デルから、9月24日より順次発売されているハイエンドゲーミングPC「Alienware」シリーズ。ゲーミングに特化されたPCで、自作ケース市場ではあまりお目にかかれない個性的なケースデザインが印象的だ。
ラインナップは、デスクトップPCがmicroATX採用水冷ミドルタワーPC「Alienware Aurora」と「Alienware Aurora ALX」、ATX採用水冷フルタワーPC「Alienware Area-51」「Alienware Area-51 ALX」の計4モデル、ノートPCが国内向けの第2弾となる「Alienware M15x」の1モデル。9月25日時点では、「Alienware Aurora」「Alienware Aurora ALX」「Alienware M15x」が発売されている。なお、「Alienware Area-51」「Alienware Area-51 ALX」は10月中旬に発売される予定。
当然、スペックは極めて高く最強のゲーミングPCを狙う姿勢がスペックシートからも伝わってくる。スペックなどは、こちらの記事で確認していただくとして、本稿では東京ゲームショウ2009のデルブースに上記の全シリーズが展示されていたので、パワーユーザーが気にしている自動開閉式羽板「Active Venting」を採用した「Alienware Aurora ALX」「Alienware Area-51 ALX」を中心にレポートしよう。
まずは「Alienware Area-51」から見ていこう。「Alienware Area-51」「Alienware Area-51 ALX」は、ともにE-ATXまで対応するケースを採用している。またLEDやファン構成、HDDマウンタの形状もほぼ同じで、異なる点はBTOで選択できるメニューとのことだ。たとえば、CPUで見てみると「Alienware Area-51」はCore i7-975を3.60GHzまでオーバークロックしたものまで選べ、「Alienware Area-51 ALX」はCore i7-975を3.86GHzまでオーバークロックした状態を選択できる。まだ発売まで期間があるため、変更される可能性はあるが、オーバークロックなどをして楽しむなら、「Alienware Area-51 ALX」が狙い目となるだろう。
外観は角丸調でフロントに設置されたグレイロゴ、各所に用意されたLED、E-ATX準拠の奥に長い作り、とハイエンドらしい存在感がある。そして、非常に目を引く自動開閉式羽板「Active Venting」だ。これは設定に応じて天板が自動的に開閉するもので、高負荷時にGPUやチップセット、マザーボードから発せられた熱を効率よく排気するために用意されているのだが、これがかなりかっこいい。また電飾の明るさや色、羽板の開閉具合などは専用のカスタマイズソフト「Alienware Command Center」で自由に変更可能となっている。
メーカー製PCというと、基本的に手を加える必要がないというイメージが強いが、「Alienware Area-51」の場合は、「自作が好きな人が開発したんだな」と感じさせてくれる。いわゆる、かゆいところに手が届くタイプのケースなのだ。以下、写真や動画でその気の利いた設計を確認していこう。
USBやマイク・ヘッドフォン端子は上部にある。ややアクセスしにくいが、サイドにケーブルを流せば邪魔になりにくい | 背面にもLEDがあり。スイッチが用意されていて、ケーブルの抜き差し時に確認がしやすくなる | ケースを正面から見て、右側のパネルを開けたところにはHDDマウンタが6基並ぶ。GPUやCPUとは別ブロックで冷却を行なうわけだ |
HDD冷却用吸気は下部から。また電源の冷却も兼ねている | 吸気された空気は、網の裏側を通過しながら上昇していく。IBM System Bなどのスパコンの冷却と似た雰囲気でかっこいい | サイドパネルの開閉は背部のスイッチを押すだけ。頻繁にパネルを開ける、パーツを換装することが想定された設計が随所にある |
サイドパネルを外した状態。GPUのライン上には専用のカバーがあり、フロント中央部から吸気した空気を直接GPUに送り込む。そのため、上中下の基本的なエアフローが生まれている。 | 水冷ユニット。ここにもちゃんとグレイロゴがある | GPUライン上のカバーもハンドルロックを解除するだけで開閉可能。 |
カバーを開くと、ビデオカードの様子がよくわかる。Radeon HD 5870が2枚搭載されているが、余裕を持って収まっている | ラジエータは上部に設置されている | チップセットクーラーは大型+ファン付き。会場内の騒音で動作音はわからなかったが、それほど高速回転していないと思われる |
「Alienware Aurora」はmicroATXマザーを採用しているため、「Alienware Area-51」よりも背丈は小さいのだが、横幅でいうとほぼ同じだ。写真を見てもわかる通り、Radeon HD 5870が楽に収まってしまうため、一見してmicroATXとは思えない。
外観は「Alienware Area-51」と比べると、さらに丸みを全面に押し出した感じだが、エアフローやメンテナンスへのアプローチは、「Alienware Area-51」となんら変わりなく、「Alienware Aurora ALX」を見てみると、背面のLEDはもちろん、ケース内のLEDもあれば、ワンタッチで外せる側板パネル、HDDの取り外しが簡単なHDマウンタなどが用意されている。反対に「Alienware Aurora」の場合は、自動開閉式羽板「Active Venting」やケース内LEDを省くことで低価格化を進めたようだ。いずれも触ってみたのだが、あまり違いを感じなかった。HDDの取り付けがワンタッチかどうかが分かれ目かと感じたくらいである。
「Alienware Aurora ALX」。MicroATXマザーを搭載だが、奥行きはE-ATX相当だ | USBやヘッドフォン・マイク端子は上部にある。「Alienware Aurora ALX」の場合は、これに加えて自動開閉の羽板がある | こちらは、「Alienware Aurora」の天板部。羽板がなくなっている |
「Alienware M15x」は、Alienwareブランドのノートとしては、第2弾となる。15型TFT HDディスプレイを採用(解像度1,600×900)、Core i7-720QM、DDR3メモリ4GB、GeForce GTX260Mを搭載したもので、ノートながらプレイ時にストレスを感じるタイトルを探すのが難しいくらいハイスペックになっている。他のシリーズ同様に光源のカラー変更や強弱の設定ができる。なお、光源はキーボード全域やロゴ、スピーカー周辺、マウスなど各所にある。
またユニークなのが、スクリューレスかと思うほど、ねじ穴がない。背面の4カ所はメモリへのアクセス用と思われるが、そのほかにはまったくネジが見あたらない。機会があれば裏面を確認してもらいたい。
Alienware M15xは存在感のあるデザイン | キーボードなどのライティングを任意変更可能 |
キーボードは4つのライトがあり、それぞれ別の色に設定することも可能 | 裏面は意外なほどすっきりしており、中央部のメモリ交換用カバー以外にねじ穴は見受けられない |
(2009年 9月 25日)
[Reported by 林 佑樹]