■ゲーミングPC Lab.■
ド級スペックノート「M17x」の投入で国内ゲーマーへの認知度も一気に高まったデルのゲーマー向けブランド「Alienware」。今回紹介する「M15x」はこれの15インチモデルだ。17インチサイズの大きさに躊躇していたユーザーには朗報であるとともに、ちょうど同時期に発表されたインテルのCore i7 モバイルプロセッサを採用したハイパフォーマンスノートとして仕上がっている。
●ひとまわり小さなAlienノートデスクトップの壁紙だけでなく、ログオン画面もAlienwareオリジナル。Alienwareの細かなところまでの統一感を感じることができる |
まずはスペックから紹介していこう。M17xも触ったことがあるが、これと比べるとM15xはひとまわり小さい印象は受ける。それでも約378×309×48.7mm(幅×奥行き×高さ)というサイズは、標準的な15.4型ワイドノートと比べると大きい。15型ワイドというよりは一般的な17型ワイドノートのサイズという感覚だ。重量は最小構成で4.08kgと、こちらもM17xの最少構成と比べ1.2kgほど軽くなっている。持ち上げた際の感覚は確かに軽く、その気になれば持ち運ぶことは十分に可能だろう。とはいえ、実際のところ4kg超のノートを気軽に持ち運ぶ人は少数派だろう。
液晶ディスプレイは15.6型ワイド。一般的な15.4型ワイドパネルではなく、16:9アスペクトのパネルを採用したことでこのような型になっている。解像度は1,600×900ドットまたは1,920×1,080ドット表示のいずれかを選べる。どちらもホワイトLEDバックライトを採用している。
本体にはAlienware M17xを同様に各所の発光ギミックも備えている。光るパーツはキーボード面がキーボード、電源ボタン、マルチメディアキー、タッチパッド、そして液晶面のAlienwareロゴに液晶天板のグレイのフェイスマーク、前面の吸気口などだ。
●最新のCore i7に高性能GPUなど、充実スペック
CPUの選択肢は、Core i7 720QM(1.6GHz)、820QM(1.73GHz)、そしてExtreme Edition 920XM(2GHz)が用意されている。Core i7は、現在のラインアップでは全てクアッドコア。これにHyper-Threadingが加わることで、タスクマネージャからは8コアCPUとして認識される。標準動作クロックはCore 2シリーズよりも低いが、Core i7はTurbo BoostによってTDPの枠内で最大3.2GHz(920XM)までクロックが自動的に上がるので、シングルスレッドパフォーマンスは高くなる。
メモリはDDR3 SO-DIMMが2スロット用意されている。評価機に搭載されていたのはPC3-10600規格の2GBモジュール×2枚で計4GB。カスタマイズでは最大8GBまで搭載できる。これに合わせ、OSもWindows 7の64bit版が搭載されており、もはや32bit版はカスタマイズメニューに用意されていない。
グラフィックスは、NVIDIA GeForce GT 240MとGeForce GTX 260Mが用意されている。M17xではデュアル構成が可能だが、M15xはシングル構成止まり。とはいえ、GeForce GTX 260Mはハイエンドに近いGPUであり、十分にゲームに通用するスペックだ。
Windows エクスペリエンス インデックスのスコアは5.5。HDDが足を引っ張っている様子で、他のスコアは6.8以上であるほか、CPUとメモリは7.0以上と相当に高い |
●豊富なインターフェイスとメンテナンス性の高い底面スロット
Alienware M15xは本体が大きいだけあり、インターフェイスも豊富に搭載している。なかでも、次世代のディスプレイ出力インターフェイスであるDisplayPort、USB 2.0/eSATA共用端子、そして最近搭載例が減りつつあるIEEE 1394端子の搭載は特徴に挙げられるだろう。また、光学ドライブはスロットインタイプ。最近のデルのノートブックではデザイン性の高いスロットインタイプが多用されており、M15xも同様だ。
キーボードは、テンキーこそ無いものの、大きめのものが搭載されており、左右には余裕がある。上部のマルチメディアキーはタッチセンサー式でフラット。大きなタッチパッドには滑り止めのパターンが刻まれている。各所には発光ギミックも搭載されており、暗がりのなかでゲームを楽しむ際、ムードを高めるとともに、キーポジションを把握することが可能だ。
底面のベイは、ネジ2個を外した後、スライドさせてオープンする。内部中央付近にCPUとGPUが搭載され、そこからヒートパイプが左右に分かれ、後部のファンで排気する仕組みであることがわかる。やや特殊であるのがHDDのSATAインターフェイス。トレイごと上に引っ張ることで着脱可能だが、この仕組みのためにHDDには変換コネクタが装着されている。評価機に搭載されていたHDDは、WesternDigitalのWD250BEKT。容量250GB、回転数7,200rpmのScorpio Blackシリーズの製品だ。ただし末尾がBEKTというモデルは、落下センサーを搭載していないモデル。M15xを起動させたまま持ち歩くことは考えづらいが、頭の隅にとめておこう。
ACアダプタは150Wという容量にしてはコンパクトなものが付属している。最近のデルのノートブックでは薄型タイプが採用されており、こちらもコンパクトにしようとしてるのかもしれないが、それなりに設置面積はとる。バッテリは装着すると本体にチルトが付くやや大きめなものが搭載されている。このため真っ平らなデスクに設置したとしても十分な通気性が確保される。このほかには、IEEE 802.11a/b/g/n対応の無線LAN、Bluetooth V2.1+EDR等の機能が搭載されている。そしてAlienwareの特典として、豪華なマニュアルとキャップ、マウスパッド等が付属する。
●ベンチマークで見るAlienware M15xのパフォーマンス
Alienware M15xの評価機は、Core i7-720QM、GeForce GTX 260Mというグラフィック強化構成。ゲーム向けモデルということで、今回は3Dパフォーマンスを中心にベンチマークを計測した。今回用いたベンチマークは、システム系にPCMark 05、PCMark Vantage、3Dベンチマークに3DMark 06、3DMark Vantage、そのほかゲームテストとしてUnrealTournament3、World in Conflict、FarCry2、THE LAST REMNANT、BIOHAZARD 5とした。
PCMark05 | 1,920×1,080ドット |
PCMarks | 7439 |
CPU | 6796 |
Memory | 7626 |
Graphics | 11762 |
HDD | 5830 |
PCMarkVantage | 1,920×1,080ドット |
PCMarks | 5751 |
Memories | 4112 |
TV and Movies | 3884 |
Gaming | 5688 |
Music | 5949 |
Communications | 3786 |
Productivity | 4568 |
HDD | 3523 |
3DMark06 | 3DMark |
1280×720ドット | 12055 |
1280×1024ドット | 11157 |
1600×900ドット | 10837 |
1920×1080ドット | 9639 |
3DMarkVantage | Graphics Score |
1280×1024ドット | 4867 |
1920×1080ドット | 2930 |
UnrealTournament3 | AverageFPS |
1280×720ドット | 161 |
1920×1080ドット | 118 |
World in Conflict | AverageFPS |
1280×720ドット(DX9:Medium) | 79 |
1280×720ドット(DX10:High) | 48 |
1280×720ドット(DX10:Very High) | 32 |
1920×1080ドット(DX9:Medium) | 64 |
1920×1080ドット(DX10:High) | 33 |
FarCry2 | AverageFPS |
1280×720ドット(DX10:High) | 49.59 |
1280×720ドット(DX10:VeryHigh) | 47.71 |
1280×720ドット(DX10:UltraHigh) | 40.01 |
1920×1080ドット(DX10:High) | 33.29 |
1920×1080ドット(DX10:VeryHigh) | 32.13 |
1920×1080ドット(DX10:UltraHigh) | 28.49 |
THE LAST REMNANT | AverageFPS |
1280×720ドット | 99.69 |
1920×1080ドット | 53.49 |
BIOHAZARD 5 | AverageFPS |
1280×720ドット 4xAA 画質オプション:高 | 69.9 |
1920×1080ドット 4xAA 画質オプション:低 | 57.6 |
1920×1080ドット 4xAA 画質オプション:中 | 47.9 |
1920×1080ドット 4xAA 画質オプション:高 | 42.2 |
ノートブックとはいえCore i7-720QMとGeForce GTX 260Mとの組合せによって、Futuremarkの4つのベンチマークはなかなか良好なスコアを出している。また、ゲームテストで分かったのは、比較的古いタイトルやライトタイトルは1,920×1,080ドットでも楽しめること。比較的新しいタイトルに関しても、画質オプションを変更したり解像度を引き下げることで十分に対応できそうな印象だ。
これ以上のグラフィックパフォーマンスを望むのであれば、やはりSLIやCrossFireXもサポートするAlienware M17xを選ぶべきだろうが、M15xにはコンパクトさと価格という2つのメリットがある。また、ゲーム以外の目的であっても、Core i7ノートと個性的なデザインを手にすることができる魅力的な製品と言えるだろう。
(2009年 12月 11日)
[Text by 石川 ひさよし]