山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

実売15,800円、Playストア対応8型タブレット「FFF-TAB8」を試す。ライバルのFire HD 8 Plusに対する強みは?

「FFF-TAB8」。実売価格は15,800円

 FFF SMART LIFE CONNECTEDの「FFF-TAB8」は、8型のAndroid 12タブレットだ。実売価格が1万円台半ばという、コストパフォーマンスの高さが魅力の1台だ。

 8型のタブレットは、5万円を超える高価格帯だとAppleの「iPad mini」、2万円以下の低価格帯はAmazonの「Fire HD 8」が代表例で、それ以外の選択肢は決して多いとはいえないのが現状だ。本製品はAndroid 12を搭載し、Google Playストアがデフォルトで利用できることに加えて、1万円台半ばという低価格を実現していることが大きな特徴だ。

 今回はこの「FFF-TAB8」について、筆者が購入した実機をもとに、Fire HD 8の上位モデルである「Fire HD 8 Plus」と比較しつつ、電子書籍ユースを中心とした使い勝手を紹介する。

Fire HD 8 Plusと似たスペック。バッテリ周りが弱点

 まずは競合となるFire HD 8 Plusとの比較から。

FFF-TAB8Fire HD 8 Plus(第12世代)
メーカーFFF SMART LIFE CONNECTEDAmazon
発売年月2022年12月2022年10月
サイズ(最厚部)211×121×10mm201.9×137.3×9.6mm
重量341g342g
CPUAllwinner A133 4コア 1.6 GHz2.0GHz 6コアプロセッサ
RAM3GB3GB
画面サイズ/解像度8型/1,280×800ドット(189ppi)8型/1,280×800ドット(189ppi)
通信方式802.11a/b/g/n/ac802.11a/b/g/n/ac
内蔵ストレージ32GB32GB (ユーザー領域25.2GB)
64GB (ユーザー領域54.5GB)
バッテリ持続時間(メーカー公称値)約4時間30分13時間
microSDカードスロット○(256GBまで)○(1TBまで)
コネクタUSB Type-CUSB Type-C
ワイヤレス充電-対応
価格(発売時)1万5,800円1万3,980円(32GB)
1万5,980円(64GB)

 こうして両者を比較すると、スペックは非常に似通っていることが分かる。解像度は1280×800ドットとフルHDに満たないが、これはFire HD 8 Plusも同様。iPad mini(2,266×1,488ドット)と比べると見劣りするが、比較対象がFire HD 8 Plusであればあまりネックにならないことが分かる。

 ストレージは32GBと少なめ。メモリカードを追加することは可能だが、Fireは1TBまで対応するのに対し、本製品は最大256GBと控えめだ。メモリはいずれも3GBだ。CPUについてはのちほどベンチマークスコアをもとに紹介する。

 一方で低価格モデルということで、顔認証や指紋認証といった生体認証は省かれているほか、GPSも非搭載だが、これもFire HD 8 Plusと同等なので、そうした意味でのハンデはない。ちなみにイヤフォンジャックを搭載するのも、Fire HD 8 Plusとお揃いなのが面白い。

 やや気になるのがバッテリ周りで、容量は4,000mAh止まり、持続時間はわずか4時間30分と、約13時間のFireと比べると大きな差がある。再生条件が同一でないことを差し引いてもかなり極端だ。なおFire HD 8 Plusはワイヤレス充電に対応するが、本製品は非対応ということで、どちらかというとPlusのつかないスタンダードモデルのFire HD 8に近い仕様だ。

 また実際に試した限りでは、USB PDに非対応なばかりか、USB PD対応の充電器と接続しても認識されず、一般的なUSB充電器しか利用できないので要注意だ。USB Type-Cポートを搭載しているのはよいのだが、スマートフォンなどと充電器を共用できない可能性があるのは、使い勝手の面でかなりのマイナスだ。

縦向きを基本としたデザイン。筐体はかなりプラスチック感が強い
横向きでは左右ベゼルに幅ができるので、見開き表示では保持しやすい
前面カメラは中央ではなくやや右寄りに配置されている
右側面に音量ボタンと電源ボタンを備える。背面上には背面カメラも備える
上面にはイヤフォンジャック、microSDスロット、USB Type-Cポートを備える
背面下部にはスピーカーを備える。技適マークはシール貼り
生体認証は搭載せずロック解除はパスワードとなる
付属のUSB電源アダプタ。最近ではあまり見ない仕様の品だ
重量は実測343gと、Fire HD 8 Plusとはほぼ横並び
左が本製品、右がFire HD 8 Plus。画面サイズは同じだがベゼル回りのデザインの相違により印象はかなり異なる
背面。本製品の縦長さがよく分かる
厚みは本製品(左)が10mm、Fire HD 8 Plus(右)が9.6mmと、本製品のほうが分厚い

ベンチマークスコアはFire HD 8 Plusの6割程度

 セットアップは一般的なAndroid 12の手順そのもので、独自のフローもなく、迷う要素はまったくない。デバイスを使用するユーザーが13歳以上か未満かを選ぶ画面があるのがやや珍しいが、これにしてもほかにない画面というわけではなく、これまでタブレットの利用経験がないユーザーでも簡単にセットアップできるだろう。

 アプリについては必要最小限で、Google関連のアプリもかなり控えめ。電子書籍関連では、Google Playブックスがプリインストールされているという、最近にしては珍しい仕様だ。

ホーム画面は至ってシンプル。初期設定では文字サイズがかなり小さい
アプリは24個。独自アプリはなく、必要最小限といった顔ぶれ

 さて本製品を実際に使ってみてまず気になるのは、筐体の剛性だ。本体を持ち上げたり握ったりすると、本体からミシミシという音がする。筐体の剛性そのものはそこそこあるようだが、内部に空間が多いのが原因のようで、長期的な耐性には不安を感じさせる。このあたりは価格相応というイメージだ。

 もう1つ、パフォーマンスの低さも目立つ。1万円台半ばという破格のプライスゆえ、購入前からあまり期待はしていなかったのだが、結論から言うと筆者が購入前に想定していたラインをはるかに下回っており、ライバルであるFire HD 8 Plusの操作が軽快に感じるほどだ。

 中でもアプリのインストールや更新は、かなりの時間にわたって、本体が無応答とまではいかないものの、ほかの操作をほぼ受け付けなくなるので要注意だ。アプリのアップデート通知があっても、すぐに実行するのではなく、さしあたっての用件が終わってから行うほうがよい。でないと長時間イライラしながら待つことになる。

 実際にベンチマークを測定した限りでは、Fire HD 8 Plusの6割程度のスコアで、これは体感的なレスポンスともおおむね一致している。Fire HD 8 PlusやFire HD 8がもっさりしていてストレスを感じるユーザーは、よりストレスを感じることは確実なので、手は出さないほうがよいだろう。

「Google Octane」によるベンチマークスコアの比較。左が本製品、右がFire HD 8 Plus。おおむね6割程度のスコア
「GeekBench 5」によるベンチマークスコアの比較。左が本製品、右がFire HD 8 Plus。シングルコアは6割、マルチコアは4割程度のスコア

さまざまな電子書籍アプリが利用可能。漫画アプリにも対応

 では電子書籍ユースについて見ていこう。サンプルには、コミックはうめ著「東京トイボクシーズ 1巻」、テキストは夏目漱石著「坊っちゃん」を使用している。

 解像度は1,280×800ドット(189ppi)と、8型のタブレットとしてはかなり低いレベル。一般的に解像度が200ppiを下回るデバイスは、コミックの細部のディティールが表現しきれない場合があるのであまり積極的にお勧めできないのだが、本製品もコミックを見開きで読もうとして細かい書き文字が読み取れないことは少なくない。

 これはあらゆるコミックがそうなるわけではなく、書き文字が細かい作品を見開きで読もうとした場合に限った話であり、見開きでの利用をあきらめて単ページで読めば解消されるのだが、とはいえ実際に使っていると、やはり「これはキツい」と感じる機会がたびたびあることは否定できない。解像度の高いiPad miniと比べると、これらの差は顕著だ。

 ただし前述のように比較対象がFire HD 8 Plusであれば、解像度は同一であることからハンデにはならない。特に老眼の人は、どれだけ解像度が高くても、画面サイズが小さいせいで読めないことが多く、たとえ解像度が低くともスマートフォンより画面サイズが大きい本製品は、十分に意義がある。本製品の場合、価格がリーズナブルでお試ししやすいだけになおさらだ。

コミックを単ページ表示したところ。サイズ自体は十分だ
こちらは見開き表示。やや小ぶりながらスマートフォンと比べてもページサイズは十分大きい
Fire HD 8 Plus(右)との比較。画面の色合いはやや異なるものの、サイズや表現力は横並びだ
見開き表示での比較。こちらもページサイズはまったく同じだ
画質の比較。上段が単ページ表示、下段が見開き表示。いずれも左が本製品、右がFire HD 8 Plus。両製品とも、見開きだとディティールがかなり怪しくなることが分かる
こちらはiPad mini(右)との比較。本製品のほうがひとまわり小さい
見開き状態での比較。こちらもやはり本製品のほうがひとまわり小さい
画質の比較。上段が単ページ表示、下段が見開き表示。いずれも左が本製品、右がiPad mini。見開きにしてもほぼ影響のないiPad miniに対し、本製品は露骨に表現力が低下する

 ここまで見てきたのはコミックなど図版を中心としたコンテンツの場合だが、一方でテキストについては、あまり解像度の低さはハンデにならない。テキストコンテンツはもともと文字サイズが自由に変更できるので、極小サイズにさえしなければよいだけだからだ。

テキストコンテンツの表示をFire HD 8 Plus(右)と比較したところ。見え方はほぼ変わらない
こちらはiPad mini(右)との比較。画面サイズは本製品がひとまわり小さいが、見え方はほぼ同じだ
画質の比較。左から順に、本製品、Fire HD 8 Plus、iPad mini。iPad miniとの解像度の差は確かにあるが、コミックと違って文字サイズを大きくすればよいだけなのでクリティカルな問題ではない

 一方、Fire HD 8 Plusと比べた場合の大きな利点としては、Google Playストアから任意の電子書籍アプリをインストールできることが挙げられる。試しに主要な電子書籍ストアアプリ(Kindle、ebookjapan、ブックライブPlus、BOOK☆WALKER、Kinoppy、楽天Kobo)をインストールしてみたが、基本操作をざっと確認した限りでは問題は見られなかった。

 ただしFire HD 8 PlusがKindleアプリ上で本を直接買えるのに対して、本製品で利用できる電子書籍アプリの多くは、本の購入はブラウザに切り替えて行なわなくてはならないなど、二度手間がかかる。従ってさまざまな電子書籍ストアアプリが使えるという意味では本製品が上だが、Kindleストアの使い勝手だけを比べるとFire HD 8 Plusのほうが有利ということになる。

Fireにおける続巻の購入ページ。「無料サンプルを読む」の隣に購入ボタンが表示され、直接購入できる
本製品における続巻の購入ページ。「無料サンプルを読む」しか表示されていない。購入するにはブラウザでKindleストアを開く必要がある
BookLiveのように、アプリ内での購入に対応した専用アプリを自社ストアで配布していれば、積極的に活用するとよいだろう

 肝心のパフォーマンスはどうだろうか。前述のベンチマークからも分かるように、本製品のベンチマークスコアはFire HD 8 Plusの6割程度なのだが、ひとたび読書を始めてしまえば気になることはそれほどない。電子書籍アプリの起動や切替、さらにコンテンツのダウンロードはかなり我慢しなくてはいけないが、読書においては本を開いて読んでいる時間の方が圧倒的に長いので、そのあたりを割り切れるようであれば、実用性は十分にある。

 個人的に意外だったのはブラウザ上で読む漫画アプリで、ダウンロードせずにストリーミングで読み込むという性格上、使いものにならないのではと懸念していたが、大量のサムネイルを読み込む時こそひっかかりを感じるものの、通常の読書スピードであれば問題なく読めてしまう。むしろそうしたニーズには適しているように感じられた。

音量ボタンでのページめくりが行なえるのは本製品に限らずAndroidに共通するメリットだ

許容しなくてはいけない点は多いが……

 以上のように、パフォーマンスは決して高くないものの、電子書籍を使う上ではメリットも多く、Fireではなく敢えてこちらを選ぶ必然性は十分にある。ただ本製品に興味を持つ人は、電子書籍に限らずさまざまなアプリを使える汎用性に魅力を感じる人もまた多いはずで、そうしたケースでどれだけ満足できるかは未知数だ。

本稿執筆中にAmazonプライムで放映されていたWBCを視聴してみたが、約3時間のライブ中継で再生が停止したり画像が極端に落ち込むことはなかった。どちらかというとスピーカーの音のチープさのほうが気になったほどだ

 実際のところ、8型という画面サイズは、選択肢は確かにかなり少ないのだが、フルHDに固執せず、本製品のような解像度1,280×800ドットで問題ないのであれば、AIWAの「JA2-TBA0801」やレノボの「Lenovo Tab M8 (4th Gen)」といった選択肢が、2万円前後で手に入る。ただしこれらはAndroid 12のGo editionであり、それ以外の選択肢はAndroid 11や10が当たり前だったりするのが難しいところだ。

 結論としては、8型サイズのAndroid 12タブレットで、Kindle以外の電子書籍アプリが動作し、なおかつ1万円台前半で買える選択肢としては、本製品はやはり貴重な存在ということになる。許容しなくてはいけない点はいくつもあるが、唯一無二の製品であることは間違いなく、Fireの仕様ではどうしてもニーズを満たさないユーザーは、候補に入れて検討したい製品と言えそうだ。