホとして非常に大きな魅力となるはずだ。これも、空冷ファンの存在によってSoCの性能が最大限引き出せているためと考えられるが、性能面では現役トップクラスなのは間違いないだろう。
続いて、バッテリ駆動時間をPCMark for Android Benchmarkの「Work 2.0 battery life」を利用し、ディスプレイ輝度50%、Wi-FiおよびBluetoothオン、Nano SIM未装着の状態で計測してみた。
まず、ディスプレイのリフレッシュレートを60Hzに設定した場合では、11時間50分だった。内蔵バッテリ容量が多いこともあって、大型有機ELパネル搭載でもなかなかの駆動時間が実現できている。
次にリフレッシュレートを90Hzに設定した場合だが、こちらは9時間59分と2時間弱短くなった。また、リフレッシュレートを最大の144Hzに設定した場合では約8時間22分だった。
なお、リフレッシュレートを144Hzに設定した場合のみベンチマークが正常に終了しなかったため、別途ビデオカメラで動作状況を録画しつつ駆動時間を計測したので、こちらは参考値として見てもらいたい。
当然だが、リフレッシュレートを高めるほど消費電力へのインパクトは大きくなってしまう。ゲームプレイ時にはSoCの消費電力も高まるため、連続プレイ時間が短くなると考えていいだろう。とは言え、よほど長時間の連続プレイでないかぎりプレイ時間が足りなくなることはないだろう。
先に紹介したように、ゲームスペース2.1でリフレッシュレートを簡単に変更できるため、通常は60Hz、ゲームプレイ時のみ90Hzまたは144Hzに変更するという使い方がおすすめだ。
クセはあるが安価なゲーミングスマホとして十分な魅力あり
RedMagicシリーズは、海外では高性能ながら安価なゲーミングスマホとして広く受け入れられているが、これまで日本向けとして正式に発売されておらず、技適マークもつけられていなかったことから。使いたくてもなかなか使えない製品だった。
しかしRedMagic 5は満を持して国内モデルとして販売されたことで、これまで手にできなかったユーザーも気軽に購入して利用できるようになった。この点は大きな進化であり、待ち望んでいたユーザーにとってはおおいに喜ばしいことだろう。
ただ、国内5G非対応や日本語化が完全ではないという点など、完成度という意味ではまだまだという印象がある。加えて、購入するにしても海外からの直販のみで、国内でのサポート拠点もない。トラブル時にはメーカーと直接のやりとりとなるため、そのあたりの手間や面倒はある程度受け入れる必要がある。
とは言え、これだけのスペックのスマートフォンが(為替レートにもよるが)日本円で7万円前後で購入できるのは、大きな魅力だ。広くおすすめするのは難しいものの、仕様やサポート体制などを受け入れ、細かなトラブルなども自分でどうにかできるという自信があるなら、現時点でこれ以上コスパに優れる製品はなく、手に入れて確実に満足できるだろう。