西川和久の不定期コラム

宇宙最強のノートPC!? 「Alienware M17x」



Alienwareのロゴ

 以前、ThinkPad W700dsを扱った時、「もはやこれをノートPCと呼んでいいのか!?」と疑問に思いながらレビューを書いたが、今回ご紹介する「Alienware M17x」は、更にそれを上回るとんでもないハイパワーノートPCだ。宇宙最強を自称するこのマシン。いったいどんな中身なのかをご紹介する。


●Alienware M17xの仕様

 Alienwareはもともと独立したPCメーカーだったのだが、2006年にDellが買収した。ただこれまで日本では扱っていなかったこともあり、このAlienware M17xが上陸第一弾となる。まず写真をご覧頂きたい。最近の流行である「スリム&シンプル&スマート」とは真逆路線の何とも言えないド派手なルックスだ。加えて見える場所には「DELL」のロゴはどこにも無く、ブランド名「Alienware」で統一されている。

 仕様の詳細は後述するが、今回試用したマシンの凄い点を挙げると5つ。「Core 2 Extreme QX9300」、「メモリ 8GB」、「HDD 1TB/RAID0」、「GeForce GTX 280M SLI」、そして「1,920×1,200ドット17型ディスプレイ」となる。以上スペック5つを並べただけで、この仕様を上回るノートPCどころか、デスクトップPCを持っている人ですら少数派ではないだろうか。

 Core 2 Extreme QX9300は、45nmプロセスで製造されるモバイル向けCPU。2.53GHz駆動でクアッドコア、FSB 1,066MHz、L2キャッシュ 6MB×2、VT対応でTDPは45W。かなりハイパフォーマンスのCPUだ。そしてメモリは8GB、HDDはRAID 0(ストライピング)で1TB。信頼性より速度を優先した構成となる。

 一番驚くのは「GeForce GTX 280M “SLI”」な点。GTX 280MはノートPC用最上位GPUであり、製造プロセスは55nm、256bitのバス幅、GDDR3 1GBのメモリに対応する。シェーダ128個で、192〜240個のデスクトップ用GTX 200シリーズと比較すると少ないものの、コア動作周波数は585MHz、シェーダ動作周波数は1,463MHzと、デスクトップ用に負けていない。1つでも高性能GPUをデュアル構成、すなわちSLIテクノロジを使って更にパフォーマンスを向上している。そんなパワーをいったい何に使うのか筆者的には疑問もあるが、サイズが大きいとは言え、ノートPCの形状へ収めてしまったAlienware M17xが超高性能PCであることは疑いようもない。

 そして最後は、解像度1,920×1,200ドットの17型の液晶ディスプレイ。筆者が普段使っているディスプレイは21型1,600×1,200ドットなので、これより横が広い解像度が4インチも小さい17型の中で表示されることになる。

フロント。左右のスピーカーは迫力がある 左側面。IEEE 1394、eSATA、USB 2.0×2、Gigabit Ethernet、HDMI、DisplayPort、ミニD-Sub15ピン 右側面。音声入出力端子、USB 2.0×2、ExpressCardスロット、スロットローディングの光学ドライブ
リア。電源入力端子も光る 天板。中央のロゴの部分も光る 本体底面。ユーザーがHDDやメモリへ簡単にアクセスできる構造にはなっていない
キーボード。10キー付のフルキーボードだ。キータッチはなかなか良い キーピッチは約20mm
ACアダプタとバッテリ。本体だけでなく、ACアダプタとバッテリも巨大だ ThinkPad X31との比較。こんな大きなマシンをノートPCと呼んでいいのだろうか

 その他細かい仕様は以下の通り。

CPU Core 2 Extreme QX9300
メモリ 8GB
HDD 1TB(RAID0)
光学ドライブ Blu-ray Disc/DVDコンボ
ディスプレイ 17型(1,920×1,200ドット/WUXGA)
GPU GeForce 9400M G、GeForce GTX 280M Dual
OS Windows Vista Home Premium SP1 64bit
ネットワーク GbE、Bradcom 802.11n、Bluetooth 2.1+EDR
I/O USB 2.0×4、eSATA、IEEE 1394、DisplayPort、HDMI、
ミニD-Sub15ピン、ExpressCard/54、音声入出力端子、
Webカメラ
サイズ/重量 406×321×51.3〜53.6mm(幅×奥行き×高さ)/約5.3kg

 BD/DVDコンボドライブまで入った正に全部入りだ。BTOでは、液晶パネルの解像度、CPU、HDDかSSD(RAIDの構成も含む)、メモリ容量、GPUの構成、光学ドライブ、OSなど、豊富に選ぶことができ、価格は25万円程度〜全部入りで約90万円と、本体に負けない超ド級となる。

 ここで興味深いのは、先にあげたGeForce GTX 280M Dualに加え「GeForce 9400M G」も搭載していることだろう。BTO的には、GeForce 9400M Gのみ、+GeForce GTX 280M、+GeForce GTX 280M SLIとなっているため、“も”と表現するのは間違いで、もともと最小構成時に使われているGPUだ。リブート無しで簡単にこの2つを切り替えることができ、後者の場合はGPUパワー的には劣るものの見た目がド派手な(完全ではないが)静音+省電力(最大240Wから最大65Wへ消費電力が落ちる)ノートPCとなる。

 使い勝手は、本体が大きい分、ノートPCというよりは、普通のフルキーボードに液晶パネルが付いた雰囲気。ゆったり余裕があり打ちやすい。もちろん重量が5kgを超えているので普段カバンに入れて持ち運びは出来ないが、ちょっと設置場所を変える程度であれば問題無い。液晶パネルは明るく発色のバランスも良く好印象だ。

 フロント左右に付いているスピーカーもさすがにそれなりの音質で音量も十分。大迫力で音楽、映画、ゲームなどを楽しめる。ただ全体の作りとしては大柄で、繊細なイメージではない。

 唯一筆者的に合わなかったのがタッチパッドだ。好みもあると思うがザラザラしており、スムーズな操作ができなかった。そのため外部にマウスを接続してテストした。熱に関しては長時間の運用をしていない事もあり、使った範囲では特に気にならなかった。

写真には写っていないが、右側にもう1つファンがある。これらが一斉に回り出すと流石に煩い

 さて、このハイパワーなAlienware M17x、最大の問題点はファンノイズだ。ステルスモードと呼ばれるGeForce 9400M Gだけを動かしている分には大丈夫なのだが、GeForce GTX 280M SLIが動き出した途端に「フォ〜ン!!」という強烈なファンノイズが鳴りはじめる。この音量は筆者が普段使っているGTX 260のそれよりはるかに大音量。ノートPCなので、音源が近く、直接耳に聞こえてしまう。多分、GeForce GTX 280M SLIを動かすのは、ゲームなどの用途だと思われるが、ヘッドホンでもしない限り、ゲームを楽しめないのではと思ってしまうほどだった。


●驚きの高性能と遊び心

 手元に届いたマシンは、Windows Vista Home Premium SP1の64bit版がインストール済み。早速Windows エクスペリエンス インデックスをチェックしたところ、ご覧のようにオール5.9の満点。1,920×1,200ドット(WUXGA)の画面も広くて使い易い。もちろん満点なので、Vistaの動きもキビキビしている。何をするにしてもまるで高性能なデスクトップを使っている感覚となり非常に気持ちいい。ただ17型なので相対的にフォントは小さく、細かい作業は眼が疲れるかも知れない。

 1つ気になるのはHDDがRAID0のストライピングになっていることだ。確かにHDD単体で使ったり、RAID 1(ミラー)で使うより速くなるのだが、その分、片方のHDDが壊れると全てを失うリスクが付きまとう。以前筆者の友人で「爆速!」とRAID 0でHDDを構成し、ある日突然壊れて困り果ててたのを見ているだけに、この手のマシンにRAID 0を適応するのは正直疑問を感じる。昔と比べてHDDも随分速くなっているので、ここは安全性を取ってRAID 1を選択すべきだろう。

WUXGAのデスクトップ。これがノートPCのデスクトップだと言うのだから驚く デバイスマネージャ/主要デバイス。光学ドライブは「HL-DT-ST DVDRWBD CA10N」が使われていた Windows エクスペリエンス インデックス。オール5.9の満点
CrystalMark 2004R3。過去扱ってきたどのマシンよりも速い SLI構成。SLIに関しては話的には知っていたものの、実際使ったのは今回が初めてだ
RAID構成。約500GBのHDD 2台をストライピングで1TBの構成にしている グラフィックモードの切り替え。タスクトレイから簡単にGPUを切り替えでき、この時リブートは必要無い。ファンクションキーからも切り替え可能だ

 Windows エクスペリエンス インデックスが満点なので十分速いのだが、更に「CrystalMark 2004R3」で全体的な速度チェック。結果はご覧の通りでどう見てもノートPCの速度ではない。更に目玉であるGeForce GTX 280M SLIの威力を知るため「3DMark06」を使ってみた。筆者はこれまでゲームに興味が無かったので使った事のないベンチマークテストなのだが、さすがに今回に限ってはそうも言ってられない状況だ。

 参考までにとメインマシンであるCore 2 Quad Q8200+GTX 260の値も測ってみたところ……Alienware M17xに完敗した。余談になるが、3DMark06計測中の画面の動きはかなりスムーズでリアル。ゲームに興味の無い筆者もある意味感動ものだった。

GeForce 9400M G/画面の設定 GeForce GTX 280M/画面の設定 3DMark06のスコア。ちなみに筆者のメインマシンは、11783/4522/5653/3327とCPU Score以外は完敗だった

 このAlienware M17xは、速いだけでなく、遊び心も備えている。それは「いろいろな部分が光る上、色を自在にコントロールできるる」点だ。方法は「Alienware コマンドセンター 」というアプリケーションを起動し、「AlienFX」を選択、パーツ毎に色を設定して行けばOK。7色の配色が可能だ。実用性は無いのだがこれはPCとはまた違った次元で面白い。ちょっと細工して、音色によってイルミネーションの色が変わる仕掛けが入ると更に楽しいと思うのだが……。残念ながら今回送られて来たマシンは、バックライト無しのキーボードだったのだが、バックライト付だと更に賑やかになる。この他、Webカメラを使った顔認識機能などもある。

いろいろは場所の色が変わっている AlienFX 暗い場所だとこんな感じになる

Alienware M17x

 さすがに「宇宙最強のノートPC」と謳ってるだけあって、その性能は並みのデスクトップPCをも上回る。少なくともノートPCでこのパフォーマンスを出せるのは現在、本機以外に無いだろう。加えてAlienFXを使った光のイルミネーションは遊び心満載! 価格とファンノイズをどうとらえるかによってその評価は分かれそうだが、最近ネットブックを筆頭に、似たり寄ったりのスペックが多くなり、だんだん面白みの無くなって来たノートPCの中、1台ぐらいこんな「お茶目なマシン」があってもいいのではないだろうか。

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