ゲーミングPC Lab.
ドスパラ「GALLERIA ZI-SLI」
~「GeForce GTX 980 Ti」のSLIと高品質パーツでまとめた1台
(2015/6/29 06:00)
ドスパラのゲーミングPCブランド「GALLERIA」より、ハイエンドゲーミングPC「GALLERIA ZI-SLI」が発売された。6月1日に発表されたNVIDIAの新GPU「GeForce GTX 980 Ti」を2枚、SLI構成で搭載するのが最大の特徴だ。今回は本機のレビューをお届けする。
性能とコストのバランスが取れたハイエンドゲーミングPC
「GALLERIA ZI-SLI」は、NVIDIA製GPUをSLIで搭載する「Z9-SLI」シリーズに属する最新の製品。ラインナップとしては、最上位に「GeForce GTX TITAN X」をSLIで搭載した「GALLERIA ZK-SLI」があり、その次に位置する。
「GeForce GTX 980 Ti」は現状、ビデオカード単体製品が10万円前後で販売されていることもあり、「GALLERIA ZI-SLI」の税別価格は379,980円となっている。それでも「GALLERIA ZK-SLI」と比べれば8万円ほど安く、お買い得感はある。
【表1】GALLERIA ZI-SLI | |
---|---|
OS | Windows 8.1 Pro |
CPU | Core i7-4790K |
GPU | GeForce GTX 980 Ti(6GB)×2 SLI |
メモリ | 16GB DDR3-1600(8GB×2) |
SSD | 250GB(Crucial BX100シリーズ) |
HDD | 2TB |
光学ドライブ | BD-RE |
電源 | 860W 静音(Seasonic製、80PLUS PLATINUM) |
税別価格 | 379,980円 |
今回試用した製品に搭載されていたビデオカードは、Palit製の「NE5X98T015JB-PG600F」。1枚で2スロットを占有するため、GPUだけで計4スロット分のスペースを取る。マザーボードはASRock製の「Z97 Extreme4」が使われており、GPU装着後のPCI Expressスロットの空きは、PCI Express 3.0×16が1つと、PCI Express 2.0×1が1つのみとなる。
CPUはCore i7-4790K。CPUファンは「静音パックまんぞくコース」が標準で付属しており、12cmファン搭載の大型ヒートシンクファンが使用されていた。
メインメモリは16GB。現状のゲーム用途に限ればオーバースペックと言ってもいい容量だが、最近は6GBのメインメモリを要求するゲームも登場しているようで、1~2年先のことを考えると安心感がある。
ストレージはSATA 6Gbps接続となるCrucial製「BX 100」シリーズの250GB SSDと、2TB HDD、BD-REの書き込みにも対応したBDドライブが内蔵されている。BDドライブの搭載はゲーミングPCでは比較的珍しく、ビデオ視聴などにも使いたいという人には重宝するだろう。
ケースはIN WIN製ATXフルタワーの「GR one」。左側面がアクリルパネルでPC内部が見えるという外見的な特徴に加え、ケースファンの回転数を「Turbo」と「Silence」の2段階に調整するファンコントローラを搭載しており、PCの稼働中でも随時変更できる。またケース上部にSATAコネクタが出ており、一時的にHDDなどを装着できるのも面白い。
電源は80PLUS Platinumを取得したSeasonic製の860Wとされており、今回は「SS-860XP2」が搭載されていた。SLIマシンに860Wでは不安だと見る人もいそうだが、80PLUS Platinumの高効率を考慮すればこれで十分だという判断だろう。
そのほかカスタマイズにも対応。CPUはランクを落とす方向になるが価格を安価にできる。CPUの冷却を水冷にしたり、ダイヤモンドグリスに変更するなど、より高い冷却性を持つものに変更が可能だ。メインメモリは容量の変更のほか、CenturyMicro製に変更ができるのも面白い。キーボードやマウスも標準で付属するが、他社製のゲーミングデバイスに変更もできる。
本体サイズは、245×593×562mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約18.5kgと重め。ケースがあまりつかみどころがない形状なので、箱からの取り出しや移動の際に落下させないよう注意が必要だ。
フルHDは楽勝の性能。最新タイトルと4Kの組み合わせにも対応可能
続いて各種ベンチマークソフトのスコアを見ていきたい。利用したのは、「3DMark v1.4.915」、「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」、「バイオハザード6 ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0」、「CINEBENCH R15」、「CrystalDiskMark 4.0.3」。
ゲーム系ベンチマークソフトは、フルHDでの動作は最高画質でも十分すぎる値が出た。もっとも、SLIではなく1枚でも4Kゲーミング向けとうたっている「GeForce GTX 980 Ti」なら、フルHD程度で問題になることはまずない。
となれば考えるのは4Kディスプレイ環境。「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」を4K相当の解像度で動かしてみたところ、DirectX 11の最高画質でも「非常に快適」の評価が得られた。フルHD相当の結果に比べてスコアが約5割となっており、解像度の変化の割にはスコアの落ち込みが小さいのも特徴的だ。「3DMark」の結果も、Graphics関連のスコアがとても良好に出ている。特に高負荷の「Fire Strike」では優秀で、ハイエンドなゲーマーにも納得の結果と言えるだろう。
そのほかのテストを見通してみると、SLIの割にはあまりスコアが伸びていないものもある。スコア的には十分すぎる値なので、GPU以外の部分で頭打ちになっているのかもしれない。また、そもそもSLI非対応のゲームでは意味がないので、遊びたいゲームがSLI対応かどうかはPC購入前に確認しておきたい。
なお本機のOSは、標準構成でWindows 8.1 Pro Update 64bitとWindows 7 Professional 64bitの2モデルが用意され(他のグレードに変更も可能)、今回の試用機はWindows 8.1 Pro 64bitがインストールされていた。
GALLERIA ZI-SLI | |
---|---|
OS | Windows 8.1 Pro 64bit |
CPU | Core i7-4790K |
GPU | GeForce GTX 980 Ti(6GB)×2 SLI |
メモリ | 16GB DDR3-1600(8GB×2) |
SSD | 250GB(Crucial BX100) |
HDD | 2TB(Seagate ST2000DM001) |
3DMark v1.4.915 - Fire Strike | |
Score | 19,357 |
Graphics score | 31,071 |
Physics score | 11,567 |
Combined score | 6,871 |
3DMark v1.4.915 - Sky Diver | |
Score | 36,193 |
Graphics score | 88,781 |
Physics score | 10,697 |
Combined score | 19,385 |
3DMark v1.4.915 - Cloud Gate | |
Score | 31,160 |
Graphics score | 156,756 |
Physics score | 8,191 |
3DMark v1.4.915 - Ice Storm Extreme | |
Score | 173,093 |
Graphics score | 414,933 |
Physics score | 56,940 |
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク(DirectX 11) | |
1,920×1,080ドット/最高品質 | 15,854 |
3,840×2,160ドット/最高品質 | 7,753 |
バイオハザード6 ベンチマーク | |
1,920×1,080ドット | 18,230 |
ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0 | |
1,920×1,080ドット/簡易設定5 | 76,795 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 147.97fps |
CPU | 841cb |
CPU(Single Core) | 174cb |
ストレージはSSDがCrucial製の「CT250BX100SSD1」、HDDはSeagate製の2TB「ST2000DM001」が使われていた。
本機の性能面については、「GeForce GTX 980 Ti」をSLIで搭載しているだけあって、疑う必要なく十分な結果が出ている。最新ゲームタイトルを高画質設定で遊びたい、SLI対応ゲームを4Kで遊びたいというハイエンド志向の人には、コストと性能のバランスが取れたゲーミングPCとなるだろう。
こだわりのパーツ選びで信頼性も期待できるハイエンドPC
後は実際に使ってみた感触などをお伝えしたい。本機で何より特徴的なのは、多機能フルタワーケースの「GR one」だ。まずケース前面上部には、電源ボタンとリセットボタン、USB端子は3.0と2.0が2つずつの計4つ、それにイヤフォンとマイク端子がある。USB端子の数が多めで、カードリーダーなど他の端子がないというシンプルなデザインだ。
その右上部分にケースファンの回転数をコントロールするスイッチがある。先述のとおり、「Turbo」と「Silence」の2段階に設定できる。ファンの回転数はUEFIのハードウェアディスプレイでは確認できなかったので不明だ。
体感では、「Turbo」だと背面からかなり激しく排気しており、騒音もハイエンドゲーミングPCだとしても大きめ。音質は風が吹き出す時の低音なので耳障りなものではないが、ゲーム時にはヘッドフォンが欲しいくらいの大音量だ。ただ背面の風を手に当てていると、高負荷時でもあまり温かさを感じないほどで、うまく吸排気ができているのが分かる。
「Silence」を選ぶと一転して非常に静か。ケースファンの音は耳を近づけないと分からないほどになり、リビングに置いてAV用途にしてもいいというくらい静かになる。排気もかなり少なくなり、背面ファンの前に手をやっても、緩やかに風が当たる程度。高負荷時にははっきり温かさのある風が当たる。
試しに「Turbo」と「Silence」でそれぞれ「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」を1周させてみたところ、GPUの温度にはさほど差が見られなかったものの、CPUは「Turbo」に比べて「Silence」が4度前後高めになるという結果が出た。「Silence」の際、最も高いCPUコアで63度だったので動作には問題ないが、気温上昇やホコリの付着などで排熱が悪化すれば気になることもありそうだ。
「Silence」で高負荷時にはCPUやGPUのファンの音が気になるかと思ったが、今回のテスト時にはCPUファンの回転数は500rpm前後でほぼ変化なし。GPUはアイドル時の約1,000rpmに対し、高負荷時には2,400rpm程度まで上がるが、さほど騒音に変化を感じない。長時間/劣悪環境での利用になると話は変わるかもしれないが、ゲームプレイ時でも十分静かと言える範囲には収まってくれそうだ。
ケース内部は、ビデオカードに送風する位置にファンが取り付けられており、GPUの冷却性を高めている。ケースファンは他にCPUの横の排気ファンが1つ、ケース前面に吸気ファンが2つあり、前面からの吸気、後方からの排気という流れが徹底されている。
サイドパネルがアクリル板で内部が見えるのは好みが分かれるところだが、標準状態で内部にある光源はビデオカード2枚の背に書かれた「GEFORCE GTX」の文字と中央のケースファンのみ。さほど自己主張はしておらず、使用時に気になるほど明るくはない。内部が見えるのが好みなら、光源を増やすなり、フィギュアなどを置くなりして楽しめる。
ここまではほぼケースレビューになってしまったが、それ以外では起動の早さもなかなかのもの。電源ボタンを押してからデスクトップ画面が表示されるまでの時間は、各種ベンチマークソフトなどをインストールした後の状態で約11秒。ゲームを遊びたいと思った時にすぐスタートできるのは、ゲーミングPCにおいてとても大事な要素だ。
総合的に評価すると、本機は高性能だけでなく、静音と信頼性も高いレベルでまとめられている。静音で言えば、電源の「SS-860XP2」は低負荷時にファンを止めるモードも持っている。また水冷化や高品質グリスへのカスタマイズでも静音効果が期待できる。ケースの「GR one」は元々、水冷向けの設計がなされた製品なので、より安心感がある。
信頼性については主観も混じるが、Seasonic製電源やCrucial製SSDをメーカー指定で組み込んでいるところに安心感がある。メインメモリも信頼性に定評のあるCenturyMicro製にすれば、電源・メモリ・ストレージという特に信頼性が気になる3点が万全の体制になり、こだわり派の自作ユーザーでも安心できる構成になる。長く使えるハイエンドゲーミングPCを探している人には、検討の価値がある1台だ。