大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」

江田社長はインテル日本法人をどう変えるのか

~社長就任から半年を経た江田社長に訊く

 2013年10月にインテル日本法人社長に江田麻季子氏が就任してから約半年が経過した。同社日本法人の社長としては初の女性社長、そして、マーケティング部門出身の社長としても話題を集めた。2000年にマーケットリサーチ・マネージャーとしてインテルに入社して以来、日本法人のマーケティング本部長、インテル セミコンダクターのAPAC地域を統括するマーケティング&コンシューマーセールス担当ディレクターを務めた経験を持つなど、実績は十分。

 この半年間はどんなことにこだわってきたのか。そして、今後はどんな経営手腕を発揮するのだろうか。江田社長にインタビューした。

インテル代表取締役社長 江田麻季子氏

――江田社長は2000年にインテルの日本法人に入社したわけですが、もともと文系出身であるにも関わらず、なぜ技術中心のインテルに入社したのですか。

江田氏:ご指摘のように、私は大学も、大学院でも、社会学を学んできました。当時は、社会学はあまり知られてはいなかったのですが、私は少し変わっていて(笑)、高校生の頃から社会学をやると決めていたんですよ。人そのものを対象に勉強するのが心理学だとすると、社会学は複数の人が重なり、家族という単位や企業の組織を構成したり、それが大きくなり政治や国家という単位でも勉強ができるという広がりに魅力を感じていました。また、統計学を使うような科学的な部分と、歴史や文化という定性的な部分を組み合わせて分析するところが、とても人間くさくて面白いなと思っていたのです。大学で学んで、統計学をある程度使える技術を持っていたので、米国に渡って、大学院に入り、その後、病院関係の仕事に就きました。もともと英語は好きでしたが、流暢というレベルではなく、大学院でも苦労しましたし、就職したあとも徐々に学んでいきましたね。

――米国に行きたいという思いが強かったのですか。

江田氏:私はちょうど男女雇用機会均等法の世代であり、しかもバブルの時代だったので仕事はいくらでもあったのですが、ただ、よくよく見てみると、女性が行けるところは比較的限られていました。その中で、女性進出がもっと進んだところに行ってみたい、そこにおいては、女性だからではなく、日本人だからではなく、自分の力を試せるところに行ってみたかったんです。まぁ、若気の至りということでしょうか(笑)。それで米国に行ってみようと。そういう経歴を送ってきた人生なので、大企業のトップの方とは違う経歴でお恥ずかしい限りなんです(笑)。

――しかし、米国に行って学んできたことが、今に繋がっている部分は大きいのではないでしょうか。

江田氏:米国で学んできたことを1つ挙げるとすれば、周りに順応していく力、いわば「順応性」かも知れませんね。日本にいると、「女性だから」とか「若いから」という甘えた気持ちがどこかにできてしまうのですが、米国で仕事をすると、それはほとんど関係ない話で、「あなたの能力はなんですか?」という話になる。最初から一人前に扱われ、そこに順応していかなくてはならない。米国では、新入社員として徐々にトレーニングをしていくのでなく、最初からその仕事に合った人を採るという考え方です。それは日本とはかなり違うものですし、結果として、自分に対する自信をつけることにはなりましたね。

――インテルとの出会いはどんなタイミングで?

江田氏:私は、90年代のほとんどを米国で過ごしました。その頃、アンディ・グローブが『Only the Paranoid Survive』を書いてベストセラーとなり、1997年にはTIME誌の「今年の人」に選ばれ、米国でインテルが注目を集めていた時期でもあったのです。私は、病院で市場調査の仕事をしていたのですが、何となくインテルって面白い企業だなとは思っていました。その後、日本に帰って働いていたときに、インテルからマーケットリサーチのマネージャーとして来ないかという話をいただいたのです。その時に「あっ、あのインテルだ」と。私が持っていたインテルの印象は、とても勢いがある企業で、なおかつ、半導体という社会の基盤を担う製品を作っている会社。とにかく面白そうな仕事をしている企業だなという印象でした。そこに入れば、私自身も面白いことができるかも知れないと思ったのです。また、アンディの本を通じて感銘を受け、常に危機感を持っていることの大切さを知り、それが自分の価値観と似たところがあったので、インテルには合うんじゃないかな、という気持ちもありました。

――実際にインテルに入った印象はどうでしたか。

江田氏:企業風土という点では、想像通りでしたね。ただ、技術の会社ですし、私は技術畑の出身ではないので、最初の6カ月は半導体が何たるものかということを学ぶのに苦労しました。

――当時から、日本法人の経営トップになる思いというのはあったのですか(笑)。

江田氏:正直にいうと、それはありませんでした(笑)。私はインテルで面白い経験ができたらいいなと思っていたんですよね。何か学ぶことがあればいいなと。ですから、「いつかは社長を目指してやろう」というのは、まったくなかったですね。

――これまでの経験を活かした、江田社長流の経営手法とはどんなものになりますか。

江田氏:この業界は、すごく変化が激しい。私たちのビジネスも大きく変革をしています。そうした業界において、私が持つ順応性であったりとか、さまざまな人たちと仕事をしてきた経験が活きてくると思っています。局面が変わるときに、柔軟に対応することができるのは私の特徴です。また、1人1人の持っている力が出せる環境を作りたいと考えています。社員1人1人にやる気がなければ求める結果は出ない。この仕事をやり抜きたいと社員が思える環境づくりが、リーダーにとって重要な仕事だと思うのです。社員が、より自発的な考え方や、創造性のある考え方ができるようになると、企業の力はもっと強くなると思っています。

 一方で、社長に就任する直前までは、アジアパシフィック地域を担当していたのですが、私が統括する部門には26カ国の人がいて、拠点もアジア各国約20カ所に分かれていました。電話とメールでチームをまとめていくわけですから、最初はどうしようかと思いましたが、やって分かったのは、しっかりコミュニケーションを取って、相手がどういう考え方を持ち、どういう意見を持っているのかを理解する大切さでした。日本法人の社長になってからも、日本のパートナー各社やお客様と接するとき、社員と接するときも、密なコミュニケーションを心がけ、相手がどういう背景でこういう考えをしているのか、なぜこういう考え方が出てくるのか、という点から理解していこうと考えています。

 私には、「この人をお手本にしよう」という特定のリーダーがいるわけではないのですが、インテル社内にもいろいろなリーダーがいますし、社外にもいます。盗めるところは盗んで、勉強しながらやっています。

――インテルの日本法人では初の女性社長であること、また、マーケティング部門出身の社長という点でも初めてです。どんなインテルを生み出すことになるのでしょうか。

江田氏:私は女性であり、バックグラウンドも変えられないですから、このままで行くしかないのですが、そのことが、何か良いインパクトを与えられればと思っています。今、多くの企業がイノベーションを求めています。異質なものが重なったときに、新しいものが出てきて、イノベーションが起こりやすいということを考えると、私みたいな“異物”(笑)が、いま求められるのではないかと思います。異質なものが重なったときのアイディアの出方はとても新鮮だと思っていますし、私自身もそうしたことにはほとんど抵抗がありません。それを社内で進められれば、インテルも非常に革新的なことができるだろうし、スピード感も上がると思っています。

 女性が社長になったことが、ニュースにならない時代になることが私の夢なのですが、世の中の半分は女性ですから、それは近い将来、起こることだと思います。優秀な人は性別に関わらずいて、ただ、少数派であるからこそ、誰かが引き上げてあげないとなかなか上にはあがりません。しかし、オープンマインドな経営者が増えてきたことが、女性経営者の増加に繋がっているのではないでしょうか。

 また、シリコンバレーを見ていると、彼らのサービスや製品を使う人の半分、あるいは半分以上が女性なのです。それなのに、製品企画やサービスを考える人が全員男性というのは、企業にとって、とても危険なことだと思うのです。企業として市場が求めているものを作るには、ユーザーニーズを分かっている人が決定権を持った方がいいのは明らかです。

 技術の会社には技術者が多く、全体的に男性が多いというのは万国共通です。しかし、インテルを例にとっても、最終製品として使う人の半分以上は女性ですし、特にガジェット系では約6割が女性だと言われています。インテルの米本社社長は、レネイ・ジェームスという女性です。今の時代を考えれば、能力があり、その時代に最適な決定をする人が経営トップに選ばれた例の1つだと言えます。

 一方で、技術畑出身ではなくて、マーケティング畑出身という点では、社内には技術に強い人たちがいますから、私のような立場でエンドユーザーのニーズを、これまで以上に汲み取った形で、インテルの技術をうまく利用していただけるような環境作りに目が向けやすくなるのではないでしょうか。

 ただ、私の属性ということよりも、最終的には、人や組織の集大成の中から、いいものを出せるような経営の仕方ができればと考えています。

――江田社長体制で、インテルが変わるところと変わらないところはどこでしょうか。

江田氏:インテルは技術革新の会社であるということは変わりません。インテルの根幹は、やはり半導体の開発技術と製造技術です。また、規律を持った経営姿勢も変わりません。そして、5年後を見据えた大型投資をリスクは取りながらやるという経営も変わりません。一方で、インテルは63カ国でビジネスをしていますが、国際性をさらに進化させ、日本を含めたアジアの重要性を高めていくという役割を果たしたいですね。

 私は、社員に「オープン・アンド・ダイレクト」ということを言い続けています。これは、「もっとオープンに話そうよ」、そして「もっとダイレクトに話そうよ」という意味です。肩書きに関係なく「何か思ったことがあったら、ちゃんと直接的にオープンに話をしよう」、「そこでちゃんと議論をしよう」と言える環境を作りたいと思っています。

 最近、社員からも気軽に話しかけられる機会が増えてきたので、環境が少しずつ変わってきたのかなと思っています。

 これだけ変化が起こっている時ですので、現場で対応している社員の声には大きなヒントがあるはずで、彼らが感じるところはとても重要です。それが私に届くまでにフィルターがかかってしまうと、経営判断が遅れるのではないかという危機感があります。その点でも「オープン・アンド・ダイレクト」の風土はもっと強めていきたいですね。

 職務としては当然厳しい判断もしますが、一方で、近付きがたい人間にはなりたくないんです。そこには難しい境目があって、社長然としていてくださいという人もいますし、一方で、何かアイディアがあったり困っているときに、私に気を遣いすぎて、無駄に時間が過ぎないようにしなくてはなりません。そのバランスが大切だと思います。

 また、部下を信じることも大切ですね。現場レベルである程度は判断できるようにしておくことが重要だと思いますし、価値観を共有することによって、何が重要で、何が重要ではないのかというのを全社員が理解していれば、より早く動けるのではないかと思います。

 さらに、グローバルとの協業も重要です。インテルの日本法人は、日本で事業を行なっていますが、メール、電話を活用すれば、世界中に10万人いるインテルの社員の力を借りながら仕事ができる。これを実現するには、オープンで、ダイレクトなコミュニケーションが必要です。特にアジアはタイムゾーンが一緒なので非常に協力しやすい環境にあります。人と人をいっぱい繋げて、俊敏な判断ができるような環境は作ろうと思っています。

 何かができそうとなった時に、躊躇なくアジアにいる社員や、世界中にいる社員、あるいはそのトピックの専門家に対して、電話をかけて「どう思う?」というように、会議をきっちり設定せずに自然に話せて、有機的に会話が起こるようなことを期待しています。さまざまな人間が参加して、場所を設定しなくても、アイディアの創造が自然に起こっている環境を目指したいですね。人と人が繋がっているから、あらたまった形で会議を設定しなくても、そうしたことがいっぱい起こる、そうしたら、企業として勝てるチャンスが高まるような気がします。アジアで仕事をしているときは、スケジュール設定をしていなくても「5分だけ話したいのだけど」というのはしょっちゅうでした。社員1人1人がそれをできたら、スピード感はすごく上がるだろうし、アイディアのバラエティも増えるでしょう。倍々ゲームでチャンスが広がっていくような気がします。

――これからのインテルの役割はどうなりますか。

日本の技術を世界へ発信する「インテル コラボレーション・センター」を3月12日に開設

江田氏:IoT(Internet of Things)と呼ばれる、あらゆるものが繋がる時代において、インテルの半導体製品が、全ての基盤になることを目指していきます。いまインターネットに繋がっている機器は150億個。これが2020年には500億個になります。500億個のモノが繋がり、生活が改善され、より便利で、安全な社会が実現する中で、インテルは重要な役割を果たすことになります。データセンターやサーバーから、PC、タブレット、スマートフォン、そして、ウェアラブルからIoTに至るまで、インテルの製品を共通の基盤として活用してもらうことで、素晴らしい世界を実現したいと思っています。

 昨年(2013年)の社長就任会見の際には、「アジアとの架け橋になりたい」という言い方をしましたが、モノづくりの現場では今、アジアとの協業は欠かせない状況です。インテルとしても、アジアの国々との連携を強めることによって、日本のモノづくりをサポートすることができます。アジアは中間所得層が増加していますから、日本の企業にとって大きなチャンスが生まれつつあります。この機会を活かして、日本企業がグローバル市場で成功する確率を上げたいと思っています。

 私がアジアにいる時に実感したのは、日本企業の製品や日本のブランドに対する強い尊敬の意と憧れ、そして品質の高さへの評価です。ここまで日本の製品に対する評価が高いということは、日本にいる時に分からなかったことです。ですから、日本の企業にとっては、すごくチャンスがあると思いました。IoTの世界になれば、機器単独の世界から、機器同士が繋がる世界になる。すると、総合力を持つ日本の企業はアイディアが生まれやすく、いち早い製品化もできる。インテルと一緒に、日本の素晴らしい技術を世界に広げていきたいなと思っています。これからの世界にワクワク感を感じています。

――今後、重点的に攻める領域はありますか。

インテルが注力する4つの分野

江田氏:インテルには、「モビリティ」、「ユーザーエクスペリエンス(UX)」、「データセンター」、「テクノロジー」という4つの注力分野があり、これらの領域で存在感を高めていきたいと考えています。企業では、数多くのデータが蓄積され、その結果、データセンターの需要が増えています。ここにインテルとしてどんな提案をしていくのかというのが1つのテーマです。

 また、五感を使って操作し、ジェスチャーや音声によって、パスワードがない世界を作るといったことにも挑戦していますし、モビリティ分野においてもタブレットやスマートフォンの領域でインテルの存在感を発揮したい。そして、一番、夢が広がっている領域がデータセンター分野に含まれるIoTです。インテルが持つ製品群もセキュリティや解析ツールなどに広がっていますから、より具体的な提案が行なえるようになっている点も大きいと言えます。

――江田社長の最初のゴールはなんでしょうか。

江田氏:ビジネス上では数値目標があったり、あるいはどれだけ早く新規ビジネスを立ち上げるかといった指標がありますが、私自身が個人的に考えているのは、日本の技術を外に出していくために、いかにインテル日本法人をグローバル化していくか。そして、さまざまな異物を取り入れられる体制を作りたいと思っています。

 いろいろな人と話をしてアイデアとぶつけることで、技術や製品を発展させたい。もともとインテルにはそういう文化があるという指摘もありますが、私にしてみれば、それでもまだまだ足りません。おそらくこの取り組みは、“これでOK”という目標はないですよね。相手と本当の信頼関係を結べて、なおかつ、共同作業で何かを生み出していくといった深いレベルの話だと思っていますし、それを有機的に繋げる環境作りにはより一層力を入れていきたいと思います。

――2014年度第1四半期の業績が発表されました。全世界の業績、そして日本での業績はどう自己評価していますか。

江田氏:2014年第1四半期業績におけるトピックスは、データセンタービジネスが好調だったこと、IoTも好調な伸びを見せているという点です。また、PC事業も安定感が増してきました。全体では前年同期に比べて増収減益となっています。日本の業績については詳細は公開していませんが、日本は第1四半期が需要のピークですし、その中でWindows XPのサポート終了や、増税前の駆け込み需要もあり、売上高はかなり順調でした。日本のPC市場は、2013年を通じても出荷台数としても堅調であり、それに加速がついた格好です。一方で、データセンター関連でも、最先端の非常に技術力の高いお客様が多いこともあり、最先端のご提案をさせていただいています。より柔軟にデータセンターを運営していこうというニーズに対して、その仕組みをご提案するものとなっています。また、モバイルに関しては、マイナスで推移していますが、日本ではこの分野への、サポート体制を強化しており、今後も注力分野として取り組んでいます。

――最近、PCはなくなるのかというような話題が出ることがあります。江田社長はどう捉えていますか。

PCやタブレットのスタイルは多様化

江田氏:デスクトップPCから始まったPCの歴史を振り返ってみると、デスクトップPCの性能、操作性、デザイン性が高まる一方で、省スペースで利用できたり、持ち運ぶことができるノートブックPCが登場し、さらに小型、軽量化が進むという変化を遂げてきました。これによって用途が広がってきたといえます。タブレットやスマートフォンの広がりという、今起こっていることも、その延長線上にあると私は捉えています。

 コンテンツを見るだけとか、より持ち歩きやすいというニーズが高まる中で、そこに適しているのがタブレットです。しかし、2つの作業を同時に行なったり、長い文章を書いたりといったクリエイティビティなことをするには、ノートPCやデスクトップPCのニーズはある。また、双方の良さを活かそうと「2-in-1」の提案も出てきています。これによって、PCとしても、タブレットとしても使えるようになります。

 また、これまでのPCそのものも、それぞれのカテゴリの中で広がっています。デスクトップPCはオールインワン(液晶一体型)となって、TVなのかPCなのか分からないデザインの製品も登場し、これを平面にするとタッチで操作でき、新たな使い方ができます。このように、多くの人がタブレットやPCのさまざまな使い方を想定し、ニーズが広がっていることは、この業界にとっていいことだと思っています。私は、PCというカテゴリで見るのではなく、「コンピューティング機能」という形で整理しています。それぞれのデバイスが、ユーザーのさまざまな生活シーンにおいて、ピタッとくるものが登場すれば、それはPCでもタブレットでも構いません。垣根がなくなっていくことになるというわけです。垣根がなくなり、その分、ユーザーに選択肢が広がるということは、市場の拡大のためにもいいのではないでしょうか。

――最近のインテルの事業戦略もそうした考え方がベースになっていますね。

江田氏:それぞれの基盤技術は同じですが、性能を重視したり、あるいは省電力とのバランスを見ながら、Xeonであればサーバー領域で、CoreシリーズであればクライアントPCで、Atomだったらタブレットで、そして、IoT向けにはQuarkというように、製品によって、幅広いコンピューティング機能を支えていくのが私たちの戦略です。ウェアラブルやIoTとなった際に、共通の基盤を持っていることは大きな強みになります。そして、共通基盤の中で、提供するCPUのモデルミックスが変わっていくことになると言えます。ただ、PCといった場合のイメージも変化していくことになるでしょうね。PCと言いながらも、もっと持ち歩きに適したものや、肌につけるものが登場したり、マシン・トゥ・マシンのようなものが登場することも考えられます。そういう意味では、PCは、これまで通りの市場規模を維持しながら、そこでインテルの技術的な発展が遂げられていくことになります。また、ジェスチャーで操作したり、音声で操作したりといったことで、市場を活性化させるのがインテルの大切な使命だと思っています。

――今後1年のインテル日本法人のキーワードは何になりますか。

江田氏:これまでお話してきたことが、そのままキーワードになります。「俊敏な経営」と「柔軟な意思決定」。そして、「オープン・アンド・ダイレクト」。この3つがビジネスチャンスを逃さないためのキーワードですね。

(大河原 克行)