Hothotレビュー

まるでタブレットみたいな使い心地の一体型PC「Surface Studio」

~クリエイティブ用途での新スタイルを提案

日本マイクロソフト「Surface Studio」
直販価格415,584円~

 2016年10月26日に米Microsoftから発表された、28型ディスプレイ一体型クリエイター向けハイスペックPC「Surface Studio」が、日本でも5月26日に正式投入が発表され、6月15日についに販売が開始された。

 製品発表から日本での発売までにかかった約8カ月の間、一日千秋の思いで待ち望んでいた方も多いことだろう。今回、日本マイクロソフトから本製品の最上位モデルを借用できたので、使い勝手から性能まで詳細なレビューをお届けしたい。

卓上限定28型タブレットのような感覚で扱えるクリエイター向けPC

 Surface Studioは4Kより高精細な4,500×3,000ドット(192dpi)の28型PixelSenceディスプレイを搭載した一体型デスクトップPC。「ゼログラビティヒンジ」と名づけられた独自のヒンジ機構が採用されており、28型大型ディスプレイを片手で直立状態から実測19度の「スタジオモード」まで無段階に調整可能だ。

 クリエイター向けに開発された本製品のディスプレイは、画面比率が3:2、10点タッチに対応しており、カラープロファイルを「sRGB」、「DCI-P3」、「鮮やか(Vivid)」の3段階に切り替えられる。クリエイターが用途ごとに素速く色味を確認できるように、カラープロファイルはアクションセンターからワンタッチでの変更できる。

 ラインナップは以下の3モデルだ。

  • 下位モデルの構成
    Core i5(第6世代)、GeForce GTX 965M(2GB)、DDR4-2133 SDRAM 8GB、Rapid Hybrid Drive(1TB HDD、64GB SSD)
  • 中位モデルの構成
    Core i7(第6世代)、GeForce GTX 965M(2GB)、DDR4-2133 SDRAM 16GB、Rapid Hybrid Drive(1TB HDD、128GB SSD)
  • 上位モデルの構成
    Core i7(第6世代)、GeForce GTX 980M(4GB)、DDR4-2133 SDRAM 32GB、Rapid Hybrid Drive(2TB HDD、128GB SSD)

 なお今回借用したのは上位モデルで、プロセッサは第6世代(Skylake世代)の「Core i7-6820HQ(2.70~3.60GHz)」(TDP 45W)が搭載されていた。

 インターフェイスは、USB 3.0 Type-A×4(1基は常時給電USB)、Mini DisplayPort×1、SDカードリーダ、Gigabit Ethernet拡張コネクタ、ヘッドフォンジャック、1080pカメラ(500万画素)、デュアルマイク、Windows Hello顔認識カメラ、IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.0を搭載する。USB Type-C端子は用意されていない。

 本体サイズはディスプレイ部が637.35×438.9×12.5mm(幅×奥行き×高さ)、ベース部が250×220×32.2mm(同)。重量は9.56kg。見た目はスマートなSurface Studioだが、実際にはディスプレイ一体型PCなりの重さがある。部屋から部屋へ移動させるようなPCではないが、持ち運ぶときにはしっかりと保持しよう。筆者が試したかぎりでは銀色のアーム部分を持ったときがもっとも安定した。

 同梱物はSurface Studio本体、Surface ペン、Surface キーボード、Surface マウス、グリップリリース ケーブル付き電源コード、クイック スタート ガイド、安全および保証に関するガイド、ブックレット。ロータリースイッチ型デバイス「Surface Dial」は含まれていない。もし必要なら別途購入する必要がある(直販価格11,664円)。

 なお、Surface Studioに付属するSurfaceペンは旧型だ。筆圧感知レベルは1,024段階で、傾き検知機能も備えていない。筆圧感知レベル4,096段階、傾き検知機能搭載、遅延21msに進化した新型Surface Penに、Surface Studioがファームウェアアップデートなどで対応するかどうかについては、現時点で日本マイクロソフトから公式発表はない。

【表1】Surface Studioの主要スペック
型番42L-0001342Q-0001243Q-00013
OSWindows 10 Pro 64bit
CPUCore i5(第6世代)Core i7(第6世代)
dGPUGeForce GTX 965M(2GB)GeForce GTX 980M(4GB)
メモリDDR4-2133 SDRAM 8GBDDR4-2133 SDRAM 16GBDDR4-2133 SDRAM 32GB
ストレージRapid Hybrid Drive(1TB HDD、64GB SSD)Rapid Hybrid Drive(1TB HDD、128GB SSD)Rapid Hybrid Drive(2TB HDD、128GB SSD)
ディスプレイ28型PixelSenseディスプレイ(4,500×3,000ドット、192dpi、sRGB/DCI-P3/鮮やか(Vivid)、4:3、光沢、10点マルチタッチ)
通信IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.0
インターフェイスUSB 3.0 Type-A×4(内、Powered USB×1)、Mini DisplayPort×1、SDカードリーダ、Gigabit Ethernet拡張コネクタ、ヘッドフォンジャック、1080pカメラ(500万画素)、デュアルマイク
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)ディスプレイ部:637.35×438.9×12.5mm
ベース部:250×220×32.2mm
重量約9.56kg
セキュリティWindows Hello 顔認識カメラ
付属品Surface ペン、Surface キーボード、Surface マウス、グリップリリース ケーブル付き電源コード、クイック スタート ガイド、安全および保証に関するガイド、ブックレット
Microsoft OfficeOffice 30 日無料体験
直販価格415,584円480,384円572,184円
本体前面
ディスプレイ上部には1080p前面カメラ(500万画素)、デュアルマイク、Windows Hello顔認識カメラが配置されている
本体背面
ベース部の背面アップ。左からUSB 3.0 Type-A×4(1基は常時給電USB)、Gigabit Ethernet拡張コネクタ、電源コネクタ、Mini DisplayPort×1、SDカードリーダ、ヘッドフォンジャックが並ぶ
本体右側面。ディスプレイ部の下側にボリュームボタンと電源ボタンが配置されている
本体左側面
製品パッケージ。実測サイズは790×230×570mm(幅×奥行き×高さ)
Surface Studioはパッケージのなかで保護フィルムに包まれ、ヒンジ部分には発泡スチロールが挟み込まれている。ディスプレイを引き上げるとヒンジが動いて驚かされるが、そのまま持ち上げてベース部も取り出す
片手で無段階に角度を調整できるゼログラビティヒンジを採用しているために、ディスプレイ部を持つと軽い力でヒンジが動いてしまう。ディスプレイが直立している状態であれば、アーム部を持つのが一番安定する
Apple「iMac」はディスプレイ背面に端子類が実装されているが、Surface Studioはさらに奥まったベース部背面に端子類が用意されている。そのため上から見ても端子、スロットの位置が確認しにくい。USB 3.0 Type-A端子のうちの1つと、SDカードリーダは、前面に設置してほしいところだ
同梱物一覧。上からSurface Studio本体、Surface キーボード、Surface マウス、Surface ペン、グリップリリース ケーブル付き電源コード、クイック スタート ガイド、安全および保証に関するガイド、ブックレット、保証書、PCリサイクルの案内。貸し出し機には「Microsoft Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービス」が同梱されていたが、製品版には含まれていない
Bluetooth経由で最大15mの範囲で接続するワイヤレスキーボード「Surfaceキーボード」。サイズは420.9×112.6×19.3 mm(同)、重量は419.3g(バッテリ含む)。バッテリは単4アルカリ電池2本を使用し、バッテリ駆動時間は最大12カ月
Bluetooth経由で接続するワイヤレスマウス「Surfaceマウス」。サイズは115.16×64.16×33.76mm(同)、重量は90.9g(バッテリ含む)。バッテリは単4アルカリ電池2本を使用し、バッテリ駆動時間は最大12カ月
Surface Studioに付属するデジタイザは旧型のSurfaceペン。本機はクリエイター向けのフラグシップモデルなのだから、ファームウェアアップデートで新型Surface Penにぜひとも対応してほしい
グリップリリース ケーブル付き電源コード。ケーブルの長さは約200mm

軽く動くヒンジ、回転・移動しやすい底面処理により卓上で自由に動かせる

 Surface Studioはディスプレイ一体型PCとしては軽量に仕上げられているが、それでも約9.56kgと片手で扱うには厳しい重量だ。しかし本機は机の上で驚くほど自由自在にディスプレイ位置を変更できる。

 ゼログラビティヒンジと名づけられた変形機構により、実測90度から19度の範囲を片手で調整可能なだけではない。本製品を支える4つの樹脂製の足には摩擦の少ない底面加工が施されており、テーブルの上で軽い力で回転/移動できるのだ。

 また、テーブル上で大きく位置を動かしても電源ケーブルが抜けないように、グリップリリースケーブル付き電源コードが採用されている。以上の装備のおかげで、あくまでもデスク上限定ではあるが、まるで28型タブレットのように軽快に表示位置を調整できる。

 使い勝手でもう1つ感心させられたのがヒンジの絶妙な固さ。Surface Studioのディスプレイは片手で自由に角度を変えられるが、指でのタッチ操作や、Surfaceペンで描画するさいにディスプレイが倒れてしまうような貧弱さはない。

 たとえば画面に手を置いてペン先を走らせても、多少画面は揺れるが筆記自体に支障はない。ゼログラビティヒンジはもっと軽く動くように作ることも可能だったが、タッチ操作やペン描画するさいの安定性を踏まえて、現在の固さにセッティングしたものと思われる。

ゼログラビティヒンジは実測90度から19度の範囲を片手で角度調整可能
ディスプレイ下にSurfaceキーボードを置いたまま画面を倒すと、途中でぶつかってしまう。これ以上無理に倒すと、Surface StudioまたはSurfaceキーボードのどちらかが破損する可能性があるので注意
タッチ操作では無理に力を込めないかぎりはディスプレイが倒れてしまうことはない
Surface Studioのディスプレイ角度を調整するところを動画で撮影した。角度の調整範囲や、どのくらいで揺れが収まるかなどを確認できる
Surfaceペンで少し乱暴に線を描いて、ヒンジの固さを確認してみた。筆者は筆圧が強いほうだが、それでもディスプレイが倒れたり、大きく揺れることはなかった
ベース部の四隅には摩擦の少ない樹脂製の足が配置されているため、デスク上で軽い力で回転・移動できる
グリップリリース ケーブル付き電源コードは左右から握り込まないかぎり抜けることはない。テーブル上でSurface Studioを大きく移動させても、意図せずケーブルが抜けて、電源が落ちる心配はないわけだ。逆に言えば、しっかり固定されているため、ケーブルを大きく引っ張ったら、Surface Studioが床に落下するので注意したい

キーボード、マウス、ペン、Dialの使い勝手は?

 Surface Studioには、Surfaceキーボード、Surfaceマウス、Surfaceペンが付属し、オプションとしてSurface Dialが用意されている。これらの使い勝手にも触れておこう。

 Surfaceキーボードは基本的には打ちやすいキーボードだ。フットプリントは420.9×112.6mm(幅×奥行き)、キーピッチは実測約19.2mm確保されており、ほとんどのキーが等幅だ。ただし、日本語キーボードはキーの数が多いため、「\」キーと「Backspace」キーがそれぞれ約12mm幅に狭められている。ホームポジションから遠く離れている上、隣に「Insert」キーが密接しているので、幅の狭められたBackspaceキーは打ちにくく感じた。

 Surfaceマウスはスタンダードなマウスだ。独自機能は搭載されていないが、金属製スクロールホイールが使われているなど作りはしっかりしている。しかしWindows 10のジェスチャーなどを割り当てられる高機能マウスが数多くリリースされている昨今、カスタマイズ性がないというのは少々寂しい。

 SurfaceペンはSurface Studio最大の弱点だ。筆者のように稚拙なイラストを描いたり、PDF文書に書き込みするぐらいの用途なら現在のSurfaceペンでもなんら問題はないが、液晶ペンタブレットとして本気でイラストを描きたいと思っている方は、4,096段階の筆圧感知機能、傾き検知機能、21msの遅延を実現した新型Surface Penを使いたいはず。

 すべてを「NEW Surface Pro」と同等にできないかもしれないが、仮にもクリエイター向けのフラグシップモデルなのだから、技術的に可能ならばファームウェアアップデートで新型Surface Penに対応してほしいところだ。

 オプションで購入可能なSurface Dialはアイテムとしては面白い。マグネシウム色のアルミ筐体ーは質感が高いし、回転させたときのバイブも心地いい。

 ただし実用的かというと現時点では微妙と言わざるを得ない。「Sketchable」、「Mental Canvas」、「Drawboard PDF」、「Moho」、「StaffPad」、「Bluebeam Revu」などSurface Dial対応アプリがリリースされているが、メジャーな「Word」、「Excel」、「Adobe Photoshop CC」、「Adobe Photoshop Lightroom CC」ではボリューム、スクロール、拡大、元に戻すなど標準コマンドしか利用できない。しかし「Adobe Premiere Pro CC」は「ジョグ/シャトル」機能を利用できるようになっている。キーボード、マウス、ペンに次ぐ新たなPC用入力デバイスとして定着させるべく、多くのアプリに対応してほしいものだ。

日本で販売されるSurface Studioには日本語キーボードが付属する。Surfaceキーボード単体での直販価格は11,858円。直販サイトで英語キーボードを同価格で購入可能だ
日本語キーボードはほとんどのキーは等幅だが「\」、「Backspace」キーがそれぞれ約12mm幅に狭められている
キーピッチは実測約19.2mm
Surfaceマウスは115.16×64.16×33.76mm(同)/ 90.9gとモバイル用途にも使えるサイズ/重量だ。Surface Studio用にはカスタマイズ可能な多機能マウスを購入し、このSurfaceマウスはモバイル用に転用してもいい
SurfaceマウスはWindows 10標準のカスタマイズ項目しか用意されていない
筆者が戯れに描くようなイラストであれば、筆圧感知機能やレイテンシーは旧型Surfaceペンのスペックで十分。しかしそんな筆者でも傾き検知機能で筆先のタッチを変えられる書道アプリ「ZenBrush 2」などを嗜むときには、新型Surface Penがほしくなる
Surface Studioの左側面と右側面にそれぞれ3カ所、Surfaceペンを磁力で取りつけられるポイントがある
NEW Surface Proと新型Surface Penの組み合わせでは21msの遅延が実現されているが、Surface Studioと旧型Surfaceペンの組み合わせでは、少し早めにペン先を動かすと1cm弱ほど遅れて線が描かれる
ロータリースイッチ型デバイス「Surface Dial」。Surface Pro 4、Surface Book、Surface Laptopなどでも利用可能だが、Surface Studio、Surface Proでは本製品を置いた画面の周囲にメニューを表示する「ダイヤルオンスクリーン」機能を利用できる。サイズは59×30mm(直径×高さ)、重量は145g(バッテリ含む)。バッテリは単4アルカリ電池2本を使用。バッテリ駆動時間は6月26日時点で製品公式サイトの技術仕様に記載がない
「Windows Ink ワークスペース」のお絵描きアプリ「スケッチパッド」では、ボリューム、元に戻す、ペン、色、サイズの選択に利用できる
Windows 10の「マップ」アプリでは、ボリューム、ズーム、回転、傾けるなどの機能を利用できる
「Adobe Premiere Pro CC」では「ジョグ/シャトル」機能を利用できる

広色域対応ディスプレイは個別調整済み、アクションセンターでの色域変更が便利

 28型PixelSenseディスプレイの4,500×3,000ドット(192dpi)の解像感は申し分ない。「27インチiMac Retina 5Kディスプレイモデル」の5,120×2,880ドット(218dpi)にはおよばないが、それでも4Kディスプレイよりピクセル数が約63%多いのだ。たとえばWebページを4枚同時に開いた場合でも、それぞれのページの本文をジャギーのない高品質なフォントで表示できる。

 一方、明るさや発色についても高いレベルだ。広色域を売りにした本製品は出荷時にカラープロファイルが個別に調整されているので、ユーザーが購入後に面倒な調整をする必要はない。今回、Adobe RGBで撮影した写真を、DCI-P3のカラープロファイルで表示してみたが、実際の色に非常に近い発色を得られた。

 筆者が今回画質検証用に選んだ写真はどれもDCI-P3のカラープロファイルでもっとも良好な発色が得られたので、もしSurface Studioを入手したらデフォルトのカラープロファイルはDCI-P3にするだろう。しかし、sRGBのカラープロファイルはsRGBの色空間を持つディスプレイでどのように発色されるのか確認するとき、鮮やか(Vivid)はゲームをプレイするときや、コンテンツ自体の発色が暗く沈んでいるときなどに重宝しそうだ。

Webページを4枚開いても、それぞれで高品質な文字を表示できる
アクションセンターのアップ。パレットのアイコンを押すと、鮮やか(Vivid)、DCI-P3、sRGBとカラープロファイルが切り替わる。わざわざディスプレイ設定画面を開かなくていいのは便利だ
Adobe RGBの色域で撮影した写真をDCI-P3のカラープロファイルで表示。赤のグラデーションも、緑の濃淡も滑らかに表示されている
Adobe RGBの色域で撮影した写真を鮮やか(Vivid)のカラープロファイルで表示。全体的に輝度が上がって、明るい部分のグラデーションはDCI-P3より細かく発色されるが、色の濃い範囲の微妙な質感が失われてしまった
Surface Studioのリフレッシュレートは公表されていないが、ブリザード・エンターテイメントの「オーバーウォッチ」を解像度4,500×3,000ドット(60fps)でプレイしても、筆者レベルのゲーマーにはチラツキを感じなかった

2 in 1 PCとは一線を画す性能

 最後にベンチマークのスコアを見てみよう。今回は比較用に平澤寿康氏の「NEW Surface Pro」の記事(2in1としての完成度が高まった新「Surface Pro」。ペンや静音性、バッテリ性能が大きく進化参照)のスコアを流用した。

 NEW Surface Proと「Surface Pro 4」のスコアを比較対象として選んだのは、Surfaceシリーズのなかから購入する製品を選ぶさいの指針とするためだ。

 平澤寿康氏が実施したベンチマークに、筆者がHotHot REVIEW!でこれまで実施してきた項目を下記のとおり追加している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.0.1271 64」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.7.613」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 7 v1.4.0」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.3.3693」
  • CPU、OpenCLのベンチマーク「Geekbench 4.1.0」
  • CPUのベンチマーク「Geekbench 3.4.1」
  • CPU、OpenGLのベンチマーク「CINEBENCH R15」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 5.2.1」
  • 「Adobe Photoshop Lightroom CC」RAW画像の現像時間を計測
  • 「Adobe Premiere Pro CC」フルHD動画の書き出し時間を計測
  • 「BBench」連続動作時間を計測

 なお、PCMark 10のベンチマークにおいて「PCMark 10 Score」、「Digital Content Creation」、「Rendering and Visualization Score」の項目は4回試したが計測できなかった。そのため今回は「計測不可」として除外している。

 さて、下記が検証機の仕様とその結果になる。

【表2】検証機の仕様
Surface StudioNEW Surface ProSurface Pro 4
CPUCore i7-6820HQ(2.7~3.6GHz)Core i7-7660U(2.5~4GHz)Core i7-6650U(2.2~3.4GHz)
GPUGeForce GTX 980M(4GB)Intel Iris Plus Graphics 640(300MHz~1.1GHz)Intel Iris Graphics 540(300MHz~1.05GHz)
メモリDDR4-2133 SDRAM 32GBLPDDR3-1866 SDRAM 16GBLPDDR3-1866 SDRAM 8GB
ストレージRapid Hybrid Drive(128GB SSD、2TB HDD)512GB SSD(NVMe PCIe)256GB SSD(NVMe PCIe)
ディスプレイ28インチ、4,500×3,000ドット(192dpi)12.3インチ、2,736×1,824ドット(267dpi)
OSWindows 10 Pro 64bitWindows 10 Home 64bit
【表3】ベンチマーク結果
Surface StudioNEW Surface ProSurface Pro 4
PCMark 10 v1.0.1271 64
PCMark 10 Score計測不可3,5303,254
Essentials7,7956,7156,787
App Start-up Score9,5719,1607,981
Video Conferencing Score6,4365,2986,351
Web Browsing Score7,6906,2416,168
Productivity6,3456,2105,527
Spreadsheets Score7,6307,5915,837
Writing Score5,2775,0815,235
Digital Content Creation計測不可2,8642,493
Photo Editing Score2,3623,5413,275
Rendering and Visualization Score計測不可1,7411,512
Video Editting Score2,5133,8113,131
PCMark 8 v2.7.613
Home Accelarated 3.03,8573,3733,593
Creative Accelarated 3.06,2924,8974,780
Work Accelarated 2.04,1454,3424,155
Storage4,9235,0084,967
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score6,306
3DMark v2.3.3732 64
Time Spy2,923502406
Fire Strike Ultra2,270
Fire Strike Extreme4,282
Fire Strike8,218
Sky Diver21,6925,1034,553
Cloud Gate22,6368,6427,353
Ice Storm Extreme107,419
Ice Storm112,910
CINEBENCH R15
OpenGL104.68 fps65.46 fps61.16 fps
CPU706 cb417 cb342 cb
CPU(Single Core)144 cb157 cb135 cb
Geekbench 4.1.0
32-bit Single-Core Score3,870
32-bit Multi-Core Score13,514
64-bit Single-Core Score4,320
64-bit Multi-Core Score14,606
CUDA84,072
Geekbench 3.4.1 Intel(32-bit)
Single-Core Score3,552
Single-Core Score Integer3,487
Single-Core Score Floating Point3,405
Single-Core Score Memory3,977
Multi-Core Score13,321
Multi-Core Score Integer15,040
Multi-Core Score Floating Point16,023
Multi-Core Score Memory4,482
Geekbench 3.4.1 Intel(64-bit)
Single-Core Score3,708
Single-Core Score Integer3,701
Single-Core Score Floating Point3,541
Single-Core Score Memory4,058
Multi-Core Score13,868
Multi-Core Score Integer15,935
Multi-Core Score Floating Point16,494
Multi-Core Score Memory4,485
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット38,299
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1,280×720ドット18,116
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)6,771
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC)6,4984,4663,781
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)7,258
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC)13,4973,2442,680
4,500×3,000ドット 最高品質1,683
SSDをCrystalDiskMark 5.2.1で計測
Q32T1 シーケンシャルリード1,644.551MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト490.943MB/s
4K Q32TI ランダムリード303.954MB/s
4K Q32TI ランダムライト326.322MB/s
シーケンシャルリード1,055.669MB/s
シーケンシャルライト419.765MB/s
4K ランダムリード35.802MB/s
4K ランダムライト82.416MB/s
Adobe Photoshop Lightroom CCで50枚のRAW画像を現像
4,912×3,264ドット、自動階調1分24秒73
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分のフルHD動画を書き出し
1,920×1,080ドット、30fps3分29秒95

 Core i7-6650UとCore i7-7660Uは2コア4スレッドでTDPが15W、Core i7-6820HQは4コア8スレッドでTDPが45Wと基本性能が大きく違い、またSurface Studioは外部GPU「GeForce GTX 980M(4GB)」を搭載しているので、処理の重い3DMarkのTime Spyで5.8倍ものスコアを記録している。

 今回実際のゲームとしてブリザード・エンターテイメントの「オーバーウォッチ」も試してみたが、解像度を落とさなくてもまったくストレスなく遊ぶことができた。もちろん最新ゲームを最高画質でプレイするのは厳しいが、解像度をフルHDに落とせば多くのゲームを快適に楽しめる。

 ストレージの速度については、PCMark 8のStorage、CrystalDiskMarkのスコアを見ればわかるとおり、NVMe PCIe接続のSSDと同等のスコアを記録している。SSDの高速性とHDDの大容量を兼ね備えたRapid Hybrid Driveが、その性能をいかんなく発揮した結果だ。

 実アプリの実効速度も非常に高速だった。以前筆者が今回と同条件でAdobe Premiere Pro CCで実施したSurface Pro 4のベンチマークのタイムが6分20秒91だったので、半分弱の時間でフルHD動画の書き出しが終了したことになる。

 なお、高負荷時の発熱をサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」でチェックしてみた。室温25℃の部屋で、「CINEBENCH R15」の「CPU」を連続で5回実行したさいの最大温度は、排気口からの熱風が直撃していたテーブル面で46.1℃だった。ベース部自体の表面温度は最大38℃に留まっていたので、効率よく排気できているようだ。

最大温度は排気口からの熱風が当たっていたテーブル面で46.1℃。右側面には排気を遮るようなものを置かないように注意したい

Surface Studioはディスプレイ一体型PCとして新しいスタイルを提案

 ディスプレイ一体型のPCは各社から販売されているが、Surface Studioは28型クラスの大型ディスプレイを搭載し、自由自在に角度を調整でき、またタッチパネルも利用できるのだから、まったく新しい使い勝手を提案していると言える。

 新型Surface Penに対応していないという不満点はあるが、それさえ気にならないのであれば、クリエイティブな作業をさまざまなスタイルでこなせる新機軸のディスプレイ一体型PCと言える。