週末カジュアルPCゲーム部
単一OSにすべてを支配された世界の凄腕ハッカーの物語「Watch Dogs」
2021年3月20日 06:55
- 購入価格:990円(Steam、2021年3月29日まで)
- 通常価格:3,960円
今回紹介する「Watch Dogs」は現代のアメリカ、シカゴを舞台としながら、ちょっと近未来要素を加えた独特の仮想世界を舞台にした、ハッカーが主人公のオープンワールドだ。筆者がこれまでプレイしてきたオープンワールドは、銃火器を振り回して車を盗んで強盗したり、ファンタジー世界を駆け回るなど、比較的オーソドックスな冒険が多かったが、ハッカーが主人公というのはこれまでにない体験だ。
「Watch Dogs」シリーズは2014年発売の本作に続き、2016年に「Watch Dogs 2」が発売、最新作の「Watch Dogs: Legion」は2020年に発売されたばかり。超メジャーなシリーズのため、いつかはプレイしたいと思っていたので、これを機会に1からプレイしてみることにした。
ゲームを開始するといきなりハッキングシーンからという本作を象徴するようなオープニングがスタート。世界中の機器類がすべてctOSと呼ばれるOSにより連携されているという、IoTが大幅に進み、かつそのOSがPCだけでなく、スマートフォンや世界基準で統一された世界観だ。
主人公のエイデン・ピアースはこのctOSへの不正ハッキングの達人で、自身のもつスマートフォンを駆使することで、フィールド内のさまざまな機器に対して容易にハッキングできてしまうのだ。ハッカーにとっては夢のような世界であり、一般人からすると悪夢のような世界となっているのが面白い。
それ以外のアクションは従来からある現代のクライムアクションのオープンワールドと共通点も多く、車やバイク、ボート、航空機類を自由に乗り回したり、銃で相手を脅したり撃ち殺したり、鈍器で相手を痛めつけたり、とやりたい放題に楽しめる。冒頭のチュートリアルも兼ねたミッションクリア後は、自由に行動できるようになるので、街中を歩き回って、緻密に構成された“箱庭”を堪能して遊べる。
ユニークなポイントは、前述のハッキングを利用したアクションだ。たとえば道路を車で走行中に信号機にハッキングして強制的に変えることで、“赤信号を無視せず”渡れる。街中のさまざまな施設、たとえば配電盤や変圧器などを操作し、爆発させたり、停電させたりできるので、逃走中に追っ手から逃れる時の手段として使ったり、暗殺に使ったり、敵の気を引いたりできる。
街中の人々にはかなり細かく個々の個人情報が設定されており、監視カメラやスマートフォンを経由し、顔の情報だけで個人情報が取得できるのも本作の醍醐味だ。役に立たない恋人同士のショートメッセージのやり取りや通話内容を丸々盗聴するといったイケない楽しみ方もできるし、銀行口座の情報や犯罪記録、本人が表に出していない趣味嗜好など、ゲーム内で役に立つような情報が得られる場合もある。
こうした情報がとにかく街を行き交うほとんどのNPCたちに設定されているため、最初のうちは情報の波に埋もれそうになるほどだ。リアルなインターネットなどと同様に、自分にとって不要な情報はスルーするクセをつけるのも大事だろう。
これら情報のうち、犯罪履歴やショートメッセージのやり取りから、犯罪が発生する前に犯罪予測が行なえる「潜在的犯罪」というサブミッションも用意されている。街中の人々へのハッキングをしていると、たまに犯罪履歴や、ショートメッセージのやり取りをAIが自動で分析して犯罪を探知し、その情報をこちらに提示してくれる。提示された場所にいくと、そこには明らかに挙動不審な人間がおり、犯罪の機会を伺っていたりするのだ。
この犯罪予備軍の人間を事前に止めてしまうと、サブミッションは失敗となる。予測だけでは犯罪者は捕まえられないからだ。そのため、こちらに気が付かれないように行動し、相手が犯罪を実行に移しかけたところで速やかに射殺したり、無力化したりすることで、ミッション成功となり報酬が手に入る。
この介入のタイミングが非常に絶妙で、早すぎると失敗になるし、遅すぎると逃亡されたり、被害者を救えなかったりする。大元の情報が不正なハッキングなので、手放しに喜べるアクションではないが、犯罪をギリギリのところで阻止するのはいいことだし、なかなか悩ましい世界なのだ。
ほかにも初心者にはうれしい、時間の流れをスローモーションにできる「フォーカス」という機能や、道中で拾った素材を使って、その場で実用的なアイテムを作成してしまう「クラフト」などハッキング以外にも主人公ができるアクションは多い。またこうしたアクションはそれぞれにスキルが用意されており、スキルを強化することで、従来のスキルをさらに強化したり、新たなアクションが使えるようになる。こうした成長要素もあるため、アクションが苦手な人も安心して挑戦できるのも本作の魅力の1つだろう。
もちろんこうした箱庭の世界を楽しむほかに、主人公には重めのメインストーリーが待っている。ストーリーをちょいちょいと進めながら、街中をぶらつき個人情報を眺めて回ったり、シンプルにドライブやボートによるクルージングを楽しむのも悪くない。2014年のタイトルながら4K解像度表示にも対応するので、当時にしてはかなり美麗なビジュアルが堪能できる。シリーズを通して遊びたくなる非常に魅力的なタイトルだ。
本作は2014年リリースとやや古いが、そこそこのGPU負荷がある。フルHDならミドルレンジ以上のGPU、4Kならアッパーミドル以上のGPUを持つ環境でプレイしたほうがいいだろう。
RAM:6GB
GPU:1GB RAM/NVIDIA GeForce GTX 460またはAMD Radeon HD 5770
ストレージ容量:25GB
RAM:DDR4 16GB
GPU:GeForce GTX 1660(6GB)
ストレージ:TS256GMTE220S
なお、現在Steamストアでは3月29日まで「UBISOFT CELEBRATION」として、最大80%オフのセールを実施中だ。「Watch Dogs」シリーズ以外にも「ASSASSIN'S CREED」や「FARCRY」、「RAINBOW SIX」、「THE CREW」などのシリーズ物を中心に「THE DIVISION」、「FOR HONOR」なども割引率高めで販売されている。シリーズ物には最新作が含まれていない場合もあるが、メジャーなタイトルも多いので、これを機会にシリーズ物の初期タイトルを堪能してみるのも面白そうだ。