Hothotレビュー

新iPad Proはディスプレイ120Hz駆動で指に吸いつくような操作が快感!

~10.5インチと12.9インチのiPad Proをダブルレビュー

左が「10.5インチiPad Pro」69,800円~、右が「12.9インチiPad Pro」86,800円~。キーボードカバーとデジタイザスタイラスは別売り

 6月6日にAppleの開発者向けカンファレンス「WWDC 2017」で発表された新型iPad Proが、6月13日から販売開始されている。新型は「10.5インチiPad Pro」、「12.9インチiPad Pro」の2モデルで構成されており、従来の9.7インチモデルは廃止された。つまり9.7インチモデルが10.5インチモデルに置き換えられたわけだ。

 今回Appleから両モデルを借用した。新たなサイズの10.5インチモデルを中心にレビューするが、要所で両者を比較していこう。

9.7インチモデルをわずかに大型化し、10.5インチディスプレイを搭載

 10.5インチiPad Proと12.9インチiPad Proの内部的なカタログスペックは変わらない。プロセッサは「A10X Fusionチップ」を搭載。ストレージは64GB/256GB/512GBの3モデルが用意されている。メモリ容量についてAppleは公表していないが、ベンチマークソフト「Geekbench 4」のシステム情報では4GBを搭載している。製品公式サイトによれば、新型iPad Proは旧型と比べて、CPU処理速度は30%、グラフィックス処理速度は40%速くなっているとのことだ。

 処理性能以外で大きく進化しているのがディスプレイ。デジタルシネマ規格「P3(DCI-P3)」の広色域を採用し、輝度も600cd/平方mに向上。また、最大で120Hzのリフレッシュレートに対応。「ProMotionテクノロジー」と呼ばれる制御技術により、コンテンツの種類や動きに合わせて24Hz、48Hz、120Hzなどとリフレッシュレートを自動調整することで、滑らかな描画と、低消費電力を両立しているという。

 カメラ機能も大幅に強化された。背面カメラは1,200万画素・f/1.8・光学式手ぶれ補正・クアッドLED True Toneフラッシュ、前面カメラは700万画素・f/2.2と、iPhone 7と同等のカメラ機能を搭載した。静止画は背面カメラで4,032×3,024ドット、前面カメラで3,088×2,320ドットで撮影可能。また動画は、背面カメラで4K/30fpsや1080p/60fps、前面カメラで1080p/30fpsで撮影可能となった。

10.5インチiPad Proで撮影(f/1.8、1/5秒、ISO-100、フラッシュなし)。暗めの部屋で撮影したためシャッター速度が1/5秒となったが、光学式手ぶれ補正機能によってほとんど手ぶれが発生していない
10.5インチiPad Proで撮影(f/1.8、1/67秒、ISO-20、フラッシュあり)。電気を消した部屋で至近距離で撮影したためフラッシュが発光したが、比較的自然な色合いで撮影できている

 従来どおり「Wi-Fiモデル」と「Wi-Fi+Cellularモデル」が用意されており、後者にはNano SIMスロットが装備され、Apple SIMが内蔵されている。従来のNano SIMカードを装着することもできるし、Nano SIMカードを装着せずに海外渡航先で主要プロバイダーの契約電話データプランを利用することも可能だ。

 本体サイズは、10.5インチiPad Proが174.1×250.6×6.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量はWi-Fiモデルが469g、Wi-Fi+Cellularモデルが477g。一方の12.9インチiPad Proは本体サイズが220.6×305.7×6.9mm(同)、重量はWi-Fiモデルが677g、Wi-Fi+Cellularモデルが692g。

 旧型の9.7インチiPad Proが本体サイズ169.5×240×6.1mm(同)、437g(Wi-Fiモデル)、444g(Wi-Fi+Cellularモデル)なので、10.5インチiPad Proは幅4.6mm、奥行き10.6mmとわずかに大型化している。

【表1】新旧iPad Proの主要スペック
新型旧型
10.5インチiPad Pro12.9インチiPad Pro9.7インチiPad Pro12.9インチiPad Pro
CPUA10X Fusion(6コア)A9X(2コア)
メモリ4GB2GB4GB
ストレージ64/256/512GB32/128/256GB128/256GB
背面カメラ1,200万画素、f/1.8、光学式手ぶれ補正、クアッドLED True Toneフラッシュ1,200万画素、f/2.2、True Toneフラッシュ800万画素、f/2.4
前面カメラ700万画素、f/2.2500万画素120万画素
ディスプレイ10.5インチ(2,224×1,668ドット、264dpi)、広色域ディスプレイ(P3)、ProMotionテクノロジー12.9インチ(2,732×2,048ドット、264dpi)、広色域ディスプレイ(P3)、ProMotionテクノロジー9.7インチ(2,048×1,536ドット、264dpi)、広色域ディスプレイ(P3)12.9インチ(2,732×2,048ドット、264dpi)
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)174.1×250.6×6.1mm220.6×305.7×6.9mm169.5×240×6.1mm220.6×305.7×6.9mm
重量469g(Wi-Fiモデル)
477g(Wi-Fi+Cellularモデル)
677g(Wi-Fiモデル)
692g(Wi-Fi+Cellularモデル)
437g(Wi-Fiモデル)
444g(Wi-Fi+Cellularモデル)
713g(Wi-Fiモデル)
723g(Wi-Fi+Cellularモデル)
連続動作時間最大10時間
Apple SIM内蔵対応

 カラーは10.5インチiPad Proがスペースグレイ/ローズゴールド/ゴールド/シルバーの4色展開、12.9インチiPad Proがスペースグレイ/ゴールド/シルバーの3色展開。

 6月21日時点にApple Storeで10.5インチiPad Pro(Wi-Fi+Cellularモデル)の到着予定日を確認したところ、スペースグレイとローズゴールドが6月30日~7月2日、シルバーが6月23日、ゴールドが6月22日となっていた。各カラーの供給数は当然異なるだろうが、スペースグレイとローズゴールドに人気が集中している。

左からゴールド、ローズゴールド、スペースグレイ、シルバー

 ボタンと端子の構成に大きな変化はない。表に前面カメラ(700万画素、f/2.2)、ホームボタン/Touch ID(指紋認証)センサー、裏に背面カメラ(1,200万画素、f/1.8、光学式手ぶれ補正)、上部に3.5mmヘッドフォンジャック、スピーカー×2、電源ボタン、下部にLightningコネクタ、スピーカー×2、右側面にボリュームボタンとNano SIMトレイ、左側面にキーボードカバー「Smart Keyboard」を装着するための端子「Smart Connector」が配置されている。

 ただし、細かな点では、新型の10.5インチ/12.9インチiPad Proは、背面カメラにフラッシュ(クアッドLED True Toneフラッシュ)が搭載され、デュアルマイクが本体上部に移動している。また背面カメラは性能向上の代償に筐体から飛び出している。

本体前面。上部に前面カメラ(700万画素、f/2.2)、下部にホームボタン/Touch ID(指紋認証)センサーが配置されている
本体背面。左上に背面カメラ(1,200万画素、f/1.8、光学式手ぶれ補正)が配されている。カメラの下にあるのはフラッシュ(クアッドLED True Toneフラッシュ)。上部中央の小さい穴はデュアルマイクの内の1つ。中央のロゴは鏡面仕上げ
本体上部。左から電源ボタン、スピーカー×2、3.5mmヘッドフォンジャック。中央の小さい穴はデュアルマイクの内の1つ
本体下部。Lightningコネクタとスピーカー×2が設けられている
本体右側面。左からNano SIMトレイ、ボリュームボタン。横から見ると背面カメラの飛び出し具合がわかる
本体左側面。中央にあるのがキーボードカバー「Smart Keyboard」を接続するための端子「Smart Connector」
製品のパッケージ
パッケージには、ディスプレイの高解像度をアピールする意図か、浮き輪に乗った女性の姿がさりげなく写っている
同梱物一覧。iPad Pro本体、USB電源アダプタ、Lightning - USBケーブル、小冊子入れとシンプルな構成だ。Lightning - USBケーブルの長さは実測約105cm
小冊子入れには、クイックスタートガイド、安全性に関する注意事項、PCリサイクル、ロゴシール、Nano SIMトレイ用ピンなどが収められている
10.5インチiPad Proの実測重量は478.5g。ちなみに12.9インチiPad Proの実測重量は691g。Apple公式スペックと異なるが参考値として掲載しておく
USB電源アダプタとLightning - USBケーブルを合わせた実測重量は85.5g
USB電源アダプタは入力100-240V、出力5.2V/2.4A、容量12W
新型10.5インチ、12.9インチiPad Proのフットプリントを比較。幅で46.5mm、奥行きで55.1mmの差がある
新型10.5インチ、12.9インチiPad Proの厚みを比較。本体の厚みは0.9mmとわずかな差に留まっている
左が新型10.5インチ、右が12.9インチiPad Proのカメラ部を並べて撮影したもの。本体の厚みには0.9mmの差があるが、カメラ先端の厚みはほとんど揃っており、新型10.5インチiPad Proのカメラが大きく張り出しているのがわかる

格段に滑らかになったディスプレイ描画、発色もさらにきめ細やかに

 前述のとおり、新型iPad Proのディスプレイは最大120Hzのリフレッシュレートを実現しており、60Hzの旧型iPad Proと比べて段違いに滑らかさが向上している。リフレッシュレートとは画面を書き換える回数のこと。120Hzであれば、1秒間に120回画面を書き換えることになる。

 どのぐらい滑らかなのかは実物を見ていただくしかないが、参考用に新型と旧型iPad Proの比較動画を用意したのでご覧いただきたい。

新旧iPad Proの描画速度を比較。左が旧型、右が新型12.9インチiPad Pro

 この動画は240fpsで撮影した映像を60fpsで書き出したものなので、直接目で見たときと見え方は異なる。もちろんこの動画の再生環境でも見え方は変化する。

 しかし、25%の速度でスローモーション再生しているパートでは、新型iPad Proが旧型iPad Proに比べてどのくらい滑らかなのか確認できる。旧型iPad Proも一般的なタブレットと比べれば十分スムーズだが、新型iPad Proは指に画面が吸いつくかのような別次元の滑らかさだ。

 ディスプレイの発色については、グラデーション豊かで、暖かみのある絵作りが好印象。新型iPad Proは、600cd/平方mへの明るさの向上、DCI-P3への色域の拡大により、発色可能な色数が格段に増えている。また、周囲の光環境に合わせてホワイトバランスを調整する「True Tone」技術により、環境光に左右されず映像、画像コンテンツを鑑賞可能だ。

 据え置き型の機材ではその環境に合わせてカラー調整すべきだが、iPad Proのようにさまざまな場所で利用する機材では、True Toneは有用な技術と言える。

こちらはTrue Toneを適用した例。左から新型10.5インチ、新型12.9インチ、旧型12.9インチiPad Pro。写真ではわかりにくいが、新型iPad Proは赤のグラデーションがより滑らかに発色されている。また、このように並べて見ると、旧型iPad Proは全体的に青味がかっていて、寒々しく感じられる
こちらはTrue Toneを無効にした例。True Toneを無効にしても、新型iPad Proは画面全体に少し赤みが残る。ディスプレイパネルの発色の傾向がそもそも異なるようだ
新型iPad Proには「設定→画面表示と明るさ」のなかに、True Toneをオン/オフする設定項目が用意されている。旧型iPad Proにはこの項目は存在しない

 リフレッシュレートの引き上げは、Apple Pencilのペン先追従性も改善している。Apple Pencil自体は筆圧感知、傾き検知対応とスペックはまったく変わらないが、ProMotionテクノロジーを搭載した新型iPad Proと組み合わせると、遅延が20msに低減する。実際に描線の追従性を確認してみたが、新型iPad Proの描線の遅れは、旧型iPad Proの2分の1程度に収まっていた。メモ書き程度であれば使い勝手にそれほど差は出ない。しかしイラストを描くさいには、描線の遅れが少ない新型iPad Proのほうが正確な線を積み重ねていける。

新旧iPad Proのペン追従性を比較。左が旧型、右が新型12.9インチiPad Pro
筆者自身は絵心がないのであくまでも想像だが、短い線を積み重ねて主線とするような描き方をするさいには、描線に遅れがないのは重要なポイントではないだろうか?

待望の日本語対応キーボードカバーが登場、ホルダー付きスリーブも魅力

 純正アクセサリが充実したのも大きなトピック。Apple Pencilを収納できるレザースリーブ「iPad Pro用レザースリーブ」、コンパクトなペンシルケース「Apple Pencliケース」なども魅力的だが、日本のユーザーにとってもっとも重要なアクセサリが「日本語(JIS)」に対応したキーボードカバー「iPad Pro用Smart Keyboard」だろう。

 MacBookの日本語(JIS)キーボードと同様にスペースキーの左に「英数」、右に「かな」切り替えのキーが用意されており、「地球(言語)」キーでの入力モード変更よりも、素速く日本語入力、英語入力を切り替えられる。旧型iPad Proでも使用可能なので、「英語(US)」仕様のSmart Keyboardの使い勝手にうんざりしていた方は、買い換える価値は十分にある。

 さて文字入力を主な作業として予定している方は、10.5インチ用と12.9インチ用のSmart Keyboardの使い勝手の差が気になるだろう。Smart Keyboard自体の横幅は、10.5インチ用が実測約250mm、12.9インチ用の約306mmと大きな差があるが、キーピッチは10.5インチ用が約18.2mm、12.9インチ用が約19.2mmとそれほど違いはない。

 記号キーの横幅が極端に狭められているが、慣れで気にならなくなるレベルだ。ちなみに10.5インチ用iPad Proで、12.9インチ用のSmart Keyboardを利用可能なので、どうしても小さなキーボードが苦手な方は異なるサイズの組み合わせで使ってもよいだろう。

iPad Proと主要アクセサリのパッケージを並べてみた。左上から「10.5インチiPad Pro」、「10.5インチiPad Pro用レザースリーブ」(15,800円)、「10.5インチiPad Pro用Smart Keyboard」(17,800円)、「Apple Pencil」(10,800円)、「Apple Pencilケース」(3,200円)。ちなみに12.9インチ用はレザースリーブ、Smart Keyboardともに18,800円となる
iPad ProとSmart Keyboardのキーボード利用スタイル。Surface Proシリーズなどの2in1と異なり、角度は実測約52度で固定となる
Smart Keyboardはキーボード部を二重に折り畳んで、ディスプレイ面にかぶせる。キーボード部が二重になっているぶん段差があるので、片手でホールドするさいに少々持ちにくい
日本語(JIS)仕様のSmart Keyboard。キーピッチは10.5インチ用が実測約18.2mm、12.9インチ用が約19.2mm
こちらは英語(US)仕様のSmart Keyboard。キートップの文字が少ないぶんシンプルなデザインだが、英数、かな切り替えキーが用意されていないので、日本語と英語が入り交じった文章を入力するのに不便だ
手の長さが20cmの筆者がホームポジションに指をセットすると少々窮屈な印象があるが、ウルトラモバイルPCなどを使い慣れているのでとくに支障はない。記号キーが狭められているため、慣れるまでしばらく目を落として位置関係を確認していたが、十数分でタッチタイピングできるようになった
上が12.9インチ用、下が10.5インチ用iPad ProのSmart Keyboard。このように並べて見ると、文字キー自体の面積は大きく変わらない
10.5インチiPad ProとSmart Keyboardを合わせた実測重量は723g。ちなみに12.9インチの組み合わせでは1,026.5g。常に携帯するのであれば、やはり前者を選んだほうが身軽に行動できる
iPad Pro用レザースリーブには、Apple Pencil用のホルダーが用意されている。これならApple Pencilを置き忘れるミスを最小限に減らせそうだ
iPad ProにSmart Keyboardを装着したままで、レザースリーブに入れることは可能。しかし型崩れしそうなのでやめておいたほうが無難だ
バッグのなかでは荷物同士がひしめき合い、予想外に強い圧力が発生し、Apple Pencilのような繊細なアイテムは破損する可能性がある。「Apple Pencilケース」に入れておけば、そのような事故をある程度防いでくれる
10.5インチiPad Pro用Smart Keyboardのみ、Apple Pencilを磁力で吸着できる。この状態でバッグに入れたままホールドできるほど強力な磁力ではないが、ちょっとした移動のさいには便利な機能だ。本機能はなぜか日本語(JIS)、英語(US)キーボードを問わず、12.9インチiPad Pro用Smart Keyboardには実装されていない
同じSmart Connectorを使用しているので、10.5インチiPad Proと12.9インチiPad ProでSmart Keyboardを入れ替えても問題なく利用できる。カバーとしての実用性は大きく劣るが、サイズ違いのiPad Proを所有する友人から借りて流用できることは覚えておこう

着実に向上した性能を有効活用できるのはiOS 11から

 最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は新型10.5インチiPad Pro、新型12.9インチiPad Proに加えて、旧型12.9インチiPad Proでベンチマークを実施している。使用したベンチマークプログラムは下記のとおりだ。

  • 総合ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」
  • CPUとGPUのベンチマーク「Geekbench 4」
  • 3Dベンチマーク「3DMark」
  • 3Dベンチマーク「GFXBench GL」
  • 「iMovie」フルHD動画の書き出し時間を計測
  • 「Lightroom for iPad」RAW画像の現像時間を計測
  • Apple製JavaScriptベンチマーク「JetStream 1.1」
  • Google製JavaScriptベンチマーク「Octane 2.0 JavaScript Benchmark」
  • Mozilla製JavaScriptベンチマーク「Kraken JavaScript Benchmark(version 1.1)」
  • 動画再生時の連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ50%)

 なお、旧型12.9インチiPad Proは、2015年11月11日に購入して以来、ほぼ毎日使用している。当然バッテリが劣化しているので、連続動作時間はあくまでも参考にとどめていただきたい。

【表2】ベンチマーク結果
新型10.5インチ
iPad Pro
新型12.9インチ
iPad Pro
旧型12.9インチ
iPad Pro
AnTuTu Benchmark
Total203,893230,362187,934
3D85,20589,04171,351
UX59,77664,35854,540
CPU47,27260,30849,342
RAM11,64016,65612,701
Geekbench 4
Single-Core Score3,9133,8913,144
Multi-Core Score9,1809,1415,273
Compute27,84427,65615,017
3DMark
Sling Shot Extreme3,3594,2953,133
Sling Shot4,4045,0883,892
Ice Storm Unlimited53,57453,57236,422
GFXBench GL
マンハッタン3,5052,6692,004
1080p マンハッタンオフスクリーン5,9746,0435,114
ティラノサウルス レックス3,3483,3503,339
1080p ティラノサウルスレックス オフスクリーン11,98812,0429,492
iMovie
フルHD、5分1分20秒281分20秒291分27秒54
Lightroom for iPad
自動階調、15枚56秒3255秒761分32秒60
JetStream 1.1 ※Appleが開発したJavaScriptベンチマーク、数値が大きいほど高速
トータルスコア200.41200.92148.77
Octane 2.0 JavaScript Benchmark ※Googleが開発したJavaScriptベンチマーク、数値が大きいほど高速
トータルスコア31,52931,51222,568
Kraken JavaScript Benchmark(version 1.1) ※Mozillaが開発したJavaScriptベンチマーク、数値が小さいほど高速
トータルスコア971.1ms970.6ms1283.8ms
連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ50%)
ダウンロードしたミュージックビデオを連続再生7時間56分25秒8時間27分22秒7時間59分53秒

 今回ベンチマークを実施したさい、「AnTuTu Benchmark」、「Geekbench 4」、「3DMark」、「GFXBench GL」でスコアのバラツキが見られた。そのため今回は3回計測した値の平均値を掲載している。

 前述のとおり、新型iPad Proは旧型と比べて、CPUの処理速度は30%、グラフィックスの処理速度は40%速くなっているとAppleは謳っている。しかし「Geekbench 4」のCPU性能を計測する「Multi-Core Score」で73%、GPU性能を計測する「Compute」で84%、新型12.9インチiPad Proが旧型12.9インチiPad Proより高速だというスコアが記録されている。これはいささか速すぎるので、なんらかの誤動作または相性問題が生じていると思われる。

 ほかのベンチマークについてはおおむねAppleが発表している処理速度向上に則した結果だ。「GFXBench GL」の「マンハッタン」で新型10.5インチよりも新型12.9インチiPad Proのほうが大幅にスコアを落としているが、これは後者のディスプレイ解像度が高いためだ。

 全体を通してみると新型iPad Proは順当に性能を伸ばしたと言える。これだけの性能をタブレット端末が必要かという疑問を持つ方もいるだろうが、秋に登場する「iOS 11」には、マルチタスキング、Appスイッチャー、Dock、ファイル、ドラッグ&ドロップなど多くの機能が強化、追加され、PC的な利用スタイルが可能になる。そのときこそ新型iPad Proの性能は有効活用できるようになるわけだ。

10.5インチと12.9インチのどちらを買うべき?

 10.5インチと12.9インチのどちらを購入するかは悩ましい。携帯性を重視するなら10.5インチ、閲覧性や作業性を重視するなら12.9インチとなるのは当然だが、どちらに優先順位を置くかは人それぞれだ。

 ただし、必ず事前にイメージしてほしいのがアクセサリ込みの重量。単体では10.5インチiPad Proは477g、12.9インチiPad Proは692gだが、Smart Keyboardを含めればそれぞれ723gと1,026.5gに増加する。常に携帯して使い倒したいのであれば、そのほかに持ち歩く荷物も含めたトータル重量を把握した上で、どちらを選ぶか決めてほしい。