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約900gのNEC製学生向けモバイルノートが、さらに使いやすく

~LAVIE Note Mobie NM550/MA

NECパーソナルコンピュータ「LAVIE Note Mobile NM550/MA」

 NECパーソナルコンピュータは、学生の利用をメインターゲットとする12.5型モバイルノートPC「LAVIE Note Mobile」シリーズ新モデルとなる2019年春モデルを発表した。コンパクトかつ軽量で従来モデルの特徴を継承しつつ、キーボードの改良などを実現することで、さらに扱いやすくなっている。今回は、市販モデルの上位機種となる「LAVIE Note Mobile NM550/MA」を取り上げ、ハード面を中心に紹介する。

外観に従来モデルから大きな変更はないが、さらなる軽量化を実現

 ではまず、「LAVIE Note Mobile NM550/MA」(以下、NM550/MA)の外観からチェックしていこう。

 外観デザインは、従来モデルから大きな変更は見られない。筐体は樹脂製となっているため、金属筐体のような高級感はない。ただ、低価格PCのような、明らかに安っぽいと感じることもない。天板中央にはLAVIEロゴを配置しているが、それほど目立つものではなく、シンプルで落ち着いた印象だ。本体色は、今回試用したパールホワイトに加えてパールブラック、メタリックピンクの3色が用意される。

 サイズは、289×196×17.0mm(幅×奥行き×高さ)となる。従来モデルと比べて奥行きが1.5mm短くなっているが、幅と高さは同じで、サイズは従来モデルとほぼ同じと考えていいだろう。ディスプレイの上部と左右ベゼルを狭めることによって、12.5型液晶搭載ながらA4サイズ未満のフットプリントを実現。学生が利用している鞄などへの収納性も申し分ない。

 そして、重量は約910g(下位モデルのNM150/MAでは約908g)と、従来モデルから約15gの軽量化を実現。実測では904gと、公称を下回る軽さとなっていた。約15g程度ではあるものの、軽量化が実現されたことは常に持ち運ぶことを考えると歓迎できる。

 モバイルノートということで気になる堅牢性についても、150kgfの面加圧試験をクリアする堅牢性を確保。ディスプレイ部を開いた状態でひねってみると、わずかに歪む印象もあるが、ディスプレイを閉じた状態ではしっかりとした剛性が確認できるため、不安はない。これなら、満員電車などで強く鞄が押されたとしても、破損する心配は少ないはずだ。

ディスプレイを開いて正面から見た様子。ディスプレイが3辺狭額縁仕様となり、12.5型液晶搭載ながらコンパクトな筐体を実現
天板。LAVIEロゴは写真では黒に見えるが、実際は鏡面仕上げのシルバーで、それほど目立たず、シンプルな印象だ
フットプリントは289×196mm(幅×奥行き)と、従来モデルとほぼ同じ。奥の13.3型液晶搭載「LAVIE Hybrid Zero HZ750/LA」よりひとまわり小さく、鞄への収納性も優れる
正面
左側面。高さは17mmと極端な薄形筐体とはなっていない
背面
右側面
底面。ファンレス仕様で、排気口や吸気スリットなどもない
重量は実測で904g。従来モデルよりも約15gの軽量化を果たしている

フルHD表示対応の12.5型IPS液晶を搭載

 ディスプレイは、従来モデル同様にフルHD(1,920×1,080ドット)表示対応の12.5型液晶を搭載。パネルの種類はIPSで、ディスプレイ表面は非光沢処理となっている。実際に使ってみても、視野角が広く多少視点を移動させても明るさや色合いの変化を感じることはなく、外光の映り込みも少ないため、文字入力が快適に行なえると感じる。

 発色については、光沢液晶に比べるとややメリハリが弱いという印象もあるが、このクラスのモバイルノートとして標準的な鮮やかさだ。プロレベルの発色性能を求めないかぎり、写真や動画の編集を行う場合に大きな不満を感じることはないだろう。

 なお、ディスプレイにタッチパネルは非搭載だ。スマートフォンの利用でタッチ操作に慣れている、大学生を中心とした学生をメインターゲットにしていることを考えると、できればタッチ対応のディスプレイを搭載するモデルも用意してもらいたかったように思う。

従来モデル同様、フルHD表示対応の12.5型IPS液晶を採用。3辺狭額縁仕様で、筐体の小型化にも貢献
表面は非光沢処理となり、外光の映り込みが少なく快適な文字入力が可能。光沢液晶に比べるとメリハリはやや弱いが、このクラスとして標準的な発色性能を備える
ディスプレイは130度ほどまで開く

キーボードは一部キーのピッチや配列が改善され扱いやすくなった

 NM550/MAの、従来モデルからの大きな進化点となるのがキーボードだ。筐体の左右側面ぎりぎりまでキーを配置することによって、従来モデルで不満とされていた一部キーのピッチやキー配置を改善している。

 例えば、従来は[Esc]キーの右に配置されていた[半角/全角]キーが、一般的なキーボードの配列同様に[1]キーの左側に配置されるようになった。また、右カーソルキーの横にあった[Fn]キーも、下段左端と、こちらも標準的な位置に移動。これによって、キー配列は15.6型液晶搭載ノートPC「LAVIE Note NEXT」と同じとなった。個人的には、カーソルキーの上下キーが1つのキーと同じスペースに押し込められている点が気になったが、全体的には一般的なノートPC同等の使い勝手が実現されていると感じた。

 主要キーのキーピッチは18.7mmと、わずかにフルピッチには届いていないものの、実際に使ってみると違和感なくタイピングが行なえる。また、Enterキーが大型化されるとともに、Enterキー周辺のキーも主要キーと同等のキーピッチを確保している。標準的な配列となったこともあり、違和感なくタッチタイプが行なえる。

 また、ストロークは1.4mmと、このクラスのモバイルノートのキーボードとしては十分な深さを確保するとともに、標準的な堅さと、しっかりとしたクリック感によって、打鍵感は良好だ。これなら、長文のレポートを作成するといった場合でも、快適な入力が可能と言える。

 そして、もう1つの特徴が、打鍵音の静かさだ。NM550/MAのキーボードでは、打鍵時の音を、図書館の騒音レベルとして示されている40dB以下に抑えたとのことだが、実際に打鍵してみても、確かにカチャカチャといった耳障りな打鍵音はまったくなく、非常に静かなタイピングが可能だった。もちろん、キーを強打すれば大きな音がするものの、通常の扱い方であれば、図書館のような静かな場所はもちろん、講義中の利用でも気になることはないだろう。

 ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを採用。こちらも本体前方ぎりぎりまで配置することで最大限の面積を確保。もちろんジェスチャー操作にも対応しており、使用感は良好だ。なお、タッチパッドのクリック操作時の音は、キーボードの打鍵音に比べるとやや大きいという印象だ。それでも、うるさいと感じるほどではなく、キーボードほど頻繁にクリック操作することもないため、それほど気にはならないだろう。

キーボードは本体左右ぎりぎりまで配置することで、従来モデルでのキーピッチや配列の不満を改善
[半角/全角]キーや[Fn]キーの位置が一般的なキーボードと同等となり、スペースキー周囲のキーのピッチも広くなった
Enterキーが大きくなりEnterキー付近のキーピッチも主要キーと同等となった。ただ、カーソルキーの上下キーの仕様は残念
主要キーのキーピッチは約18.7mmとわずかにフルピッチに届いていないが、フルサイズキーボードとほぼ遜色のない利用が可能だ
キーピッチは1.4mmのまずまずの深さを確保。しっかりとしたクリック感もあって打鍵感は良好。しかも打鍵時の音が非常に静かで、図書館などの静かな場所でも周囲を気にせず利用できる
ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを採用。十分な面積があり、ジェスチャー操作もサポートしており利便性は良好だ

CPUは第8世代Core Yプロセッサを採用

 スペックは、従来モデルを踏襲しつつCPUなどの進化を実現。搭載CPUはCore i5-8200Yで、従来モデル同様にファンレス仕様となる。メモリはLPDDR3を標準で8GB搭載し、内蔵ストレージは容量256GBのSATA SSDを採用。ファンレスかつゼロスピンドル仕様のため、動作音はほぼ皆無となっている。

 無線機能は、最大1.73Gbpsの高速通信に対応するIEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠無線LANと、Bluetooth 5.0を標準搭載。Webカメラは720p対応(有効画素数92万画素)で、従来モデル同様にディスプレイ下部に搭載する。生体認証機能としては、指紋認証センサーが標準搭載しており、こちらも従来モデル同様に電源ボタン一体型となっている。

 LAVIE Note Mobileシリーズでは、授業中に教室の机で使うことを考慮して、全ての外部ポートを本体後部に集約している点が、NM550/MAでもその特徴が受け継がれている。

 用意されているポートは、オーディオジャック、USB 3.0×2、HDMI、SDカードスロット、USB 3.1 Gen1準拠USB Type-C×1を用意。USB Type-CはUSB PDをサポートするが映像出力には対応していない。

 従来モデルでは、ACアダプタは専用の角形電源ポートに接続して利用していたが、NM550/MAではUSB PD準拠のACアダプタへと変更され、背面のUSB Type-Cに接続して利用するようになっている。付属ACアダプタは比較的コンパクトで、付属電源ケーブル込みの重量は実測で232gだった。

外部ポートは、従来モデル同様に背面に集約。オーディオジャック、USB 3.0×2、HDMI、SDカードスロット、USB Type-Cの各ポートを用意している
720p対応のWebカメラはディスプレイ下部中央に搭載
電源ボタン一体型の指紋認証センサーを搭載しており、利便性を損なうことなく高いセキュリティ性を確保できる
付属ACアダプタは、USB PD対応のものが付属
ACアダプタは、背面のUSB Type-Cに接続して利用する
ACアダプタの重量は、付属電源ケーブル込みで実測232gだった

Core Uプロセッサーには負けるものの、必要十分な性能を発揮

 では、ベンチマークテストの結果を紹介していこう。今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 10 vv1.1.1739」、「PCMark 8 v2.8.704」、「3DMark Professional Edition v2.7.6296」、Maxonの「CINEBENCH R15.0」の4種類。比較用として、富士通クライアントコンピューティングの「LIFEBOOK UH-X/C3」の結果も加えてある。なお、PCMark 10では「Digital Content Creation」の「Rendering and Visualization」テストでエラーが発生し、トータルのスコアが得られていないため、測定できたテストの結果のみを紹介している。

LAVIE Note Mobile NM550/MALIFEBOOK UH-X/C3
CPUCore i5-8200Y(1.30/3.90GHz)Core i7-8565U(1.80/4.60GHz)
チップセット--
ビデオチップIntel UHD Graphics 615Intel UHD Graphics 620
メモリLPDDR3 SDRAM 8GBLPDDR3-2133 SDRAM 8GB
ストレージ256GB SSD(SATA)512GB SSD(SATA)
OSWindows 10 Home 64bitWindows 10 Home 64bit
PCMark 10v1.1.1739
PCMark 10 Score-3313
Essentials48206921
App Start-up Score45897308
Video Conferencing Score54316776
Web Browsing Score44956685
Productivity46885951
Spreadsheets Score53847294
Writing Score40824856
Digital Content Creation-2379
Photo Editing Score18833038
Rendering and Visualization Score-1521
Video Editting Score18542984
PCMark 8v2.8.704
Home Accelarated 3.024803282
Creative accelarated 3.023303200
Work accelarated 2.040464559
Storage49004927
CINEBENCH R15.0
OpenGL (fps)30.8550.16
CPU181517
CPU (Single Core)99161
3DMark Professional Editionv2.7.6296v2.6.6238
Cloud Gate40238447
Graphics Score545010028
Physics Score21005444
Night Raid2484-
Graphics Score2810-
CPU Score1500-
Sky Diver22444123
Graphics Score21933893
Physics Score27006152
Combined score20873927

 結果を見ると、さすがにCore i7-8586U搭載のLIFEBOOK UH-X/C3に比べて、全てのスコアが下回っている。CPUに低TDPのCore i5-8200Yを搭載していることを考えると、この結果は当然とも言える。そのため、とにかく高いパフォーマンスを求める人にとっては、見劣りしてしまうのも否めないだろう。

 とはいえ、実際に使ってみると、処理能力不足を感じるような場面はほとんど感じなかった。動画エンコードなどは明らかに時間がかかるが、ブラウザーを利用したWebアクセスやストリーミング動画視聴、テキスト入力など、NM550/MAがターゲットとしている用途では、不満なく利用できると感じる。もちろん、処理能力が高いに越したことはないが、NM550/MAでも必要十分の性能が備わっており、それほど不安視する必要はないだろう。

 ただ、高負荷が続いた場合には、本体底面の温度がかなり高温となる。これはファンレス仕様ということで、筐体に熱を逃がして冷却するという仕様上いたしかたない部分だが、膝に置いて使う場合などは注意したほうが良さそうだ。

 続いてバッテリ駆動時間を見ていこう。NM550/MAの公称の駆動時間は約11.5時間(JEITAバッテリー動作時間測定法 Ver2.0での数字)とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「(バッテリー)より良いバッテリー」、バックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約7時間を記録した。公称よりもかなり短くなったが、それでもバックライト輝度が50%に設定されていたことを考えると、まずまずの結果と言える。これなら、1日の講義で常に利用する場合でも、電源確保の心配は少ないはずだ。また、バックライト輝度が50%でも十分に明るく、さらに輝度を落としても問題ないと感じるため、輝度を落としてさらなる長時間駆動も可能だろう。

キーボードの使い勝手が向上したことで、学生向けモバイルノートとして魅力が高まった

 NM550/MAは、従来モデル同様に、大学生の声を反映して設計されたモバイルノートだ。従来モデルでは、ディスプレイの大型化を実現したが、NM550/MAでは、そこからさらなる軽量化の実現と、不満の大きかったキーボードが改良されて扱いやすくなったことで、魅力が向上している。

 もちろん、性能という点ではさらに上があるし、デザイン性という点でも、より高級感を求めたいという人もいるだろう。ただ、大学生が毎日の講義でメモを取ったり、レポートの作成、クラブなどでの活用、自宅でのWebアクセスやストリーミング動画視聴といった用途では性能は必要十分であり、安っぽいと感じるデザインでもないので、大きな不満なく持ち運んで利用できる。そして何より、実売で15万円前後、最安値圏では14万円前後という比較的安価な価格という点も、学生にとって大きな魅力だろう。

 実際に、この価格帯のモバイルノートとしては、完成度はかなり高い。学生が毎日使う、性能、携帯性、価格ともにちょうどいいモバイルノートとして、おすすめしたい。